Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

『Caligula Overdose』の概要

『Caligula Overdose』とは、2016年6月23日に発売されたPlayStation Vita用RPG「Caligula -カリギュラ」のPS4移植・リメイク版である。
ストーリーはVita版と同じ、心に闇を抱えた主人公とその仲間たちが、「メビウス」と呼ばれる理想的な仮想世界からの脱出を図るというものとなっている。また、Vita版と同じく音楽面での特徴として、サウンドコンポーザーを名乗る一部登場人物たちの作品をVOCALOIDの楽曲提供者として著名な人物が引き続き書き下ろしで制作している。

そして本作は、メビウスからの脱出を目指す主人公と仲間たちがチームとして結成した「帰宅部」の敵役である「執拗反復(オスティナート)の楽士」たちが主役の新規ストーリー「楽士ルート」が追加された。このストーリーでは、メビウスを守るために帰宅部と戦うオスティナートの楽士たちをパーティキャラとして操作でき、帰宅部だけでなく、楽士たちの心の闇を見ることができるサブシナリオも楽しめる。

さらに女性主人公が追加され、ゲームスタート時に男性か女性のどちらかに性別を選択することができる。単に主人公の見た目が変わるだけでなく、性別によって周囲の反応やシナリオ展開にも影響を与える。そして、帰宅部の新キャラクターとして「天本彩声」「琵琶坂永至」の2名、オスティナートの楽士たちにも「Stork」「梔子」の2名とそのサブシナリオが追加された。

『Caligula Overdose』のあらすじ・ストーリー

帰宅部ルート・上

プロローグ〜カギP編

顔が突然ノイズのような姿で映る鍵介。その異様さに主人公がたじろぐと、「気づいちゃいましたか……残念ですよ、先輩」と、溜息混じりに鍵介はそう言った。

無我夢中で学校を飛び出し、駅へ入って街の外へ出ようとした主人公。だが、駅へ入れずにさらに錯乱しかける主人公の前に、μが舞い降りてくる。

そこへ現れる小さな妖精のような姿をした少女・アリア。彼女はμに「メビウスの輪を解け」と意味ありげかつ必死そうな形相で訴える。

そして、異形の怪物と化した生徒たちに襲われかけた主人公の窮地を、アリアは「カタルシスエフェクト」と呼ばれる心の力の解放で救う。

関東近郊にある街・宮比古市にある高校「吉志舞高校」の入学式当日、その高校に通う生徒のひとりである主人公は、新入生たちへの祝辞を述べるための在校生の代表として選ばれ、登壇した。そして祝辞を述べた後、眼鏡をかけた新入生の少年である響鍵介を見て、妙な違和感を感じた。何故ならば彼はつい先日に開かれて間もない卒業式で、卒業生代表として答辞を読んでいたのだ。その瞬間、鍵介の顔がノイズのような姿で映りだし、それを見て主人公がたじろぐと、鍵介はニタリと笑ってこう言った。「気付いちゃいましたか……残念ですよ、先輩」そして追い打ちをかけるように、体育館に集まっている生徒たちや職員の大半がノイズのような姿で映りだし、主人公は困惑と恐怖のあまりその場から逃げ出してしまう。
無我夢中で学校を飛び出し、駅前広場まで走っていき、駅の自動扉を潜ってひとまず街の外に出ようとしたが、どういう訳か扉が開かない。気が動転しかける主人公。その一方、広場に設けられた特設ステージで白い衣装に身を包んだひとりの美少女アイドル・μがライブをしていたが、主人公に気づいたμは、ライブの途中でありながらも主人公の様子がおかしいことに首を傾げ、なんとふわりと空を飛んで主人公に近づいてきた。「ストップストーップ! やっほー、久しぶり〜!」と、笑顔で呼びかけてくるμに、主人公は驚いて振り返る。怪訝な表情になる主人公に、この街の外はまだ作っていないから、駅には入れないようにしてあって、誰も外に出してはいけないという約束もあるとμは言った。そして、「ねえねえ、何が欲しいの? 何があったらずっとここにいてくれる?」と、ウインクしながら優しく話しかけてくるμ。すると、金色の光をまとった小さな妖精のような少女・アリアが現れてその場に割り込んできた。「早くメビウスの輪を解いちゃってよ! メタバーセスに帰るわよ! OKっ!?」必死と怒りの表情で訴えてくるアリアだが、μは悲しそうな表情になり、みんなと約束したからできない、と叫んで、その場から飛び去ってしまう。
すると今度は、ライブの途中でμが逃げてしまったことで、観客の生徒たちが気分を壊し、そのμが逃げた原因である主人公とアリアに向かってきた。状況が理解できずさらに混乱する主人公は、暴徒となった生徒たちにアリア共々取り囲まれるが、そこへ現れた、一人の寡黙そうな長身の男子生徒・佐竹笙悟が人気のない通りへと案内してくれたことでなんとか窮地を免れる。笙悟は自分も主人公と同じように他の生徒たちの姿にノイズが見える人間だと言い、先ほどの入学式で主人公もノイズが見えたことに気づいて、密かに後を追ってきてくれたのだ。そこで自分と同じノイズが見える仲間たちの元へ案内しようとした矢先、暴徒となった生徒たちに見つかってしまう。さらに追い打ちをかけるように、その生徒たちは手足に黒い爪やナックルを思わせる武器のようなものを纏った姿となり、襲いかかってきた。大ピンチに追い込まれる主人公と笙悟。と、その時、アリアが主人公に「自分の中の思いを吐き出して!」と、意味ありげな言葉で呼びかけた時、主人公の体が強い輝きを放ちだす。そしてアリアが「Are You Ready!? Go Liiiiiiive!!」と、叫んだ時、主人公の両手に黒い二丁拳銃のような形をした、主人公の中にある感情や思いが武器となったもの「カタルシスエフェクト」が発現した。

