BECK(ベック)のネタバレ解説まとめ

『BECK』とは2008年まで『月刊少年マガジン』で連載されていた作品で、主人公・コユキの成長と恋愛、バンドの成功を描いたストーリー。2002年に第26回講談社漫画賞少年部門受賞。2004年にはTVアニメ化している。全34巻とガイドブック4冊が刊行され、作中の楽器のシグネチャーモデルも販売された。累計発行部数は1200万部を超える超大作。

概要

「BECK」とは、1999年から2008年にかけて「月刊少年マガジン」で連載されていた、ハロルド作石による少年漫画。
毎日をいたずらに過ごしていた少年・田中幸雄が、南竜介というギタリストと、つぎはぎだらけの犬・ベックに出会い、音楽を通じて成長していくストーリー。
「BECK」とはミュージシャンのBECKやジェフ・ベックからの名前ではなく、犬のベックから取られたコユキたちのバンド名である。
2002年に第26回講談社漫画賞少年部門を受賞し、2004年10月にアニメ化。2010年9月には水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太などが出演して実写映画化された。
少年たちが音楽と出会い、バンドを通じて青春の日々を送り、成長していく作品で、漫画としての面白さもさることながら、音楽業界の仕組みを徹底的に描いていることで、音楽関係者からも高い評価を得ている。

あらすじ・ストーリー

14歳の田中幸雄(通称:コユキ)は目的もなく自分はパッとしないと思いながら生活していた。
ある日の放課後、おばあちゃんに偽物の時計を売りつけようとしている若者を見かけ、助けようと中途半端な正義感を見せる。しかし、コユキはボコボコにされてしまい、そんなコユキを誰も助けてくれなかった。その帰り道、ベックという継ぎ接ぎだらけの犬とその飼い主に出会う。
ある日学校のアイドル・石黒泉に誘われてコユキはボーリングに行く。その帰りに、「私の知り合いの店に行こう」と泉の友人から声をかけられ、「REMEDY」というバーに遊びに行くと、そこにはベックの飼い主・南竜介がいた。
帰り際、外国人の車に傷をつけたと疑われるコユキたちだが、竜介がそこに通りがかり助けてくれる。これがきっかけで竜介とコユキ、泉は親しくなる。コユキは泉からThe Dying Breed(ダイイング・ブリード)という全米で人気のバンドのMDを聞かせてもらい、見事にそのかっこよさにはまってしまう。また、コユキは竜介の妹・真帆とも親しくなる。真帆はコユキが人を魅了する天性の歌声を持っていることに気づく。
ギタリストである竜介はMCの千葉恒美、ベースの平義行とともにバンド「BECK」を始動させていた。名前の由来は竜介が飼っているつぎはぎだらけの犬から拝借したものだった。竜介から友情の証にThe Dying Breedのエディ・リーからもらったというギターを貰い受けるコユキ。竜介とエディは昔一緒に悪さをしていた友人だという。しかしそのギターを歩道橋から落として壊してしまう。竜介は「二度と顔も見たくない」というが、コユキは諦めきれない。そこに水泳の時コーチをしてくれていた斎藤が事情を聞き、「このギターは直る」と言ってくれる。斎藤の元でバイトをしながらギターと水泳を習うコユキ。
そんな折、街の歌謡大会に斎藤のバンドで出演することになり、出来レースだったもののしっかりと初ステージを踏んだ。その後、大胆で人目を気にしない真帆の誘導で、コユキと真帆は学校のプールで二人で裸で泳ぐ。
中学校で軽音部の部室に行ったコユキは、置いてあるギターに傷をつけてしまう。それをネタに兵藤という生徒が作っている兵藤軍団にいじめられるようになったコユキ。担任の桃子先生もなにかには気づいているが、なにもしてあげられなかった。
そんなある日、転校生の桜井裕志(通称:サク)に話しかけられ二人は親友になる。サクはエディの雑誌に載っていた言葉を引用して、自分が味方だと告げる。
斎藤からギターが直ったと言われ、喜んで受け取り帰る道で、コユキは兵藤とその先輩力也につかまる。力也は先日傷をつけたギターの持ち主だった。「そのギター弾かせろよ」と言われ貸すが、その演奏が自分より下手だったため、コユキはつい笑ってしまい、ギターをめちゃくちゃに破壊される。
真帆は竜介の家の物置から、竜介がコユキに渡そうとした「本物」のギターを持ち出してくる。友情の証にコユキに贈ったギターはただの古いギターであった。怒る理由がなくなった竜介はコユキと和解。「バンドの音を厚くしたい」という竜介の希望から、コユキはギター&ボーカルとして、サクはドラムとしてBECKに加入する。

