キラ・ヤマト（機動戦士ガンダムSEED）とは【徹底解説・考察まとめ】

キラ・ヤマトの概要

キラ・ヤマトとは、『機動戦士ガンダムSEED』の主人公。続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でも「主軸となる3人の人物」の1人を演じている。
ヘリオポリスコロニーの学生だったが、地球連合軍の秘密兵器「ガンダム」を目撃してしまったことで、軍事機密の守秘と民間人の保護を兼ねて地球連合軍の戦艦アークエンジェルに半ばむりやり乗り込まされる。アークエンジェルでは、ガンダムの性能を十二分に発揮できる唯一の存在であったことから、キラは自身と学友たちを守るためにその専任のパイロットに任命された。地球連合と敵対するスペースコロニー群プラントに身を置くアスラン・ザラとは幼馴染にして無二の親友だったが、そのアスランがプラントの軍部であるザフトに所属するようになっていたことで、戦場で銃を突きつけ合うこととなった。

互いに仲間を殺されたことで、相手が親友であることを理解した上でアスランと憎悪のまま殺し合う。最終的に敗北するも命拾いしたキラは、プラントの反戦派を取りまとめるラクス・クラインとの交流を経て「なぜ自分たちは戦い合わなくてはならなかったのか」を考えるようになり、戦争を終わらせるために自分に何ができるのかを模索していく。やがて「大切な親友を殺してしまった」と激しい後悔に苛まれていたアスランと再会し、彼と和解した上で地球連合とプラントの戦争を煽る者たちを打ち倒す。
キラの活躍によって地球連合とプラントの戦争はいったんは終結するも、彼の存在は世界を意のままにせんとする者たちに警戒されるようになる。プラントの新たな最高評議会議長となったギルバート・デュランダルは、究極の管理社会の完成を目指してキラたちの排除を画策。自分たちが狙われていることを知ったキラは、ラクスと共に姿を消し、地球連合とプラントの間で起こった新たな戦いに介入。地球連合を裏から操る組織ロゴスと、自身の考える理想の世界のために全てを支配しようとするデュランダルと対決した。

機動戦士ガンダムSEED（シード）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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「機動戦士ガンダムSEED」は2002年10月から2003年9月まで毎日放送・TBS系列で放送されたロボットアニメ。「機動戦士ガンダム」シリーズの中でも新しい世代に向けて作られた、“平成のファーストガンダム”と呼ばれる作品。幼少期の親友でありながら敵対する立場にいる2人の少年と、戦争を終わらせるために戦場に身を投じる中での葛藤や苦悩を描いた壮大なストーリーが見どころ。

キラ・ヤマトのプロフィール・人物像

CV：保志総一朗

誕生日：C.E.55年5月18日[3]（牡牛座）
年齢：16歳（SEED） → 18歳（SEED DESTINY）
性別：男
種類：コーディネイター（一世代目）／スーパーコーディネイター
身長：165cm (SEED） → 170cm（SEED DESTINY）
体重：55kg（SEED） → 58kg（SEED DESTINY）
血液型：A型
肩書き：地球連合軍少尉 → オーブ連合首長国国防軍三尉 → オーブ連合首長国准将 → ザフト白服指揮官級

出生前に遺伝子レベルで強化措置を受けた、「コーディネイター」と呼ばれる人種の少年。作品世界ではコーディネイターと遺伝子操作を施されていないナチュラルという人種とで深刻な人種的対立が起きているが、物語開始時点で暮らしていたヘリオポリスは差別意識の少ない場所で、普通の学生として過ごしていた。
優しく聡明な人物で、ガンダムで戦うことを決意したのも「ヘリオポリスでの友達を守りたい」との想いがあったため。これは同時に親友のアスランと戦うことをも意味しており、どうにかして彼と和解できないかと長く苦しみ続けた。この優しさはMSパイロットとして戦う際にも影響しており、可能な限り相手を殺さないように立ち回る。

コーディネイターとして機械への高い適性を持ち、特にプログラミングに長ける。最初の愛機となるストライクガンダムに初めて乗った際には、OSの脆弱さに気付くなり、その場で「戦闘中のOSの書き換え」という離れ業を成功させている。身体能力も高いが、兵士としての訓練を受けたわけではないため、銃を用いた白兵戦では援護や戦えない者の護衛に徹することが多い。本人も知らないことだったが、コーディネイターの中でも特に優れた能力を持つよう調整されたスーパーコーディネイターであり、作中で「人類の新たな進化の兆し」とも「火事場の馬鹿力」とも称されるSEED（シード）能力にも目覚めている。
アスランとは幼い頃に交流し、互いに相手を親友だと認め合う間柄。どちらも頑固なところがあるため派手に衝突することも少なくないが、戦闘では抜群のコンビネーションを発揮する。プラント反戦派の象徴的人物であるラクスとは、「戦いを終わらせるための戦い」を共に始めて以降は公私に渡るパートナーとなり、互いに大切に想っている。オーブ連合首長国の公人であるカガリ・ユラ・アスハとも気の合う関係で、後に自分たちが双子であることが判明した際には「お前の方が弟に違いない」と決めつけられている。キラ自身は特に反論することなくこれを受け入れ、「手のかかる姉」として彼女を尊重している。

