リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』とは、『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載されていたオノ・ナツメによる、老紳士たちが織り成すハートフル漫画である。幼くして両親が離婚し祖父母に預けられたニコレッタは、母親の再婚相手を一目見るためローマにあるリストランテにやってきた。そこで働き始めたニコレッタは、従業員全員が老眼鏡着用必須のリストランテであることを知ったのである。数々の人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、老眼鏡紳士たちによるおもてなし漫画だ。

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』の用語

リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」

イタリア・ローマにあるレストラン。オルガの再婚相手ロレンツォがオーナーをつとめ、従業員は妻オルガの癒しになればと老眼鏡紳士ばかりである。常連のリッツォ夫人の触れ込みもあって、老眼鏡紳士を目当てに来る女性客も多い。予約の取れないレストランとして巷では有名である。料理もワインも美味しく目の保養にもなる、とオルガからも好評だ。厨房には、見習いのニコレッタを始め、最年少のテオや愛妻家のフリオがいる。カメリエーレには、気弱な性格のクラウディオを始め、プレイボーイのヴィートや憎まれ口を叩いているルチアーノがおり、ソムリエとしてジジがいる。

カメリエーレ

イタリア語で、レストランなどでの男性の給仕係のこと。女性の場合はカメリエーラで『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』では、ホール担当として登場する。クラウディオやヴィート、ルチアーノがこれにあたる。

ドルチェ

「ドルチェ(dolce)」はイタリア語で「甘い」や「甘美な」を意味する言葉だが、デザートとの意味もある。『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』では、テオが作るデザートを意味しており、フランチの大好物である。テオが厨房から出てくるのを心待ちにするくらい美味しい、と女性客にも好評だ。

エノテカ

「エノテカ(enoteca)」はイタリア語で直訳すると「ワインを収蔵するもの(場所)」となる。ワインの展示や販売、試飲を実施している場所も多く、ワインをメインにした飲食店の場合もあるようだ。『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』では、前者にあたりヴィートやジジなどは常連である。主人と妻ジャンナ二人で経営している。

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ニコレッタ「飲むペースが分かってるんだよね」

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』では、ソムリエのジジがつまみ食いをしたり、ワインを注いでいるシーンがいくつもある。そんななかで、義理の弟であるロレンツォが食事をしていると、グラスが空になったころにワインを注ぎに来るのだ。それを見たニコレッタは「飲むペースが分かってるんだよね」と呟いたのである。また、オルガやニコレッタ、お客に対しても絶妙なタイミングでワインを注ぎ、その日飲みたいと思っているワインを的確に開けてくれるなどのシーンも見られる。なにも言わずに、タイミングをみてこのような行動ができるのはジジの魅力であり、『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』では名シーンと言えるのだ。

アンジェラ「私の名前はアンジェラ(天使)よ」

かつて新人カメリエーレとしてホテルで働いていたクラウディオは、自身がカメリエーレを続けるきっかけとなった女性に出会った。「アンジェラ」というその女性はホテルの令嬢でメインシェフのフリオと婚約しており、クラウディオと出会ったきっかけは彼の立ち食いを注意したことである。そのとき、アンジェラにフルネームを聞かれたクラウディオは「サント・クラウディオ・パラディーゾ」と答えている。「サント(聖)・クラウディオ・パラディーゾ(天国)」という女性のような名前で小さい頃はからかわれたそうだが、アンジェラは「いい名前ね」と返している。そして、自分の名前を「私の名前はアンジェラ(天使)よ」と言ったシーンは、クラウディオの名前とどこか通じ合っていることを強調しているのだ。アンジェラの品のよさ、誰かを包み込む天使のような性格を表したシーンであり名セリフだ。

ヴァンナ「buonino(ブオニーノ)」

リストランテのシェフであるヴァンナとテオは、性格の不一致からか料理のことで揉めることもしばしばあった。ある日、ヴァンナの自宅でテオが料理を振舞った際、テオは自身の父親について話したことがあったのだ。料理人の真似事をして一品料理を父親に振舞ったテオだったが、父親はなにも言わずに席を立った。テオは料理に自信があったためショックだったが、皿に残ったソースで「前よりはマシ」と書いていたことがあったのだ。その後、ヴァンナが違う店に引き抜れヴァンナと喧嘩別れしたテオ。いつものように厨房に入っていると、顔が見たいとお客に指名されたテオだったが、厨房から出ない主義を貫いて断る。しかし、さげられてきた皿には残ったソースで「buonino(ブオニーノ)」と書かれていたのである。「buono(美味しい)」よりも一歩手前のニュアンスのため、テオは誰が書いたかすぐに気づき、それがヴァンナだった。素直に「美味しい」と書かないところがヴァンナらしく、父親がやったように皿に書いたというのは二人が仲直りするきっかけにもなったため、名シーンと言えるのだ。

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『リストランテ・パラディーゾ』の帯に羽海野チカがコメント

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