ベスト・キッド(The Karate Kid)のネタバレ解説・考察まとめ

『ベスト・キッド』とは、1984年に製作されたアメリカ映画。『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセン監督による、カラテを通して成長していく少年の姿を描いた青春アクション映画。カラテの達人であるミヤギ役のノリユキ・パット・モリタがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。ひ弱な高校生ダニエルは、不良グループに痛めつけられる毎日を送っていた。そんな彼がカラテの達人ミヤギに出会ってカラテを習い始め、やがて少年カラテ選手権大会に出場する。

ハイスクールでのハロウィンパーティの夜、ダニエルはジョニーへの仕返しでイタズラを仕掛けるのだが、怒ったジョニーと不良グループに追いかけられてしまう。そしてダニエルは自宅アパートの近くで彼らに捕まり、集団でリンチを受けるのだが、その様子を偶然見ていたミヤギは金網から飛び降りて、彼らの前に立ち塞がってカラテの構えを見せる。そしてカラテの技でジョニーたちをあっという間に倒してしまう。

ダニエルがミヤギを知るきっかけとなる名シーンだが、ミヤギがカラテの技で相手を倒すシーンは本作中このシーンだけ。そういう意味でも貴重な名シーンと言えるだろう。

「ワックスかける!ワックスとる!」「右手でする! 左手でする!」「アップ!ダウン!アップ!ダウン!」

少年カラテ選手権大会に出場を決められ、いよいよカラテの修行が始まると思っていたダニエル。だが、ミヤギはおいてある数台の車すべてにワックスを掛けろという。「ワックスかける!ワックスとる!」と丁寧なワックスのかけ方を指導される。やっとのことで掛け終わると、次は自宅の床を紙やすりで磨いて欲しいという。「右手でする! 左手でする!」と床を磨き終えれば今度は、「アップ!ダウン!アップ!ダウン!」と囲いのペンキ塗りを命じられる。流石にしびれを切らしたダニエルは、「空手を教えてくれる約束だ!」とミヤギに抗議する。

「ワックスかける!ワックスとる!」「右手でする! 左手でする!」「アップ!ダウン!アップ!ダウン!」というミヤギの教える掛け声は見終わった後も耳に残ってしまう程インパクトが強いセリフ。 ワックスがけ、床磨き、ペンキ塗りで教えた手の動きが、カラテの防御の練習だったというこのシーンは、本作中最も感動を呼ぶシーンであり、映画史に残る名シーンだ。

鶴の技

ダニエルが本格的にカラテの練習に取り組み始めた海辺でのこと、砂浜に突き出た木の上でミヤギが片足で立ちながら奇妙なポーズをとっていた。興味を持ったダニエルがミヤギに聞いて見ると、昔父に教わった”鶴の技”で、この技が身に着けば誰も倒せないという必殺技。ダニエルが教えを乞うとミヤギは「まず立つこと、それから飛ぶ。自然の理だ。」と答えた。

ミヤギがカラテの達人であることを証明するかのような名シーンであり、カモメが飛ぶ浜辺での美しいシーンである。この”鶴の技”が後にダニエルを大会の優勝に導くという伏線ともいえる。

「バランスはカラテだけじゃない…人生すべてだ」”Lesson not just Karate only. Lesson for all life."

ダニエルの誕生日。ミヤギは彼に道着をプレゼントするが、さらに自分のコレクションである高級車の中から1台をプレゼントするという。運転免許を取ったばかりなのに信じられないサプライズで放心状態のダニエル。そんな彼にミヤギは「免許があっても目・耳・頭の代わりにはならん」と言い、「試合や何かが怖いんだ」と不安がるダニエルに諭すように言った言葉。

試合を直前に控え、ミヤギのカラテ修行に必死に耐えて来たダニエル。技は一通り覚えた彼に、自分で見て、聞いて、考えることが大事だと、精神面を教える最後の言葉であり、名セリフである。この言葉が後にアリーとの仲直りにも役立つことになる。

『ベスト・キッド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ミヤギ役は三船敏郎の予定だった

本作の製作当初、ミヤギ役には黒澤映画などへの出演で、世界的に知名度の高い「世界のミフネ」こと三船敏郎にオファーが出されていた。しかし三船側から断りの連絡があったため、代役として日系二世の俳優ノリユキ・パット・モリタが選ばれたという。
三船はアメリカの映画人からも絶大な人気を誇り、かつて『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダー役もオファーがあって断ったという前例がある。『スター・ウォーズ』の大ヒットが悔しかったのか、次にハリウッドから来た『1941』の日本海軍の艦長役のオファーは二つ返事で受けたらしいが、いざ出演してみるととんでもなく間抜けな艦長役だったために幻滅。たまたま次のオファーが『ベスト・キッド』だったためタイミングが悪く断ったと噂されている。

本作中の空手は剛柔流空手道

本作で行われている空手の流儀について、本作の脚本家ロバート・マーク・ケイメンが、剛柔流(ごうじゅうりゅう)空手道を長年に渡って学んでおり、出演者にも指導したと言われている。
剛柔流は、松涛館流、糸東流、和道流と並び空手の四大流派の一つとされ、沖縄三大流派(剛柔流、上地流、小林流)の一つでもある。1929年(昭和4年)に開祖の宮城長順が、明治期を代表する空手の大家・東恩納寛量から学んだ那覇手に独自の研究を新たに加えたものとされている。本作に登場するミヤギという姓は宮城長順から取ったものであると思われる。
また、『ベスト・キッド3』では「征遠鎮(せいえんちん)」という型が披露されており、これも剛柔流の型である。

オープニングのタイトル

日本公開時のポスター

本作が1985年に日本で劇場公開された当時は、原題が「The Moment of Truth」となっており、主題歌となっているサバイバーの歌う楽曲のタイトルにもなっている。オープニング(引越しのシーン)に出るメインタイトルも「The Moment of Truth」となっていたが、その後に発売されたDVDやBlu-ray Discではオープニングシーンのタイトルが「The Karate Kid」に差し替えられている。

『ベスト・キッド』の主題歌・挿入歌

主題歌:Survivor『The Moment Of The Truth』

『The Moment Of The Truth』
本作の主題歌としてエンドロールに流れる曲。

挿入歌:The Flirts & Jan & Dean『(Bop Bop) On The Beach』

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@sayashi0002y8

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