ゴブリンスレイヤー(第8話『囁きと祈りと詠唱』)のあらすじと感想・考察まとめ

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瀕死の重傷を負ったゴブリンスレイヤーだったが、治療の甲斐あって一命を取り留めることが出来た。回復したばかりの女神官とゴブリンスレイヤーは、街に出て破損した武器を修理に出した後、穏やかな1日を過していた。その後、水路の探索を続けていた仲間たちから行く先を邪魔する怪物の存在を聞き、ゴブリンスレイヤーはある作戦に出る。
今回は「ゴブリンスレイヤー」第8話『囁きと祈りと詠唱』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介

「ゴブリンスレイヤー」第8話『囁きと祈りと詠唱』のあらすじ・ストーリー

約束

2

少年時代のゴブリンスレイヤー(左)と先生(右)。

負傷したゴブリンスレイヤーは意識を失い、夢を見ていた。それは、ゴブリンに村を襲われて姉を失ったばかりで、レーアの老人を先生としてゴブリン退治の方法を学んでいた時の記憶だった。
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「先生、今日は何をすれば良いのですか?」
先生「何をすれば?全く貴様はバカだ。ぶん殴られた!だから殴り返す、小鬼殿を!」
先生は白いドロドロした液体をゴブリンスレイヤー(少年時代)の頬に投げつけ、「奴らは頭が良いぞ。お前に小鬼が殺せるかの?」と言葉を続ける。
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「殺します。」
先生「はっはっはっは!大事な姉ちゃんが小鬼のオモチャにされてる間、お前は黙って見てたのにか?なぜ飛び出して小鬼を殴らんかった?姉貴と一緒にさっさと逃げんかった?」
先生は再び白いドロドロした液体をゴブリンスレイヤー(少年時代)の頭に投げつけた。
先生「力がなくて何もしなかった奴が、力を手に入れた途端なんか出来ると思ったか!?出来たとしてもそんなもんメッキよ!すぐに剥げ落ちてパアだ!」
先生はゴブリンスレイヤー(少年時代)に近づき、肩に手を置いて語りかけた。
先生「けど決めるのはテメエ自身よ。何かをやると決めてぶん回した時点で、テメエの勝ちだ。運、知恵、そっから根性だ!やるかやらないか、最初はそれだ!とにかくやるんだ!」
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「はい、先生。」
先生「上を見ろ。謎かけだ!リドル!死にたくなけりゃ素直に答えろ!」
ゴブリンスレイヤー(少年時代)の頭上には、氷柱のような鋭くて太い棘がびっしりと生えていた。ゴブリンスレイヤー(少年時代)が答えるのが遅れると、その中の1本が彼を直撃するということだ。
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「はい、先生。」
先生「よーし。神々よりも正義!邪心よりも邪悪!富豪に必要!貧者に不要!それは何か!そーら気をつけろ、潰されるぞ。」
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「何もない…。答えは何もない!」
先生「そうだ!こいつはどうだ?奴は、いついかなる時でも必ずお前の元に現れる。絶対にお前を逃すことはない!お前は奴と話すことも出来ない!そら来た!お前の隣だ!諦めろ!」
ゴブリンスレイヤー(少年時代)「答えは死、死だ!」
先生「よーし、上出来だ。最後に答えろ。儂のポケットに何がある?」
言いよどんだゴブリンスレイヤー(少年時代)に先生は詰め寄ると、「何がある?」と再度問いかけた。ゴブリンスレイヤー(少年時代)が答えようと口を開けたところで、現実のゴブリンスレイヤーは夢から覚め、意識を取り戻した。

3

ゴブリンスレイヤー(左)と剣の乙女(右)とまだ眠っている女神官(中央)

