お兄ちゃんとは違った切り口!ドラミちゃん主演映画!

ドラえもんの妹、ドラミちゃん。お兄ちゃんほど出番のない、それでいて「頼れる脇役」といった彼女ですが、実はかつてのドラえもん大長編では「同時上映作品」の主役を張っていました。ドラミちゃんが主役の映画はほんの数本ですが、『ドラえもん』とはまた違った楽しみ方ができることと思います。今回は、その主演映画をご紹介します。
同時上映って…?
飽くまでメインは『ドラえもん』。つまり、『ドラえもん大長編』の後に、続けて上映された作品ということです。
『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』(1989年)

あらすじ:時は2011年。のび太の机は「ボロ机」と呼ばれながらも、息子ノビスケのものとなっていました。その引き出しが、十数年ぶりに時空を移動する超空間と繋がり、一つのボールが飛び出してきます。ガキ大将ノビスケは、身に覚えのないボールをジャイアンの息子とは思えないほど気弱なヤサシに押し付けるのですが、中に入っていたのは「ミニドラ」。「返品しなくてはいけない」ミニドラですが、「面白そうだし、『ひみつ道具』で遊んでみよう」となります。ドラミちゃんと少年たちの追いかけっこは意外な方向へ…。
火のついた少年たちの「冒険心」

大長編でパパたちがどんな苦労をしたかも知らず…。
現実の21世紀よりも科学文明は進んでいますが、それでもまだネコ型ロボットや、ひみつ道具の類は開発されていないご様子。父親となったスネ夫(息子の名はスネ樹)はミニドラを見て「懐かしいな、ドラえもんじゃないか」とかつての冒険談について語ります。「ママ~!」と泣き叫んでいたことは伏せて。とはいえ、「ポケットからなんでも出せる」ことを知った少年たちは、「じゃあ、さっそく…」となるのですが、ご承知の通り、ミニドラは出す道具もミニサイズ。それでも使い道を工夫すれば結構楽しく遊べるものと分かり、ドラミちゃんの目的を知りつつもノビスケ達は「もう少しミニドラと遊びたい」と、こっそり隠そうとし、果ては逃亡を図ります。
シリアスに「道具」の危うさを語る

どら焼きあげると道具を出してくれます。
『ドラえもん』本編や大長編ではそれなりに活躍(ドラえもん直したり)するミニドラですが、今作では「どら焼きがないとただの赤いチビロボット」です。しかし、なまじひみつ道具を持っているがために危険な存在でもある。ドラミちゃんはそんなミニドラを回収するためこの時代に来たのでした。回収しなくてはならない理由。それはミニドラ、というよりもひみつ道具の危険性のためです。今作のミニドラは生まれたてで赤ん坊同然。道具の使い方、どら焼き好きということはプログラムされているようですが、善悪の区別や状況把握能力が備わっておらず、どら焼きを与えられれば言われるままに道具を出してしまうのです。

道具は使いよう。
『ドラえもん』本編を見れば、ひみつ道具の使用方法を誤ることの恐ろしさは十二分にわかること。本編ではコメディタッチに描かれている「道具の危険性」を、今作ではシリアスに描いています。ミニドラそのものが一種の道具のようでした。「どら焼きがないと、何も出してくれない」という設定が、何だか意味深です。
大人になった「のび太」たち

で、何でノビスケの部屋にミニドラが送られてきたかというと…子供時代ののび太のせいです。のび太がミニドラを注文したのですが、字がへたくそすぎて配達員が「もういいや」と超空間にポイ…しかし、そんな少年時代のポカを埋めるべく、また息子を助けるべく父親になったのび太が「助ける案」を出す。普段は気弱なヤサシをどやし、息子を泣かせたノビスケに「鍛えてやって!」と言うジャイアンですが、涙もろい性格は変わっておらず、息子の危機に涙します。逆にスネ夫は泣いていませんでしたが、うろうろと落ち着かない様子でした。大人になった部分、変わらない部分が描かれており、危機に瀕した少年たちを救うべく知恵を授けます。
「道具」を知り尽くしたのび太パパ

作中、もっとも「道具」の恐ろしさを知る男
この時、ひみつ道具ではない「ある道具」が使われます。ひみつ道具の酸いも甘いも味わい尽くしたのび太だけに、巧妙に道具を使い、息子たちを助けようとするのです。「さすが、ドラえもんスピンオフ!」といった感じです。
『ドラミちゃん・アララ少年山賊団』(1991年)

