ホットロード(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホットロード』とは『別冊マーガレット』で1986年から連載された、漫画作家紡木たくによる少女漫画である。父親の写真のない家で育ち、ママに愛されていない、必要とされていないと孤独を抱えている少女宮市和希と、不良グループ同士の抗争やバイクで走ることに命を懸ける春山洋志が出会い、"愛情とは何か"、"命とは何か"を気づかされ失いかけた命が再生されていく物語である。漫画連載終了から約24年後の2014年『ホットロード』は映画化され、大ヒットを記録した。

『ホットロード』の概要

『ホットロード』とは『別冊マーガレット』で1986年から連載された、漫画家紡木たくによる少女漫画である。『別冊マーガレット』(集英社)で1986年1月から1987年5月まで連載された。80年代半ば、読者から絶大な人気を博しコミックス全4巻で700万部の発行部数を記録した。コミックス全4巻(絶版)、文庫版全2巻、完全版全3巻が刊行。紡木の代表作と評される。

連載から25年以上経った2014年、漫画『ホットロード』を原作として初めて映画化された。
監督は三木孝浩。脚本は吉田智子が手がけ、原作者の紡木も脚本を監修している。主演は能年玲奈と、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカルを務める登坂広臣。これまで紡木の元に作品の映画化やドラマ化の話が来ていたが、イメージと合わないという理由で叶わなかった。しかし、紡木が能年の存在を知り「彼女ならば和希(主人公)を託すことができる。」と映画化のオファーを承諾。初めて実写化が実現した。

映画『ホットロード』は2014年8月16日に封切りとなる。全国302の劇場で公開された。
公開初週週末2日間の興行成績は興収3億8924万2000円。観客動員数は28万4367人。公開から26日間で興行収入は20億円を突破。公開前から原作ファン、キャストファン、映画ファンの間で話題になり幅広い年齢層から支持を集め、都市部だけでなく地方でも多くの動員が見られ、2014年に公開された恋愛映画の中で最大のヒットを記録した。
能年は第6回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第27回日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞。登坂は第39回報知映画賞新人賞、第69回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞、第24回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。第38回日本アカデミー賞では新人俳優賞を能年と登坂が同時受賞し主演を務めたふたりが並んで登壇した。

漫画、映画ともに、連載されていた80年代半ばが舞台である。
父親の写真が1枚もない家にママとふたりで暮らす14歳の少女、宮市和希。自分は望まれて生まれて来た子ではない、母親に愛されていない、と傷つき孤独を感じていた。同じ中学に通う同級生、絵里に誘われ不良グループに会いに行く。ある日、不良グループの一人春山洋志と出会う。自分の命を懸けながら、仲間たちとバイクで走ることに夢中になる春山。そんな春山も心に孤独を抱えていた。
和希は次第に、夜になると横浜の街に集まりバイクで自由に走り回る若者たちに居心地の良さを感じていく。春山はあまりにも純粋な和希が危険な目に合わないように行動を共にしていた。和希も春山の存在が気になりだし互いに惹かれあっていた。走ることにのめりこんでいく春山は、不良グループ同士の抗争に巻き込まれ命を落としかける。多感な若者たちの葛藤、命、愛、家族、孤独、それぞれに問題を抱えながら、”本当に愛すること”を知っていく少年と少女の純愛が描かれている。

『ホットロード』のあらすじ・ストーリー

ママの誕生日

その日、宮市和希は友だちと一緒に万引きをして補導された。
母親の代わりに担任が迎えに来た。担任は「宮市さん、どうして万引きなんか。でもね、お母様が迎えに来られなくても仕方ないと思うの」と声をかけた。和希は「男と会ってるんです。今日、ママの誕生日だから。」そう言って笑った。

和希の家には、父親の写真が一枚もない。自分の父親はママがいやいや結婚した男で、ママには高校時代から好きあってる恋人がいる。その人には妻がいて現在離婚調停中。住んでいるマンションも、ママの好きなその人のお金からでているのだろうと思っていた。

家に帰りリビングに向かう。もらったプレゼントを床に広げ気分よく音楽を聴いてるママがいた。
「おかえり。遅かったね。」気分が良さそうな声に苛立ちながら、あたしはママにこれをプレゼントしてあげるよと「ママ、今日あたし万引きで捕まったよ。連絡なかった?」と告げる。ママは「え?今日、仕事で他に行ってたから…」知らなかったと誤魔化すような反応を見て、苛立ちを必死に隠しながらママを見つめ、ママは自分よりも恋人が好きなんだと感じ和希は部屋に戻った。

