銀牙―流れ星 銀―(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『 「銀牙ー流れ星銀ー」 』とは、1983年~1987年に『週刊少年ジャンプ』にて高橋よしひろが連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。奥羽山脈の双子峠を舞台に、銀色の毛並みの秋田犬「銀」が隻眼の殺人熊「赤カブト」をすべく、全国にいる猛者を集める旅にでる。旅を続け、数々の戦いを重ねるたびに真の漢として成長していく銀が、次々と仲間を増やし、犬vs熊の壮絶な決戦へと挑む。主人公銀が、数々の困難を乗り越えていく姿や、作中に登場する犬達の漢気あふれる姿に読者自身がとても勇気をもらえる作品。

『銀牙―流れ星 銀―』の概要

『 銀牙ー流れ星銀ー 』 は、1983年~1987年に『週刊少年ジャンプ』にて高橋よしひろが連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。1986年に連載終了したものの、続編やスピンオフを重ね、現在は『週刊漫画ゴラク』にて、銀牙シリーズ最終章『~銀牙伝説~レクイエム』が2024年1月より連載がスタートした。『銀牙ー流れ星銀ー』 の連載開始から実に40年にわたり銀牙シリーズが連載されている。日本では、1987年4月~1987年9月まで、全21話で「赤カブト編」のみ、アニメ化されている。海外人気も高く、米国や北欧でもまた、1990年頃までにアニメ化やビデオが発売されている。特に、フィンランドでの人気が高く、ムーミンと並ぶ人気を博している。また、日本ではミュージカル化もされ多くの、各世代の人々から愛されている作品である。
虎毛の熊犬として、生まれた「銀(ぎん)」が、全国各地から、仲間を集めて隻眼の殺人熊「赤カブト」を倒すため、立ち向かう。高橋よしひろが犬達の会話を視覚化し、漫画やアニメを通して、愛・友情・勇気・絆、生命の生と死を描き、読者に感動を与える。また、登場する犬達は熱血で熱い魂を持っており、その姿から逆境に立ち向かう勇気をもらえる作品となっている。

『銀牙―流れ星 銀―』のあらすじ・ストーリー

赤カブト編

旅立ち

スキー屋のロッジを家族で営む「大輔(だいすけ)」の家に、1匹の虎毛の秋田犬が誕生した。大輔はその銀色の毛並みから「銀(ぎん)」と名付けられた。銀は、隻眼の殺人熊「赤カブト」討伐に執念を燃やす狩人「竹田五兵衛(たけだごへい)」に引き取られ、一人前の熊犬になるため過酷な訓練を重ねていく。村長の息子「秀俊(ひでとし)」やその相棒犬「ジョン」と出会い、成長した銀は、ある時、大輔と山を歩いていると、赤カブトを倒すため集まった野犬の集団と出会う。そして、集団をリーダーである小隊長の「ベン」に戦える漢であることを証明した銀は、ボスと会うことを許される。しかし、銀はボスの正体に驚愕する。
なんと、その集団のボスは、かつて赤カブトに殺されたと思われていた自分の父親「リキ」であった。リキは赤カブトとの戦いで記憶を無くしており、銀のことを覚えていなかった。銀は、赤カブトを倒すためを軍団へ入ることを決意する。ベンの計らいもあり、軍団への加入を認められる。
そして、赤カブトを倒すため、全国から仲間を集め再び、集結せよとのボスの号令がかかる。旅立ちの前夜に、親友である大輔や五兵衛に銀は、別れを告げ、全国各地から最強の漢たちを集めるべく、第一小隊長「ベン」、第二小隊長「グレート」、第三小隊長「スミス」とその仲間たちとともに日本を駆け巡る旅が始まった。

