ドラえもん のび太とふしぎ風使い(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』とは、2003年に公開されたドラえもん映画作品である。のび太やドラえもん達はある日、風の子供フー子と遭遇する。フー子を広い場所へ連れて行こうとどこでもドアで行き着いた先は風の民の村という草原地帯だった。てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻に収録された短編作品が原案であるものの、本作品の舞台設定等は完全なオリジナルとなっている。また本作品から、絵コンテにおいてデジタル化やCGの起用があり、登場キャラクターや背景の動きが滑らかとなっている。

『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』の概要

てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻に登場したフー子(右)

『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』とは、2003年3月8日に公開されたドラえもん映画作品であり、キャッチコピーは「風のドラえもん、はじまる。」である。てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻に収録された短編作品『台風のフー子』が原案とされており、漫画誌『月刊コロコロコミック』2003年2~3月号に長編漫画として掲載された。
台風一過の翌日、のび太は台風の子供フー子と遭遇し、ドラえもんと共に家で暮らし始める。フー子をもっと広い場所へ連れて行こうと考えたのび太達は、どこでもドアでとある大草原へ向かう。そこは風の民の村であり、そこに住む民であるテムジン達と親しくなる。一方、彼等のもとへ風の民と対立する嵐族の影が忍び寄っていた。
本作品の舞台は、『ドラえもん のび太の大魔境』(1982年)と同じく「地球上の秘境」とされており、ゲストキャラクターのテムジンらの名称や服装等もモンゴルやチベット辺りのものがモデルとされている。

『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』のあらすじ・ストーリー

フー子との遭遇

出典: pbs.twimg.com

のび太(写真左)についてきたフー子(写真中央)

ある山奥で数人の部族らしき集団が、神が眠る聖地と言われている場所にある棺を開く。すると、その棺の中から黄色と青の光が遠くへ飛び出して行き、もう一つの霊魂らしきものも飛び出た後に近くにいたオオカミに乗り移る。
台風一過の晴れた日、小学5年生ののび太の同級生であるスネ夫が、自宅の庭でラジコンを操縦していた。その時、庭の隅で黄色い玉を見つける。スネ夫は台風で飛んできたボールだと思いラジコンでつつくが、その玉から竜巻の様な小さな生き物が出て来る。その風の子によりラジコンを壊されスネ夫は怒るが、自分のものにしようと虫網で捕まえようとする。風の子はその場から逃げて途中でのび太と遭遇、彼が買い食いしていたソフトクリームも取り上げる。風の子は直ぐにソフトクリームを投げ捨て、それがのび太の同級生ジャイアンの頭へ落下する。のび太は運悪くジャイアンとその場で遭遇し、自分がソフトクリームを落としたと疑われる。ジャイアンがのび太に詰め寄り殴ろうとしたところ、風の子がジャイアンを近くのゴミ捨て場へ吹き飛ばし、彼はその場で気を失う。のび太は風の子が助けてくれたものと思いきや、自分も飛ばされる等のイタズラをされる。その上のび太は風の子になつかれたのか、結局自宅まで追い回される。
のび太は風の子が、同居するネコ型ロボット・ドラえもんが出した道具だと考えるが、ドラえもんはそれを否定する。ドラえもんが物体の素性を分析するなんでも分析機で調べたところ、風の子が台風の子供である事が判明する。のび太は台風の子供という事から「フー子」と名付け、共に暮らす事にした。ただフー子が少し動いただけで周りの物が吹き飛んでしまうので、その場で撮ったもののぬいぐるみを作成できるフリーサイズぬいぐるみカメラでぬいぐるみを作り、フー子に着せた。
のび太は小学校の同級生しずかちゃんにフー子を紹介しに行き、彼女は部屋にあったコアラのぬいぐるみをフー子に見せる。のび太がそのぬいぐるみを気に入る様子を見せると、フー子はそれに嫉妬し風で部屋中を吹き荒らす。これに怒ったのび太がフー子を窓の外へ追い出す。フー子がその場からいなくなった事に不安を覚えたのび太が、しずかちゃんと別れた後に探しに行く。ようやく河川敷でフー子を見つけて、仲直りをする。その際にぬいぐるみから出たフー子だったが、その姿を偶然遠くからスネ夫が目撃していた。

風の民との出会い

出典: pbs.twimg.com

ウランダーに取りつかれたスネ夫(写真中央)

