極東学園天国(漫画)のネタバレ解説まとめ

『極東学園天国』とは、『週刊ヤングマガジン』にて連載された、日本橋ヨヲコによる日本の漫画作品である。荒くれ者の巣窟、五色台(ごしきだい)学園に転校してきた主人公・平賀信号。彼は転入早々、この学園を統べる3年・城戸信長の号令により、突如学食優先権を賭けた学年対抗の戦争に巻き込まれていく。全4巻。2013年に新装版が発売され、巻末におまけマンガが新しく追加された。

「――どうして 誰かにそう言われたかった一言を そんな簡単に当てるの?」

山金仁の告白を、涙目で受け入れる岸和田廉。

廉が図書室で自主学習に励んでいると、平賀信号がやって来る。
そして廉に、みんなに勉強を教えて欲しいと頼んだ。
その言葉に、廉は抱えているトラウマを思い出し、信号の申し出を突っぱねてしまう。

やがて信号が立ち去ると、今度は山金が様子を見にやって来る。

そこで唐突に山金から「オレのこと好きって言ってみ」と迫られ、廉は大きく動揺する。
山金は理由を答えずになおも食い下がり、「変えてやるよお前の体 ぐちゃぐちゃ考えんなよ オレのこと好きんなれよ」と、少々乱暴な口調で愛の告白をする。

それに廉は「どうして誰かにそう言われたかった一言を、そんな簡単に当てるの?」という思いを抱いた。

廉は子供の頃、太っていたことで周りから除け者にされていた過去を持っていた。
何とか気を引くために勉強を頑張ってきたが、周りの反応は変わらず冷たいままだった。
そして志望校である高城高校に落ち、絶望で拒食症にまでなってしまう。
「ただ愛されたい」という思いを胸に今までやってきたのだ。

山金はちょくちょく廉のことを気にかけており、態度は悪かったが放つ言葉は優しかった。
廉はその優しい言葉に、はじめて救われたように涙目になるのだった。

「汚れなさい この世の中にはまっすぐなだけじゃどうにもならないことがあるのよ 本物の純粋さは 汚れてから気づくのよ」

国分寺シマが平賀信号にキスを贈り、世の中の厳しさを教えるシーン。

学力テスト後、シマに呼び出された信号は「S級試験に出ないか」と誘われる。
S級試験とは極東で最難関と言われるテストのことで、信号の実力ならトップも狙えると言う。
そして名門と言われる高城高校が『保護指定文化学園』入りしたのも、このS級試験主席に高城が選ばれた年からだと言う。

廃校の危機に瀕しているため、何としても五色台学園を『保護指定文化学園』にしたい信号。
しかし信号は、「学問を人の役に立つこと以外には使いたくない」とためらう。

それにシマは「いつまでも温室で甘えてんじゃないわよ‼」と一喝する。
そしていきなり信号にキスを贈り、「汚れなさい。この世の中にはまっすぐなだけじゃどうにもならないことがあるのよ。本物の純粋さは、汚れてから気づくのよ」と言って諭したのだった。

シマは登場時、五色台にとって敵のような立ち回りをしていたにも関わらず、今は五色台の廃校を阻止したい思惑が見え隠れしている。
彼女の真意について計りかねる信号だったが、それでもシマのお陰で目が覚めた。

「学園を守るため、自分の頭脳を使う」と決心した信号は、去り行くシマを追いかけたのだった。

「冬みてえに生きても 来たじゃん春」

桜の木の上で、平賀信号と武藤利一が久々に会話をするシーン。

五色台学園廃校の件で一時期仲違いをしていた二人だったが、「学校を守る」という同じ思いを抱いていた。信号は『S級試験』を受け、利一は『絵』を描くことで、学校を守ろうと独自に動いていたのだった。

そんな時、学長の計らいで温室に咲いてた染井吉野が地上に移転される。
染井吉野の見事な姿に、生徒たちが集まって歓声を上げる。

城戸信長の発案で、管理人である信号が植樹記念として木に登ることになった。
唖然とする信号だったが、信長に「ここから(2階で絵を描いている)武藤ちゃんの顔がのぞけるよ」と言われ、思い切って登ることにしたのだった。

ようやく上の幹に足を掛けた信号は、そこで絵具まみれになりながら呆然とこちらを見る利一の姿を捉える。
そして、教室一つをキャンパスにした『作品』を間近に見る。

かつて信号は、利一に過去の暴力事件のことを聞かせたことがあった。
信号はたまに、「衝動を抑えきれない」という理由から、異常な怪力を発揮していた。
利一はその時、「その抑えきれない衝動は色で言やあ何色だ?」と訊く。

