私の頭の中の消しゴム(韓国映画)のネタバレ解説まとめ

『私の頭の中の消しゴム』とは、イ・ジェハン監督・脚本の韓国の映画。日本では2005年に公開。
建築会社社長の娘キム・スジンと、スジンの父が経営する建築会社で現場監督として働くチェ・チョルス。2人は偶然に出会い恋愛を経てやがて結婚し幸せな生活を送っていた。そんな中スジンが若年性アルツハイマー病におかされていると判明する。症状が進みスジンはチョルスの事も忘れ始めるが、それでもなおチョルスはスジンを支えようとする。病という困難を抱えながらもお互いを愛し続ける男女のラブストーリーである。

泣きながら別れようと言うスジン

スジンを笑顔で励まそうとするチョルス

スジンが計画したチョルスの母の誕生日パーティ

ふせんでいっぱいのスジンとチョルスの家

スジンが忘れないように、もし忘れてもメモを見れば思い出せるように、2人の家にはいたるところに付箋が貼ってあった。そして、チョルスが出かける前には、スジンは自分の住所をそらで言えるように練習したり、一緒に住んでいる目の前にいる人が誰で自分が誰かを言う練習もした。スジンは、住所は最後の番地の部分がかろうじて出てくるような状態だったが、チョルスの名前や、自分の名前は苗字も名前もすぐにはっきり答えることが出来た。スジンは薬を飲むのも欠かさなかったし、首には自分の顔写真が入った手書きの身分証明もぶら下げるようになった。

ある日の朝、スジンは「18時までに帰るように」とチョルスに念を押した。チョルスが「何か予定でもあった?外出でもする?」と聞いたので、スジンは「お義母さん(チョルスの母)の誕生日よ。また忘れたの?これを飲んで」と自分が飲んでいる薬を差し出しながら笑って言った。そして「私の家族を招待したの。大工のおじいさん(師匠)も呼んだわ。ごちそう作るから遅れないでね」とスジンは続けて言った。

夕方、スジンが食事の用意をしようと包丁でネギを切っている時だった。スジンはふっと何かに気づいたようにカレンダーの方を見て今日は何の日だったか確認しようとしたが、めまいがして焦点が定まらずぼーっとしていると、玄関のチャイムの音がしたので包丁を持ったまま出て行った。
「あなた?」と言ってスジンが出ると、そこにいたのは箱を持ったヨンミンだった。会社に残っていたスジンの私物を箱に入れて持ってきたのだ。ヨンミンは玄関先で中身を確認してもらおうとしたが、めまいのため記憶がまた混乱していたスジンは、笑顔でヨンミンを家の中へ招き「ごはん食べた?」とヨンミンと付き合っていた頃のように話しかけた。ヨンミンがたくさんの料理が用意してあるのを見て「パーティでもやるのか?」と聞いたが、スジンは「何のパーティ?」と言って、チョルスのお義母さんの誕生日パーティのことは既に忘れてしまっていた。そして、ヨンミンはこの前自分が「もう一度やり直さないか」と切り出したのを覚えているかとスジンに聞いた。その流れでさらに「お前、結婚しただろ?」とヨンミンが言うと、スジンは「私が結婚?ヨンミンさん何を言うの?私を捨てる気?捨てないでよ」と悲しげに言った。

ヨンミンが「お前おかしいぞ。一体どうした?」と言って、心配そうにスジンの顔に触れた時、玄関の方で物音がした。18時近くになっていたので、チョルスが家に帰ってきたのだ。スジンに触れているヨンミンを玄関からにらみつけ、チョルスは怒り心頭の様子だった。しかしスジンはその間もチョルスを見て「誰なの?」と言いながら、ヨンミンの陰に隠れた。スジンとヨンミンの近くに歩いていったチョルスはもう一度ヨンミンをにらみつけた後、思いっきりヨンミンを殴り飛ばした。さらにチョルスが馬乗りになってヨンミンを殴っていると、めまいで意識が朦朧となったスジンが止めに入ろうとした。スジンは包丁を持ったままだったので、弾みでチョルスは腕を切られてしまったが、スジンを見てチョルスは怒らなかった。
チョルスはヨンミンを外まで引っ張り出して殴った。チョルスに踏みつけられながら、スジンの病気のことは何も知らないヨンミンは「スジンは結婚を後悔してる。俺と2年前に戻りたいとさ、分かったか」と言った。

