極東学園天国(漫画)のネタバレ解説まとめ

『極東学園天国』とは、『週刊ヤングマガジン』にて連載された、日本橋ヨヲコによる日本の漫画作品である。荒くれ者の巣窟、五色台(ごしきだい)学園に転校してきた主人公・平賀信号。彼は転入早々、この学園を統べる3年・城戸信長の号令により、突如学食優先権を賭けた学年対抗の戦争に巻き込まれていく。全4巻。2013年に新装版が発売され、巻末におまけマンガが新しく追加された。

「あんた いい男だね」

『学食争奪戦』の中、2年甲組山金仁が3年生に攫われてしまう。
甲組のメンバーは手分けして探すことになり、勘介は城戸信長の部屋を当たることにした。

勢いよく扉を開けた先には、何と想い人の定子が。
定子は山金が失踪する前に信長に攫われており、そこで信長と肉体関係を築いていた。
一度は甲組に戻ってきた定子だったが、戦争ゲームの真っ最中であっても信長と逢瀬を重ねていたのだった。

定子は信長の不在を勘介に伝え、「あの人にいやらしいことされたくて待ってるの」と言う。
また「勘介は私のこと汚いって思う日が来る」と、勘介の想いを踏まえ、諦めさせようとする言葉をつぶやく。

その言葉にキレて定子を押し倒す勘介だったが、定子は「もう、あの人に使いたいのこの体」ときっぱり言う。
勘介はその言葉と優しい笑顔に、もう絶対に自分に振り向くことはないと理解し、大号泣する。

勘介が落ち着き、城戸の部屋を去る間際、勘介は「もし城戸が嫌いになったらいつでもオレんとこ来いや」と冗談交じりに言う。
我ながら図々しい話だと自嘲気味に笑う勘介だったが、後ろから定子は「あんたいい男だね」と声を掛ける。

それは答えになっていないセリフだったが、不思議と勘介にとっては十分な答えに感じられた。
胸のつかえが取れたのを感じ、勘介は前に向かって歩を進めたのだった。

「きれいにまっすぐ生きていけないと気づいた時に 酒に飲まれるのさ」

武藤利一を捕らえ、飲酒を強要する城戸信長が吐いたセリフ。

学食争奪戦の作戦会議中、信長は利一がアルコール依存症であることを知る。
これを生かさない手はないと考えた彼は、自身が酒の密造を得意としていることを踏まえてある計画を立てた。

ある計画とは、信長の酒蔵に利一を一人呼び出して拘束した後、ワインを飲むように強要するというものだった。
策にまんまとハマった利一は、酒の誘惑に耐えつつ悪態をつく。
すると信長は、酒を飲みたくないという利一の意思を挫くようにワインをグラスに注ぎ、彼の顔の前に掲げる。
そして「きれいにまっすぐ生きていけないと気づいた時に、酒に飲まれるのさ」というセリフを呟いた。

利一はその言葉を聞きながら、自身の父親のことを思い出して冷や汗を流す。

真面目で自分を追い込む癖のあった父親。
彼はいつしか酒の力に頼るようになり、家族に暴力をふるい、やがて壊れていった。

そしてそれは、少し前の利一自身にも当てはまった。

心の中の絶望、闇。
人間が奥底に隠して見たくないものを引きずり出させる、そんな信長の印象深いセリフだ。

「「死にたい」は 「生きたい」だ 「生きたい」って言ってんのと 同じだ」

魂のこもった武藤利一の叫び。

利一は城戸信長の罠にはまり、酒を飲むように強要されたがこれを拒否。
しかし利一が拒否することは信長にとって想定の範囲内であり、真の目的は別にあった。

その真の目的とは、利一に絵を描かせること。
利一に才能があることを信長は見抜いており、酒という目先の快楽を自ら拒否させることで、絵を描く意欲を湧き出させたかったのだ。

信長は利一に問う。
「死にたいと思ったことはあるか」と。
信長は、母親に愛されなかった自分の過去を思い返し、「オレは死ねばよかったのか」と呟く。

その言葉に利一は過剰反応を起こし、死にたいと呪いのように呟いていた父の思い出が走馬灯のように過る。
そして激高し、「『死にたい』は 『生きたい』だ 『生きたい』って言ってんのと同じだ」というセリフを叫んだ。

それに信長は涙を流して微笑む。
信長の抱えている絶望は、利一の言葉で一瞬救われたのだった。

「私は間違えて恥をかきたくないから白紙で提出するバカより 全力で答えて間違うバカのほうが好きなんだよ」

平賀信号と養父・平賀白線との回想シーン。

信号は五色台学園に来る前、名門として名高い高城高校に在籍していた過去を持つ。
しかも、中途入学者でありながら異例の特待生であった。
そのことから彼の存在は浮いており、姿の見えないいじめを受けていた。

灰色の毎日でも幸せを感じていた信号。
それは、自分の養父・白線が高城の教授を務めていたからだった。

他の生徒には大不評ではあったが、信号にとって白線の授業はどれも新鮮で、興味をかきたてるものだった。

ある時の中間テストで、白線は一風変わった問題を出す。
問いは1問。しかも特待生の信号も臆するような難問だ。
苦戦しつつも紙を埋めた信号だったが、信号以外の生徒はほとんど白紙で提出した。

テストが返ってきて信号が答案を見ると、どこにも点数が書いておらずただ大きく丸だけがついていた。
実はこの問題には明確な解答が存在せず、それを聞いた他の生徒は怒り狂って白線に猛抗議するのだった。

