1日外出録ハンチョウ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『1日外出録ハンチョウ 』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』の主人公とチンチロ博奕で合間見えるハンチョウこと大槻太郎(おおつきたろう)を主人公としたスピンオフ作品である。消費者金融を主とする帝愛グループは多くの劣悪債務者を地下強制労働施設に収容する。そこで勤労意欲を促す最高価勤労奨励オプションが“1日外出券”である。この作品は“1日外出券”を頻繁に購入する大槻が限られた1日をいかに謳歌するかが描かれているギャグ漫画である。

大槻太郎「日常的な…毎日の中の「当たり前」の幸せを失うこと…それによるダメージ…喪失感は…食うぞ…!お前を…!」

第7巻50話に登場。
ある日突然地下で供される食事の質が明らかによくなる。いつもより多い一品。味噌汁からはカツオ出汁の香り。魚も焼き加減が絶妙。ごま和えのごまは直前に炒っている。給食担当が料理好きの柳内に変わっていた。
地下労働者は歓喜に湧く。しかし数か月後大槻は大きな危機感に襲われる。帝愛の人事異動で柳内が対象かもという情報を宮本から得たからだ。その危機的影響を告げた言葉が「日常的な…毎日の中の「当たり前」の幸せを失うこと…それによるダメージ…喪失感は…食うぞ…!お前を…!」である。

ナレーション「実は大槻…犬に対しては軽くS…!」

第8巻60話に登場。
とある1日外出で起きると大槻の目の前に犬が。迷い犬と遭遇する。すると大槻はブリーダー並みの知識でその犬をあやしはじめる。そのあやし方が半ば強引な大槻。ここでのナレーションの言葉が「実は大槻…犬に対しては軽くS…!」である。
犬に対しては…と限定的なのが気になる。

大槻太郎「土壌鍋ってないんだよ…!我々の日常の動線に…!」

第9巻71話に登場。
物販準備のため沼川に声をかける大槻。すると沼川は検閲され真っ黒の『danchu』のどじょう特集を読んでいた。すると沼川は大槻に食べたことがあるか尋ねる。大槻は食べたことがない。その時、なぜどじょうを食べたことがないのか、考えた大槻が答えた言葉が「土壌鍋ってないんだよ…!我々の日常の動線に…!」である。
メロンパンを食べるタイミングを考える件同様、大槻の特徴的な感性や視点がうかがえるひと言である。

大槻太郎「ワシは水(ホイミ)をかまさず…かき氷(ベホマ)がいい…!」

第10巻75話に登場。
この日大槻達はは炎天下の中涼しい場所を求め彷徨う。その中ようやく見つけた喫茶店。早速お冷やを頼もうとする仲間を遮り、大槻がつぶやいた言葉が「ワシは水(ホイミ)をかまさず…かき氷(ベホマ)がいい…!」である。結局それは全員全回復(ベホマズン)と相なる。
ちなみに木村はFF派。

大槻太郎「糖質オフダイエットをこれ見よがしにやっている人は…数多くいますが…なんのことはない…彼らの真意はただ…運動という最優先の努力を避けているだけで…!」

糖質制限ダイエットの本質を宮本に突きつける大槻。

第11巻82話に登場。
流行りの糖質制限ダイエットで食べたい物を食べず我慢する宮本に大槻が諭すように言う言葉が「糖質オフダイエットをこれ見よがしにやっている人は…数多くいますが…なんのことはない…彼らの真意はただ…運動という最優先の努力を避けているだけで…!」である。
結局自身で何も努力していない、このような大槻の指摘に宮本は何も言えなくなってしまう。続けて、いきなり糖質摂取を断つのを極端、異常、不健康極まりないと畳み掛けられる宮本。宮本ダムは、無事、崩壊する、

大槻太郎「もし今ほったらかしにて…地下でそんなことになったら…あの…歯科医師免許すら持たぬ…担当医という名のただの債務者…田沼さんによる…麻酔なしの抜歯をすることになるんだぞ…!?」

第12巻91話に登場。
ジンギスカンを食べに1日外出した一行。しかし、石和は親知らずが痛み、本調子ではない。せっかくの1日外出、歯医者に行くことを拒む石和に大槻は、せっかくの外出だからこそ診てもらったが良い、と言う。更に続けて言った大槻の言葉が「もし今ほったらかしにて…地下でそんなことになったら…あの…歯科医師免許すら持たぬ…担当医という名のただの債務者…田沼さんによる…麻酔なしの抜歯をすることになるんだぞ…!?」である。
地下の過酷さを思い起こさせる。