ゴブリンスレイヤーが目を覚ますと、そこは神殿の部屋の中に備え付けられたベッドの上だった。ゴブリンスレイヤーは鎧や服を脱がされ、怪我を負った箇所には包帯が巻かれていた。ゴブリンスレイヤーの隣には、何故か一糸まとわぬ姿の女神官がぐっすりと眠っている。
ゴブリンスレイヤーが女神官を起こさないように起き上がった時、部屋の中にいた剣の乙女が「お目覚めのようですわね。」と声をかけてきた。剣の乙女は、今まで目を覆っていた布を外しており、ゴブリンスレイヤーに近寄って隣に座った。
剣の乙女「どうでしたかしら?私と彼女と、褥を共にして。」
ゴブリンスレイヤー「悪くはなかった。これが処女同衾の奇跡、リザレクションか。」
ゴブリンスレイヤーは身体の傷跡に手を当てながら、剣の乙女に確認した。
剣の乙女「あら、ご存じだったのですね。」
ゴブリンスレイヤー「知識としてはな。」
剣の乙女「最も私の方はもう清らかとは言えませんが。」
ゴブリンスレイヤー「ゴブリンか?」
剣の乙女「えぇ。もう10年も前になりますか。ゴブリンに捕まって洞窟の中で…、何をされたかお聞きになりますか?」
ゴブリンスレイヤー「知っている。」
剣の乙女「私、痛い痛いって子どもみたいに泣いて…。」
ゴブリンスレイヤーは、剣の乙女の少ない言葉だけで、彼女が10年前にゴブリンに捕まって凌辱され、さらには両目の視力を奪われるような暴力を受けたのだと察していた。おそらく、彼女の身体にはゴブリンにつけられた生々しい傷跡があるだろうということも。
剣の乙女「でもね、見えているんです。ぼやけているけれど、あなたの影みたいな佇まいもちゃんと。どこにでもいる、けれど目を離すとふいに消えてしまうような、影のような人。人というのは、女というのは弱い者です。私、不安なのです…、怖いのです…。おかしいでしょ?剣の乙女ともあろう女が、毎夜毎晩、恐ろしくてたまらないのですよ。こんな世界ですもの。助けとなる物はいくらあっても…。他の方にはきっと分からないでしょうけれど…、ね。」
剣の乙女はゴブリンスレイヤーの手を握り、身体に寄りかかりながら語っていたが、ふいに手と身体を離すと、自嘲するような苦笑いを漏らした。何がおかしいのかと尋ねるゴブリンスレイヤーに、剣の乙女は答えた。
剣の乙女「だって、おかしいではありませんか。かつて魔神を討伐した女ですのよ、私。それが小鬼を怖がっているだなんて。」
剣の乙女は布で両目を覆うと、ゴブリンスレイヤーに向き直り、「ねぇ、私を助けて下さいますか?」と尋ねた。
その時、2人の後ろで女神官が目を覚ました。剣の乙女は女神官が目覚めたのを知ると、その場を立ち去った。
女神官はしばらく寝ぼけていたが、ハッと自分の姿に気づくと「み、見ましたか!?」とゴブリンスレイヤーから顔を背けながら慌てて言った。ゴブリンスレイヤーの答えは「あぁ。安心しろ、傷跡は残っていない。」という的外れな物で、女神官は「そうじゃないのに…。」と言いたそうな不満げな表情を浮かべた。

