リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』とは、『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載されていたオノ・ナツメによる、老紳士たちが織り成すハートフル漫画である。幼くして両親が離婚し祖父母に預けられたニコレッタは、母親の再婚相手を一目見るためローマにあるリストランテにやってきた。そこで働き始めたニコレッタは、従業員全員が老眼鏡着用必須のリストランテであることを知ったのである。数々の人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、老眼鏡紳士たちによるおもてなし漫画だ。

ヴィートは「カゼッタ・デッロルソ」の向かいにある「エノテカ」の主人を訪ねていた。
普段は、妻ジャンナもいるのだが、主人曰く「頭痛がするから休ませている」というのだ。ヴィートは、その後も何度か「エノテカ」を訪れた。だが、ジャンナはおらず、本当は喧嘩しているようだ。

別の日、ソムリエのジジが「エノテカ」を訪れ、「薔薇の花束」と主人に告げた。主人が、結婚記念日を忘れていたことが喧嘩の原因で、薔薇の花束はジャンナの希望だった。
仲直りできたお礼として、ジジは美味しいワインをもらい、店のまかないで提供した。

黒髪で眼鏡をかけた品のあるご婦人がリストランテに来ていたが、ルチアーノは彼女が誰なのか思い出せない。あとで、ヴィートとマリーナが自宅で調べてみると、有名な舞台女優であることが分かった。
「クラウディオと結婚したいくらいだわ」と言うほど、ご婦人はクラウディオのファンなのだ。

すると、突然ヴィートは跪いて、マリーナに「結婚しましょう」と告げたのである。

恋多きリッツォ氏

ロレンツォ、オルガ、ニコレッタの三人は、リッツォ夫妻の自宅を訪ねていた。リッツォ夫妻は「カゼッタ・デッロルソ」の常連客である。
リッツォ夫人は、店でニコレッタに会っているが、ニコレッタがオルガの娘だと知ってからは初めてのことである。リッツォ氏も在宅だが、メイドとイチャイチャしていた。

妻がいる身でありながら、女性にモテるリッツォ氏は「オルガには、世話になってきた」と言うのだ。ロレンツォが同伴し、依頼人として通っていたが、仕事のできるいい女と思うようになった。しかし、ロレンツォに「彼女はそっとしておいてくれないかな」と言われ、ロレンツォがオルガに惚れていることを知った。

ルチアーノの孫フランチと、元気がない母マルゲリータが、祖父のところにやってきた。
マルゲリータは、サヴィーナが最近レッスンを見に来てくれないため、演奏会について考えていた。サヴィーナの夫と、マルゲリータの友人の女性が、不倫しているのが原因だった。
サヴィーナは、夫が浮気しているのは知っていた。だが、相手を知ったのは最近で、4年も続いていたようだ。ルチアーノは、マルゲリータから「サヴィーナのヴァイオリン聴いたことある?」と聞かれ、CDを渡された。

ある日、夫人と一緒に演奏会を観ていたリッツォ氏。
退屈で寝てしまい、夫人に「寝るなら帰りなさい」と言われる。一服するため、外に出たリッツォ氏は、一人の女性(サヴィーナ)が涙を流しているのを見かける。
サヴィーナは「泣かせた男に足りなかったものが、自分にあるなんて思わないで」と告げ、その場を去っていく。

後日、リッツォ氏は「先日のお詫び」と言って、花束と演奏会へ誘う。演奏会のあと、バールに寄った二人は、お互いの妻や旦那のことについて話した。
女性は、明後日「カゼッタ・デッロルソ」で旦那と食事をすることになっているそうだ。リッツォ氏は、女性の旦那がどんな人物かを見るために、店に足を運んでいた。

しばらくして、サヴィーナは一人で店にやってきた。
それを見ていたリッツォ氏は、サヴィーナのいるテーブルに近づき「女性に扉を開けさせる男なんてガッカリだ」と告げる。直後、旦那から電話を受けたサヴィーナは、財産分割や離婚手続きのことを話している内に涙を流す。
それを見ていたヴィートが、優しくサヴィーナの手を引いて、ルチアーノのもとへ連れていく。サヴィーナはたまらずルチアーノに抱きつき、その様子をリッツォ氏も見ていた。

後日マルゲリータは、サヴィーナがルチアーノにふられたことや、離婚が成立したことを聞いた。
ニコレッタからの「ルチアーノはもう恋をしないのか」という質問に、マルゲリータは「マンマ(マルゲリータの母のこと)がルチアーノの心を持っていってしまった」と答えた。

ルチアーノはサヴィーナのCDも聞こうとせず、中身が入っていなかったにもかかわらず「良かったよ」と言って、マルゲリータにCDを返したのだった。

ロレンツォとジジ、そしてニコレッタ

ロレンツォはある日、新聞を読んでいて目の違和感に気づいた。
それをオルガに告げようとしたが、伝えられなかった。なぜなら、ロレンツォに老眼が来たと知れば、大騒ぎするからだ。

