私の頭の中の消しゴム(韓国映画)のネタバレ解説まとめ

『私の頭の中の消しゴム』とは、イ・ジェハン監督・脚本の韓国の映画。日本では2005年に公開。
建築会社社長の娘キム・スジンと、スジンの父が経営する建築会社で現場監督として働くチェ・チョルス。2人は偶然に出会い恋愛を経てやがて結婚し幸せな生活を送っていた。そんな中スジンが若年性アルツハイマー病におかされていると判明する。症状が進みスジンはチョルスの事も忘れ始めるが、それでもなおチョルスはスジンを支えようとする。病という困難を抱えながらもお互いを愛し続ける男女のラブストーリーである。

付き合い始めたスジンとチョルスは、退勤後に一緒にバッティングセンターへ行ったり、休日に会ったりしてデートを楽しんだ。チョルスは、服装が作業着のままのことが多かったが、顔だけはデートの前にヒゲを剃り男性用の化粧水をつけて、スジンに会うために気合を入れていた。
ある日スジンはチョルスの家にいた時、横で寝ていたチョルスの顔から懐かしい良いにおいがすることに気がついた。「お父さんのにおいだったかな、叔父さんかな?」とスジンが思い出そうとしていると、チョルスは少し笑いながら「理髪店の化粧水だよ」と答えた。スジンも笑って起き上がろうとした時、小さな木の彫り物が落ちているのを見つけて「これは何?」とチョルスに聞いた。しかしチョルスはすぐにそれを取り上げ「なんでもない」と言ってゴミ箱に投げ入れてしまったので、スジンには何か分からなかった。
実はそれはスジンの顔を彫った小さな彫刻作品だった。部下たちと居酒屋で飲んでいた時に木材に彫っていたのはこの作品だった。スジンと付き合い始める以前から、チョルスはスジンのことを思い大切に彫っていたのだ。

チョルスが彫っていたスジンの顔の彫刻

チョルスの家には図面や本、工具など様々なものが置いてあった。その一つ一つを興味深げに見ていたスジンは「試験でも受けるの?」とチョルスに質問したが、チョルスは本を読んだまま返事をしなかった。聞いていないように見えたチョルスだったが、スジンが机の引き出しを開けようとした瞬間「引き出しは開けるな」と硬い表情で注意した。続いてスジンは、チョルスと一人のおじいさんが写っている写真を見て「誰?あなたのおじいさん?」と聞いた。本を見たまま「寺の大工で、俺の昔の師匠だ」とチョルスが答えると、スジンは矢継ぎ早に「アルバムはある?子どもの頃の写真はないの?」と聞いた。ずっとスジンが質問ばかりしてくるので、チョルスは本を閉じ「質問ばかりだな」とあきれながらスジンの方へ近づいていったが、それでもスジンは「子どもの頃の写真が見たいわ。アルバムはないの?」と興味津々だった。
そこでチョルスは「アルバムはないよ。子どもの頃から大人だったんだ」と答えて、話題を変えるため「ヤバウィ」というお金をかけたゲームを始めた。3枚のトランプのエースを裏向きで混ぜた後、ハートのエースがどれかを当てるものだった。チョルスが早口で掛け声を出しながら混ぜた後「さあ当たりはどれ?」とスジンに聞いたが、スジンが指差したのはハートのエースではなかった。負けてしまったスジンはポケットからお金を出すふりをしてチョルスに渡したが、チョルスはもっとくれ、という手つきをした。スジンは身を乗り出しチョルスの頬にキスをすると「さあ、儲けたお金でもうひと勝負」と言いながら、またヤバウィを始めた。