翌日、のび太はドラえもんやしずかちゃんと共にフー子をもっと広い場所へ連れて行こうとする。のび太達がどこでもドアでとある大草原へと向かうが、突然突風が吹き、その場にあった洞穴へブラックホールの様に吸い込まれる。着いた先でのび太達は、数人の男達に追われている少女を見かける。一方スネ夫はジャイアンに協力を求めつつ、フー子を捕まえてペットにしようと企てる。そして、フー子がいるであろうのび太の家に行き、彼等ものび太達の後を追い、どこでもドアから洞穴へ吸い込まれる。そしてのび太達がいるところへ着いた矢先、少女を襲撃していた男達の頭上へ落下する。
同時に少女の仲間らしき少年が何人かやって来るが、言葉が通じない。ドラえもんは互いの言葉を通じ合う為にほんやくこんにゃくを出す。追われていた少女の名前はスンであり、駆けつけて来た仲間の一人はスンの兄テムジンだった。テムジンら風の民は代々風を操り生活をしている。ドラえもん達が突風に巻き込まれたのは、風の域に吸い込まれたものではないかとテムジンは話す。またスンを追いかけていたのは、風の民と対立する嵐族であり、いつも乱暴をしているとの事。のび太達は直ぐにテムジン達とうちとけ、彼等が暮らす風の村で楽しい時を過ごした。フー子も風の村を気に入り、のび太達はテムジン達にフー子を預ける事にした。その夜、テムジンが見つけた青い卵からフー子に似た生物・ゴラドが出て来て、そこから遠くへ飛び出して行く。
風の村から帰りのび太達と別れた後も、スネ夫はフー子の事が諦められずにいた。その夜、スネ夫は空地で一匹のオオカミと遭遇する。それは嵐族の呪術師ウランダーの霊魂が取りついたオオカミであり、どこでもドアを通り抜けていた。スネ夫を見るなり格好の餌食だと思い、スネ夫の体に乗り移る。操られたスネ夫は顔つきが変わり目つきも鋭くなり、路上で出会ったジャイアンも妖気で川へ投げ飛ばす。そしてそのままのび太の家に向かい、夕食中ののび太達には忘れ物をしたと言いつつ、二階の部屋に向かいどこでもドアから風の村へ向かう。ウランダーが取りついたスネ夫は、ゴラドを見つけて捕まえる。
翌日、スネ夫がいない事に気づいたドラえもん達は、彼を探しに再び風の村を訪れる。風の村でフー子と再会し「スネ夫がどこに行ったか知らないか」と尋ねるも、フー子は知らない素振りを見せる。するとそこへ、嵐族と共にウランダーに取りつかれ風貌も変わったスネ夫がやってきて、風の村を襲い始める。ドラえもんたちは、吹くと竜巻を起こすたつまきストロー等で嵐族に対抗する。するとウランダーが取りついたスネ夫は妖術で霧を発生して周りの視野を奪い、そのスキにフー子をさらっていく。同時にネズミの幻覚を見せられたドラえもんはその場で気絶、スネ夫と共に行動する嵐族の長ストームにより四次元ポケットを盗まれてしまう。ドラえもん達はスペアポケットを取りに部屋へ戻ろうとするが、どこでもドアも壊されて帰れなくなっていた。

嵐族の洞窟へ

出典: www.siamzone.com

フー子(写真左)を助けようと奮闘するのび太(写真右)

嵐族にさらわれたフー子とジャイアンを助けに行こうとしたのび太達だったが、今行ったら捕まりに行く様なものだとテムジンに止められる。作戦を考えたうえで夜に向かう事となった。
その晩、嵐族が集まる洞窟では宴会が行われ、一同は酒を飲んで大いに盛り上がっていた。ドラえもん達はこっそり忍び込むが、のび太がくしゃみをした事で嵐族に見つかってしまう。彼等から逃げ出そうとした時、しずかちゃんが転んでしまう。彼女を助けようとしたのび太だったが、その場にあった仕掛け穴にはまり落下してしまう。動揺するドラえもん達だったが、「ここは前に進むしかない」と告げるテムジンだった。
向かった先で嵐族の一員に扮したジャイアンと遭遇する。彼はスネ夫をどうにかしようと嵐族に紛れ込んでいたのだ。ジャイアンはドラえもん達を出口へ案内し、「のび太の事も任せろ」と告げ、大風車のある風の村の長老のもとで会う事となった。
一方のび太は、穴から落ちた先でカプセルに閉じ込められていたフー子を見つける。ジャイアンの協力によりフー子を助け出したのび太だったが、道に迷ったうえ、外で吹雪に見舞われる。フー子を守ろうとしつつも、意識が朦朧とする。のび太が気が付くと、目の前に山神ヤークやその仲間達がいた。のび太とフー子は、ヤーク達の毛皮により体を温められ助かっていた。またのび太は、ヤークからマフーガの伝説を語られる。風の民と、風を使って支配を企む嵐族は何千年も前から対立してきた。嵐族の呪術師ウランダーはマフーガという強大な力を持つ化け物を生み出し、大洪水を起こしていた。そこへ風の民の長ノアジンが立ち上がり、ウランダーの横暴を止める。ノアジンは封印の剣で、マフーガを三つに分断し赤・青・黄色の玉に封印した。風の民は三つのうち二つの玉を墓へ納め、もう一つの玉を剣と共に封印した。しかしその後、嵐族により墓が暴かれ、二つの玉が蘇ってしまったとの事だった。それを聞いたのび太は、蘇った二つの玉のうち一つがフー子ではないかと考える。もう一つはどこに行ったかヤークに尋ねると、嵐族のもとに渡ったと答える。ヤークは、最も邪悪な赤い玉にフー子を近づけない様にのび太へ忠告し、のび太はヤークに風の谷まで送ってもらう。その矢先、青い玉から蘇ったゴラドを連れたスネ夫がやって来てフー子を連れ去ってしまう。

