猫の恩返し(The Cat Returns)のネタバレ解説まとめ

『猫の恩返し』とは、2002年に上映されたスタジオジブリのアニメーション映画作品。監督は森田宏幸。本作は、同じくジブリ作品である「耳をすませば」の主人公「月島雫」が書いた物語という、ジブリでは珍しいスピンオフ作品。主人公「住吉ハル」は車に轢かれそうになった猫を助けた事が原因で、猫の国へ連れて行かれる事になってしまう。ハルが助けを求めたのは猫の事務所の主「バロン」であった。

『猫の恩返し』の名シーン・名場面集

ハルが車に轢かれそうになる猫を助ける

ハルは、車に轢かれそうになった猫をラクロスのラケットで助ける。
この事がハルがこれから巻き込まれる数々の不思議な出来事のきっかけとなるのである。
作中ハルは「猫なんて助けなければ良かった」と口にもするが、起こった事全てが悪いことだけではない。
バロンやムタに出会ったことや、昔助けたユキに再会したことなど、猫の国へ行った出来事はハルの自身成長にも繋がったのでもある。

ハルの事を知っていた猫、ユキの過去

ハルに猫の事務所に行くよう呼びかけ、その場所の手がかりを教えたのは白い猫の女の子ユキである。
ユキは子猫だった頃、お腹が空いて彷徨っていた時にたまたま道を歩いていた幼いハルに魚の形をしたクッキーを貰う。
ハルは気前良く持っていた箱の中の全てをユキに食べさせてあげ、ユキはそれによって生きる気力を取り戻した。
本作の「猫の恩返し」というタイトルは、猫を助けたら猫の国に連れて行かれてしまったという皮肉なタイトルにも思えるが、ハルを助けるために動いたユキの行動も恩返しであるのである。
また、幼いハルは猫語を理解していて、ユキの言っていることが分かったようである。

だんだん猫になってしまうハル

猫の国に居ると段々と猫になってしまう。
時間経過だけではなく、ハルが少しでも猫のままでも良いと思ってしまうと忽ち耳が生え、髭が生えてしまった。
バロンがハルに自分を見失わないようにと忠告したのはまさにこのことなのである。
しかし、ハルが猫でも良いと感じるきっかけの一つにバロンに対する好意が含まれていた。
ドレスを着てダンスを踊ったり、手先から守って貰ったり、優しく励まされたり、お姫様抱っこされたりなど、少女漫画のような事をされてしまうのだから仕方のない事かもしれない。

バロンのスペシャルブレンド

猫の事務所にハルが辿り着いた時、バロンはハルにスペシャルブレンドティーを淹れてあげる。
紅茶をいれるごとにでブレンドするのか、毎回味は異なるそうである。
ハルがブレンドティーを美味しいと褒めると、「君はツイてる」と言うあたり、ブレンド失敗の日もあるのであろうか。
このまま一同はお茶会となり、ムタはシフォンケーキがあると聞くと、真面目に生クリームをあわ立て始め、ケーキを切り分けた。
しかしその矢先ハルは猫の国に連れ去られてしまうのであった。

ハルが元の世界に帰った後、いつもは寝坊して慌しい朝を迎えていたハルは、朝早く起きて母親の分の朝食を作り、さらにバロンの真似をしてブレンドティーを淹れている。
そしてバロンの口ぶりも真似て、母親に毎回味が違うのだと語った。
好きな人の行動を真似をするという可愛らしいシーンであり、バロンたちとの思い出の余韻を感じるシーンでもある。

ムタの過去

ムタは作中で猫の国を知っているような口ぶりをし、猫の国の猫もムタをどこかで見た事があるような反応をする。
それもそのはず、ムタは昔猫の国の魚を全て食べつくしてしまった大犯罪者「ルナルド・ムーン」であったのである。
その悪事は壁画描かれる程のことであった。
現在でもムタは食欲旺盛で、宴に用意されたケーキを食べつくし恐るるに足らずと言い捨て、さらに溺れるほどのゼリーに体ごと突っ込んだ。

『猫の恩返し』と『耳をすませば』の関係

『猫の恩返し』という物語について

『猫の恩返し』は『耳をすませば』の主人公「月島雫」の書いた物語である。
「耳をすませば」の中でも雫の書いた処女作にバロンが登場する。
バロンの声優は「露口茂」から「袴田吉彦」に変更された。
変更理由はハルとの声のバランスや、耳をすませばのバロンより若い声を求められていたことや、露口茂が芸能界を休業している事など。
直接的な続編のないジブリ映画であるが、「耳をすませば」と「猫の恩返し」は実質続編のような位置に属しているスピンオフ作品である。

バロンのモデル

「耳をすませば」に登場する「西司郎」が経営する古道具屋「地球屋」の中に飾ってあった置物が、「フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵」通称「バロン」(英語で男爵という意味)であった。
司郎はドイツに留学中バロンを見つけ買い取ろうとするが、バロンは貴婦人の猫の置物とセットであり、貴婦人の方がまだ修理が終わらず戻ってこないと断られる。
そこにたまたま居た女性ルイーゼが、貴婦人の方は自分が買い取り、必ずバロンと貴婦人を会わせると約束をし、司郎はバロンを買い取った。
しかしその後、戦争になってしまい、ルイーゼの居所も分からず、貴婦人の行方も分からなくなってしまった。
その話を聞いた雫がバロンを物語に登場させ、貴婦人にルイーゼと名づけ、バロンの許婚という設定にした。
雫の書いた物語はまだまだ改善の余地のある物で、雫は納得が行かなかったが、司郎は一人になってしまったバロンに幸せを与えたことを喜んだ。

また、雫が地球屋を発見した時に置物のバロンを見つめるシーンがあり、「猫の恩返し」でもハルが猫の事務所を訪れた時に置物の姿のバロンを見つめるという、オマージュと取れるシーンがある。

このように「耳をすませば」の作中の中でも、バロンの存在は特に印象に残るものであり、それがスピンオフへと繋がったのかもしれない。

ムタのモデル

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