チョルスが受ける建築士の製図試験日に合わせて、スジンは女友達と一緒に自分たちでスーツを作ることにした。既成の服を買えばいいじゃないかと言う友達もいたが、スジンは「楽しいし共同作業で友情も深まるし良いじゃない」と言って聞かず、チョルスの試験合格のため懸命に応援しようとしていた。
チョルスの試験当日スジンは、作ったスーツを着ているチョルスに見とれながら満足そうに微笑んでいた。「待ってなくていいぞ」と言ってチョルスは試験会場に入っていったが、結局スジンは試験が終わるまで会場の外でチョルスを待って2人で帰っていった。

一緒に帰るスジンとチョルス

結婚をしたいスジンと、責任を怖れるチョルス

父に恋人が出来たのか尋ねられたスジン

ある日、スジンは父と一緒に自宅の庭で寛いでいた。スジンがずっとニコニコしていたので、父が「最近恋人ができたな?」と聞いた。突然聞かれたのでスジンはわざとらしく否定してしまったが、すぐに友達のユナが父に言ったのではと察知し「ユナでしょ?」と父に聞いた。すると父もわざとらしく否定したが「どこかの工事現場の作業員だとか?」と言い当てたので、スジンはユナが父に言ったのだと確信した。スジンは、チョルスが自分の父の会社で働いていることや、父も知っている部下であることから、父に説明がしづらかった。そこでスジンはとっさに「作業員ではない」と否定すると「じゃあ何をしている人なんだ?」と父は質問した。困ったスジンは「建築家」と答えると、父は感心して「一度会いたいな」と言った。もし父に自分の恋人だとチョルスを紹介したら、一体どういう反応をするのかと不安になり、スジンは更に困ってしまった。

後日スジンは、チョルスとバッティングセンターに行ったときに父が会いたがっていることを伝えた。しかしチョルスは「交際に親が口出しすることじゃないだろう」と言って、会うことに反対した。そこでスジンが「親に紹介すれば、結婚できるじゃない」と答えるとチョルスは黙り込んでしまった。

その後も結婚についてスジンとチョルスの意見は対立し、小さなケンカが続いた。スジンは仕事中の作業現場にまで行ってチョルスを説得しようとしていた。スジンが「一人で生きていけるの?」と聞くと、チョルスは「一緒に生きたとして、死ぬときも一緒に死ねるのか?一人で生まれて一人で死んでいくのが人生だ、違うか?」と答えた。チョルスは、結婚したとしても死ぬ時は結局一人で死んでいくのだから結婚しなくてもいいという考えのようだった。チョルスの意見を聞いてスジンは泣き出してしまったので「お前は泣き虫だな。親か国でも失ったのか?」とチョルスは言い放った。
デートで一緒に歩いている時にもスジンは懸命にチョルスを説得しようとした。「『愛してる』の一言が言えないの?」とスジンが聞くと、チョルスは「意味分からないこと言うんじゃない。お前は(社長令嬢の)お嬢様で、俺はただの労働者だ」と答えた。そして「じゃあお前は俺のどこが好きなんだ?」とチョルスは続けて聞いた。スジンはすぐに答えられなかったが、ちょうど2人が最初に出会ったコンビニの前に居たので「ここ、覚えてる?」と聞くと、チョルスは「いや、覚えていない」と話をはぐらかして逃げてしまった。

言い合いになるスジンとチョルス

スジンとチョルス2人で店でディナーを楽しんでいる間も、話題は結婚についてだった。スジンが「愛する人との結婚を夢見るのは悪いこと?」と尋ねても、チョルスはうまいと言ってただ蟹を食べ続けるだった。怒ったスジンは、鞄からチョルスが大切にしていたスジンの彫刻を取り出してチョルスの前に出した。そしてスジンは自分を無視して蟹の殻をハンマーで割っていたチョルスに「これで割れば?大嫌いなものでしょ?」と泣きながら言った。観念し蟹を割る手を止めたチョルスが発したのは「俺は責任はとれない。いやとりたくない」という言葉だった。スジンがなぜかと聞くと「怖いからだ」とチョルスは答えた。全く意味が分からないスジンは更になぜかと聞くと、チョルスは真剣な表情をして「お前は自信過剰だ。人生がどれだけ怖いものか分かっているか?結婚したとして、それだけで本当に幸せになれるのか?」と言った。