猛者たちとの戦い

最初にベンの故郷である山梨県を訪れ、「魔犬甲斐の三兄弟」の異名を持つ「長男:赤虎(あかとら)」「次男:中虎(ちゅうとら)」「三男:黒虎(くろとら)」を仲間にした。
次に、3兄弟となわばり争いをしているという「モス」という漢の元へ向かった。モスは霞岳を拠点にしている50匹ほどの群れのボスだった。モスを仲間にしようと考える銀達であったが、奥羽軍司令官「スナイパー」と配下の「ハイエナ」に妨害されてしまう。しかし、最後にはベンとモスの一騎打ちによりベンが勝利し、モスを含めその配下たちが奥羽軍の仲間になる。
霞岳を後にした、銀達はベンの旧友である伊賀忍犬総帥「赤目(あかめ)」を仲間にするべく三重に向かった。伊賀についた銀達であったが、そこで伊賀忍犬と甲賀忍犬の因縁の戦いに巻き込まれてしまう。その戦いの中で、ベンは毒のついたまきびしを踏んでしまい、失明の危機に陥る。銀は、ベンの代わりに群れのリーダーに抜擢され、甲賀忍犬の首領「黒邪鬼(くろじゃき)」との戦いに挑む。黒邪鬼との戦いに勝利し、甲賀との因縁に決着をつけた伊賀忍犬衆は「赤目」「陣内(じんない)」「霧風(きりかぜ)」を筆頭とする伊賀忍犬4匹と甲賀忍犬7匹の11匹の忍犬を仲間にした。また、黒邪鬼に自分の妻子を殺され、黒邪鬼へ復讐するために、甲賀にやってきていた「ウィルソン」と、銀が旅立った後、リキとの一騎打ちに敗れ正式に奥羽軍へ加入することになった「ジョン」が新たに戦列に加わった。
サーカスの一員として、全国を回っていたウィルソンの情報で、四国に「土佐闘犬(とさとうけん)」という最強の漢たちがいることを知った銀は、四国へ向かうことを決意する。四国へ泳いで渡るため、海に到着した銀達であったが、銀は傷ついたベンをモスやクロス達に頼み、ジョンやウィルソン、赤目をはじめとする数匹だけで四国へ渡った。四国では、再びスナイパーが立ち塞がるも、銀がスナイパーを打倒し、闘犬「ムサシ」や山賊「ビル」を新たに仲間に加える。そして、ムサシから史上最強の漢「紅桜(べにざくら)」が愛媛の宇和島にいることを聞いた銀は、宇和島に向かう。その頃、ベン達は北に向かった部隊が全滅した知らせを聞き、北の部隊を助けるべく北に向かっていた。途中、ベンを目の治療のため元飼い主の元へ送り届け、一時的にモスが北へ向かう部隊のリーダーとして歩みを進めていた。宇和島に渡った銀は、紅桜との決闘の末、紅桜を説得し、仲間に加えることに成功する。そして、クロスによりベン達のことを聞いた銀は、軍団を2分し九州の制圧をジョンやウィルソン、ムサシとビルを中心とした200頭余りに任せ、残りはモス達を助けるため北上することを決めた。そして、ベンとの子供を身籠っているクロスを四国で新たに仲間になったオリバーに託し、歩みを進めるのであった。
先に北に向かったモス達であったが、陸奥四天王「如月(きさらぎ)」「卯月(うずき)」「水無月(みなづき)」「葉月(はづき)」の罠にはまり消耗戦を強いられていた。ベンが助けに現れるも、元奥羽軍第5小隊長の「テリー」によって妨害されてしまう。しかし、テリーは奥羽軍を裏切っていなかった。テリーは奥羽軍を助けようとして如月に殺されてしまう。テリーの死によって、遅れて合流した銀達を含む奥羽軍と陸奥四天王の戦争が幕を開けた。戦いの最中に、数頭の熊が現れ、テリーの屍を食い荒らし、如月は子供を殺される。その光景を目の当たりにした犬達は戦争を中断し、一丸となって熊たちを倒すことに成功する。そして、新たに陸奥四天王とその配下たちを仲間に加え、奥羽を目指し帰路についた。
帰り道に、「白狼(はくろう)」率いる北海道の野犬集団も仲間に加わり、さらに軍団を拡大する。九州へ向かったジョン達もまた、「大門(だいもん)」「羅王(らおう)」「ヘンリー三世(さんせい)」「黒マムシ」「ハリケーン」「ベム」を仲間に加え、決戦の地、奥羽へ向かっていた。

