ベスト・キッド(The Karate Kid)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ベスト・キッド』とは、1984年に製作されたアメリカ映画。『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセン監督による、カラテを通して成長していく少年の姿を描いた青春アクション映画。カラテの達人であるミヤギ役のノリユキ・パット・モリタがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。ひ弱な高校生ダニエルは、不良グループに痛めつけられる毎日を送っていた。そんな彼がカラテの達人ミヤギに出会ってカラテを習い始め、やがて少年カラテ選手権大会に出場する。

『ベスト・キッド』の概要

『ベスト・キッド』とは、1984年に製作されたアメリカ映画。いじめられっ子の男子高校生がカラテを通して成長していく姿を描いた青春アクション映画。コロンビア映画の製作・配給で、日本公開日は 1985年2月16日。
プロデューサーは『ナッシュビル』『ダイナー』のジェリー・ワイントローブ、監督は『ロッキー』で一躍脚光を浴びたジョン・G・アヴィルドセンが担当。脚本は本作のシリーズが代表作となるロバート・マーク・ケイメン。撮影は『ロッキー』のジェームズ・クレイブ。音楽も『ロッキー』のビル・コンティが担当している。また主題歌となる「The Moment Of Truth」を、『ロッキー3』の主題歌「アイ・オブ・ザ・タイガー」で大ヒットを記録したロック・グループ「サバイバー」が歌っている。
キャストは主演の高校生「ダニエル」役に、『アウトサイダー』で注目された、当時23歳のラルフ・マッチオ。空手の達人「ミヤギ」役には、日系二世のアメリカ人、ノリユキ・パット・モリタが抜擢され、第57回 アカデミー賞と第42回 ゴールデングローブ賞でいずれも助演男優賞にノミネートされた。

本作のヒットにより、監督ジョン・G ・アビルドセン、主演ラルフ・マッチオ、ノリユキ・パット・モリタで、『ベスト・キッド2』(1986)『ベスト・キッド3』(1989)と2本の続編が製作された。また、1994年に主人公を女の子に替えた『ベスト・キッド4』、2010年にはジャッキー・チェンを主役に抜擢した第1作のリメイク版『ベスト・キッド』も製作されている。

『ベスト・キッド』のあらすじ・ストーリー

高校生のダニエル・ラルーソーは、母親ルシール・ラルーソーの仕事の都合でニュージャージーからカリフォルニアへ、二人で引っ越して来た。ダニエルはすぐに同じアパートに住む同年代の少年・フレディと知り合い、明日ビーチ・パーティに来ないかと誘われた。
翌日、ダニエルは浜辺でフレディと仲間の少年たちでサッカーをしていた。そして同じ浜辺に泳ぎに来ていた女の子たちの中で飛び切り可愛いお金持ちの娘、アリ・ミルズにひと目惚れする。アリもダニエルに興味を示し、二人はサッカーボールで楽しそうに遊んでいるとそこへオートバイに乗った数人の若者の集団が現れた。リーダー格の少年はアリの元カレのジョニー・ロレンスで、彼はアリとダニエルの様子を見て激怒し、ダニエルを簡単に叩きのめしてしまう。「カラテをやっている」と豪語していたダニエルがあまりに弱いので、愛想を尽かしたフレディたちはダニエルを置いてさっさと引き上げてしまった。

ダニエルが転校したハイスクールにはアリも通っていて、彼女とは仲良くなっていくが、ジョニーたち不良グループも同校の生徒であり、彼らはダニエルを見つけるとすぐに彼をいじめに掛かり、ダニエルにとっては地獄の日々が続くのだった。そんなある日、ダニエルが家で教本を見ながらカラテの練習をしていると、同じアパートの管理人で修理屋を開業している日系人・ミヤギが水道の修理にやって来た。彼は修理をしながらダニエルの練習を興味深く見ていた。ダニエルは本格的にカラテを習いたくて、町のカラテ道場”コブラ会”に行ってみた。だがそこにはあのジョニーたち不良グループがおり、そそくさと諦めるダニエルだった。

ハイスクールでのハロウィンパーティの夜、ダニエルはジョニーへの仕返しで彼にイタズラを仕掛けるのだが、怒ったジョニーと不良グループに追いかけられてしまう。そしてダニエルは自宅アパートの近くで彼らに捕まり、集団でリンチを受ける。だがその様子を偶然見ていたミヤギがダニエルを救いに入り、ジョニーたちをあっという間にやっつけてしまった。ミヤギに介抱されたダニエルは、彼が沖縄で父親からカラテを教わった事を聞く。ダニエルはカラテを教えてくれるよう哀願するが、ミヤギは「暴力では何も解決しない。カラテは防御のみ」とつれない返事。だが、「友達(不良グループ)はカラテをやっているがその悪い態度は先生を見ているのだろう。」とも話すミヤギ。「それなら彼らの道場の先生に話を着けに行こう」とダニエルはミヤギにコブラ会への同行を頼むのだった。

