機動戦士ガンダムSEED FREEDOM（シード フリーダム）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の概要

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』（きどうせんしガンダムシード フリーダム）とは、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのその後を描いた、福田己津央監督による2024年公開のアニメ映画。ポスターや公式画像などでは「SEED」と「FREEDOM」の“EED”の部分を重ね合わせるイメージで、『機動戦士ガンダムSFREEDOM』と表記されている。キャッチコピーは「私の中にあなたはいます。 あなたの中に私はいますか？」 。
TVシリーズの最終作である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の完結から19年、制作発表から18年もの時間を経て完成した。これはTVシリーズでも脚本を担当した両澤千晶の急死などの影響で、一時期は計画が完全に凍結状態にあったためである。後に両澤の元夫でもある福田己津央と後藤リウによって未完の状態だった脚本が改めて書き上げられ、映画の完成につながっていった。

20年近くの時を経て映画が完成したことは大きな驚きを持って迎えられ、ネット上では公開前からPVなどの情報を元に盛んに考察が行われた。『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの完結編と銘打たれており、その名にふさわしい圧巻の映像と数多くのキャラクターが登場する豪華な作品となっている。
ほとんどのキャラクターの声優が続投し、主題歌もTVシリーズでOPを歌ってきた西川貴教が担当している。登場する人型機動兵器MS（モビルスーツ）はCGで描かれており、スピーディかつダイナミックなアクションが好評を博した。

ごく普通の人間であるナチュラルと、出生前に遺伝子レベルでの強化処置を施されたコーディネイターの人種的対立が深刻化したC.E.（コズミック・イラ）と呼ばれる時代。2度に渡って世界を絶滅戦争の危機から救ったキラ・ヤマトは、世界平和監視機構コンパスに所属し、新たな戦争の火種を事前に掻き消すために戦い続けていた。しかしいくら力を振るっても人々の間から対立する国や人種への憎悪は消えず、キラは「自分のしていることにどんな意味があるというのか」と悩み始める。
そんなある日、キラはコンパスの仲間たちと共に地球の新興国家ファウンデーションに招かれる。その目的は「人種対立を煽る武装組織の壊滅」にあったが、ファウンデーションの部隊は突如としてキラたちを裏切り、一行は全滅の危機に陥る。ファウンデーションの内偵調査中だった親友アスラン・ザラの介入で九死に一生を得たキラは、彼の口から「自身の恋人のラクス・クラインがファウンデーションに連れ去られた」こと、「そのラクスとファウンデーションの一部の人間が、遺伝子操作によって生まれた“アコード”という超人種である」ことを知らされて困惑する。

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のあらすじ・ストーリー

『機動戦士ガンダムSEED』の物語

ごく普通の人間であるナチュラルと、出生前に遺伝子レベルでの強化処置を施されたコーディネイターの人種的対立が深刻化したC.E.（コズミック・イラ）と呼ばれる時代。中立のヘリオポリスコロニーで暮らしていた少年キラ・ヤマトは、ナチュラルの国である地球連合とコーディネイターの国プラントの戦争に巻き込まれ、成り行きから前者が開発した新兵器ガンダムのパイロットとなる。
幼馴染にして親友のアスラン・ザラはプラント側の兵士となっており、2人は相手が大切な友人と知りながらも戦場で幾度となく激突。死闘の果てにアスランに敗れたキラは、プラントの歌姫にして反戦派のコーディネイターの象徴的存在であるラクス・クラインに保護されて命拾いし、「どうして自分はアスランと殺し合わなければならなかったのか」に想い馳せる。

一方、アスランもまた「兵士だから、任務だからといって大切な友人であるキラを殺すことは正しかったのか」との苦悩と絶望に苛まれる。キラの双子の姉でオーブ連合首長国の代表の養女であるカガリ・ユラ・アスハから「それが本当にお前がやりたかったことなのか」と涙ながらに問われたアスランもまた、「キラと殺し合わずに済む道を探すべきだった」との後悔と結論を見出していく。
地球連合とプラントの戦争が激化していく中、キラはアスランと再会。ラクスやカガリと共に「戦争を終わらせるための戦い」に身を投じた2人は、やがて自身の歪んだ願望がために戦争を煽っていた者たちを倒し、大量破壊兵器を突きつけ合って絶滅戦争への道をひた走ろうとしていた地球連合とプラントの間に和平を結ばせるのだった。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の物語

『機動戦士ガンダムSEED』の物語から2年後。オーブ出身の少年シン・アスカは、戦争の中で家族を失い、「守りたいものを守る力が欲しい」との強い渇望に突き動かされるままプラントの兵士となっていた。カガリと交際しつつ、「オーブの公人である彼女の側にプラントの元兵士がいるのは問題が多過ぎる」との判断で偽名を名乗って生活していたアスランは、新たな戦争の火種が世界を襲うのを見てプラントに帰還。プラント最高評議会の新たな議長であるギルバート・デュランダルの差配で、シンの上官となる。
この頃、キラは恋仲となったラクスと共にオーブで静かな日々を過ごしていた。しかしある時、そのラクスを抹殺せんとする者たちが現れる。なんとかこれを退けたキラたちは、「反戦派を中心とした人々に強い影響力を持つラクスが狙われたということは、何者かが世界を我が物にしようと企んでいる」と察して、再び戦場へと舞い戻る。

