クレイジーで危ない衝撃映画まとめ！『トレインスポッティング』など

”危険で破滅的な愛による二人のウルトラ暴力な暴走を誰が止められるのか？”

オリヴァー・ストーン監督、ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス主演による1994年の作品。永遠の愛を誓ったミッキーとマロリーのカップル。しかし、彼らが普通と違っていたのは、マロリーは両親から虐待を受けていた暗い過去を持ち、ミッキーは脱獄者だったのです。マロリーの両親に復讐を果たした後、道中で殺人を繰り返す残虐非道な彼らだったが、マスコミには英雄として報道され、若者たちを中心に熱狂的な支持を集める。そんな彼らを、それぞれの思惑と野心を持った暴力刑事とTV番組のキャスターが追っていた。刑事の策略により収監されてしまうミッキーだったが、ふたりの危険な愛はそんな事では揺るがないのであった...。

1990年代のボニー＆クライド、ミッキーとマロリーを演じたのは、ウディ・ハレルソンとジュリエット・ルイス。犯罪実録ものではなく、あくまでも創作されたこの強烈なカップルは、イカレ具合が半端ではない。あまりのヒドさに欧米各国では年齢制限公開や上映禁止となったのだった。

監督を手がけたのは、社会的なメッセージを盛り込んだ作品を多く手掛けたオリヴァー・ストーン。元々はクエンティン・タランティーノがビデオ屋でバイトしながら書き上げたストーリーだが、彼とストーンの間で意見が衝突。結局タランティーノのシナリオは原案扱いとなって、新たに脚本が製作された。オリジナルはもっと過激だったのだろうか？

この混沌と暴力と狂乱の作品の劇中音楽は、L7、LARD（ミニストリー+ジェロ・ビアフラ）などのオルタナティヴ系や、ボブ・ディラン、デュアン・エディといった非常に幅広い内容である。監修はナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナー。自身の書下ろし曲はもちろん、他人の曲もノイズでイジリ倒していてイカス！エンディングで流れるレナード・コーエン「ザ・フューチャー」も印象的！

”痛烈カップルの熱い暴走が止まらない！追う側も思い切りクレイジー！”

デヴィッド・リンチ監督・脚本、ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン主演による1990年の作品。情熱的な愛に身を焦がすセイラーとルーラのカップルだったが、ルーラの母親の狂信的な反対により、殺し屋を送られる。母親の一味から逃げるために、カリフォルニアを目指して旅に出た二人。しかし、母親はふたりを引き裂くために異常なまでの執着を見せ、あらゆる手を尽くして二人の行方を追う。逃避行ながら二人には悲壮感は無く、アルコールやダンスやセックスに興じるハイテンションでワイルドで、でも純粋でストレートな愛の形。衝撃的なラストを見逃すな！

野性的なまでに情熱的で危険な純愛ストーリーの主役セイラーを演じたのは、まだ駆け出しだったニコラス・ケイジ。大柄なボディを武器に、スピーディにハイテンションに暴れまくる！この個性的な蛇柄ジャケットは、ニコラスの自前だという。そして、劇中に流れるエルヴィス・プレスリーのカヴァー曲も、彼自身が歌っているのだ。さすがはニコラス！

セイラーとルーラが、逃亡中に知り合った男ボビーを演じたのはウィレム・デフォー。不気味で危険な香りのする、どう考えても組みたくはない強烈なキャラを見事に怪演。このハイテンションさと気味の悪さも凄いが、彼の最期の姿も恐るべしなので必見！

ふたりを引き裂くために異常なまでの執念を燃やすルーラの母親マリエッタを演じたのはローラ・ダーンの実の母親、ダイアン・ラッド。彼女の思考も行動も、全てが異常にクレイジー。セイラーを殺すため殺し屋を差し向ける。彼女に雇われた暗黒街の面々も不気味でもの凄い存在感を放つ！

圧倒的なアート表現と、常に醜悪なものを折り混ぜた悪意のある作風と難解なストーリーで、観客を圧倒し挑発する狂気の映画作家、デヴィッド・リンチ。今作は、彼にしては珍しい、男女の愛と逃避行を描いたロードムーヴィーであり、起承転結もしっかりしている。しかし、そこかしこに漂う残酷でグロテスクな部分は、やはりリンチ節。今作で第43回カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞している。