それに信号は「限りなく白に近づきたい青」と言った。

その『作品』は、まさしく『青』。「限りなく白に近づきたい青」だった。
いつか絵に描いてみたいと言っていた利一の言葉を反芻し、これがそうなのだと目を見開く信号。

すると教室の中にいた利一が顔を出し、信号に「冬みてえに生きても、来たじゃん春」というセリフを口にした。

五色台学園が廃校になると聞き、廃校阻止のため動いていた信号。
しかし彼は、やがて疎ましく思われ、厳しい『冬』を過ごすことに。

だが信号の思惑を皆が知り、やがて信頼を取り戻し、ついに暖かな『春』が訪れる。

利一のセリフに、たまらず信号は号泣した。

「誰かに用意された道には何もない」

学長・間宮純による校内放送の中のワンシーン。

五色台学園学長・間宮純の下に極東最高教育委員会の面々が詰め掛けていた。
彼らの目論見は、教育現場の完全国公立化という名目で、邪魔な五色台学園を廃校にしてしまおうというものだった。
しかも1月中に生徒を退去させなければ、2月4日に学生運動処理班を呼び、強制排除を行うというのだ。

しかし間宮は廃校通告書を拒否する姿勢をとった。
これにより強制排除が実現することとなった。

間宮はすぐに校内放送をかけ、極東最高教育委員会による五色台学園の廃校の意思を止められないこと、そしてそれに間宮が異議を申し立てたことで強制排除が決行されることになったと発表した。
そして学園を出て行きたい者は1月中に学園を去ってもよいとまで伝えた。

ただ、もし間宮のように廃校を拒否する姿勢が生徒に見られる場合は、それを学園側は止めない。
自分の居場所を自分で決め、守るようにと生徒に教えたのだった。

この後、何と全校生徒全員が残ることとなり、委員会対五色台学園の全面対決が火蓋を切る。

「魂を揺さぶられたことはないよ」

2月4日、強制排除当日。
この日は運悪く、城戸信長が受ける音大の実技試験の日だった。

学生運動処理班の手から逃れるため、職員塔最上階にある温室での遠隔受験を計画した信長。
しかしその目論見は、処理班によって看破されてしまう。

受験中に乗り込んできた処理班は、信長の用心棒をしていた2年甲組メンバーを暴力で制する。
そして受験中で無防備な信長を後ろから殴りつけ、怪我を負わせた。
信長は流血するもピアノ演奏を止めず、モニターの向こうで見守る音大の施行委員会は戦慄した。

しかし音大理事長は信長が最後までピアノを弾く意思があると判断し、演奏を続行させる。

処理班は演奏を止めさせるため、なおも警棒を振り上げてピアノを破壊しようとする。
ピアノに警棒が当たる瞬間、信長は手首でこれを受け止める。
一瞬音楽が鳴りやむが、それでも演奏は止まらない。

手にも大怪我を負った信長に、音大施行委員会は騒然。
実技試験を中止するべきかという案が飛び交う。

だが、音大理事長は中止の声も上げずに食い入るようにモニターの中の信長を見る。
そして「今まであらゆる若者の演奏を聴いてきたが これほど 魂を揺さぶられることはないよ」と最上級の称賛を送った。

「オレたちは 自分の思ったように生きたいだけなのに」

平賀信号が激怒するシーン。

音大の実技試験中、学生処理班の妨害を受けた城戸信長だったが、何とか一曲弾き終えてその場に倒れこむ。

その時、処理班隊長を務める目黒浩司が上空からヘリで乱入してきた。
彼は処理班班長の田代の暴挙に詰め寄ると、制裁として頬を張り倒す。

目黒は、田代が城戸栄源会長に言われて暴力行為に及んだことを知り、深く信号たちに謝罪する。
しかし信号は怒りを隠さず、目黒の胸倉を掴んで「前へ進もうとしてる人を潰すのだけは許せない」と叫ぶ。

続いて「オレたちは、自分の思ったように生きたいだけなのに」と呟くが、それはまるでこの学園にいる生徒全員の思いを代弁したような悲痛な言葉だった。

「天国作ろうよ」

この物語の最後のセリフであり、タイトルを反映したセリフになっている。

学園長・間宮純の号令により、五色台学園は廃校を免れたものの、学生処理班によって校舎はボロボロだった。
校舎修復のため、平賀信号たちは一旦他の学校に転校することとなった。

全寮制の五色台を離れる生徒たちは、久々の外に驚きと喜びの歓声を上げる。
だが、外に出ることはいいことばかりではない。
巷を騒がせた『SAVANT』後継者の信号にとっては、外に行く方がバッシングにさらされる危険性があった。

武藤利一はそれを考え、早くも「外に行く方が地獄かもな」と不安な声を上げる。
しかし信号はそれを聞き、「そう?じゃあまたオレたちで」と言った後、「天国作ろうよ」と続けた。
彼はたびたびこの五色台学園を『天国』と称しており、最高の仲間たちと再びこの学園で会うことを夢見る、希望に溢れたセリフだ。

『極東学園天国』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『極東学園天国』は打ち切りになった漫画である

『極東学園天国』は二部構成であるが、元々第三部に続く予定であった。
しかし直前で予定は絶ち消えになり、ここで完結している。

なので作中に謎や、書ききっていないエピソードを残したままであり、日本橋ヨヲコ本人もそこだけは悔いが残ると話している。
しかし新装版では3巻・4巻の巻末に、当時書ききれなかったエピソードだと思われる小話が掲載されている。

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