『ポケットモンスター(ポケモン)』を産んだゲーム『MOTHER』

任天堂が産んだ大人気ゲーム、『ポケットモンスター』。その誕生には同じく任天堂が開発した『MOTHER』というゲームの存在が深く関係していることはご存知だろうか。今回は『MOTHER』と『ポケットモンスター』の関係について詳しく解説していく。また『ポケットモンスター』のゲーム中の『MOTHER』の元ネタについても紹介する。

ゲーム『ポケットモンスター』とは

1996年に発売された『ポケットモンスター赤・緑』というタイトルから始まり、今もなおタイトル展開をし続けている、任天堂のRPGゲームのシリーズ。不思議な生物『ポケットモンスター』(以下ポケモンとする)が生きている世界で、ポケモンを相棒にして、ポケモン同士をバトルさせるポケモントレーナーの主人公が様々な冒険をする内容になっている。

『MOTHER』とは

1989年に任天堂から発売されたRPGゲームシリーズ。ゲームデザインを担当したのは、現在コピーライターとして有名な糸井重里氏である。
このゲームは1980年代のアメリカの「マザーズディ」という町に住む普通の少年が突如起こった怪奇現象をきっかけにして、世界中で発生した怪奇現象の原因を調べるために仲間たちとともに旅に出る物語である。1980年当時、中世時代を舞台にしたRPGが多く存在する中、現代を舞台にした『MOTHER』は異彩を放った作品であり、その世界観は人々を魅了した。

『ポケットモンスター』を生んだ『MOTHER』

『MOTHER』というゲームが与えた影響は大きい。『ポケットモンスター』というゲームは、実は『MOTHER』が生まれなければ誕生しなかったのである。
『ポケットモンスター』の開発者である田尻智氏は、『MOTHER』の開発現場を見て『自分のMOTHER』を作りたいと思った。そうしてできた田尻氏の『MOTHER』というのが『ポケットモンスター』なのである。
実は糸井氏もRPGゲーム『ドラゴンクエスト』に影響されて、『MOTHER』を製作している。糸井氏はドラゴンクエストをプレイした時に、大の大人が、子供のように夢中になっていたと語っている。そして『MOTHER2』では「おとなも、こどもも、おねーさんも」というキャッチコピーが添えられている。このコピーからも伝わるように子供はもちろん、大人も子供時代に戻った時のように夢中になれる『MOTHER』は糸井氏の『ドラゴンクエスト』であると言えるのではないだろうか。そして今も新しいゲームタイトルや『ポケモンGO』という新しい方法で子供も大人も夢中にする『ポケットモンスター』 は『MOTHER』の血を受け継いだ作品であると言える。

『ポケットモンスター』と『MOTHER』をもっと楽しめるオマージュの数々

『MOTHER』に影響を受けたゲーム、『ポケットモンスター』には『MOTHER』のオマージュだと思える箇所がいくつか登場するので、特徴的ないくつかのオマージュを紹介します。

主人公のモデル

『MOTHER』の主人公。帽子をかぶり、リュックを背負っている少年である。

左が『ポケットモンスター』の主人公。

『MOTHER』の主人公、「ぼく」の外見と『ポケットモンスター』の主人公の少年のビジュアルは非常に類似している。2人とも帽子をかぶり、リュックを背負っている。『ポケットモンスター』の主人公のビジュアルは、年々オシャレになってきているが、帽子を被り、リュックを背負っているというデザインはずっと変わっていない。

重要な『8つ』のキーアイテム

主人公たちは物語中で「メロディ」を集める。そして「メロディ」を8つ集め終わったときに完成する歌がラスボスを倒す武器になる。

対決することになる八人のジムリーダー。ジムリーダーに勝つとジムバッジを手に入れることができる。

『MOTHER』にも『ポケットモンスター』にも『8つ』のキーアイテムが登場する。
『ポケットモンスター』では、ポケモントレーナーのチャンピオンになるために、8つのジムを巡る。そしてジムにいるジムリーダーに勝利して得られる8個のジムバッチがなければ、チャンピオンがいるポケモンリーグには挑むことができない。このラスボスに近づくための『8つ』のアイテムは『MOTHER』にも登場する。『MOTHER』では、旅の道中で、8つのメロディーを見つけていく。集めたメロディーから完成するエイトメロディーズという歌は、地球を救うために必要なキーアイテムとなる。ラスボスであるギーグとのラストバトルでは「うたう」というコマンドで、エイトメロディーズを歌うことによってギーグを倒し、地球を救うことができるようになるのである。
ラスボスに近づくために必要な『8つ』のキーアイテムの存在の類似は、一つのオマージュであると言えるだろう。

舞台設定について

『MOTHER』の主人公、「ぼく」の家がある「マザーズディ」という田舎。

『ポケットモンスター赤・緑』の主人公の家がある「マサラタウン」。

『MOTHER』と『ポケットモンスター』の舞台にも共通する部分がいくつか存在する。例えば主人公の家があり、冒険の始まりの地となる場所がその一つだ。
『ポケットモンスター赤・緑』では「マサラタウン」が、『MOTHER』では「マザーズディ」という町がその場所にあたる。二つの町は似たような田舎町であり、非常に舞台設定が似ている。
また両方のゲームも田舎町から飛び出して、主人公たちは都会へと繰り出す。田舎町にいた子供達が外の世界を飛び出す。『ポケットモンスター』におけるこのワクワクした冒険は『MOTHER』からの影響を受けているものだと言えるだろう。この当時のRPGは中世時代を舞台にしていることが多く、『MOTHER』のような現代を舞台にしたゲームは珍しかった。家族と電話をしたり、カードでお金をおろしたり、自転車に乗って町を回ったりなどの身近なことばかりだ。『ポケットモンスター』でも同様で自転車に乗ったり、リニアで町へと出たりなど身近なことができる。
この私たちにとって身近な舞台設定により、『MOTHER』は大人にとっては懐かしさと子供にとっては新しさをもたらすRPGになっており、その血は『ポケットモンスター』にも色濃く残っていると言えるのではないだろうか。

じてんしゃのBGM

『MOTHER2』において「じてんしゃ」に乗る主人公。

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