封印解除と波乱序章

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マフーガとの戦いを試みるドラえもん(写真右)

ドラえもん達は風の谷へ向かいのび太と合流、のび太はスネ夫にウランダーが取り憑いている事を話す。それを聞いたドラえもんは、聖書に書かれているノアの大洪水を起こそうとしているのではと話す。ノアの大洪水が実際に発生した痕跡も実在しており、マフーガが復活したら大洪水が起こるのではと推測する。
一連の内容を聞いた風の谷の長老は、風の民と協力して風の船を出発させ、スネ夫のいる南の島であるマフーガ島へ向かう。現地へ到着したドラえもんはジャイアンと共にスネ夫の行方を追う。するとスネ夫が、マフーガを封印していた剣を封印の玉から抜こうとしていた。ジャイアンは、スネ夫に元に戻って欲しいという思いで必死で止めにかかる。しかしその抵抗も空しく封印の剣が抜かれて、大きな竜の形をしたマフーガが復活してしまう。封印の剣を抜いた瞬間、スネ夫の体からウランダーの魂が抜けて、彼は我に返った。封印を解かれたウランダーはマフーガの力で世界征服を企てるが、その場にいたストームがスイッチを押すとどんなものでも吸い込む四次元ペットボトルでマフーガを吸い込んでしまう。ストームは22世紀から来た考古学者であり、古文書に記されていた予言の一つである大洪水を実現させるべく、嵐族になりすましていた。マフーガの影響で赤道付近に超大型の台風が発生し、それについてテレビのニュースで報道しており、のび太やスネ夫の母親が不安そうに観ていた。
一方、のび太は嵐族に捕まっていたフー子を助け出し、彼等のもとにあったドラえもんの四次元ポケットも取り戻す。四次元ポケットを取り戻したドラえもんは、空気の衝撃波が発射される空気砲とあらゆる物を大きくできるビッグライトを出す。ビッグライトにより大きくなったドラえもんは、空気砲を手にマフーガを撃つ。これによりマフーガが消えたと思われるも、再生する。その時のび太は、マフーガを剣で三つに分ける封印方法をヤークから聞いたことを思い出す。そこでのび太はテムジンと共にマフーガへ近づき、剣を用いてマフーガを断つ。剣によりマフーガの体が分断され、三つのうち一つであるフー子がのび太のもとへ落下する。しかし他の二つが合わさりまたもマフーガが再生し、一同に為す術が無かった。するとフー子が島の活火山へ向かいエネルギーを集め、上空のマフーガのもとへ突っ込む。フー子は自らと共に、マフーガを消滅させようとしていた。

エピローグ

出典: stat.ameba.jp

ビッグライトで大きくなったドラえもん(写真中央)

フー子はマフーガと共に消滅し、これにより巨大台風も消え去る。同時に、空からフー子が着用していたぬいぐるみがのび太のもとへ落下する。ぬいぐるみを抱えたのび太は、もうフー子はいないと悟り、その場で号泣する。
マフーガが消滅し、目的を失ったストームはタイムマシンで逃亡しようとする。するとテムジンと後を追ったジャイアンが、空気砲を撃ち込みタイムマシンを墜落させる。ストームは未来を変えようとした罪で、駆け付けたタイムパトロール隊により逮捕された。
その後ドラえもん達は、テムジンら風の民と別れを告げ帰って行く。日常の生活へ戻ったのび太は、フー子はいつも自分のそばにいるのだと思いつつ、笑顔を取り戻していた。そして、いつもの空地でドラえもん達と変わらぬ生活を送る場面で、物語は幕を閉じる。

『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ドラえもん

出典: p1-bk.byteimg.com

CV:大山のぶ代
のび太の世話をする為に22世紀からやって来たネコ型ロボットで、のび太や彼の家族と共に暮らしている。お腹の四次元ポケットから出す道具に、のび太は頼ってばかりいる。どら焼きが好物である一方、ネズミが大の苦手である。
のび太が連れて来たフー子に手を焼くも、四次元ポケットの道具を出して提供するといった協力的な一面を見せる。しかし、風の民と対立する嵐族により四次元ポケットを奪われる危機的状況にも見舞われる。嵐族によりマフーガが復活したなかで、のび太が四次元ポケットを取り戻す。そのお陰もあり、ドラえもんは四次元ポケットの空気砲を用いてマフーガへ対抗した。

ドラえもんを演じた大山のぶ代は、1960年代より声優としての活動を開始、テレビアニメ『ハッスルパンチ』(1965年)や『無敵超人ザンボット3』(1977年)等の主人公を務める。そして『ドラえもん』のドラえもん役は当たり役となり26年担当した。

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