BECKは着実にステージをこなして行くが、ある日The Dying Breedのエディとボーカルのマットがライブを観に来る。その後The Dying BreedのシークレットライブにエディはBECK全員を招待してくれる。
そのシークレットライブでは、以前竜介とともにバンドをやっていた、現在はBelle Ame(ベル・アーム)というバンドのギタリスト・栄二が登場。The Dying Breedと栄二は共演することになっていたが、奇行癖で有名なマットは栄二のギターに火をつけて、「お前とはやれない」と言った後、コユキをステージに呼ぶ。このライブを全米から注目されている映画監督、ジム・ウォルシュが撮影していた。
ある日、釣り堀にスーツ姿の女性が訪ねてくる。オバちゃんこと佐藤和緒が、「The Dying Breedをグレイトフル・サウンドに呼べないか?」とやってきたのだ。
「グレイトフル・サウンド」はその年で5回目の開催となる大きなロック・フェスティバルで、オバちゃんの亡くなった姉が始めた、音楽を心から愛する人の集まりだった。竜介は「BECKを出してくれるなら」と交渉するが、現在のグレイトフル・サウンドは実質、Belle Ameのプロデューサーで音楽業界の実力者・蘭の支配下にあり、商品であるBelle Ameをコケにされた屈辱でBECKの出演は絶望的だった。オバちゃんも蘭の力がBECKの想像以上に強大で、活動妨害するのをこちらとしても阻止できないという。
数日後、ジムの撮ったフィルムが公開され、竜介がルシールというギターを持っていることがバレる。ルシールは昔エディと竜介が車上荒らしをしていた時に盗んだギターで、サニー・ボーイという黒人ブルースマンがステージ上で銃撃され、死んだ時に持っていたという伝説的なギターだった。ボディにはその時ついた弾痕が7つ付いていた。ルシールが映っている部分をカットするようにエディはジムに伝えたが、コユキの歌が鮮烈な部分だったためカットはされなかったという。
自分の車から盗まれたルシールを探していた、アメリカRJレーベルの大物レオン・サイクスに監禁される竜介。死ぬ前にルシールの持ち主であるレオンの叔父、ブルースマンであるジョン・リー・ディヴィスとセッションがしたいと言い、ジョンは竜介のプレイを認め、「殺すのはやめろ」とレオンに忠告する。
レオンは「金のためなら殺しもするが金にならない殺しはしない」と言い放ち、竜介は殺されることはなくルシールはレオンの元へ戻る。
グレイトフル・サウンドが近づいてきた頃、竜介はもう一度レオンへ会いに行く。グレイトフル・サウンドへはレオンのレーベルに所属しているアーティストも多数出演するため、レオンも蘭と同じ、もしくはそれ以上の実権を持っていることになる。そのため、蘭に妨害されて出演ができないBECKの代表として、竜介は出演交渉に行ったのだ。レオンは交換条件を出す。それは3rdステージのBECKが、三つのステージのどこよりも観客を集めなければならないというものだった。その約束が果たせない場合、BECKは音楽業界から消えることになる。命すら危うい可能性があった。竜介は戻ってくると平と千葉にだけこの交換条件のことを話す。
スタジオで練習をする日々を重ねるBECKのメンバーは、それぞれ夢を見る。ゴミ拾いの夢で、だだっぴろい中にゴミが雑然と落ちている。それを拾うカリスマ・ロックアーティスト。「君のコンサートの後始末をしているんだよ」という。
メンバー全員がその夢を見ていたが、千葉だけは見ておらず、疎外感になやまされていた。
グレイトフル・サウンドへの出場が決まり、楽屋裏で「あの夢にはなにかある」と確信する竜介と溝が深まる千葉。そんな千葉に対して、竜介は「お前はバンドにいるべき人間じゃないのかもしれない」と言ってしまう。
拒絶された千葉はステージから行方をくらまそうと他のライブを観にいき、暴れすぎて捕まってしまう。
竜介はレオンの元へ呼び出され、ホテルに行ったっきり帰ってこない。
こんなバラバラの状態でステージができるのか?となったものの、コユキはひとりステージに立つ。続いてサク、平、交渉から戻ってきた竜介と、他の出演バンドからバンに乗せられて連行された千葉が加わり、今までにない最高のライブを行うことができた。竜介はレオンの呼び出しに応じた時に、ジョン・リー・ディヴィスから伝言で「サニー・ボーイの伝説を継ぐ者へ」とルシールを返却され、それを抱えてステージに立っていた。
グレイトフル・サウンドでの一夜は「3rdステージが一番人を集めた」という説や「いや、結局メインステージには届かなかった」という説が入り乱れ、伝説の一夜と化していた。