そこへパーティに呼ばれていたスジンの家族や、チョルスの母、大工の師匠がやってきて、何事かと驚いて、チョルスとヨンミンを見つめた。とっさに殴る手を止めたチョルスの後ろで、包丁を持ったままのスジンは意識を失って倒れてしまった。

記憶が混乱し、恋人だったときのようにヨンミンに話しかけるスジン

スジンはチョルスを見ても誰か分からず、怖がってヨンミンの陰に隠れた

チョルスがヨンミンを殴っている後ろで、スジンは今にも倒れそうになっていた

スジンを家の中へ連れて行き寝かせた後、チョルスとスジンの家族は机を囲んでソファーに座った。キッチンの方ではチョルスの母が、殴られてケガをしているヨンミンの手当てをしていて、そのすぐ近くで大工の師匠は座ってお茶を飲んでいた。

スジンの父は「君はまだ若い。娘の面倒は私たちが見よう。今はまだいいが、すぐに下の世話も出来なくなる」と言って、チョルスの先の人生のことも考えスジンは自分たちが見ようとチョルスに提案をした。しかしチョルスはそれを断って「僕の妻です。僕が面倒を見ます」と言った。チョルスがかたくなにスジンは自分が面倒を見ると言うので、スジンの父が「冷静になれ」と説得していると、寝室からスジンが出てきたのに気づいたチョンウンが「お姉ちゃん」と言った。

皆が一斉にスジンを見ると、スジンは何も覚えていない様子で「皆どうしたの?何かあるの?」と話し、その足元からは尿がたれてしたたり落ちていた。チョルスはすぐに立ち上がり、もう一度スジンを寝室の中へ入れてから扉を閉め「大丈夫か」と言ってスジンを抱きしめた。そしてチョルスは着ていたYシャツを脱いでスジンの足元を拭ききれいにしていると、スジンは「そのケガはどうしたの?」とチョルスの腕を指差した。チョルスとヨンミンが殴りあいになった時、包丁を持ったままのスジンが止めに入り弾みでチョルスがケガをしたことも覚えていなかったのだ。チョルスはこぼれたスジンの尿を拭きながら、泣き崩れた。
皆が帰るのを見送った後チョルスがとぼとぼと家に入っていくのを、チョルスの母は悲しげに見つめていた。

「ヨンミンさん、愛してる」

チョルスはスジンのために2人で住むのを計画していた新居の模型を作ることにした。模型を作っている間、スジンのことをいろいろ考え思い出し悲しくなってしまって泣き出すこともあったチョルスだったが、作り始めて次の日の朝には模型を完成させた。そして一緒に土地まで見に行って話していた2人の家をスジンに覚えていて欲しいとチョルスは思い、スジンに模型を見せて感想を聞いた。「窓を少し大きくしたら?」とスジンが言ったので、チョルスは「そうしよう、夜に直すよ」とすぐに答えた。
模型を眺めるスジンの頭を撫でてから、チョルスは仕事に行こうと玄関の方へ歩き出した。するとスジンが歩いていくチョルスの背中を見て「ヨンミンさん」と呼びかけた。ヨンミンさんと呼ばれたチョルスは、少し立ち止まってから「ん?」とにこやかに振り返ると、スジンは「愛してる」と言った。チョルスはにこやかな表情を崩さないようにして「俺もだ」と答えた。

動揺する気持ちを抑え玄関まで歩いていくことが出来たチョルスだったが、外に出た瞬間チョルスの目からとめどなく涙が溢れ出した。

スジンは笑顔で「ヨンミンさん、愛してる」とチョルスに言った

チョルスは動揺しながらも「俺もだ」と答えた

外へ出て玄関の扉を閉めた瞬間、チョルスは泣き出した

記憶がよみがえったスジンは、ある決断をする

イ先生に相談をしに来たチョルス

チョルスは、スジンが自分のことも忘れ始めていたため相談をしようと、イ先生の所へ行った。診察室で立ち尽くして呆然と外を眺めていたチョルスが「スジンは僕のことも忘れてる」とつぶやくと、イ先生は「気持ちは分かるが、自分を追い詰めるな。最近の記憶から消えていくから。アルツハイマー病とはそういうものだ。患者を責めても何にもならない」と言ってチョルスを慰めた。
そしてチョルスは「俺の目を見ながら、昔の男の名を呼び、“愛してる”と言った。本当に愛していたのは?昔の恋人、ですよね?」と一番辛かった部分をイ先生に尋ねた。イ先生は「昔の恋人はただ記憶に残っていただけだろう。彼女に愛された本人が一番よく知ってるはずだ」と再び慰めた。