スジンが不満げな表情をして少し横を向くと、父や母、妹が店に入ってきたのが見えた。実はチョルスには内緒で父たちを呼んで、チョルスに会わせてしまおうとスジンが計画していたのだ。父はスジンに呼ばれて喜んで来ていたが、相手がチョルスだと分かると一気に表情が曇った。チョルスも、父と会うつもりはなかった上に、会社でも知っている間柄なので気まずく、さらに表情が硬くなり立ち上がってその場を立ち去ろうとした。しかしスジンがこの場に残るようチョルスを引き止めた。

重い空気が流れる中、スジンは一人トイレへと席を立った

スジンとその家族四人対チョルス一人で囲んだテーブルは、重い空気に包まれていた。スジンはストレスが溜まり、コンビニの時と同じように次第にぼーっとし始めていたので、顔を洗おうと一人トイレに立った。トイレで顔を洗ったスジンは席まで戻ろうとしたが、めまいがしてぼーっとしたまま歩いていたので、自分でも分からず店の外へ出る階段まで行ってしまっていた。
スジンが席をはずしたタイミングで、父は「ご両親は?」「家はあるのか?」などとチョルスに厳しい表情で詰問していた。父にとって、現場で会っていた部下が娘と付き合っていたことの上に、以前現場に行った時にヘルメットを投げるなどして荒っぽく話していたチョルスの印象があまり良くなかったからであった。居心地が悪いチョルスは席を立とうとすると、父は「明日からもう来るな」と言った。母は場をなだめようと「せめてスジンが戻ってくるまで居てください」と言ったが、お詫びを言ってチョルスはそのまま去ろうとした。

その時、店の外で何かがあった様で、中に居た人たちが外に出て見ようとして人だかりが出来ていた。それが気になった妹のチョンウンが出て行くと、雨が降りしきる中で倒れているスジンを見つけた。そして店の中まで聞こえるほど大きな声で「お姉ちゃん!」と叫んだ。チョルスは急いで外へ行き、スジンが倒れているのを見て病院へ連れて行こうとスジンを抱きかかえて走り出した。父も駆けつけたが、病院へスジンを抱きかかえて走っていくチョルスの背中をじっと見つめていた。
病院の先生の話では、スジンはストレスで気を失ったがすでに目は覚ましており、貧血の症状も休めば良くなるとのことだった。チョルスが横になっているスジンの元へ行くと、スジンは涙を流しながら安心した顔でチョルスを抱きしめた。スジンとチョルスが抱き合っているのを見た父は、2人の固く結ばれた愛情を認めざるを得なかった。こうしてスジンとチョルスは、人生を共に歩んでいくことをスジンの父に認められたのである。

倒れていたスジンを抱きかかえるチョルス

目が覚めたスジンはチョルスを抱きしめた

抱き合うスジンとチョルスを見守るスジンの父

幸せな新婚生活の中、スジンの症状が進行していく

スジンにいたずらされたチョルス

スジンとチョルスはついに結婚し、幸せな新婚生活を送っていた。チョルスは無事建築士試験に合格し、現場監督の仕事も今まで以上に頑張っていたところ、スジンの父を介して家を設計してほしいと会社のファン会長じきじきに依頼され仕事に好機が訪れていた。一方スジンも、紳士服部門のスーツのカタログ作りに取り組んで順調に働いていた。

ある雨の日、出勤前のスジンにチョルスがお茶を入れていた。口紅を塗ったスジンが、チョルスが寝ている隙に顔いっぱいにキスマークをつけておいたのだが、自分の顔の変化にチョルスはまだ気づいておらず「雨降りの日は俺は仕事は休みなんだ」と普通に話しながらお茶を入れているのを、スジンはニコニコしながら見ていた。お茶を淹れた後、歯磨きをしようと洗面台に行ったチョルスはようやく顔にいたずらされたことに気づいてスジンを呼んだが、スジンは知らぬふりをして出かけていった。