赤カブトとの最終決戦

北と南から、総勢1800の軍団がリキの元へ再び集まった。そして、赤カブトの最終決戦が始まった。赤カブトは、4つの砦を築いておりそれを崩すための作戦として3部隊ずつ各砦に配置された。銀は、赤目、スミスとともに決死隊として抜擢され赤カブトの片腕「マダラ」とその配下の熊たちとの戦いに挑む。この戦いで霧風を含む多数の犠牲を出しながらも最後は、銀がマダラに止めを刺した。リキは、単独で赤カブトの首を狙い双子峠の裏側から回り込んでいたが、赤カブトに行動を読まれ、木の下敷きにされてしまう。ベンは、再び目の後遺症を再発してしまい部隊から外されてしまう。しかし、命令を無視しボスの後を追う途中に、スナイパーが現れ、目の見えないベンはスナイパーを道連れに崖下へ飛び込んだ。銀達は、次に隻腕の「モサ」と対決していた。モサに追い詰められる銀であったが、ハイエナによって助け出されたベンが合流し難を逃れる。紅桜は、モサを沼へ引きずり込み自分の命と引き換えにモサとの戦いに決着をつけた。そして、迎えた赤カブトの最終決戦。リキは赤カブトの戦いで記憶を取り戻していた。赤カブトの戦いが激化していく中で、赤虎は胸を引き裂かれてしまう。しかし、最後の力で残っていた赤カブトの片目を潰して絶命する。赤カブトへ止めを刺すため、リキは、銀へ必殺技を伝授する。その名も「絶・天狼抜刀牙(ぜつ・てんろうばっとうが)」。リキと銀の必殺技が炸裂し、銀達が戦っていることを察知し駆けつけた竹田五兵衛の手によって赤カブトは倒れた。しかし、絶命したはずの赤カブトが蘇った。不意を突かれたリキは、致命傷を負ってしまう。銀は、再び絶・天狼抜刀牙を繰り出し赤カブトの首を跳ね飛ばした。そして、銀達の戦いは終わり、銀は2代目奥羽軍総大将として双子峠に犬達の楽園を築いた。

八犬士編

天狼星八犬士編

赤カブトとを倒し平和な日々を送っていた、銀達の元に「ビル」と「ベム」が何者かに襲われ亡くなったという知らせを受ける。そして、銀達の元に狼族の「烈牙(れつが)」が現れる。烈牙は、絶の抜刀牙を使うものがいるいう噂を聞きつけそれ確かめるため姿を現したのだ。烈牙の使う「烈・幻夢抜刀牙(れつ・げんむばっとうが)」により、銀は敗れてしまい、クロスとその子供たちが誘拐されてしまう。そして、クロス達を助けるため、狼族の根城である富士の樹海へと銀やベン、赤目・中虎・黒虎の5頭が向かった。銀達が到着すると、皆既日食が起こり、八犬士と狼族が姿を現す。そして、クロス達を助けるための戦いが幕を開ける。「烈・幻夢抜刀牙」の使い手「烈牙」「滅・変異抜刀牙(めつ・へんいばっとうが)」の使い手「氷魔(ひょうま)」、「襲・突槍抜刀牙(しゅう・とっそうばっとうが)」の使い手「襲牙(しゅうが)」、「乱・蛇流身抜刀牙」の使い手「百鬼牙(ひゃっきが)」、「斬・飛翔分身抜刀牙(ざん・ひしょうぶんしんばっとうが)」、「砕・雷針抜刀牙(さい・らいしんばっとうが)」の使い手「砕牙(さいが)」、「撃・閃通臀抜刀牙(げき・せんつうひばっとうが)」の使い手「武痕牙(ぶこんが)」、八犬士の師匠である「呪(のろい)」、狼族のボス「霊魔(れいま)」、中虎に仲間を集結させるように奥羽へ走らせると八犬士が襲い掛かってきた。戦いの果てに、黒虎・赤目・ベンの3頭は「乱・襲・撃」の抜刀牙の使い手を倒し、それぞれの抜刀牙を自分のものとした。そして、銀は「絶・天狼抜刀牙」で霊魔と戦い、霊魔から抜刀牙を習得した者たちは、八犬士の血を引き継いでいること聞かされる。そして、ビルとベムを殺した犯人が霊魔率いる「天狼星八犬士(てんろうせいはっけんし)」ではなく、「暗黒の八犬士(あんこくのはっけんし)」の一団であることや呪が霊魔を裏切っていることが判明した。また、絶の八犬士であり、呪の裏切りを一番に察知し霊魔の元を離れていた「風牙」が登場し、風牙がリキに抜刀牙を伝授したことが銀に伝えられた。自分たちの仲間を殺したのが、暗黒の八犬士であることが分かった仲間の仇をうつため銀達は霊魔たちと手を組み、暗黒の八犬士討伐へ向かうのであった。