翌日、ダニエルとミヤギはコブラ会に乗り込むと、師範のジョン・クリースが門下生に対し「戦う相手は敵だ。敵に情けは無用だ」という指導をしていた。ミヤギは黙って見ていたが、内心はその指導方針を許せなかった。クリースはダニエルとミヤギに対し、ジョニーとダニエルの1対1の勝負を促すが、道場の壁に貼ってあった”少年カラテ選手権大会”のポスターを見たミヤギは、2か月後のその大会での勝負を提案する。そしてクリースとコブラ会に対し、それまではダニエルに一切手を出さないことを約束するのだった。

2か月後の大会に出る事になったダニエルにカラテを教える決心をしたミヤギは、早速郊外にある彼の自宅で特訓を始める。だが、最初は車のワックス掛け、次に床磨き、そして垣根のペンキ塗りと、空手に関係のない練習ばかりだった。不信に思ったダニエルだが、我慢して数日間はそれを続けた。だが流石にしびれを切らしたダニエルは、「空手を教えてくれる約束だ!」とミヤギに抗議する。そこでミヤギはダニエルを自分の前に立たせ、ワックスがけ、床磨き、ペンキ塗りで教えた手の動きを確認させると、彼はいきなりダニエルに対して拳を付き出した。すると、ダニエルはそれを反射的に手の動きによって防御することが出来たのだ。関係ないと思っていた練習がすべてカラテの防御の練習になっていたのだった。それからのミヤギはダニエルにとって掛け替えのない存在となり、海や川にも出掛け、カラテの本格的な練習に明け暮れる日が続く。

一方でダニエルはアリとのデートを重ねていた。だが、ダニエルはお金持ちの家に育った彼女との温度差を次第に感じ始めていた。そしてある夜、アリが高級クラブで両親と食事をするというので、その後に合う約束をしたダニエル。しかしなかなかアリが来ないので、様子を見にこっそりとクラブに入り込んだダニエルは、そこで彼女が元カレのジョニーとキスをしている現場を目撃した。ショックを受けたダニエルはその場から逃げ帰ってしまうのだった。
ある日、ダニエルの誕生日をミヤギが祝ってくれた。そして彼はダニエルに、昔、妻が作ってくれた道着と、ダニエルがワックス掛けをした高級車を1台プレゼントした。ダニエルはその車でアリに会いに行く。そしてジョニーとのキスの事を責めると、一緒に居た彼女の友達から、アリはジョニーに無理やりキスを迫られ、彼を殴って手をくじいたのだという。アリの自分への思いを理解したダニエルは彼女に謝ると彼女を抱きしめ、二人は熱いキスを交わすのだった。

少年カラテ選手権大会の日がやって来た。会場は沢山の選手と観客で埋め尽くされ、さすがに緊張を隠せないダニエルだったが、ミヤギを信じて試合に臨む。コブラ会のメンバーも大勢参加しており、2回戦から4回戦はいずれも彼らと当たるが、何とか撃破するダニエル。一方、優勝経験があり、本大会の優勝候補であるコブラ会のジョニーも順当に勝ち上がっていた。そしていよいよ準決勝。目の前でジョニーの試合が始まり、圧倒的な強さで勝利する彼に目を見張るダニエル。自分の相手はコブラ会の不良グループの1人・ボビーである。だが試合の直前、コブラ会の師範・クリースはボビーに「勝たなくていいから動けなくしろ!」と敢えて反則を指示。「失格になる」と困惑するボビーだが師範には逆らえない。試合開始早々にボビーはダニエルの左足に蹴りを入れ負傷させた。ダニエルは反則勝ちとなるが、一旦医務室へ運ばれた。だが15分で戻らなければジョニーの不戦勝優勝が決まってしまう。ここで終わりにしようというミヤギだが、ダニエルのこれまでにない闘争心にほだされると、彼はダニエルの足におまじないを掛けた。

