リリ／冴島靖子（龍が如く）とは【徹底解説・考察まとめ】

リリ（冴島靖子）の概要

リリ／冴島靖子（さえじまやすこ）は『龍が如く4 伝説を継ぐもの』に登場した、主人公格の冴島大河（さえじまたいが）の義妹。靖子は幼い頃病気を患っており、兄の大河が治療のための金を工面していた。それが理由で靖子は兄のことを心の底から尊敬し、また愛していた。なお実の父親は近江連合に所属する極道で、少年時代の大河に3000万円を要求するほど傍若無人な男である。
『龍が如く4 伝説を継ぐもの』が始まる25年前、兄の大河が東城会と敵対する上野誠和会の幹部18人を襲撃して死刑判決を言い渡された。靖子は上野誠和会の葛城勲（かつらぎいさお）から「1億円を用意するか、ある人間を殺せば兄を助ける」と持ち掛けられ、兄を助けたい一心で殺し屋として働くことになる。しかし殺し屋として働くことに疲れた靖子は、消費者金融「スカイファイナンス」にリリの偽名で訪れて1億円の融資を依頼する。

リリ（冴島靖子）のプロフィール・人物像

CV：小沢真珠

靖子のモデルはCVを務める小沢真珠。ミステリアスな雰囲気の女性であり、スカイファイナンスの社長である秋山駿（あきやましゅん）のかつての恋人、絵里に容姿が酷似している。大河が12歳の時に両親を亡くして義理の妹である靖子の病を治療するための金を工面し始めたこと、『龍が如く4 伝説を継ぐもの』で大河の年齢が45歳だったことから、靖子の年齢は少なくとも33歳以上となるが、年齢よりも若々しい外見をしている。作中では基本的に白いコートを着ているが、秋山がオーナーを務めるキャバクラ「エリーゼ」で働いた際は艶やかなドレス姿を披露している。
病の治療のために手を尽くしてくれた大河のことを心から尊敬しており、兄を助けるためなら殺人すらも辞さない。だからといって殺人に対して肯定的ではなく、度重なる葛城からの殺しの要求に精神的に参ってしまっている。

リリ（冴島靖子）の能力

靖子は葛城の命令で、自らの美貌を利用した色仕掛けで相手を油断させて多くのヤクザを殺している。純粋な身体能力では本職のヤクザに劣る面も見受けられるが、殺し屋として活動する中で身についた胆力と精神力は本物であり、銃で撃たれて重傷を負った状態でも相手の額を正確に銃撃することに成功している。

リリ（冴島靖子）の来歴・活躍

病を患う靖子

幼少期に靖子は病を患う。実父は近江連合に所属する極道であり、実母や他の女性に暴行を加えるようなクズだった。その実父はまだ少年の大河に靖子の治療費として3000万円を要求。大河は幼い義妹のために喧嘩に明け暮れ金を奪う行為に明け暮れた。靖子は自分の病を治そうとする大河のことを心から尊敬するようになる。
ある時、大河は東城会系「笹井組」組長の笹井英樹（ささいひでき）に襲い掛かり、返り討ちに遭ってしまう。しかしそれが大河と靖子の転機となる。大河の事情を知った笹井は、靖子の入院費3000万円を負担する代わりに大河を笹井組に引き入れたのだ。それから靖子は快方へ向かい、大河は笹井に忠義を尽くすこととなった。

兄の収監

1985年4月21日、大河が20歳の時に笹井の出世のために東城会と敵対していた上野誠和会の幹部18名を拳銃で襲撃という事件を起こす。これにより大河は裁判で死刑判決が確定し、東京刑務所に送られた。
靖子は同年の4月30日に刑事の谷村と会う予定だった。2人は兄が起こした事件について話し合うつもりだったが、谷村は待ち合わせの場所に現れなかった。谷村から電話で「この事件は極道同士の抗争ではなくもっと””強大な力”が生み出したものだ。君も身の回りには気を付けた方がいい」と忠告されていた靖子は怖くなって神室町から逃げ出した。そしてその日の夜、谷村は死体で見つかった。

兄を助ける決意を固める靖子

神室町から離れた靖子は千葉の片田舎で暮らしていた。しかし兄が事件を起こして25年が経ち死刑執行が間近に迫った頃、東京で刑事をしているという人から「貴方のお兄さんが助かるかもしれない。ぜひ、会ってほしい人がいる」と連絡が入った。警察からの連絡ということで信用して神室町に向かった靖子。そこに待っていたのは上野誠和会の葛城だった。葛城から「あの事件の時に現場にいた自分が、大河が犯人ではないと言えば再審理に持ち込める。そうすれば大河は助かるかもしれない」と告げられるが、その条件として提示されたのが「1億円を用意するか、殺人の手伝いをするか」だった。どうしても兄を助けたい、しかし1億円という大金を用意することはできない靖子は葛城に命令されるがまま、殺し屋として働くことになる。
葛城は靖子に、東城会系「柴田組」の関係者ばかりを殺させた。靖子は柴田組の関係者とは知らなかったが、「貴方のお兄さんの無実のためにも、特定の人間を排除しなければならない」と聞かされていた。後に靖子は、「葛城は事件の真相を知っている人の口封じをさせたのだと思う」と振り返っている。