キラ・ヤマトの来歴・活躍

物語開始前

スーパーコーディネイターとして誕生

出生前に遺伝子レベルで強化処置を施されたコーディネイターと、そういった処置を受けていないナチュラルの人種的対立が深刻なC.E.（コズミック・イラ）の世界に、ユーレン・ヒビキとヴィア・ヒビキの夫妻の間の子として生まれる。この時ユーレンは「頭脳も肉体も才能も最高のものを持つ完璧なコーディネイターを作る」という野心に取り憑かれており、自身の子で人体実験を繰り返した末に、ついに“スーパーコーディネイター”というべき存在を作り出す。これが後のキラ・ヤマトである。
その後反コーディネイターを掲げる組織ブルーコスモスのテロから逃れるため、ハルマ・ヤマトとカリダ・ヤマトの夫妻に預けられる。自身はこの事実も、自分に生き別れの双子がいることも知らないまま、ヤマト夫妻の子として成長していった。

幼年期

月面都市コペルニクスに家族で移住し、同地に留学していたアスラン・ザラと出会う。キラとアスランは馬が合い、2人は自然と親友の間柄となっていった。しかしナチュラルとコーディネイターの戦争の機運は次第に高まり、ヤマト夫妻は中立のヘリオポリスコロニーへの移住を決意。アスランとはここで別れることとなるも、彼から友情の証に小鳥型のペットロボット「トリィ」をプレゼントされる。
ヘリオポリスでも友達を作り、後輩のフレイ・アルスターの可憐さに惹かれるなどごく普通の学生として過ごす。この頃にはスーパーコーディネイターとしての才能の片鱗を発揮し、プログラミングの分野で学生離れした結果を出し始めていた。

『機動戦士ガンダムSEED』での活躍

親友との再会

ナチュラルの国家である地球連合と、コーディネイターたちが暮らすスペースコロニー国家プラントの対立はさらに深刻化。「中立のはずのヘリオポリスで、地球連合が強力な秘密兵器の開発を進めている」との情報を得たプラントは、独自の軍隊であるザフトの特殊部隊をここに送り込む。その中には、ザフトのエリート兵士として成長したアスランの姿もあった。
アスランたちはヘリオポリスにある地球連合の施設を破壊し、この混乱に乗じて地球連合の新型MS「ガンダム」5機を奪取しようとする。この時キラは、ガンダムの開発にも関わったオーブ連合首長国からやってきたカガリ・ユラ・アスハに巻き込まれる形で地球連合の施設に入り込んでおり、アスランと衝撃的な再会を果たす。

アスランたちは5機のガンダムの内の4機を奪うも、残りの1機は成り行きからこれに乗り込んだキラの活躍で奪取に失敗。軍事機密であるガンダムに乗ってしまったキラは、情報漏洩の阻止と民間人の保護の観点から、ヘリオポリスで建造されていた新型戦艦アークエンジェルに学友たち共々乗り込むこととなる。
地球連合側に唯一残ったガンダムは、ストライクガンダムと呼ばれる機体で、その操作の複雑性からキラ以外の者にはまともに扱えなかった。「親友のアスランとは戦いたくないが、学友たちが死ぬのも見たくない」と苦悩しながらも、キラは自身とアークエンジェルの人々を守るために戦い続ける。この頃、たまたまプラント側の脱出艇を保護し、この中にいたプラント反戦派の象徴的存在にしてアスランの婚約者でもあるラクス・クラインと出会い、「直接顔を合わせれば話し合うこともできるのに、どうしてアスランたちと戦わなければならないのか」との疑問をさらに強くしていった。

憎悪の末の対峙

戦いの中、ザフトの攻撃で父を失ったフレイは、「コーディネイター同士殺し合えばいい」との想いからキラを誘惑。もともと憧れていたフレイに誘われたキラは、“親友と殺し合う”という心理的負担で憔悴していたこともあってこれを乗ってしまい、「恋人のフレイを守るために本気で戦う」という口実を自分の中に作ってしまう。
「これほど高性能の機体を、たとえ1機でも地球連合に渡すわけにはいかない」とザフトは執拗な追撃を続け、キラはついにアスランと仲のいい敵兵を殺害。「自分が親友相手に本気になれなかったせいで大切な仲間を失った」と絶望したアスランは、復讐に燃える仲間たちと共に、今度こそキラを殺す気でアークエンジェルを襲撃する。