15分経った決勝の舞台に足を引いてダニエルが現れた。呆気に取られるジョニーは、試合が始まるとダニエルの気迫に押され苦戦する。そこでまたも師範のクリースから「足を狙え」と非情な指示があり、困惑しながらもダニエルの足を集中的に攻撃するジョニー。会場からブーイングが起こる中、ついに決定的なダメージを受ける一発を食らったダニエル。だが彼は必死に立ち上がると、ミヤギから教わった片足で立つ”鶴の技”を構える。そして右足の蹴りがジョニーの顔面を捕らえ見事に勝利した。負けたジョニーは「立派だった。君の勝利だ!」と自ら優勝トロフィーをダニエルに手渡す。駆け付けた母親やアリー、フレディや友人たちに抱えられ、「ミヤギ!僕たちやったよ!」と喜ぶダニエルに、ミヤギはいつもの厳しい表情がほころんだ。

『ベスト・キッド』の主な登場人物・キャラクター

ダニエル・ラルーソー(演:ラルフ・マッチオ)

本作の主人公。
母親の仕事の都合でカリフォルニアへ越してきた高校生。
ひ弱で内気な性格でもあり、なかなか友達が出来ずにいたが、引っ越し早々に同じアパートのフレディと友達となったのがきっかけで、その後、砂浜で出会った美少女・アリと仲良くなる。だが、アリの元彼でもあるジョニーに目をつけられ、彼と仲間の不良グループからイジメの標的となってしまう。
元々カラテに憧れていて教本で練習をしていたが、イジメをきっかけに本格的にカラテを習いたいと思い始める。普通の老人だと思っていたミヤギがカラテの達人だと知ってからは、彼に習うことを懇願し、厳しい練習にも耐え、やがて大会に出場して見事栄冠を勝ち取る。

ミヤギ / 宮城成義(演:ノリユキ・パット・モリタ)

沖縄出身の日系二世の老人。本名は宮城成義。
ダニエルの越したアパートの管理人で修理屋も開業しているが、実は従軍の経験もあるカラテの達人。
出征中に日系人収容所にいた妊娠中の妻が、出産による合併症でお腹の子共々死亡するという悲しい過去がある。
ダニエルの家に水道の修理に行ったのが彼との出会いで、その後、悪友にイジメられているダニエルを救ったことで彼にカラテを教えることになる。父から習ったという”鶴の技”というカラテの必殺技を習得しており、後にダニエルがこの技を使い大会で優勝する。
ダニエルの事を常に”ダニエルさん”と呼んでいる。また、ダニエルからはよく“ミヤジ”と言い間違えられるが、その度に”ミヤギ”と訂正している。

アリ・ミルズ(演:エリザベス・シュー)

本作のヒロイン。
ダニエルと同じハイスクールに通う裕福な家庭のお嬢様。
浜辺のビーチ・パーティでサッカーをしていたダニエルからアタックされ、同じハイスクールに通うことから彼と次第に仲良くなっていく。
デートを重ねるうちに、自分との生活レベルでの温度差を次第に感じ始めたダニエルから、元カレのジョニーとキスをしているところを目撃され苦悩する。
少年カラテ選手権大会では、ダニエルとミヤギと一緒に会場に入ろうとした際「女子はダメ」と監視員から停められるが、”ミヤギの通訳”というダニエルの咄嗟の機転により入場を許された。

ジョニー・ロレンス(演:ウィリアム・ザブカ)

ダニエルと同じハイスクールに通う不良グループのリーダーで、コブラ会の門下生でもある。
家族同士の付き合いもある同級生のアリ・ミルズに惚れていて、かつては付き合っていたが、自分勝手で短気な性格のせいで彼女からは嫌われている。アリと付き合い始めたダニエルに嫉妬心からか、ちょっかいを出すようになる。
コブラ会の門下生の中ではカラテの腕前は最強で、少年カラテ選手権大会では2度の優勝を誇る。ダニエルとの決勝では、ダニエルの気迫に押され苦戦する。師範のクリースから「足を狙え」と非情な指示があり、困惑しながらもダニエルの足を集中的に攻撃した。だが、ダニエルの鶴の技”に敗れ、最後には自ら優勝トロフィーをダニエルに手渡すという仲直りの姿勢を見せた。

ジョン・クリース(演:マーティン・コーヴ)

カラテ道場「コブラ会」を開いているカラテ師範。
マッチョな体と自信たっぷりな態度で不敵な笑みを浮かべ、門下生に対しは「戦う相手は敵だ。敵に情けは無用だ」という指導をしている。
少年カラテ選手権大会では、ダニエルと準決勝で対戦するボビーに「勝たなくていいから動けなくしろ!」と指示したり、決勝ではジョニーにダニエルの負傷した足を狙わせるなど、非情極まりない男である。

ルシール・ラルーソー(演:ランディ・ヘラー)

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@sayashi0002y8

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