学校での探索の途中に訪れた窮地で、現実世界への強い帰還の願望を叫ぶ笙悟。その瞬間、彼は二人目のカタルシスエフェクトの覚醒者となる。

そして鼓太郎も、窮地の中で自らの闘志を強引に奮い立たせることで覚醒を果たした。

ついに学校の奥で対峙する鍵介ことカギP。だが、カギPはオスティナートの楽士として、一度招かれた主人公たちをメビウスからは帰さないため、武器を召喚してきた。

戦いの後、鍵介は辛い現実へ戻ろうとする一行に興味を示し、帰宅部入りを決意するのだった。

こうして、カタルシスエフェクトを使って怪物と化した生徒たちを撃退した主人公は、笙悟の案内で吉志舞高校の一角にある部屋へと案内される。そこにいたのは、大人びた雰囲気の女子生徒・柏葉琴乃、正義の味方志望の大柄な男子生徒・巴鼓太郎、小柄で元気そうな女子生徒・篠原美笛、大人しめの女子生徒・神楽鈴奈の4人だった。彼女らも主人公と同じくノイズが見えてしまうらしく、さらにここは「バーチャドール」と呼ばれる存在であるμが作り出した、終わることのない学園生活を繰り返し続ける「メビウス」という仮想世界だという。さらに先ほど襲ってきた怪物化した生徒は、μの歌に熱狂するあまり、メビウスを守る怪物と化した「デジヘッド」だとも語った。そんな仮想世界から現実世界へと戻るべく、「帰宅部」という集団を作って活動しているのだった。
そこでアリアも、主人公たちにこう語った。自分もμと共にメビウスを創ったバーチャドールだが、「人間を閉じ込めて同じ夢を見せ続けても幸せにはならない」という意見の行き違いでμとすれ違いを起こしてしまい、離れ離れにならざるを得なかった。そして、元はμと同じ普通の大きさを持った人間の姿をしていたが、μに力の大半を奪われたことで小さい妖精のような姿になってしまった。そこでアリアはμに目を覚ましてもらい、メビウスに閉じ込められた人々を救うために一緒に力になってくれる仲間たちを探していたのだという。こうして主人公とアリアは急遽帰宅部へと加わることになり、メビウスを作ったμに会うべく、まずはμと行動を共にしている者たちで、彼女に楽曲を提供している「オスティナートの楽士」を探すことになる。この吉志舞高校にもオスティナートの楽士がいて、その名前は「カギP」という男子生徒であることを、通りすがりの眼鏡の女子生徒・守田鳴子から聞いた帰宅部はカギPを探そうとする。しかし鳴子が「Gossiper」というSNSツールに帰宅部のメンバー全員の顔写真を無断で公表してしまったことで、帰宅部の存在に気づいたカギPがデジヘッドたちを動かして捕らえにかかってきた。そしてまたピンチに陥る中、現実への一刻も早い帰還を望む笙悟、正義の味方としての力が欲しい鼓太郎が焦りと怒りでそれぞれ大型拳銃とナックル型のカタルシスエフェクトを発現させる。さらに琴乃も、笙悟と鼓太郎の見よう見まねで自分の中にある感情を強引に呼び起こして弓型のカタルシスエフェクトを発現できたことで、このピンチを切り抜けることに成功した。
その後、戦う準備が整った帰宅部はついにカギPこと響鍵介のもとへと辿り着く。μの力のおかげで誰も彼もが幸せな学園生活を送れているのに、どうしてメビウスから抜け出そうとするのかと尋ねてくる鍵介に、邪魔はしないから自分たちだけ現実へ帰してくれと笙悟は穏便に済ませようとする。しかし鍵介は、帰宅部のようにメビウスの仕組みに気づいて、現実へ戻ろうとする人間が増えるとそれが「歪み」となってメビウスを崩壊させてしまうと断固拒否する。「どうしても出て行くと言うなら、力づくでマインドホンをかぶってもらいましょうか!!」そう叫んだ鍵介が大剣を召喚したことで双方の意見は平行線となり、ついに戦いとなった。
戦いの末、帰宅部は鍵介を下すことに成功する。自分が負けたことが信じられずにいながらも、負けた時点でμは許しても他の楽士たちが許しはしないことに途方に暮れる鍵介。だが、理想の世界であるメビウスを捨ててまで現実へ戻り、頑張って生きていこうとする帰宅部を見て、「僕もついていっていいですか? ついていったら…帰りたい、って気持ちが少しは解るのかなって」と、鍵介は申し出て、帰宅部へと加わったのだった。