4

ゴブリンスレイヤーと女神官の回復を喜ぶ妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶。

その後、ゴブリンスレイヤーは鎧を、女神官は破れた神官服ではなく普段神官服の下に着ている服だけを着た。女神官がゴブリンスレイヤーに傷の具合を確認し、ゴブリンスレイヤーがそっけなく大丈夫だと答えた。女神官は思い切った様子で、「その、無理とかしてませんか?」と言葉を続けた。女神官は、今朝のゴブリンスレイヤーの様子がわずかだがいつもと違うようだと感じていたのだ。しかし、ゴブリンスレイヤーは「いいや、何も変わらんさ。」としか答えてくれない。
女神官がそれでも何かあったのではないかと再度尋ねようとした時、部屋のドアが突然開かれ、「2人ともー!目が覚めたって聞いたわよー!」という妖精弓手の大きな声が部屋に響いた。ドアの外には、妖精弓手の他に鉱人道士と蜥蜴僧侶も揃って立っていた。3人はそのまま部屋に入ってきながら、
妖精弓手「大丈夫?平気?」
鉱人道士「大事なさそうだのう、かみきり丸に娘っこも。」
蜥蜴僧侶「いやはや、施術が間に合ってようございました。」
と口々に女神官とゴブリンスレイヤーに声をかけた。
ゴブリンスレイヤー「ふむ、全員無事か?」
妖精弓手「オルクボルグがそれ言う?」
ゴブリンスレイヤー「カナリアはどうだ?」
妖精弓手「平気も平気。っていうか、オルクボルグが一番危なかったんだから。彼女、目が覚めた途端『ゴブリンスレイヤーさん!』って泣き出して大変だったのよ!」
女神官はとんでもないことをサラッと妖精弓手に晒されて「わぁーっ!」と叫び、「ちょ、ちょっと!言わないって約束…。」と慌てた様子で妖精弓手に言った。妖精弓手は「言わなきゃ伝わらないでしょ。」とだけ返事をして、悪びれている様子は全くない。
蜥蜴僧侶「ま、ともかくこれで、憂いなく探索を続けられるというものですな。ん?その前に武具を揃えた方がようございましょうが。」
蜥蜴僧侶は話を変えようとしてゴブリンスレイヤーに話しかけ、ゴブリンスレイヤーの鎧がすっかりくたびれてしまっていることに気づいて言葉を続けた。
鉱人道士「バッカ、おめぇ鱗の。まずはその前に飯だわいな。」
蜥蜴僧侶「おっと、これはしたり。」
ゴブリンスレイヤーは2人の会話を聞いて、「誰もまだ食事を取っていない…。」と唖然とした声で呟いた。
女神官「はい、約束したじゃないですか。一山越えたら、みんなでご飯を食べようって。約束は守らなくっちゃ、ですよ。」
女神官はゴブリンスレイヤーににっこりと笑いかけた。

関係性の変化

8

カウンターの中にいるのが武具店の店員。

食事を終えた後、ゴブリンスレイヤーと女神官は1日ゆっくりと休むようにと告げられた。
妖精弓手「私たちが地下の先を見ておくから。」
鉱人道士「装備のない戦士なんぞ、危なっかし過ぎて連れていけんわい。」
女神官は「すみません…。」と返事をして、ゴブリンスレイヤーも「頼む。」と短くだけ答えた。ゴブリンスレイヤーが珍しく仲間を頼ったことに女神官は驚き、ゴブリンスレイヤーの方を見るが、兜を被った顔から表情を読むことは出来なかった。
妖精弓手と鉱人道士と蜥蜴僧侶は地下水路の探索に向かい、ゴブリンスレイヤーと女神官は街中を歩いていた。
道中、ゴブリンスレイヤーと女神官は会話を交わしていたが、女神官は不満げな顔をして突然立ち止まり、ゴブリンスレイヤーは「どうした?」と尋ねる。
女神官「どうしたじゃありませんよ!ゴブリンスレイヤーさん、さっきから『あぁ』ばっかりじゃないですか!」
ゴブリンスレイヤー「そうか?」
女神官「そうですよ。」
どうやら女神官は、ゴブリンスレイヤーからの返事が「あぁ。」だけだということに不満を感じていたようだ。「そうか…。」と呟くゴブリンスレイヤーに、「あと『そうか』も多いです!」と女神官は追い打ちをかける。
ゴブリンスレイヤー「ふむ…。善処しよう。」
女神官「そうしてください。それで、買い物したいって言ってましたけど…。」
ゴブリンスレイヤー「あぁ。」
また不満げな表情を浮かべた女神官を見て、ゴブリンスレイヤーは慌てて言葉を続けた。
ゴブリンスレイヤー「俺は武具や防具を見に行く。壊れたからな。お前はどうする?」
女神官「私も、鎖帷子が壊れてしまったので、直せるお店があれば良いなと。」
ゴブリンスレイヤー「買い換えた方が早いだろう。」
女神官「嫌ですよ、そんなの…。」
ゴブリンスレイヤー「何故だ?」
女神官「だってこれ、ゴブリンスレイヤーさんが最初に褒めてくれた物じゃないですか。」
ゴブリンスレイヤー「そうか…。そうだったな…。」