絵里からの誘い

体育の授業中、話をする和希(左)と絵里(右)

体育の授業中、絵里が声をかけてきた。絵里は横浜の中学から転校してきた子で、友だちはいないみたいだった。
「ねえ和希。会わせたいって言った先輩に一緒に会いに行かない?宏子さんっていうんだけど、その彼氏のトオルさんにも会えるかもしれないの。ねえ、いかない?」はしゃぐ絵里に「うん、いいよ」と和希は優しく返事をした。

隣に座っていた同級生が和希に話しかける。
「ねえ、知ってる?絵里って、前の学校で子供おろしたことあるんだって。やっぱりねーって思っちゃった。横浜の先輩だってさ、どんな人かわかんないじゃん。ねえ和希ちゃん、どうしてあんな子と付き合うの?もう絵里なんかと付き合うのやめな。」和希は、絵里を悪く言う同級生にイラついて肩を押した。

夜、和希の家に絵里から電話がかかってきた。
「宏子さんに会えることになった!今から!ほんとは宏子さんてすごい人だからめったに会えないんだけど、うちのお姉ちゃんの友だちだからさ」夜の横浜の街で宏子と待ち合わせていた絵里。街を眺めなかなか動かない和希を絵里は宏子の元へ引っ張って行き、和希を紹介した。「宏子さん、和希です。」和希を見る宏子。「よろしくね?」和希は、宏子の大人びた雰囲気に緊張した表情ですこし頭を下げた。

タクシーに乗り込み外の景色を眺める和希。知らない人、知らない街、すべてに驚いていた。
宏子は恋人、玉見トオルの姿を探したが見つからず、宏子たちを乗せたタクシーは、春山洋志のいる湘南へ向かった。

春山と和希の出会い

和希(右)に話しかける春山(左)

春山洋志が働くガソリンスタンドに着き、宏子と春山が話している間、和希はスタンドの端に座って海を眺めていた。

和希に気づいた春山は、和希に近づいていく。「何見てんの?」声が聞こえ、驚いたように和希は顔を上げた。
春山はしゃがみ目線を合わせて「いくつ?名前は?」と聞く。和希は顔を背け答えようとしない。「お前、しゃべれないの?」と言われた和希はようやく春山の顔を見た。春山は和希をずっと見つめている。

春山に「お前ん家、家庭環境悪いだろ。」と言われ、「お前には関係ねぇだろ。」と和希は春山をにらんだ。
春山は近くにあったバケツの水に手をつけ、和希の顔に少し水を飛ばしていたずらに笑った。その行動に、和希は苛立ち春山の首元を思い切り叩いた。首元を抑えたままの春山。顔をあげると、口が切れ血がにじんでいる。和希をにらみ、「二度と来んな。」と低い声で言い、大きな音をたてバケツを遠くに投げた。驚き両手で耳を抑える和希を、春山はずっとにらみつけていた。

和希が家に帰ると絵里から電話があった。
「さっきはどいうしたの?宏子さんが、春山が女の子にあんなに怒ったの初めて見たって。私言わなかったけど宏子さんの彼氏のトオルさんって、暴走族の頭なんだよ」絵里の言葉に驚く様子もなく和希はただ話を聞いていた。

この時、トオルが総頭をしている暴走族グループ”横浜NIGHTS”は、全国に支部があり、総勢500人と言われていた。湘南をバイクで走る仲間たちの中で春山は、交差点に最初に入っていく”切り込み”をしていた。

不良グループNIGHTSとの出会い

”切り込み”として交差点に入っていく春山

夜の湘南に集まるNIGHTSメンバーたちの中で、バイクの騒音に和希と絵里はすこし怯えていた。
突然、NIGHTSのメンバー、リチャードに話しかけられる。「えーっと、和希って?トオルさん呼んでる」車を覗くと後部座席に座る男性がいた。

「おいで」トオルに呼ばれ、車に乗り込む和希と絵里。
「これが春山を殴った手か」トオルに手を握られ緊張している和希。トオルは和希の小さな手を口元に近づけ、キスした。「え!」驚いた表情の絵里と言葉も出ない和希。ブンとエンジンをふかす音が響く。音のほうへ顔を向けると、春山が車内を睨み付けていた。「また春山ご機嫌斜め?」「春山、女に振られた。みほこに。」「あぁ、俺はみほこのためなら死ねるって言ってた、あの子?」運転席に座っていた仲間が話している。車の前にバイクを止めたまま動かない春山。