記憶が混乱したままのスジンは、家の中を歩きながらいたるところに貼ってある付箋を眺めていた。そして冷蔵庫に貼ってあったスジンとチョルスのツーショットの写真に、それぞれ名前がふられているのを見て立ち止まった。スジンは写真を見て何かが引っかかった様子だったがそこを通り過ぎ、今度は置いてあったチョルスの大工道具に目がいった。スジンはじっくりと眺めてからハンマーに手を触れた時、初めてチョルスとコンビニで会ったときのことを思い出した。スジンはこの時やっと、本当に自分が愛している人・今共に暮らしている人・朝「愛してる」と言って送り出した人は、ヨンミンではなくチョルスだったことを思い出した。スジンはチョルスのことを思い出すにつれて、朝「ヨンミンさん、愛してる」と言って送り出したことを申し訳なく思い、嗚咽した。

チョルスの大工道具に触れ、記憶がよみがえったスジン

チョルスが病院から帰ると、家の中は静まり返っていて、そこにはスジンはいなかった。チョルスはキッチンに無造作に置かれた手紙を見つけて読み始めた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。あなたを傷つけたくないのに。どうしましょう。あなたは今泣いているでしょ?泣かせたくないのに。悲しむ姿は見たくないのに。幸せにしてあげたいのに。私があなたを苦しめているのね。チョルスさん、愛するチョルスさん。誤解しないでね。私はあなたを愛してる。私が覚えているのはあなただけ。私の心の全てを伝えたいけど、記憶が確かなこの時間にどう伝えたらいいのか焦ってしまう。私キム・スジンはあなたチェ・チョルスだけを愛しています。それだけは忘れたくない。忘れない。あなたも私の想いを感じてくれるでしょ?記憶が消えるのが怖い。私の気持ちを全て言葉にしたいのに。愛してる。ごめんなさい。健忘症だから出会えて、健忘症だから姿を消すわ。あなたに会えたのは人生で一番の幸せ。あなたは天がくれた一番大切な贈り物。記憶は失われるけど、あなたは私の体に息づいてる。あなたのように笑って泣いて、香りを漂わせてるの。たとえ記憶が消えても、私の中のあなたは消えないわ。一度も“愛してる”と言ってくれなかったけど、私を愛してることは分かってる。だから私のわがままをどうか許してね。最後に一つお願いがあるの。私の父に会ってほしい。」

チョルスとの記憶が戻っている限られた時間の中スジンが一生懸命書いた手紙を読んで、チョルスはありったけの涙を流し叫んだ。

スジンの手紙を読み嗚咽するチョルス

チョルスは、スジンの手紙にあったとおりにスジンの父に会いに行くと、そこには離婚届が用意してあった。スジンがチョルスの記憶をなくす前に父に預けていたものだった。しかしチョルスは離婚届を破り捨て「許しとは、心の部屋を一つ空けること。お父さんもご存知でしょう?」とスジンの父に言った。スジンは、チョルスのことまで忘れてしまっていたことを手紙の中で謝っていたが、チョルスは許していたのだ。続けて「スジンが完全に記憶を失ってしまう前にスジンに伝えたい言葉がある」とチョルスは言った。

姿を消したスジンから手紙が届く

スジンが居なくなって日が経ったある日、チョルスはポストの中に溜まってしまった手紙を出してひとつひとつみていると、たくさんの封筒の中に見覚えのある字を見つけた。チョルスはすぐにスジンからの手紙だと分かった。その封筒には、ソウルの反対側・韓国の東側に位置するカンヌンというところの消印が押してあった。

手紙には「今日は不思議よ。突然記憶が戻ったの。バッティングセンターのことも、コンビニのことも。最後かもしれない。だから記念に手紙を書くわね。韓国で一番高い山はペクトゥ山、2744メートル。コンビニで横取りしたコーラは700ウォン。私は一生懸命生きてるわ。二番目に高い山はハルラ山、1950メートル。ほらね。だから心配しないで。サンタクロースは12月25日。すごいでしょ?あなたを忘れるから、私のことも忘れてね。いい人と出会って、幸せになって。意地を張るのはバカよ。全然かっこよくない。あなたは結婚生活に向いているわ。妻だったから、誰よりもよく知ってる。チョルスさん、私を捜さないでね。さようなら」とあった。

スジンからの手紙を読んだチョルスはすぐにカンヌンに向かった

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