呪術廻戦名勝負「乙骨憂太 vs. 夏油傑」戦のネタバレ解説・考察まとめ

『呪術廻戦 0（東京都立呪術高等専門学校）』の概要

『呪術廻戦 0（東京都立呪術高等専門学校）』とは、『ジャンプGIGA』2017年vol.1からvol.4にかけて掲載された芥見下々による漫画作品。同氏の漫画作品『呪術廻戦』と共通の世界観を持ち、内容はほぼ独立したものだが同作の前日譚に該当する。
本作は芥見下々にとって初となる連載作品でありながら、新人とは思えない完成された世界観、コンパクトにまとまったストーリー、そしてその中で躍動する個性溢れる魅力的なキャラクターたちによって高い評価を得た。後に『呪術廻戦』の連載が始まると、同作と地続きの物語である本作へ手を伸ばすファンも増加。現在は『呪術廻戦』を語るに欠かせないエピソードとして認識されている。
『呪術廻戦』は2020年にアニメ化され、その高いクオリティから国内外で爆発的な人気を獲得。その最終回にて本作が劇場版アニメとして製作されることが発表され、大きな反響を呼んだ。

2021年12月24日に劇場版映画『呪術廻戦 0』の公開がスタート。公開からわずか3日で観客動員数190万人、興行収入26億円を突破するという好スタートを切った。最終的な興行収入は国内で137億円、海外も合わせると237億円という記録的な数字となり、『呪術廻戦』シリーズの人気と注目度の高さを証明するものとなった。

乙骨憂太（おっこつ ゆうた）は、幼馴染の祈本里香（おりもと りか）と幼い頃に結婚の約束を交わしていた。しかし里香は乙骨の目の前で事故に遭って命を落とし、その霊魂は強大で凶悪な怨霊と化してしまう。国をも揺るがす怪物となった里香は乙骨に憑依し、彼を傷つける者や近づく女に容赦なくその力を振るう。「里香を止めるには自分が死ぬしかない」とまで思い詰めていく乙骨だったが、“現代最強の術師”五条悟（ごじょう さとる）に勧められ、彼女を御する術を身に着けるために東京都立呪術高等専門学校（以下都立呪術高専）に転入することとなる。
呪術の名門たる禪院家に生まれ、これを見返すために呪術師を目指す“呪術の使えない少女”禪院真希（ぜんいん まき）。友情に厚く、必要以上に他人を傷つけないよう普段はおにぎりの具でしかしゃべらない“呪言師”狗巻棘（いぬまき とげ）。見た目は動物、中身は気配り上手の優等生“心持つ呪術人形”パンダ。個性豊かなクラスメイトたちと共に修行と勉学に励み、呪術の扱いを学んでいく乙骨。しかし呪術界の変革を悲願とする呪詛師夏油傑（げとう すぐる）が里香の力に目を付け、これを我が物にせんと画策。乙骨を中心とする呪術師たちの暗闘は、やがて日本中を巻き込む呪術合戦へと発展していく。

劇場版 呪術廻戦 0（東京都立呪術高等専門学校）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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『呪術廻戦 0（東京都立呪術高等専門学校）』とは芥見下々による漫画作品で、『呪術廻戦』と共通の世界観を持つ同作前日譚。MAPPAによりアニメ映画化され、2021年冬に公開が開始された。
強大で凶悪な特級呪霊・祈本里香に憑依された少年・乙骨憂太（おっこつ ゆうた）は、これを御する術を求めて東京都立呪術高等専門学校に転入することとなる。そこで乙骨が新たな友と共に呪術を学んでいく中、呪術界の変革がため祈本里香の力を我が物にせんと目論む術師夏油傑が暗躍。日本中を巻き込む壮大な呪術合戦が幕を開ける。

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」の対決について

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」とは、『呪術廻戦 0（東京都立呪術高等専門学校）』で繰り広げられた戦いの1つ。同作最後の戦いであり、呪術という陰鬱なイメージのある題材を扱いながら「仲間たちとの絆と愛する少女への想いを胸に、大義を理由に暴威を振るう悪党に立ち向かう少年」という少年漫画らしい真っ直ぐなテーマを真正面から捉えたものとなっている。
「乙骨とその仲間たちの成長」、「敗れた夏油のその後」、「夏油一味の顛末」といった形で『呪術廻戦』本編にも大きな影響を与えている。2021年に映画化された際は、そのスピーディかつ迫力ある映像が大きな評判を呼んだ。

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」の対決までの経緯・因縁

高校生の乙骨憂太は、強大な怨霊と化した幼馴染の祈本里香に呪われてしまい、自分に敵意を向ける者を容赦なく害する彼女に悩まされる日々を送っていた。クラスメイトや、里香を祓いに来た呪術師が何人も血祭りにされていき、乙骨は自殺すら考えるようになっていく。しかし里香はそれさえ許してくれず、ついに心折れた乙骨は呪術界が下した秘匿死刑を受け入れようとしていた。
しかし、都立呪術高等の教師にして“最強の術師”でもある五条悟がここに待ったをかける。五条は乙骨に「自分と一緒に里香の呪いを解いてみないか」と誘い、自らの権限で彼の死刑を一時停止させ、己の教室に連れていく。乙骨はそこで禪院真希（ぜんいん まき）、狗巻棘（いぬまき とげ）、パンダといった新たな仲間と出会い、彼らと共に呪術師を目指しながら里香の呪いを解除して彼女の霊を解放する術を探し始める。