スイートP編

笙悟から部長の座を譲られる主人公。鼓太郎も立候補しようとするが、他のメンバーは満場一致で主人公に投票してしまい、主人公の新部長就任が電撃決定してしまう。

パピコでフラワープリンセスのひとり・ローズを見かける美笛。その時、彼女の表情からいつもの明るさが消えた。

そして他のフラワープリンセスと会っていくうちに、美笛は徐々に拒絶や嫌悪を通り越して攻撃的な言動と態度になっていく。

鍵介にμの居場所を訪ねた帰宅部だったが、鍵介は楽士と言っても新参で、μがいつもどこにいるのかは知らないと言った。そこで鍵介から次の候補として教えてもらった、「スイートP」という少女の楽士が根城としているショッピングモール「パピコ」へと向かうことになる。そして同時に、笙悟は「そろそろ隠居したい」という理由で、あっさりと帰宅部の部長の座を主人公に譲り渡した。突然の辞退に驚きを隠せない琴乃たち他の部員だが、主人公を一目見て、適役かもしれないと思い、「俺がいい、俺に部長をやらせろ」と、ひとりだけ騒ぐ鼓太郎を無視してあっさりと受け入れた。
スイートPが潜伏するショッピングモールの中央に位置する一角・レディースエリアに入るには、スイートPが開く「お茶会」と呼ばれる女子たちだけの集まりに参加するしか他に方法がなく、そのお茶会に参加するには「フラワープリンセス」と呼ばれるスイートPの3人の取り巻きたちに会って、資格を得なければいけないという。
そこでお茶会への参加として美笛が立候補したが、パピコの一角で目撃したフラワープリンセスのひとり・ローズの、プリンセスというにはあまりにも程遠い、でっぷりとした姿に言葉を失い、「あんな醜い姿が……いいんだ」と表情を不快そうに歪める。すると、その陰口のような呟きに、近くを通りかかったデジヘッドが反応して襲いかかってくるが、この時、自分の中から湧いて出ていた怒りの感情に身を任せ、美笛はこう叫んだ。「そこ……退いてよ。わたし、帰るんだからっ!!!」その叫びと共に、美笛の手にハンマー型のカタルシスエフェクトが発現し、美笛は感情に身を任せてハンマーを振るい、デジヘッドたちを撃退した。
美笛は主人公たちと共に3人のフラワープリンセスと会って、彼女が次々と課してくる「試験」にパスしていく。しかし、ローズと、彼女と同じくでっぷりした外見でプリンセスとは程遠いリリィとアイリスを見て、美笛はまるで太った人間に恨みがあるかのように「これだからデブって!! なんで他人の迷惑を考えないんだろっ!?」と、喚くほどの苛立ちと不快感を表情に露わにしていくようになる。さらに道中で再び出会った鳴子から教えられた、スイートPの正体で現実の姿である「二条院静華」が、脂っこいラーメンが好物のものすごく太った中年男性であるという驚きの情報に、我を忘れるほど愕然となってしまうのだった。

ついにお茶会に潜入した美笛と主人公。そこにはスイートPの他にも、フラワープリンセスたちもいる。

フラワープリンセスたちの食い散らかしぶりをこれ見よがしに見せ付けられた美笛は、ついに爆発してしまう。

怒りが収まらない美笛に正体を暴露されたスイートP。その瞬間、美笛に負けじとばかりの勢いで彼女も豹変する。

そして正体を暴露されたことへの憤激に流されるまま、スイートPもついに戦闘態勢に入った。

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