この時、キラもまた親身になって自分を支えてくれた学友をアスランに殺され、2人は憎悪を剥き出しにして殺し合う。壮絶な戦いの末に、アスランは「相手に組み付いて自爆する」という方法でストライクガンダムを撃破。誰もが「キラは死んだ」と思っていたが、ストライクガンダムに組み込まれていたセーフティシャッターという緊急防護機能のお陰で、キラは危ういところで一命を取り留めていた。
ザフトに追われるアークエンジェルは、「これ以上戦場に留まれない」という理由からキラを見付け出せないまま撤退。気を失ったキラは、たまたま現地を訪れた人々によって保護され、治療を受け、意識の戻らないままプラントにいるラクスの下へと送り届けられる。

自由の旗印

意識を取り戻し、ラクスの保護下で傷を癒したキラは、彼女から「オーブに危機が迫っている、アークエンジェルとあなたの仲間たちもそこにいる」との話を聞かされる。駆け付けたくとも今の自分にはその手段がないと歯噛みするキラに、ラクスはザフトが開発した新型機であるフリーダムガンダムを密かに譲渡する。これは明らかに母国への反逆だったが、キラとの交流でラクスも「自分もまた立つべき時が来た」と決意しており、その表明も兼ねた行動だった。
フリーダムガンダムで戦場へと駆け付けたキラは、アークエンジェルの仲間たちを救うも、この時フレイは「地球連合高官の娘」として別行動をとっていた。この頃にはキラは「フレイが自分に体を許したのは、コーディネイターへの憎悪が理由だ」と気付いていたが、その上で彼女をなんとか助けようともしていた。

この頃、地球連合とオーブの関係は悪化しており、ついには両組織の間に大規模な戦端が開かれる。キラはアークエンジェルの仲間たちと共に奮闘するも、多勢に無勢で劣勢を強いられる。ここに「奪われたフリーダムガンダムの奪取」の任務を帯びたアスランが新型機と共に駆け付け、かつて憎悪のまま殺し合った2人は息の合った連携で戦場を暴れ回る。最終的にはオーブは政治的判断により降伏するも、カガリの助けもあり、キラはアスランとの和解に成功する。
この時、キラは自分とカガリが双子であることを知る。カガリともごく親しい関係になっていたキラだったが、「妙に気が合うと思ったらそういうことか」と納得。カガリは「キラは能力は高いが危なっかしいところがあるし、私の方が姉に違いない」と勝手に判断し、彼を弟として扱うようになるが、キラも特に文句は言わずにこれを受け入れている。

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦

その後キラは、和解したアスランや地球連合に与することを良しとしないアークエンジェルやオーブの一部勢力と行動を共にし、「ナチュラルとコーディネイターの戦いを止めるための戦い」を開始。ラクスとも合流し、大量破壊兵器を突きつけ合って絶滅戦争への道をひた走る地球連合とプラントの決戦の場である第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に介入する。
この戦いで、キラはラウ・ル・クルーゼというザフトのエースパイロットと対峙。クローンとして生まれ、生まれながらに余命少ないクルーゼは、「自分という歪んだ命が生まれたのも、“より良い世界を”と人々が望むまま走り続けた結果だ」とC.E.の世界を憎み抜いており、自身の憎悪のまま世界の全てを滅ぼそうとしていた。地球連合とプラントの絶滅戦争も、クルーゼが行ってきた様々な工作が、人々の悪意によって最悪の形で芽吹いた結果のものだった。

「自分が仕込んだのは確かだが、互いに絶滅するまで殺し合うのは世界の人々が自ら選んだ道だ」と嘲笑するクルーゼにキラは苦戦する。そんな中、紆余曲折を経てたまたまこの戦場にいたフレイを目の前で殺され、キラは「フレイを守れなかった」、「クルーゼの言う通り、この世界の人々は滅びなければ変われないのかもしれない」との絶望に打ちひしがれるが、その上でなお自分の中にアスランやラクスといった“守りたいもの”があることに気付く。
絶望を超えて戦い続けるキラの前にクルーゼは倒れ、両組織の大量破壊兵器もアスランによって破壊され、ラクスが根回ししていたプラントの反戦派が議会を掌握したことで、地球連合とプラントの戦争は終結する。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』での活躍

新たな暗雲