暗黒の八犬士編

霊魔の案内の元、銀達は暗黒の八犬士の本拠地である、北海道の火山地帯の入り口である洞窟付近まで来ていた。銀達の前に門番の「千龍牙(サウザンドドラゴン)」とその配下の狼たちが現れる。しかし、烈牙がおこす竜巻により敵の戦士たちが一掃されると、千龍牙は霊魔に食らいつき、そのまま洞窟の中へ引きづり込んでいった。霊魔を追い洞窟の中へ入った銀達であったが、そこには「暗黒の八犬士」を名乗る「ブラックスネーク」「ゴールドアイ」「レッドブル」「ホワイトタイガー」「ビッグホーン」「ボブキャット」「マウンテンバイソン」「ピンクドラゴン」と呪の兄「呪牙」、ボスの「ガイア」が待ち受けていた。そして、お互いに同じ名を持つ八犬士同士が対決する。戦いは天狼星八犬士が暗黒側に次々と勝利を収めていった。呪牙により瀕死の重傷を受けるも、風牙の死により再び蘇り、呪牙を打ち倒す。そして、ボス「ガイア」との最終決戦。ガイアの異常な強さに天狼星八犬士は全く歯が立たず、霊魔は片脚をかみ切られ、雷牙は首を跳ねられ殺されてしまう。仲間の危機を救うべく銀が立ち上がり、最後の絶・天狼抜刀牙によりガイアに深手を与えることに成功する。しかし、それでも立ち上がるガイアに再び窮地に追い込まれる銀達であったが、火山の噴火活動が始まったことで、霊魔がガイアを道連れに火山の噴火に巻き込み戦いに終止符を打った。暗黒の八犬士の本拠地も噴火により崩壊し、行き場を無くした狼族たちは、銀とともに奥羽の楽園でともに生活することになったのだ。

『銀牙―流れ星 銀―』の登場人物・キャラクター

主人公

銀(ぎん)

CV:山田栄子
今作の主人公であり虎毛の秋田犬。父犬「リキ」・母犬「富士(ふじ)」の間に生まれる。生まれて間もなく、狩人の「竹田五兵衛」に引き取られ、過酷な訓練に受け、虎毛の熊犬として成長を果たしていく。あるとき、山で打倒赤カブトを目的とする奥羽軍と出会う。銀は、打倒赤カブトのため奥羽軍へ加入する。そして、奥羽軍のボスにして、銀の父であるリキの命を受け、全国各地から仲間を集める旅にでる。旅を経て成長した銀は、赤カブトとの最終決戦では父から教えられた必殺技、「絶・天狼抜刀牙」により赤カブトとの戦いに終止符を打つ。そして、2代目奥羽軍総大将となる。

奥羽軍メンバー

リキ

CV:銀河万丈
初代奥羽軍総大将であり、銀の父。赤茶色の毛並みが特徴の秋田犬。幼い銀を守るため赤カブトと戦うも、赤カブトに谷底へ突き落され、命を取り留めるも、奥羽軍結成以前の記憶を無くしてしまう。打倒赤カブトに命を懸けており、部下に全国から仲間を集めてくるように号令をかける。奥羽軍が仲間集めをしている間は、奥羽軍の集結場所を一人で赤カブトの配下たちから守り抜いていた。奥羽軍の絶対的リーダーとして、赤カブトとの最終決戦では精神的支柱となり奥羽軍を支える。最終決戦の最中に記憶を取り戻し、銀が自分の息子であることを思い出す。そして、銀に「絶・天狼抜刀牙」を伝授し、最期は蘇った赤カブトに体を引き裂かれ、絶命する。死んだあとは、埋葬されることなく、生前の姿を保ったまま、奥羽軍の本拠地に祀られている。

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