文豪とアルケミスト(文アル)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『文豪とアルケミスト』(略称:文アル)とは、「文豪」を題材にした育成シミュレーションゲームである。開発・運営は、ゲームプラットフォームのDMM GAMESである。2016年11月にブラウザ版がリリースされ、翌年の2017年6月にスマートフォン版の配信が開始された。大正ロマンとスチームパンクを基調にした現実とは異なる歴史を歩んだ日本を舞台に、物語を展開していく。侵蝕者と呼ばれる敵から文学を守る為、プレイヤーは文豪達を転生させ、彼らと共に侵蝕者達と戦っていく事となる。

研究報告書

報告書実装の告知画面。

2019年2月13日から実装されたシステム。プレイヤーの日々の活動を「研究報告書」としてまとめておけるようになっている。「司書室」の画面から選択できる。
画面内には自分の司書としての名前やレベル以外に、お気に入りの装象や各イベントに参加した際に貰える判、一言コメントを載せる事が可能だ。「編集」ページで編集した報告書は、その後、ランダムで他のプレイヤーの下に届けられる。他プレイヤーの報告書は、同画面内にある「報告書」の項にて確認が可能。

内装

内装の1つ「新冬」の内装の実装告知画面。

司書室の模様替えができるシステム。「司書室」の画面から選択できる。模様替え用のアイテム・内装品の入手には、金貨が必要。なかには「内装許可証」と呼ばれる特殊アイテムが必要なものもある。イベントやグッズ購入特典、期間限定で入手できる内装品も存在しており、都度新たなものが追加されている。

『文豪とアルケミスト』の登場人物・キャラクター

新思潮派(しんしちょうは)

東京大学(略:東大)の作家志望者であった学生達の間で生まれた派閥。明治40年頃に、彼らが作り上げた文芸同人誌「新思潮」が名の由来である。ほかにも、新理智派(しんりちは)・新技巧派(しんぎこうは)といった呼び名も存在。当時流行していた「自然主義」と呼ばれる文学の主義に対抗するように誕生した派閥であった事が、これら呼称の理由にある。理知的で、感情よりも作品の技巧を重視した作風が特徴の派閥となっている。

芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

CV:諏訪部順一
大正時代に活躍した文豪・芥川龍之介をモデルにしたキャラクター。純文学の作家であり、代表作に『羅生門』『地獄変』『蜘蛛の糸』などが存在する。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は水となっている。精神状態は不安定。好きな食べ物は、ブリの照り焼き。実在した芥川龍之介自身の好物であったといわれており、『文アル』作中では、自身と同じ新思潮派に属している文豪・菊池寛(きくち かん)とブリの照り焼きを前に話をする回想も存在する。また、同じくモデルとなった芥川龍之介がヘビースモーカーであった為、『文アル』の芥川龍之介にもその設定が取り入れられている。「常に煙を身にまとっているヘビースモーカー」であるとのこと。
どこかドライで飄々とした感じのキャラクターとなっているため、初対面の相手にとっつきにくさを感じさせる事も多い。だが、穏やかな気性のため、人から懐かれやすいタイプでもある。また、少々天然な一面もあり、人の嘘を簡単に信じてしまうような事も多い。ほかにも、人には言わないだけで心の奥底には暗い闇を抱えている模様。
菊池寛をふくむ新思潮派、それから木曜会に属していた文豪達と仲がいい。木曜会は文豪・夏目漱石に教えを乞いたとされる文豪達の集まりであり、芥川龍之介自身も彼を師としていた為、この会に属していたという。このほかにも、作中ではさまざまな文豪と文学論を交わしている姿が見られる。ただし、因縁がある文豪・久米正雄(くめ まさお)と詩人であり小説家である島崎藤村(しまざき とうそん)とは確執があり、あまり交流がない。

谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)