BECKは空中分解のような状態で解散。誰しもがグレイトフル・サウンドのようなライブはもうできないと思っていたし、実質竜介と千葉の仲違いからそれは不可能にみえた。
ステージからしばらく経ったある日、サクから転校することを告げられる。送別会を終えてサクとコユキが別れた夜、サクは「BECKを再結成させるために学校をやめて戻ってくる」と宣言する。それを聞いたコユキは、自分もバンドのために貢献しようとする。
千葉と平に声をかけ、サクも春には戻ってきて見事にBECKは再結成するが、竜介がまだ揃っていなかった。そんな中、オバちゃんから全米ツアーのオファーがきていると言われる。
グレイトフル・サウンドを観て全米ツアーをオファーしてくれたバンド・F.V.Eと一緒にツアーを回るBECKだが、うまくいかないことが多く、一緒にツアーを回るという契約もBECKの「伝説の一夜」のライブを観ていないF.V.Eのリーダーであるケビンによって切られてしまう。だが、シアトルのジミヘンの墓で再会した竜介が合流し、「5人揃えば契約違反にはならないはずだけど」と、見事なライブをみせる。

ツアー終了後、BECKはCDを作ることになる。ラスト・フォー・ライフレコードの川久保に頼んで仕上がったCDはどうも聴いた感じもよくなく、メンバーは困惑するばかり。しかし川久保はBECKをグレイトフル・サウンド以前から知っていたという。
1枚目のCDの売れ行きを話した後、次の契約枚数である1500枚販売にはまだ至っていないものの、今後に期待を込めて2枚目の契約をしたい、と川久保が申し出て、BECKと契約を続行する。
蘭の妨害により国内では宣伝が大々的にできない上に、ライブ会場も制限されている状態で、口コミだけで1枚目のCDは地道に売れ続けていた。
そんなある日、コユキはパンクした自転車を置かせてもらおうと竜介の家を訪ねる。竜介が不在の中、エディから電話が掛かってくる。エディはコユキにできたばかりの楽曲だと「DEVIL’S WAY」という曲を聴かせてくれる。
その数日後、エディは強盗に射殺されてしまう。全世界を追悼ムードがつつみ、竜介はアル中状態になる。
レオンは竜介と何度か取引をし、竜介は口封じのために殺されそうになったが、そこに警察が踏み込みレオンが逮捕された。そのレオンは司法取引をし無罪判決を勝ち取る。エディの死を利用し、「エディとその恋人だったエリカ・ブライジの共作デモテープ」を竜介が渡すことにより、レオンはこのビッグ・ビジネスを成功させ音楽業界で大きな力を取り戻す。

全国ツアーも行い、精力的に活動するBECKだが、やはり蘭の力は大きく、国内では活路が見いだせない。
ラスト・フォー・ライフレコードをやめた川久保とともに、BECKはCDの販路を海外にかける。名門レーベルであるナフ・レコードから返事がきたのはフルアルバムのデモを送った時であった。
ナフ・レコードの代表は、「アヴァロン・フェスが復活する」という話をする。アヴァロン・フェスとはかつて世界中にその名を轟かせた音楽フェスで、その出演者にBECKが決まったと聞かされる。
その出演もレオンによって取り潰されようとしていたが、コユキはレオン・サイクスと「『DEVIL'S WAY』を渡す代わりに、アヴァロン・フェスにBECKを出演させる」という取引をし、BECKはアヴァロン・フェスへと向かう。アヴァロン・フェスでは音楽業界の大物でアヴァロン・フェスを牛耳っているビクター・スレイターの描いた青写真通りに、アースというバンドがエディの残した「DEVIL'S WAY」を演奏するという筋書きができていた。
このままでは「アースがエディの残した曲を演奏する」という計画の邪魔になると、力を持ち始めていた目障りなレオン・サイクスを監禁したビクターだったが、逆にレオンに徹底的にやられてしまう。
アヴァロン・フェスではアースの演奏した「DEVIL'S WAY」は大ブーイングが起こる。懐メロのようでいて妙に若ぶっている楽曲には全員がうんざりした。観客も「これが本物の『DEVIL'S WAY』ではない」と気づいて暴動を起こす。これを収めるために、BECKは後夜祭のアヴァロン・フェスのステージに立つ。それは主催者のジョディが「本物の『DEVIL's WAY』はMongolian Chop Squad(BECKの海外でのバンド名)が前日、タイトルも告げずに最後に演奏した曲」だと言ったからだった。レオンも「この騒ぎを鎮めるには彼らをステージに立たせるしかない」と認める。
この日のライブはBECKが一躍スターとなった一夜だった。