もう一人の「ダメ先祖」
あらすじ:セワシの先祖の中に、「のび太以上にドジな者がいた」ということが分かりますが、その先祖、のび平が山賊に襲われている最中、調査ロボットのアララが帰ってきてしまった!ドラミちゃんは調査も兼ねて戦国時代へ赴くこととなりました。領主の家に奉公しているおしず曰く村は日照りのせいで凶作が続き、村を捨てたものもいるとのこと。しかも山賊まで出る…その正体は、「村じゃ食べていけないから」と少年山賊団を結成し、暮らしていた子供たちでした。その中に、襲われていたはずののび平も加わっていたのです。
見守るドラミちゃん・のび平にあげた「道具」
Related Articles関連記事
ドラえもん(Doraemon)のネタバレ解説まとめ
1969年から藤子・F・不二雄が小学館の学習雑誌(『よいこ』『幼稚園』『小学一年生』から『小学四年生』)にて連載を開始したマンガ及びアニメ化、ゲーム化された作品。 悲惨な人生を送り、玄孫の代まで借金を残した野比のび太を助けるために22世紀の未来からやってきたロボット・ドラえもんと、ドラえもんが持ち出す未来の道具・ひみつ道具が起こす騒動を描く。 1996年、藤子・F・不二雄の死去に伴い絶筆。
Read Article
ザ・ドラえもんズ(ドラズ、ドラドラ7)のネタバレ解説まとめ
『ザ・ドラえもんズ』は、永遠の友情を誓い合った、ドラえもんたちネコ型ロボット7人が繰り広げていく物語。それは時に感動を呼び、時にアクロバティックであり、時にドタバタコメディとなる。それらの冒険活劇は時にはメンバーの特殊能力で、時には機転で、そして何よりも、特別なひみつ道具「親友テレカ」に象徴される7人の友情によって解決されていく。
Read Article
STAND BY ME ドラえもん(スタンド バイ ミー ドラえもん)のネタバレ解説まとめ
国民的アニメのドラえもん。漫画家の藤子・F・不二雄の作品で、1969年に漫画の連載が始まり、1973年に初のテレビアニメが放送される。1980年に初めて映画化され、これまでに37作品が公開されている。映画「STAND BY ME ドラえもん」は初めての3D映像で作成され2014年に映画公開されており、ストーリーは、ドラえもんとのび太の出会いや幻の最終話などの7種類の原作エピソードが描かれている。
Read Article
漫画「ドラえもん」の失言&暴言&その他爆笑発言まとめ
お馴染み「ドラえもん」ですが、テレビアニメの「ドラえもん」と漫画の「ドラえもん」は、実は全く異なる発言をしているってご存知でしたか(我らがBPO様による厳正なる監修故)?今回はそんな漫画「ドラえもん」で描かれている、ありのままの「ドラえもん」のコマシーンを抜粋しまとめてみました。
Read Article
漫画「ドラえもん」のび太(へ)の失言・爆笑発言等まとめ
先日はドラえもんの面白発言をまとめてみましたが、のび太の発言も見逃すわけにはいきません!なので、今回はのび太の思わず笑ってしまうセリフやとんでもない失言、またのび太に対する周りの人の発言などを集めてみました。のび太といえど、侮る事なかれーーです!
Read Article
「ドラえもん」もはやふざけている!?「ひみつ道具」たち
大人気国民的アニメ・漫画「ドラえもん」に出てくる「ひみつ道具」たちは、どれも魅力的なものが多いですよね。「どこでもドア」や「タケコプター」など、人間なら誰しもが欲しい!と思うものばかりです。しかしながら、そんな中にもやっぱりあったのが「ふざけてるひみつ道具」です。これが蓋を開けてみると酷く、そして大量にあったので、まとめてみました。
Read Article
いかにして便利さを封じるか?『ドラえもん映画』における「道具が使えない」状況まとめ
大長編『ドラえもん』の持ち味の一つとして、「道具が使えない」という事態に陥ることがありますね。「どうしてそうなった」のか、まとめました。
Read Article
違った意味でかっこいい「映画ジャイアン」が拝める『がんばれ!ジャイアン!!』
「映画になると途端にいい人になる」のが定番のジャイアン。大概、主力を担ったり兄貴分的部分を見せ、男らしい意味合いでのカッコ良さを見せてくれますが、この作品では通常の「映画ジャイアン」とは違った一面を見せてくれます。それ即ち、「兄」としての側面です。