CV:岡本信彦
大正から昭和にかけて活躍した文豪・谷崎潤一郎をモデルにしたキャラクター。純文学の作家であり、代表作に『細雪』『痴人の愛』『春琴抄』などが存在する。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は水となっている。精神状態は安定。
我の強い文豪達の中では珍しい、礼儀正しい人物だ。見た目の色男さも相まって、美しい紳士に見えなくもないが、実はとんでもないマゾヒストというキャラクターになっている。モデルとなった谷崎潤一郎の作品内に、度々特殊な性癖が出てきていた事が、このようなキャラクターになった理由である模様。「女性の美脚に踏まれたい」といった願望を持っており、もし再び転生するような事があれば今度は「女性靴になりたい」と願っている事も明かされている。戦闘中も攻撃を受けると恍惚とした声をあげる。友人である文豪・佐藤春夫も、彼のマゾヒスト性は理解できないらしく、作中で度々ドン引いていた。
師である文豪・永井荷風(ながい かふう)の事を心から尊敬しており、彼と共に過ごしている回想が多い。

松岡譲(まつおか ゆずる)

CV:岸尾だいすけ
大正から昭和にかけて活躍した文豪・松岡譲をモデルにしたキャラクター。純文学の作家であり、代表作に『漱石先生』『法城を護る人々』『地獄の門』などが存在する。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は土となっている。精神状態は、やや安定。
穏やかな雰囲気の青年キャラクターで、物腰も柔らかく、どんな相手に対しても紳士的に振る舞う気遣い上手である。その性質が災いしてか、面倒事に巻き込まれやすい苦労人。骨董品や古書に詳しい。
新思潮派に属する文豪達は大事な文豪仲間である模様。なかでも芥川龍之介・菊池寛とは気心が知れた間柄だ。ただし、同じく新思潮派の文豪である久米正雄とだけは、生前の因縁から複雑な関係にある。和解はしているため、松岡譲自身は他の文豪と同じく久米正雄と接しているが、久米正雄の方は彼に対する負い目を感じてしまっている模様。
師である夏目漱石のことを「漱石先生」と呼んで慕っており、彼の教えを後世に残していく事を使命として自身に課す。

山本有三(やまもと ゆうぞう)

CV:松本保典
大正から昭和にかけて活躍した文豪・山本有三をモデルにしたキャラクター。純文学の作家であり、代表作に『女の一生』『路傍の石』『真実一路』などが存在する。歌舞伎の劇作家として活躍していた事もあってか、『文アル』作中では歌舞伎役者が演じる女性のような話し言葉を使う。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は火となっている。精神状態はやや安定。
色黒で金髪と見た目は派手だが、実は人の相談に乗る事が上手い気さくで真摯なキャラクターとなっている。自分自身の考えを強く持っている事も、相談に乗るのが上手い理由である模様。人生論を語って相手を諭す事もあれば、明るく相手の背中を押してやる事もある。負けず嫌いなのは玉に瑕だが、それ故、どんな逆境でも頑張り抜く強い意思と力を持つ。
新思潮派の文豪達との仲はおおむね良好だが、久米正雄とは生前の因縁もあって接する際に少々ぎくしゃくした空気になってしまう。ほかの文豪達との交流もはかっており、なかでも童話作家達からの人気が高い。モデルとなった文豪の山本有三が、教育に熱心で、子ども向けの教養書を制作したり自宅を子ども達が本を読める場所として解放していた為、この事が理由のキャラクター付けと推測される。

久米正雄(くめ まさお)

CV:吉野裕行
大正から昭和にかけて活躍した文豪・久米正雄をモデルにしたキャラクター。純文学の作家であり、代表作に『受験生の手記』『破船』『手品師』などが存在する。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は風となっている。精神状態はやや不安定。
公式いわく、「微笑みとも苦笑ともつかない笑い」を常にたたえているキャラクターとのことだ。このような笑みを浮かべているのは、彼自身が生前の行いでさまざまな文豪との関係に亀裂を生んでいる事が原因と推測される。なかでも、生前に才能の差で嫉妬していた相手・芥川龍之介とは、転生後の作中でも複雑な関係にあり、関わるのを避けている。芥川龍之介の方も久米の心情を理解しており、彼と関わらないようにしている模様。また、これら人間関係が起因してか、自己を見下した表現をする事も多い。文豪としての才能も実力も確かなものだが、こうした卑屈な性格が災いして鬱屈とした文豪になってしまったようだ。小説以外にも戯曲や翻訳の仕事もこなせる器用さがあり、『文アル』公式からも「器用貧乏」といわれている。
新思潮派の者達との関わりは深いが、前述した過去の生前の亀裂が原因で、『文アル』作中では新思潮派の1人・菊池寛以外との仲は複雑な模様。どちらかといえば、新思潮派以外に属する文豪達との会話の方が多い。

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