BECKはグレイトフル・サウンドの舞台に立っていた。その日は悪天候で機材が不調。しかし、マイクの音が出ない中でもコユキは歌う。メンバーも「コユキがいなかったら今の自分はいない」と思いながら演奏をする。盛り上がってBECKの歌を大合唱する観客たち。
ゴミ拾いの夢はアヴァロン・フェスではなく、この日のグレイトフル・サウンドを示していたのかもしれない。その可能性を示唆しながら、成長したBECKは最高のステージをみせる。

登場人物・キャラクター

BECK

田中幸雄(たなかゆきお・コユキ)

平凡な毎日をすごしていたが、いじめられていたベック(犬)を助けたのを竜介が見ていて、二人は友人となる。
努力家で、斎藤さんにギターと水泳を教わりながら学生生活を過ごす。
天性のヴォーカルでBECKへの正式加入を果たし、ギターとヴォーカルを担当する。
学校は真面目に言っていたものの、中学の終わり頃には「兵藤軍団」というグループにいじめられ、高校はランクの低い学校へ進学。千葉を先輩に持つことになる。しかしそれも退学。
音楽しかない、という情熱のせいか、努力家だからなのか、成長するペースにはメンバーも舌を巻く。

南竜介(みなみりゅうすけ)

ギタリスト。
ニューヨークで暮らしていた帰国子女だが、親との折り合いが悪く、英語力を生かして釣り堀屋の小屋に住んでいる。
コユキが竜介からもらったギターを壊してしまった時、激怒して「もう二度と顔も見たくない」と告げるが、実はそれはまがいもので、本物のコユキに渡すべきだったギターは物置から発掘された。
愛器の「ルシール」は、昔車上あらしをしていた際に手に入れたもの。
「年上組」というのは竜介と平と千葉で、金関係や重大事項などはこの三人の間で共有して、いずれコユキとサクに話す、という形がある。
エディに「音楽がなければダメになる人間だ」と言われている。辛いことがあると酒に逃げ「準アル中」のようになってしまう。それを支えることでBECKはいつも団結力を増す。

千葉恒美(ちばつねみ)

ヴォーカルでMC。
喧嘩が強く、それは昔千葉がいじめられっ子だったため空手を習っていたことに由来する。
短気でけんかっぱやい性格だけれど、情に厚くて涙もろい。
人を惹きつけるカリスマ性を持っていて、MCとしてBECKでは活躍してる。
障害を持っている兄がいて、蘭にそのことを話してしまったコユキと仲違いする。
実は繊細で、初めてBECKが解散した時から、ずっと自分のせいではないかと後悔していた。

平義行(たいらよしゆき)

ベースでバンドの実質的なリーダー。竜介と栄二両方のバンドに誘われていたが、「俺が探してたケミストリーがありそうなんだ」と竜介のバンドを選ぶ。
相談役はつねに平で、バンドの方向などもある程度決める。色々なアーティストと交流があり、BECKをやめたあとすぐに後釜のバンド(それも人気バンド)が決まった。だが、それはコユキの再結成呼びかけにより、すぐに脱退することになった。
ベースラインはファンキーで、アフリカン・アメリカンに「ファンキーだ」と賞賛されるほど。

桜井裕志(さくらいゆうじ)

ドラマーでコユキの親友。通称サク。
7歳から兄の影響でドラムを始め、そのグルーヴの良さやリズム感、テクニックなどを評価されてコユキとともにBECKに加入することに決まる。
コユキの中学校に転校してきて、コユキが兵藤軍団にいじめられているのを知っていながら堂々と話しかけたり喧嘩を買ったりする。
普段は真面目で温厚、とても冷静。サクの恋人・弘美ですら「(サクとコユキ)二人の仲には割り込めない」と言うほど仲がいい。

BECKの協力者

ベック

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