武具店に着き、女神官は鎖帷子を修繕して欲しいと店員にお願いした。鎖帷子の状態を見た店員は、「これ、もう穴開いちゃってますね。買い換えた方が良くないっすか?」と提案するが、女神官は「いえ、修繕でお願いしたいんですけれど。」と頼み込む。店員はふと女神官の全身を眺め、「仕立て直しとかします?」とセクハラ発言をしたため、女神官は赤面しながら「け、結構です!」と断った。
店員と女神官の会話を遮るように、「修繕だ。」という声がかかった。店員が声をかけてきた客の方を見ると、そこには兜以外の装備を脱ぎ、装備一式を一袋にまとめたゴブリンスレイヤーがいた。ゴブリンスレイヤーの首に銀等級の冒険者であることを示す身分証があることを見て、店員は青ざめた。
ゴブリンスレイヤー「皮鎧と丸盾だ。急ぎで頼む。そちらの鎖帷子を合わせてだ。」
店員「えーっと、特急ですとお代の方が…。」
ゴブリンスレイヤーは「ある。」と短く言って、お金が入っている袋をカウンターに置いた。その後、店に陳列されている商品の方へと歩き出ながら、「剣を見せてもらうぞ。」と言った。剣を選んで砥石で砥ぐゴブリンスレイヤーの姿を見て、女神官は助けてもらったことを嬉しく感じていた。

10

ベンチに座って会話をするゴブリンスレイヤーと女神官。

ゴブリンスレイヤーと女神官は武具店で装備を修繕してもらい、街の広場に出た。そこでは子どもたちが1つの屋台の周りに集まっており、屋台の主人が「さぁさぁ、ほっぺた蕩けるアイスクリン!美味しい美味しいアイスクリンだよ!」と客の呼び込みをしていた。
女神官「アイスクリン?何でしょうか?」
ゴブリンスレイヤー「よく分からんが、子どもたちが集まっているところを見ると、菓子の類かもな。」
女神官がアイスクリンを食べたそうにしていると、ゴブリンスレイヤーがその様子に気づき、「構わんぞ。」と声をかけた。女神官は嬉しそうな表情を浮かべてゴブリンスレイヤーにお礼を言い、はしゃぎながら屋台へ向かった。ゴブリンスレイヤーも女神官の後に続いた。
アイスクリンを口にした女神官は、「はっ!すごい…!冷たくて甘いですよ、これ。」と言って驚いた。
ゴブリンスレイヤーは屋台の主人の方に顔を向けて、「氷菓子というやつだな。術の類ではあるまい。どうやってこしらえている?」と質問した。
屋台の主人「えぇ。ある学士様が、火の秘薬を水にぶちこむとよく冷えるって発見をしましてね。1つ、牛の乳を凍らせてみたら美味いんじゃねぇかと。」
ゴブリンすレイヤー「なるほど、良いことを聞いた。釣りはいい。1つくれ。」
ゴブリンスレイヤーもお金を出してアイスクリンを買った。その時、自分の方をじっと見る女神官の視線に気づき、ゴブリンスレイヤーは「何だ?」と問いかけた。女神官は微笑みながら「いえ。ゴブリンスレイヤーさんが、どうしていろんなことを知っているのか分かったので。」と答えた。
ゴブリンスレイヤーと女神官は、広場のベンチに並んで座り、海に沈んでいく夕日を眺めていた。
女神官「不思議ですよね。誰もこの足元に、ゴブリンがいるなんて思ってない…。もちろん被害は出ていて、それは怖いなあって思うんでしょうけど、誰も…。」
ゴブリンスレイヤー「小さい頃…、一歩踏み出したら、地面が崩れて穴に落ちて死ぬんじゃないかと、そう思って歩くことすら躊躇っていた時期がある。有り得ん話じゃない。だが、誰もそんなことは気にしていない。俺はそれが不思議だった。姉やアイツ(牛飼娘のこと)にも笑われたが、怖かろうが歩くしかないと気づくまで、随分とかかった。」
女神官「そういうものですか…。」
ゴブリンスレイヤー「そういうものだ。だが、俺は今も怖くて仕方ない。手伝ってくれるのはありがたいと思っている。しかし手伝う必要はないんだ。」
ゴブリンスレイヤーが女神官の方を向くと、女神官はアイスクリンを食べる時に使うスプーンを口にくわえたまま、不満げな表情をして俯いていた。そして女神官は、「好きにするって、言ったじゃないですか…。」と呟いた。
ゴブリンスレイヤー「そうか。」
女神官「そうですよ。ほんとに仕方のない人ですね。」
ゴブリンスレイヤー「すまん。」
女神官「そういうの聞きたくないです。」
ゴブリンスレイヤー「すまん…。」
女神官「別にいいですけど。私だって怖いものは怖…。」
その時、女神官の太腿に溶けたアイスクリンが落ちてしまい、女神官は「冷たっ!」と驚いた声を上げた。女神官は溶けかけているアイスクリンをコーンごと1口で一気に食べ、頭痛に襲われて頭を抱え込んでしまった。