後日ロレンツォは、オルガに「葡萄の収穫が終わったら、話すことがある」と告げた。後日、一人自転車を走らせ、葡萄畑が一望できる丘にやってきたロレンツォ。そのあとにやってきたジジが、一つの老眼鏡をロレンツォに差し出した。
それ以来、ロレンツォは老眼鏡をかけるようになった。

11月8日は、ニコレッタの誕生日のため、当日は店を休みにして誕生日会を開催予定だ。だが、誕生日が8日と聞いて、ロレンツォは少し驚いた様子だった。
誕生会当日は、大いに盛り上がった。

翌日、ワインセラーにやってきたロレンツォ、ニコレッタ、ヴィート、テオはその有様に驚きを隠せないでいた。実は、ジジが朝早くワインセラーにやってきたとき、猫が入り込みワインを割って、床に散乱してしていた。
すると、ロレンツォは「別のタイミングにしてほしかった」と呟いた。今日は、一度も欠かしたことのない父親の墓参りの日だったからだ。本来は前日8日だが、ニコレッタの誕生日会があるから、延期していたのだ。

当のジジは、トリノで墓参りをしていた。
すると「寂しそうな横顔」と言って、一人の少女が声をかけてきた。その少女はマッダレーナといい、ジジを木の上にある「私の小さな家(ラ・ミラ・カゼッタ)」に誘った。

少女はお茶やお菓子、オリーヴのパンまで用意していた。「この家からは墓がよく見え、一日中突っ立っているジジの姿も見ていた」という。別れ際「(お店に)絶対行くからね」とマッダレーナは言い、ジジを見送った。
そして翌日、マッダレーナから店に電話がかかってきた。ジジが指名されたため、受話器を受け取ると「土曜日に行くわ」というあまりにも早すぎる予約だった。

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』の登場人物・キャラクター

カゼッタ・デッロルソ従業員

ニコレッタ

CV:折笠富美子
『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』の主人公で、年齢は21歳。幼くして両親が離婚し、母オルガの再婚のため成人するまで祖父母に預けられた。母が自分の再婚のために娘を置き去りにしたことを恨んでおり、再婚相手ロレンツォがオーナーを務めるリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」にやってきた。娘がいることを秘密にしているオルガのことをロレンツォにバラそうとしていたが、『リストランテ・パラディーゾ』の最後にオルガは娘がいることを周りに宣言してしまった。料理学校に通っていたことがあり、オルガとロレンツォに頼み込み、「カゼッタ・デッロルソ」の厨房で見習いとして働いている。「カゼッタ・デッロルソ」カメリエーレ長(ホール担当)のクラウディオが気になっている様子だ。

ロレンツォ

左の男性がロレンツォ

CV:乃村健次
「カゼッタ・デッロルソ」のオーナーで、ニコレッタの母オルガの再婚相手。ワイナリーを経営しており、老眼鏡紳士を見るのが大好きなオルガのためにスタッフの雇用条件に「紳士」「眼鏡」を追加している。子持ち女性との結婚は望んでいなかったが、オルガとニコレッタのことを大切にしている。オルガのタイプではなかったが心優しくて寛容な性格だ。ソムリエのジャン・ルイージ・オルシーニ(ジジ)とは従兄弟であり、ジジは義兄にあたる。

サント・クラウディオ・パラディーゾ

CV:山野井仁
「カゼッタ・デッロルソ」のカメリエーレ(ホール担当)長。周りからはクラウディオと呼ばれており、優しくて真面目な性格だ。気遣いが上手な部分もあるが、気弱なところもある。店に来た女性たちをメロメロにすることが多く見られる。ニコレッタ曰く「こっちから迫って困らせてみたいタイプ」だそうだ。数年前に妻ガブリエッラと離婚しているが、結婚を迫られないために左手薬指に指輪をはめたままにしている。郊外のリストランテに勤めていたことがあり、当時のオーナーが気性が荒かったため悩んでいた。しかし、当時カメリエーレだったルチアーノの紹介でロレンツォの店で働くことになった。

ルチアーノ・デ・ルーカ

CV:立川三貴
「カゼッタ・デッロルソ」のカメリエーレ。小言が多く、いつも憎まれ口を叩いている。笑顔を見せることも少ないが、意外と照れ屋な性格だ。妻が病死し現在は独身だが、孫のフランチェスコの面倒を見るのを楽しみにしている。かつては、オルガが贔屓にしていたバールのバリスタで、ロレンツォに引き抜かれクラウディオらと働くことになった。

ヴィート

CV:黒田崇矢
「カゼッタ・デッロルソ」のカメリエーレ。従業員のなかでは一番のムードメーカーで、若い女性が大好きなプレイボーイだ。妻マリーナとは、通っていたジムで出会い「運動バカ夫婦」と言われるほど休日は二人で体を動かしていることが多いようだ。「カゼッタ・デッロルソ」で働く前は、ホテルのフロントマンをしていたことがあり、休職中に求人の貼り紙を見て働くことになった。

ジャン・ルイージ・オルシーニ

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