スジンは女友達と話している時までチョルスのキスマークいっぱいの顔を思い出してニヤニヤしっぱなしだったので、ユナに「結婚がそんなに嬉しいのか」とからかわれてしまった。そう言われて気を取り直したスジンは「あ、こんな経験ある?いつも歩いている道で迷うこと」と突然聞いた。「自分も方向音痴だけど、さすがに会社に行く道は迷わないわ。まだ若いしそこまでボケてないわ」とユナが答えると、スジンが真剣な顔つきで「最近家に帰る道が分からなくなるの。変だわ」と言った。スジンは真剣に悩んでいたが友達は皆笑い、ユナには「夜の生活に疲れているのね」と言われてしまった。

症状が進んできたため、自分の家かどうか確信が持てないスジン

退勤後、スジンはまた帰る道が分からなくなったが、いつも見る景色をたどりながら家に着いた。しかし今度は帰ってきた家が本当に自分の家かどうか確信が持てず、玄関先に立ち止まって辺りを何度も見回した。ゆっくりと鍵をあけ、中に入ってみてようやく自分の家だと分かったのでスジンは安心した。

スジンが少し中へ入っていくと、キッチンの内装が変わっているのではないかと感じたが、これも確信が持てなかった。家に入るまで自分の家だと分からなかった後だったのでスジンが困っていると、そこへ風呂上りのチョルスがやってきた。スジンが「何か変だわ。変わった気がする。変わったよね?」と聞いて視線をおろすと、たくさんの工具が入った鞄が置いてあるのが見えて、チョルスがキッチンを変えてくれたのだと分かった。以前スジンがガスコンロの火を消し忘れて鍋を焦がしてしまったことがあったので、危なくないようIHのコンロに替えた上に内装もきれいに変えてくれたのだった。スジンは自分の物忘れのためにここまでしてくれたチョルスに感動し「愛してる」と言うと、チョルスはスジンを抱き寄せ2人はキスをした。

その後チョルスと一緒にベッドで横になっていたスジンは、既に寝てしまったチョルスの頭をなでながら、ひどくなってきている自分の物忘れのことについて考えていた。

スジンは病院へ行くことを決意した

スジンは録音する必要があるのかイ先生に聞いた

スジンは考えた末に病院へ行くことを決心した。スジンが看護師に通された部屋には誰も居ないように見えたが、机の下でプラグをコンセントにさすのにまごついている手が見え、その後一人の男性医師が机の下から出てくるのが見えた。医学博士のイ先生だった。机から出てくるときに頭をぶつけてしまったり、診察の準備に手間取ったりと、少し頼りなさそうなイ先生だったが、落ち着いた静かな口調でスジンに今までについての質問を始めた。

「過去数年間に耐えがたいストレスや、精神的な苦痛でめまいを覚えたり気を失って倒れたことはあるかね?」とイ先生が聞いたので、スジンは「貧血で倒れたことがあります」と答えていたが、イ先生が録音をしていることに気づき「録音しないといけないんですか?」と聞いた。これに対しイ先生は「後で役に立つものだ。気にせずに私の質問に答えてほしい」と答えた。スジンはそれを聞き、妻が居る人を愛し駆け落ちしようとしたが、その人は結局来なかったので死ぬほどつらかったこと、駆け落ちしようとした日の数日前、その人の奥さんに責められて髪を引っ張られごっそり抜かれたことを続けて話した。スジンの話を聞き終わったイ先生は「ストレスに対する反応は人それぞれで違うし過度のストレスなので心配は要らないが、念のため来週MRI検査とCT検査を受けよう」と話した。

師匠への挨拶

2人の家を建てる予定の土地で、間取りについて話すスジンとチョルス

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