12

槍使いが右手に抱えているのが、ゴブリンスレイヤーが魔女に運んでほしいと頼んだ品。

頭痛が一通りひいた後、女神官は立ち上がり、「それじゃあ行きましょうか、ゴブリンスレイ…。」と言いかけた。しかし女神官の言葉を遮るように、「ゴブリンスレイヤーそこか!テメエ人をわざわざ手紙で呼び付けといて…受付さんに言いつけるぞ!」という槍使いの声が聞こえた。女神官とゴブリンスレイヤーが声がした方を見てみると、そこには何故か魔女と槍使いがおり、槍使いは右手に何かの袋を抱えていた。
ゴブリンスレイヤー「何をだ?」
槍使い「その子と遊び歩いてたことだ。」
魔女「お止めなさいな。呼ばれたのは私。」
槍使いは持っていた袋をゴブリンスレイヤーに渡した。
槍使い「ったく、俺は運送屋じゃねぇんだ。こんなもん運ばせるなっての。」
魔女「でも、どうしてわざわざ?この街でも手に入るでしょ?」
ゴブリンスレイヤー「こちらの品ではダメだ。目の細かい物でないとな。」
魔女「そう。」
槍使い「何に使うんだ?そんなの。」
ゴブリンスレイヤー「決まっているだろう。ゴブリン退治だ。」
女神官とゴブリンスレイヤーは、そこで魔女と槍使いとは別れた。

「名前を言ってはいけない怪物」との戦い

13

大目玉

次の日、ゴブリンスレイヤーと女神官も加わり、一行は地下水路に入った。ゴブリンスレイヤーは昨日運んでもらった袋を手に抱えていた。
昨日の探索の結果、妖精弓手と鉱人道士、蜥蜴僧侶は「厄介事」を見つけており、今日の探索はその「厄介事」の対処もしなければならない。妖精弓手はふとゴブリンスレイヤーが持っている灯りがカンテラに入れられていることに気づき、「オルクボルグ、そういえば今日は松明じゃないの?」と聞いた。ゴブリンスレイヤーは「試したいことがある。火は邪魔だ。」とだけ答えた。
目的の部屋に着き、入り口を覗いてみると、部屋の中央には何本もの触手がついた目玉が浮かんでいた。
女神官「何ですか…、あれ…。」
妖精弓手「分かんない。けど目玉…だと思うわ。」
蜥蜴僧侶「見るからに、混沌の眷属でありましょうや。」
女神官「名前を呼んではいけない、そういう類の怪物ですよね。」
ゴブリンスレイヤー「名前なんぞは、大目玉でも何でも構わん。」
鉱人道士「お前さんはとことんブレんのぉ…。」
蜥蜴僧侶「しかし、剣難なのはまさにあの目玉で。あれはまさに、分解の邪眼。ならばと竜牙兵を呼び出すも、あの大目玉に睨まれると解呪をくらって術が解ける始末でしてな…。」
ゴブリンスレイヤー「分解に術解、確かに厄介だ。」
女神官「部屋に入って来ない限りは攻撃してこない、みたいですね。多分、目に見られなければ奇跡は起こせると思うんですが…。」
鉱人道士「けど、近づきゃ見られる。術は使えん。烈閃びかびか、手数は向こうが上。どもこもならず、ずっとここで立ち往生というわけよ。」
ゴブリンスレイヤー「いや、試してみたい方法がある。」
妖精弓手「言っとくけど、火責めとか水責めとか毒とかはダメだからね。」
ゴブリンスレイヤー「そういう約束だ。確認するが、ここはもう街の外でいいな?」
鉱人道士「結構歩いたし、感じとしても大分離れとるじゃろう。」
ゴブリンスレイヤー「なら問題ない。」