小料理みゆきの女将「結婚って…焦ってするものじゃなくて…出会って…いっしょにいたいと思える人ができるのが先…その後初めて出てくる選択肢の一つが…結婚じゃないですかねえ…?」

第13巻103話に登場。
新年会かね、大槻と宮本と居酒屋チェーンで飲んでいる。やがて木村も誘おうとなり電話をかけてみると「人とお茶してて…」と一旦断るがやってくる。婚活アプリで知り合った女性と会っていたという、普段よりお洒落な木村は、この時「好き」と言う気持ちがよく分からず悩んでいた。
男3人で話しても埒開かず、女性の意見を求め小料理みゆきに向かう。
そこで女将から出た答えが「結婚って…焦ってするものじゃなくて…出会って…いっしょにいたいと思える人ができるのが先…その後初めて出てくる選択肢の一つが…結婚じゃないですかねえ…?」である。その後大槻から「結婚に…“婚活”という近道なし」と言われた木村は婚活アプリを消す選択をする。

佐藤「でも…想像してみて欲しいんです…!「オールベンを所有している人生」と…「オールベンを所有していない人生」を…!」

第14巻110話に登場。
チンチロにも頼らず、200万ペリカを貯めた佐藤は有名ブランド靴、オールベンを購入するための1日外出を果たす。これ以前に大槻達は佐藤には腐心していた。外へのペリカ流出を避けるためだ。あらゆる策、誘惑を佐藤に講じるが効かなかった。そんな佐藤が200万ペリカ達成する前に腐心する大槻達に語っていた言葉が「でも…想像してみて欲しいんです…!「オールベンを所有している人生」と…「オールベンを所有していない人生」を…!」である。佐藤のその強い意志に躊躇いはなかった。

大槻太郎「ただ…こんなこと言っても…信じてもらえないかもしれませんが…才能持ち合わせず…夢半ばで諦めた側の人間からすると…その孤独や苦しみさえ…味わってみたかったな…と思いますがね…」

第15巻115話に登場。
D班班長小野寺と大槻の漫画道の続き。
全回の千葉賞落選から10ヶ月。アイデアが浮かばない小野寺は絶賛スランプ中であった。大槻は気分転換兼ねて1日外出に小野寺を誘う。しかし小野寺の気持ちは晴れることはなかった。むしろ(大槻は)産みの苦しみがどれほどのものか分からないんだ、と大槻に愚痴る。それに対し、大槻が語った言葉が「ただ…こんなこと言っても…信じてもらえないかもしれませんが…才能持ち合わせず…夢半ばで諦めた側の人間からすると…その孤独や苦しみさえ…味わってみたかったな…と思いますがね…」である。小野寺のような才能を持ち合わせていない人間の気持ちも汲むべきと大槻は小野寺に諭すのだ。

大槻太郎「ワシが思うに…こういう作り置き…一度に数種類料理する時は…半ば無計画で動き出したほうが…上手くいく…!」

第16巻121話に登場。
あまり自炊をしない一人暮らし宮本は手料理に飢えていた。そこで1日外出券代を半分負担するので作り置きおかずを作って欲しいと大槻に頼む。役得と大槻は快く承諾。スーパーで購入する食材も宮本宅でどう料理するかも全てノープランからのスタート。その理由を回想した言葉が「ワシが思うに…こういう作り置き…一度に数種類料理する時は…半ば無計画で動き出したほうが…上手くいく…!」である。とっとと依頼を片付けて自由時間を捻出したいのが大槻の最大の理由。

ナレーション「そう…大槻は今受け取ってしまった…!現代社会のストレス…怒りや憎しみ…鬱屈や厭悪が凝縮された…負のバトンを…!」

第17巻134話に登場。
この日の大槻はツイていなかった。乗った電車が満員電車。偶然隣にいた親父の肘が当たる。それを大槻はやんわりと指摘。降りる際、その親父は大槻に当てていた肘を払う仕草。これに大槻は相手と自分に対し悔しさが湧きおこる。この時の大槻が抱えた悔しさ負のバトンとして表現し、ナレーションが語った言葉が「そう…大槻は今受け取ってしまった…!現代社会のストレス…怒りや憎しみ…鬱屈や厭悪が凝縮された…負のバトンを…!」である。

『1日外出録ハンチョウ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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