キラたちの読みは当たっており、一連の事件を裏で操っていたのはデュランダルだった。世界に恒久の平和をもたらす方法を思案し続けた彼は、「全ての人が、生まれ持った遺伝子によって資質を判断され、それに見合った人生を歩む」ことを骨子とするデスティニープランを提唱し、「これに従わない者は滅ぼす」と宣言。デスティニープランが完全に機能すればこの世からは戦争も無くなるはずで、賛同しない者は戦争を望む者たちと変わらないというのがデュランダルの言い分だった。
紆余曲折を経て再び手を組んだキラとアスランがデュランダルを止めようとする中、シンが彼らの前に立ち塞がる。「この世から戦争が無くなること以上の平和がどこにあるんだ」と暴れ回るシンだったが、アスランによって倒される。デスティニープランに疑問を持った兵士の銃弾によってデュランダルも倒れ、デスティニープランの施行とこれに反対したオーブへの攻撃は阻止される。故郷を滅ぼす計画に加担していたシンは、「デュランダルの全てが間違っていたとは思わないが、考えることを放棄した自分は間違っていた」と己を悔い、「世界から憎しみを消すために共に戦おう」というキラやアスランの手を取るのだった。

ファウンデーションの策謀

デスティニープランが破棄されてから1年。キラは戦争の肥大化を防ぐために結成された世界平和監視機構コンパスに所属し、部下となったシンと共に、平和のために戦い続けていた。しかしナチュラルとコーディネイターの人種的対立の根は深く、どれだけ戦っても平和が見えてこない現状に疲弊したキラは、「自分のやっていることに意味はあるのか、デスティニープランは正しかったのではないか」と考えるようになる。
そんなある日、地球にある新興国家ファウンデーションから、コンパスに「人種的対立を煽るテロリストの重要人物」に関する情報提供と共同での軍事作戦の話がもたらされる。ファウンデーションは見返りに自国の国際的立場をより良いものにしようと画策しているらしく、多少不審な点はあったがキラたちはこの話を受けることを決める。

ファウンデーションに赴いたキラたちを出迎えたのは、女王のアウラ・マハ・ハイバル、若き宰相オルフェ・ラム・タオ、そして精鋭部隊のブラックナイツの面々だった。オルフェはラクスに馴れ馴れしく近づく一方、キラに「戦うことしかできないお前が、この世を正しく導く資格と力を持つラクスの隣に立てると思うのか」と辛辣な言葉を投げかける。
キラが「オルフェの言う通りかもしれない」と悩む中、コンパスとファウンデーションの合同作戦が始まる。しかしここで突如ブラックナイツの面々が不思議な力を発揮してキラに幻覚を見せ、これに踊らされるまま彼は隣国との戦端が開くきっかけを作ってしまう。ブラックナイツの工作によってファウンデーションの首都には核ミサイルが叩き込まれ、それを目撃したシンたちも猛然と攻撃されて次々と機体を失う。キラ自身も追い詰められるが、ここにファウンデーションの内定任務に就いていたアスランが駆けつけて彼を救出した。

新たなる世界の危機

この頃アスランは、武力ではなく情報によって戦争の肥大化を未然に防ぐことを目的とするターミナルという組織の下で動いていた。ファウンデーションを調べ回っていた彼は、アウラたちが「アコード」と呼ばれる存在であることをキラたちに告げる。アコードはコーディネイター以上の力を持つように遺伝子を改良された人間で、他人の心を読んだり心を操って幻覚を見せる超常的な力を持つという。ラクスもまたアコードになるべく遺伝子改良を施された人間で、オルフェたちは彼女を自分たちの仲間に加えるべく連れ去っていた。
「自分では世界に平和をもたらせなかった、ラクスがアコードだというのなら仲間と一緒にいた方が幸せかもしれない」と嘆くキラだったが、アスランから鉄拳制裁されつつ「お前1人で世界を平和にしようなんて思い上がるな、なぜ俺たちを頼らない。ラクスだってお前に頼りたかったし、頼ってほしいとも思っていたはずだ」と励まされて再び立ち上がる。

その頃、オルフェたちは月面に作られた新たな拠点に移動し、「我々はコンパスによって攻撃されて故国を失った」と世界に向けて喧伝していた。彼らは報復として地球の都市部に大量破壊兵器レクイエムを放ちつつ、デスティニープランを復活させることを宣言する。もともとアコードとは、「デスティニープランを管理・統括する存在」として作られたものだったのである。
キラやシンを含むコンパスの生き残りたちは、ファウンデーションの野望と暴威を止めるべく、新たな機体と戦場に向かうための宇宙戦艦を調達。ここにアスランも加わり、一行は世界の未来のために決戦の地である月へと赴くのだった。