そんな生徒たちに向かって白線は、「私は間違えて恥をかきたくないから白紙で提出するバカより、全力で答えて間違うバカのほうが好きなんだよ」と言って笑う。

失敗を恐れないで行動すること、全力で物事に挑んでいくこと。
信号は大切な話を聞かされたように心が暖かくなるのを感じたのだった。

「あきらめんのをあきらめてよ 山金」

『学食争奪戦』は残すところ後5分。
早くも諦めムードになっている山金仁に、平賀信号が駄々をこねるシーンである。

城戸信長の策略にハマり、『指定装備品』である下駄を取られてしまった平賀信号。
信長は校庭へと姿を消し、遅れて2年甲組のメンバーが追いかける。

残り5分で、この戦争ゲームは閉幕してしまう。

信長との鬼ごっこの最中、信号は信長の人間性に惚れ込み、『学食争奪戦』に何としても勝ちたいと思ってしまった。
だから信号は「学食の食料盗む計画立てたほうがかしこいぜ」と諭す山金に、「オレぜってー追いつきたいんだあの人に」と食って掛かる。

そして、「あきらめんのをあきらめてよ山金」と叫ぶ。

一瞬面くらった山金だったが、微かに笑むと「たまにはバカみたいに走んのも悪くねえ」と言ったのだった。

すんでのところで2年生が勝利をもぎ取ったシーン

『学食争奪戦』の閉幕と、2年甲組の勝利の瞬間。

『学食争奪戦』も残り3分を切った。

3年の大将を務める城戸信長は、オーディエンスひしめくグラウンドで大歓声を浴びていた。
彼の足には、2年の大将・平賀信号から奪った下駄2足。
それとゴーグルも装備しており、この『学食争奪戦』の勝利を確信していた。

残り30秒。

すると大観衆をかき分け、2年甲組の鷲尾定子が登場する。
彼女は愛する信長の勝利を祝うため、敵同士でありながらこうして参じたのだった。

熱い抱擁と接吻を交わす二人。
群衆からの嫉妬の悲鳴や称賛の声に交じって、信長は終了のカウントダウンを聞く。

遅れて信号率いる2年甲組のメンバーがやってくるが、群衆に囲まれた信長には近づけない。

ここまでか、信号がそう思った時、定子の登場で油断した信長から、まんまとゴーグルを奪った生徒が現れる。
それは羽根田黒子だった。
それと同時に『学食争奪戦』終了の合図が鳴り響き、同時に2年甲組の勝利が確定した。

信長が驚愕の眼差しを定子に向けると、舌を出す定子の笑い顔が。
見事、定子と黒子の作戦勝ちで『学食争奪戦』は幕を下ろしたのだった。

「何もせずに安全な場所で文句を言うだけの輩よりは ずっといい」

名門高城高校にいる養父・平賀白線から手紙を貰った信号は、その文面に驚愕した。
そこに書かれていたのは、五色台学園が廃校になるという訴えだった。

五色台学園を救うためには、学園を『保護指定文化学園』にしなければならない。
そのために信号は少々強引なやり方で、生徒たちの風紀を取り締まる。

当然、生徒たちの反発を受け、一気に嫌われ者に転落してしまう信号。
それと同時に絵を描くように信号に頼まれていた武藤利一も、自信の無さと信号に対する嫉妬からこれを突っぱねてしまう。

信号は完全に孤立してしまう。

利一はなおもくじけまいとする信号を遠巻きにして、呆れたように苦言を口にする。
しかし信長は、それに釘を刺すように「何もせずに安全な場所で文句を言うだけの輩よりは、ずっといい」と言った。

この言葉により、利一は気まずそうに目をそらす。
何もできていない自分が信号をとやかくいう筋合いはない、利一はそう自覚したのだった。

「自分の好きなことで 嫌われたくねーから怖いんだな 最後の砦だけは 死守してえんだな」

武者小路是清に理解を示す武藤利一。

円谷樹里に暴言を吐いたことで、利一によって美術室に引っ張ってこられた武者小路。
温かい飲み物を出されて一息つく彼は、やがて隠しながらノートに何か書き出す。

それはコテコテのアニメイラストだった。
面白がって覗き込んだ利一が骨格のおかしさを指摘すると、「武藤描いてみなよっ」と武者小路にノートを渡される。

すると利一は、何といとも容易く体格のいい男を描いてしまう。

才能の差に愕然とした武者小路は、利一に何故絵を描くようになったのかと問う。
利一の母は有名な絵の先生であり、それを利一が打ち明けると「元々エリート」だと武者小路が言う。

そして自分も描きたいことがあるが、教室がうるさいから、資料集めに時間がかかるから、頭の中に次々と想像が湧いてしまうから、どうしても描けないのだとツラツラ話す。

それに利一は、「お前さ ホントにそれがやりてえの?」と怪訝そうに聞く。
利一は、「描きたいものがあるなら今描けばいい」という考えであった。

その質問は武者小路の心を射抜いた。
そして涙目で「いつも人にバカにされてきたから何描いても文句言われそうで怖い」と吐露する。
きつい言葉をかけられるかと身構える武者小路だったが、それに反して利一は「自分の好きなことで嫌われたくねーから怖いんだな。最後の砦だけは死守してえんだな」というセリフを呟いた。

武者小路はそのセリフを聞き、小さく「ありがと」と礼を言った。

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