Read Article
タイムパトロールさんこっちです!『ドラえもん』の歴史に関する違反行為
ドラえもんがのび太の所に来たって時点で既に違反ではないか、との声がよく聞かれますが、それ以外にも結構「歴史改変してないか、おい」と言いたくなる行為が見受けられます、ドラさん。
Read Article
意外と恋多きネコ型ロボット、ドラえもんの恋のお相手まとめ(ネタバレあり)
ドラえもんと言えば頼れるのび太の保護者役。かと思いきや結構毒は吐く、のび太と一緒にいたずらもする、「ネコ」で「ロボット」なのに人間の女性アイドルに入れあげたりもします。もっとも聖人君子じゃありませんし、四六時中のび太のことを考えたりもしていられません。むしろのび太のお守りで苦労しているし恋くらいしたって許される、うん。ただお相手が多すぎる気もしますが。
Read Article
天使か悪魔か何者か!?タダモノではない幼女、少女たち
少女や幼女、それは庇護されるべき存在。まるで天使のような存在。しかーし!漫画、アニメなど創作の世界にはいるんです。侮ってはいけない天使たちが…一部は小悪魔と言っていいかもしれません。
Read Article
シチュエーション別!ぐっとくる漫画の名言【前向きになりたい時】
大人から子どもまで、みんな大好きな漫画。漫画を読むことでいろんなものを吸収したり、人生に影響を受けた人も多いのではないでしょうか?今回は、「前向きになりたい時に背中を押してくれる名台詞」を集めてみました。ここにあなたの背中を押してくれる、素敵なことばがあるかもしれません!
Read Article
一度は遊んだ?最近のドンジャラ
その昔はポンジャンとも呼ばれておりました。 たぶんドンジャラの方が通りが良いでしょう。 そう、あの麻雀っぽいゲームです。 2010年でドンジャラ生誕30周年だったそうですよ。
Read Article
漫画「ドラえもん」の名言から悟れる大事な事
漫画「ドラえもん」では、アニメとは違い失言や暴言がかなり目立ちますが、いいこともたくさん言っているのです。今回はそんな漫画「ドラえもん」に出てくる、心にじ〜んと来る名言をまとめてみました。非常に奥深く、なにかを考えさせられますよ。
Read Article
《基地外》日本▶︎中国化したキャラクター達の豹変変貌まとめ
日本の大人気アニメや漫画は、その注目度ゆえパロディや真似されることが多々あります。そんな中みなさんご存知中国では、とんでもない容姿に豹変してパクられています。今回はそんな中国化した日本のキャラクター達の豹変ぶりをまとめてみました。
Read Article
ドラえもんズとも共演!ドラミちゃんの違った面が見られます!
声優交代の前に、『ドラえもんズ』という作品があったのを覚えておられる方も多いと思います。ドラえもんを食うほどキャラが濃いせいか、「もともと原作にはないから」と消されてしまった彼らですが、同時上映やスペシャルアニメ等で主役を張ったり、ドラミちゃんと共演していました。「頼れる」お姉さん的なドラミちゃんが、なんだか違ったキャラに見えます。いい意味で。
Read Article
誕生日のたび何かあるネコ型ロボット、ドラえもん
2112年9月3日。それはドラえもんの誕生日。そして2016年、ドラえもんは、何と年男!しかし、ここ数年誕生日の度いろんな目にあっているような…。
Read Article
ドラちゃんその他どーしたの!『ドラえもん』映画の迷シーンまとめ
感動と笑いとトラウマを提供してくれる『ドラえもん』映画ですが、名シーンではなく迷シーンを集めてみました。物凄い私見ですが。
Read Article
「異質」な割に身近なものが大好き?ドラえもん系キャラの好物をまとめてみた
「異質の存在が居候」という意味合いでの「ドラえもん」キャラ、多いですよね。藤子キャラも含めたそうしたキャラの「好物」について探ってみました。
Read Article
『ケロロ軍曹』ケロロ小隊とアクが強くて愉快な関係者たち
地球侵略者との友情をコミカルに、鋭い突込みやパロディ、お色気を交えて描き人気を博した『ケロロ軍曹』。一時期は専門雑誌まで作られたこの作品を彩ったアクの強い主要人物をまとめました。
Read Article
どうなる?『ドラえもんのび太の日本誕生』リメイク