歩み続ける者たち

ファウンデーションの動きに合わせ、プラントでも「ナチュラル排斥」を声高に叫ぶ一部の軍人によるクーデターが発生するが、これはかつてキラやアスランと共に戦った者たちによって阻止される。月までやってきたキラは、戦艦の守りをシンに任せ、自身はラクスの奪還に向かう。
アスランたちの的確なサポートにより、キラはラクスの救出に成功。シンがブラックナイツの面々を相手に激闘を繰り広げる中、ラクスが全世界に向けて「ファウンデーションへの核攻撃は、彼らの自作自演によるものだ」と暴露したことで、自らの暴挙に対する正当性を失ったオルフェたちは一気に追い込まれる。

なお諦めず、邪魔する者全てをレクイエムで滅ぼそうとするオルフェたちだったが、ブラックナイツを蹴散らしたシンがこれを破壊。アスランが敵方のエースを相手取る中、キラはオルフェと交戦するが、機体の性能差により苦戦を強いられる。
ここにラクスが新型装備と共に駆け付け、キラの機体にさらなる力を与える。無敵に等しいバリアと強力無比な火力を備えたキラの機体は、ファウンデーションの残存戦力を一気に撃破し、オルフェも命を落とす。アウラも戦場の別の場所で散り、ファウンデーションの野望は食い止められるのだった。

戦いが終わった後、キラたちはそれぞれの“果たすべき役目”を果たすために、自分たちの居るべき場所へと帰っていく。ラクスとの絆と愛情を改めて確かめたキラは、終生を共に歩む決意を伝えるかのように、彼女と口づけを交わすのだった。

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の登場人物・キャラクター

主要人物

キラ・ヤマト

CV：保志総一朗

本編及び『機動戦士ガンダムSEED』の主人公。コーディネイターの中でも特に優れた資質を持つスーパーコーディネイターであり、人類を絶滅戦争の危機から2度に渡って救った英雄。
「平和な世界」を実現するため、コンパスに身を置いて戦い続ける。自分にできる限りで奮闘しているが、先の見えない状況に焦りと諦観を抱えていく。

キラ・ヤマト（機動戦士ガンダムSEED）とは【徹底解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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キラ・ヤマトとは、『機動戦士ガンダムSEED』の主人公。続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でも「主軸となる3人の人物」の1人を演じている。
ヘリオポリスコロニーの学生だったが、地球連合軍の秘密兵器「ガンダム」を目撃してしまったことで、地球連合とプラントの戦争に巻き込まれていく。強化人種コーディネイターの中でも最高傑作とされる「スーパーコーディネイター」であり、身体能力や機械への適性などあらゆる能力が極めて高い。幾多の悲劇を経験しながら、戦いを終わらせる術を模索していった。

ラクス・クライン

CV：田中理恵

元プラントの歌姫にして、反戦派コーディネイターの象徴的人物。キラやアスランを見て、自身も平和のための戦いに身を投じる。アスランとは親同士の決めた婚約者だったが、共に歩む中でキラと恋仲になっていった。
現在はコンパスの代表を務め。世界平和の維持のために尽力している。本人も知らないことだったがアコードであり、「アコード同士の子を成す」ためにオルフェに強引に婚姻を迫られる。

コンパス

シン・アスカ

CV：鈴村健一

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公。MSパイロットとしては、キラやアスランにも匹敵する恐るべき潜在能力を持つ。
かつてキラの乗る「フリーダムガンダム」を撃墜したことがあり、このことから「フリーダムキラー」の異名で呼ばれる。和解して部下となって以降はキラのことを純粋に慕っており、彼に認められようと力を尽くす。反対にそりの合わなかったアスランに対しては非常につっけんどんである。

もともと感情的で考えるのが苦手な性格だが、絶好調になると反射だけでMSを操縦する癖があるらしく、彼の心を読んで攻略しようとしたブラックナイツの面々を「コイツは何も考えていない（＝動きを読んで優位に立つことができない）」と絶句させた。

シン・アスカ（機動戦士ガンダムSEED DESTINY）とは【徹底解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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シン・アスカとは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公の1人。遺伝子レベルで強化されたコーディネイターであり、スペースコロニー国家プラントが擁する軍事組織ザフトの新兵。
地球にあるオーブ連合首長国で生まれたシンは、戦争で家族を失い、「守りたいものを守れる力」を欲するようになる。新たな戦争が始まると、ザフトの若きエースパイロットとして活躍するも、力を求める姿勢を権力者に利用されていく。「平和のため」と言いくるめられてオーブを滅ぼす作戦に参加し、敗れた後に故郷の無事を知って涙した。