殺し屋としての活動

靖子は葛城の命令で色仕掛けを用いて柴田組に属する構成員を殺しまわった。その後も葛城からの殺しの要求は止まらず、「もう人を殺したくない」と限界を感じた靖子は「リリ」という偽名で消費者金融のスカイファイナンスを訪れる。そこで秋山と出会った。靖子は口ごもりながらも秋山に促されて「10日以内に現金で1億円融資してほしい」と告げた。保証人もおらず担保もない。秋山に「自分の言ってることの意味分かってんの？」と言われて我に返った靖子は「やっぱり無理ですよね」と帰ろうとした。しかし靖子の顔がかつての恋人に似ていたこともあり、秋山は「貸さないとは言ってない」と彼女を引き留め、靖子の信用を計るテストを課す。

テストの1つ目は秋山とのデートだった。そこで衣装やアクセサリーを買い、秋山がオーナーを務めるキャバクラ「エリーゼ」で2つ目のテストを実施。3日間でキャストとして働き、300万円を売り上げるというテストに挑んだ靖子は無事に合格。そして靖子はミレニアムタワーの屋上で秋山から金を受け取ることになったが、秋山は返さなくていいという。秋山はその代わりに「どうして人を殺して回っているのか教えてほしい」と言った。靖子は秋山に自分のことを話していなかったが、彼は靖子が持っていたライターから柴田組の構成員を殺して回っている事実にたどり着いたのだ。
最初は否定した靖子だったが、秋山に理路整然と説明されて言葉に窮した。それから「借りた金は返す」と答え、何も話さないと示した。

兄を探して沖縄へ

キャバクラ店で働いていた靖子は客から呼び出された。その客は谷村正義（たにむらまさよし）という名前の警察だった。彼は25年前の事件について、靖子に聞きたいことがあるという。靖子は「何も知らない」と返答するが、そこに柴田組の構成員がやってくる。谷村は彼らを撃退するが、その隙に靖子は連れ去られてしまった。靖子を追った谷村は柴田組の組長、柴田和夫（しばたかずお）と柴田組系の三次団体「金村興業」の若頭、新井弘明（あらいひろあき）の密談を目撃することに。その場には捕らえられた靖子もいた。柴田は靖子がどうして柴田組の構成員を殺し回っていたことを聞き出そうとするが、突如として新井が柴田を銃撃。柴田と新井は葛城の共犯者であったが、柴田が葛城に見返りを求めすぎたために切り捨てられたのだ。現場に飛び込んだ谷村は新井に逃げられたものの、靖子を保護することに成功した。

落ち着ける場所で、靖子と谷村は話し合うことに。谷村は25年前に殺された谷村刑事の息子で、父の死の真相を知りたがっていた。谷村は父が「あの事件の実行犯は靖子の兄だが、真犯人は別にいる」と語っていたという靖子の話を聞いて、少し疑問が解消された様子だった。その後、谷村は靖子の身の安全を確保したうえで、彼女を囮にして葛城から情報を得ようと考えたが、靖子は「それでは兄が助からない」として断った。靖子にとっては、25年前に別れた兄に再び会うことがすべてなのだ。しかし谷村の「父親の死の真相を知りたい」という熱い思いに負け、靖子は秋山から借りた1億円を谷村に渡して兄の無実を証言する交渉を彼に任せ、兄が収監されている沖縄に向かうことにした。

靖子と大河

沖縄で靖子は大河が収監されているはずの沖縄第弐刑務所の場所を警察に尋ねるが、相手にされなかった。偶然靖子の話を聞いていた元東城会のヤクザ、桐生一馬（きりゅうかずま）と浜崎豪（はまさきごう）に兄のことを話すと、「大河はすでに刑務所を脱獄して神室町へ向かった」と聞かされる。靖子は神室町へ戻ろうとするが、沖縄第弐刑務所の刑務官が邪魔してきた。浜崎のおかげで彼らを振り切ったものの、浜崎は瀕死の重傷を負ってしまった。

神室町へやってきた靖子と桐生。桐生は靖子が冷静な状態ではないと判断して1人で大河を探しに行くが、靖子は彼を待っていられずに大河を探し始め、秋山や谷村と合流する。3人で行動をしている最中に上野誠和会とみられる人々に追いかけられたため、靖子は彼らから拳銃を託されて独りで大河がいる賽の河原という場所へ向かった。しかし運悪く上野誠和会の襲撃に鉢合わせ、葛城に大河共々拉致されてしまった。監禁されている間に靖子は大河と話すことができた。
靖子と大河は葛城が桐生と交渉するための材料として利用された。交渉は新井が葛城を裏切ったせいで滅茶苦茶になり、葛城は撃たれて倒れ込む。だが防弾チョッキを着ていた葛城は死なず、苦し紛れに大河に銃を向けた。大河を庇って背中を撃たれた靖子は、最後の力を振り絞ってケジメをつけるべく葛城を射殺。最後は大河の腕の中で息を引き取った。

リリ（冴島靖子）の関連人物・キャラクター

冴島大河（さえじまたいが）