2016年の『ドラえもん』映画は『日本誕生』のリメイクだそうです。ドラえもん映画屈指のトラウマシーンや、精霊大王ドラゾンビなど見どころ満載のこの映画、どんな風になるのやら?変更点も込みです。
Read Article
『ドラえもん』の「ほしくない」道具
「どらえもんで、ほしい道具は?」たまに耳にする言葉ですが、逆に「これだけは絶対いらない!ポケットごと作品に出た道具全部もらえるとしても、これだけは絶対に捨てる!」というような道具も多々あります。程度の差こそあれそんな「いらない」道具の数々、ご覧下さい。
Read Article
あんな事こんな事やりたいやってみたい!絶対手に入れたいドラえもんの道具10選
ドラえもんの秘密道具、もし手に入れられたらどの道具を選びますか。 人気の高い道具をまとめてます。
Read Article
《閲覧注意!》ネット検索危険ワードまとめ(都市伝説エンタメ編)
ネットの検索エンジンは、毎日誰もが利用している便利なものですよね。日々、その技術は進歩し、検索キーワードによるサイト・画像の選別機能もまた確実なものとなりました。しかしそんな中、検索すると危険な画像・文章が上がってきてしまう検索キーワードなどが存在します。それは、「※きちんと検索しないと表示すらされない」ので、まさにアングラそのものです。
Read Article
ファミコンの説明書がカオス状態な件
今の若い方は知らないかもしれませんが、ゲームが開発された初期の頃にはファミリーコンピューター(通称ファミコン)主流でした。ソフトの他に箱、そして今ではゲーム内で操作説明をするために極小あるいは完全になくなってしまったものもありますが、長ったらしい説明書が付属してきました。そんなファミコンの説明書が、もちろん昔はそうではありませんでしたが、今ではカオス状態になっているのでまとめてみました。
Read Article
遊び心が行き過ぎたアッガイ:ガンプラコレクション
いつの日からか、ガンダムの中でもアッガイに注目が集まるようになりました。その人気ぶり(?)は結構なもので、ガンプラだけでも大変なことになってます(買ってる人マジでそんなにいるの?)。今回はそんなアッガイさんの遊び心が行き過ぎたガンプラならぬアップラをまとめてみました。
Read Article
リメイク版『ドラえもんのび太の大魔境』サベール隊長について
今更感満載ですが、敢えて。『おそ松さん』人気もありますし、トキワ荘出身の巨匠作品のリメイクという意味合いで選びました。原作準拠ということで、旧作アニメのように「犬種違うんじゃね?」と思うようなゴツイ犬ではなく、といって完全なコピーと言うわけでもない。しかもキャラが掘り下げられています。これも、制作側の方針だったようです。(ネタバレあり)
Read Article
平凡な子がヒーローに。『パーマン』
藤子・F・不二雄(以下F先生)作品と言えば『ドラえもん』を含む「異色の存在が居候をする」パターンの他、『世にも奇妙な物語』をほうふつとさせる『異色短編集』が有名。F先生曰く「すこしふしぎ」な「SF」が主流なわけです。その中にあって、パーマンはちょっと特殊かもしれません。
Read Article
大長編『ドラえもん』主役級ゲストキャラまとめ(声優交代前・ネタバレあり)
毎年放送されている映画『ドラえもん』ですが、ゲストキャラの中からその中心というか、のび太やメインキャラの友人的な意味合いで「主役」のような扱いと思われるキャラをまとめました。
Read Article
これぞプロの仕事!アニメにおける、声優さんの職人技!
どの道にもいる、プロ。またの名を「職人」。妥協を許さないその仕事っぷりには、時に声が出なくなるほど感心させられます。声優さんたちの職人技を、いくつかご紹介。
Read Article
先見の明に唸る!ほぼ実現されているドラえもんの道具
漫画連載当初、ドラえもんが生まれた時代は200年も先で、現実には携帯電話すらありませんでした。それが今や、理系の学生が真剣にひみつ道具に挑むように研究したり、今現在普及しているもののいくつかは「これあの道具じゃね?」というものも。藤子・F・不二雄先生、凄いです…。
Read Article
敢えて「わさドラ」と「大山ドラ」を比較する
批判ではなく、作品の微妙な違いを楽しめる、と思ってのことです。(ネタバレあり)
Read Article