急に車のドアが開けられ、絵里を外にひっぱりだした春山が乗り込んできた。「おいトオル。中ぼう乗っけていいのかよ」一度、春山の顔を見るトオル。「それとも、宏子と(和希を)とっかえる?」春山の言葉にトオルは笑みを浮かべ、何も答えなかった。

海沿いに戻り、NIGHTSの仲間たちと楽しそうに話す絵里。すこし離れた場所で、和希は「ミホコのためなら死ねる」その言葉を思い出していた。
「和希!」絵里が呼ぶ。「先輩たちが、送ってってくれるって!」リチャードと金パと呼ばれるふたりが、絵里と和希を可愛がっている。ふたりとも、和希をみて笑いながら手を振った。「そういうことだろ、ハル?」リチャードが声をかけた相手は春山だった。「ぶたぁ!」春山は和希を呼びバイクの後ろに乗れと合図する。和希はすこし乱暴な春山にむっとした表情を浮かべた。

夜が明けはじめ、すこしあおみを帯びた道を春山はバイクの後部座席に和希を乗せて駆け抜けていった。

お前俺の女にならない?

和希(左)に「お前俺の女にならない?」と言う春山(右)

家に着き、和希は無言でヘルメットを春山に返した。
「送ってやったんだから礼ぐらい言えよ」と言う春山に、ありがとうと言おうと口を開けるものの、なかなか言葉が出てこなかった。
「むかついた?俺、女にふられたの。だからちょっとイラついてんだよ。ごめんね」笑って言う春山に、なめやがってとむかついた和希は「ミホコに?」と言い返す。「ぶっ殺されてえのか、てめえ」和希を睨み付ける春山。本気で怖い、と感じた和希は入口へ向かって歩き出す。

バイクに乗り風が当たっていた寒さに両耳をおさえていた。
春山は和希を追いかけて、肩に手をまわし顔を覗き込んだ。「お前、俺の女にならない?」春山の言葉に驚く和希だった。

私の、仲間

「いいじゃん!和希があの春山先輩の彼女ってすごくない??」「彼女じゃないって」放課後、絵里とふたりで話していた。
「大体、俺の女なんていうやつ嫌いだし。あんな、ワガママで自分勝手でお天気や」和希が膨れっ面で言う。「よーくわかってんじゃん」茶化す絵里に「ばーか。ちがうって言ってんだろ。」と返す和希。

「なんかいいな、それ。ばーかとかそういうの言えるの。」寂しげに絵里が話始めた。
「和希、私さ。赤ちゃんおろしたように見えるかな?なんか言ってんだってね、陰でそういうこと。私おろしてないよ。和希はさ、信じてよ。」今まで一人抱えていた想いを、絵里は和希にすがるように打ち明けた。

「あたりめぇだろ!誰が言ったんだよ!」語気が強くなる和希。
「ちがうよ。今まではひとりで平気だったんだけどさ。あんたみたいな子がいたから…気が緩んじゃうんだよね。」すすり泣く絵里を和希はそっと抱きしめた。

和希は絵里の抱えている孤独を知り、絵里は”私の仲間だ”と思った。孤独を抱えていたふたりは、互いに心を開くようになる。

私の孤独

朝食を食べるママ(左)と和希(右)

和希は、ママと一緒に朝食を食べていた。
目の前に座る和希を見て「変わったのね、急に。」とママが言う。「うん。」和希の髪色はまだらに茶髪になっている。

和希はすこし微笑んで「ママ。あたしが、パパじゃなくてあの人の子供だったらよかったね。」と言った。
ママは突然の言葉に驚き「へんな顔。今すごくへんな顔してるよ。」と言った。

ママは怒ったように話し続ける。「ねえ、なんでそれ着てるの?それママのガウンでしょ?なんでいっつも着てるの?初めは綺麗なピンクだったのに、だんだんサーモンピンクになっちゃって。どうしていつもいつもそれ着てるの!?」和希が手に持っていたフォークが落ちてかちゃんと大きな音が響いた。言い返せず、うつむく和希。「わかんない…」一言つぶやき、お皿ごとテーブルから落とした。

ママは恋人の鈴木に電話を掛けた。「鈴木君?和希が、わからない。」

なめてんのか、てめぇ

和希を助けに来た春山

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