14

部屋の奥に備え付けられている謎の鏡。

部屋にはまず妖精弓手が駆け込み、大目玉の注意を惹きつけた。鉱人道士はその隙に部屋に忍び込み、「呑めや歌えやスピリット、歌って踊って眠りこけ、酒飲む夢を見せとくれ。」と唱えてスリープの魔法を大目玉の背後からかけて、大目玉の眠気を誘った。大目玉が鉱人道士を見ていなければ、術をかけることも可能なのだ。
大目玉がスリープの魔法をかけられている間に、ゴブリンスレイヤーは部屋の中で持っていた袋の中身をまき散らした。それは何かの白い粉だった。
妖精弓手「オルクボルグ、それ何?」
ゴブリンスレイヤー「小麦粉だ。吸い込むな。」
鉱人道士「そろそろ術が切れちまうぞ!」
ゴブリンスレイヤーは妖精弓手に「奴に矢を射かけろ。当てれば良い。」と言い、女神官にも「即座に入り口にプロテクションを張れ。お前が要だ。しくじると死ぬぞ。」と指示を出した。
妖精弓手が矢を大目玉に射かけ、部屋の中にいたゴブリンスレイヤーと妖精弓手、鉱人道士は部屋の外の通路に退散した。すかさず女神官がプロテクションで結果を部屋の出入り口に張った。
ゴブリンスレイヤーが「耳を塞いで口を開け!屈め!」と指示を出し、一行が言われた通りにした途端、大目玉が攻撃のために火を噴きだした。その瞬間、部屋の中で爆発が起こり、大目玉は一瞬にして黒焦げになって息絶えた。
蜥蜴僧侶は何が起きたのか分からず、「小鬼殺し殿、何をしたのかね?」とゴブリンスレイヤーに尋ねた。
ゴブリンスレイヤー「カナリアの話を聞いた時、炭鉱夫から聞いた。狭い場所に細かな粉塵が散って、そこへ火花が飛ぶと燃え広がり、爆発するらしい。…が、思いのほか準備が面倒だ。引火誘爆の可能性も高い。これではゴブリンども相手には使えん。」
妖精弓手「っていうか爆発って…!」
ゴブリンスレイヤー「火責めでも水責めでも毒気でもないぞ。」
妖精弓手「そういう問題じゃなくて…。あぁもういいわ。」
女神官「あの、爆発しなかったらどうするつもりだったんです?」
ゴブリンスレイヤー「通路から弓矢を撃ち、正気に戻る前に逃げる。これを死ぬまで繰り返す。手間だが確実だ。」
妖精弓手「それ一番大変なの私じゃない…?」
鉱人道士「お前さんにとっては死活問題だものな。なんたって、肥えねばいつまでも金床のままじゃし。」
妖精弓手「むしろドワーフがちょっと痩せるべきよね。」
鉱人道士「バカ、この恰幅こそドワーフじゃ。」
妖精弓手「はあ!?どこから見てもずんぐりむっくりじゃない!」
いつも通りの鉱人道士と妖精弓手の言い争いが始まり、2人の後ろにいた蜥蜴僧侶は思わずため息を吐くと、話題を変えようと「さて、そうすると気になるのはこれですな…。」と言った。
部屋の奥に備え付けられている縦長で楕円形の形をした鏡のことを言っているのだ。一行は何のために使う鏡なのかが分からず、不思議そうに鏡を見上げた。

「ゴブリンスレイヤー」第8話『囁きと祈りと詠唱』の感想・考察

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ゴブリンスレイヤー(第3話『思いがけない来客』)のあらすじと感想・考察まとめ

ゴブリンスレイヤーと女神官が冒険者ギルドに戻ると、エルフの土地での活動が活発になっているゴブリン退治の依頼が来ていた。依頼に来た3人の冒険者であるエルフの妖精弓手、ドワーフの鉱人道士、リザードマンの蜥蜴僧侶と共に、一行はゴブリン退治へ向かう。 今回は「ゴブリンスレイヤー」第3話『思いがけない来客』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

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