一方、呪術を使えない者を1人残らず抹殺して「術師の楽園」を作ることを目論む夏油傑は、里香のすさまじい力に目を付けていた。彼の思い描く世界を実現するには、旧友でもある五条の存在がどうしても邪魔で、それに打ち勝つにはさらなる力が必要だった。「里香さえ手に入れれば五条を倒せる、彼以外の術師たちも敵ではない」と考えた夏油は、乙骨を殺して里香を我が物とする計画を練っていく。
そのために夏油がしたのは、呪術界に対する宣戦布告だった。「12月24日に、自身の支配下にある1000体の呪霊を新宿と京都に放つ」と宣言し、実際にこれを実行。五条と主力の呪術師たちがこの対処に追われている内に、自身は都立呪術高専に乗り込み、待機している乙骨を襲ったのである。

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」の対決の展開・流れ

夏油の襲撃

1000体の呪霊による陽動は夏油の想定通りの効果を発揮しており、彼が都立呪術高専に乗り込んできた時ここに待機していたのは真希と乙骨だけだった。並外れた潜在能力の持ち主とはいえ少し前まで一般人だった乙骨を最強クラスの術師である夏油と戦わせるわけにはいかないと考えた真希は、彼に隠れるように告げて自身は夏油の前に飛び出していく。
この頃、1000体の呪霊と夏油の仲間の術師たちを相手取っていた五条は、夏油の真の狙いに気付いていた。夏油の仲間の中にはかなり強力な術師もおり、「自分以外がアイツの相手をすれば返り討ちにされる」と考えた五条は、学生ながら動員がかけられた狗巻とパンダを自身の術で都立呪術高専へと送り込んで乙骨を逃がすよう指示する。

しかし狗巻とパンダが呪術高専に来た時点で、すでに真希は完膚なきまで叩きのめされていた。必死で乙骨を守ろうと食い下がり、結果ズダボロになるまで痛めつけられた真希を見た狗巻とパンダは、「もはや乙骨を逃がす余裕は無い」と判断。クラスメイトでもある真希の報復という意識もあって、全力で夏油に襲い掛かる。
狗巻とパンダは巧みな連携を見せつつ立ち回るも、夏油はこれを正面から迎え撃ち、まったく無傷で制圧。ここに至り、「隠れていろとは言われたが、いくらなんでも様子がおかしい」と考えた乙骨は校舎の外に出てしまい、夏油に発見される。同時に瀕死の重傷を負って倒れる仲間たちを目の当たりにし、驚愕と共に「自分を守るために仲間たちが犠牲になった」ことを悟る。

乙骨の覚醒

自分との友情がために死地に赴き敗れ去った仲間たちを見た乙骨は、彼らを叩きのめした夏油への底知れぬ怒りと憎悪に囚われる。今までその力に計り知れない恐怖を抱いていた里香を呼び出すと、彼女の力を積極的に利用して乙骨は夏油に挑む。
この時乙骨が最初にしたのは、「反転術式」という治癒の術式で仲間たちの傷を癒すことだった。反転術式は使い手の限られる高度な術であり、ぶっつけ本番でそれを使いこなしてみせた乙骨の才能に夏油は感心する。

本格的な戦いが始まると、夏油はしばらくの間乙骨の力を試すような立ち回りを見せていった。「術師の楽園」を夢見る夏油からすれば、目的のためとはいえ乙骨ほどの天才的な術師の卵を殺さなければならないのは残念なことであり、可能であれば「自分の理想を理解させて仲間に加える」、あるいは「自分の理想のために里香を差し出させる」形にしたかったのである。
しかし戦いながら夏油の理想を聞いた乙骨は、「そんなことどうでもいい、仲間を傷つける者は誰であろうと許さない」と言い切り、遥かに格上である夏油に呼応するように自身の潜在的な力を少しずつ解放。翻弄されるばかりだった里香の力を御し、夏油に食い下がり、ついには互角に近い戦いを演じ始める。「乙骨の力を試したい、自分の理想を受け入れさせたい」と考えて最初から本気で立ち会わなかった夏油の油断が、乙骨にとって最高の教師となったのだった。

「純愛」対「大儀」

乙骨を仲間に引き入れることは不可能だと判断した夏油は、術師としての急成長を続ける乙骨を一撃で仕留めるため、自身の切り札である「うずまき」という術の使用を決意。対して乙骨は、里香に「愛してる」との言葉を本心から囁き、彼女の力を完全開放する。
怪物然とした呪霊に向かって愛を口にする様を夏油に女誑し（おんなたらし）と揶揄されるも、平然とした様子で「純愛だ」と言い返す。夏油は「大義のために負けられない」として正面からこれに応じ、里香の全力対数千体の呪霊の呪力が激突する。

この衝撃で乙骨は意識を失い、夏油もまた右腕を吹き飛ばされる。この時点で「自分の仲間たちが五条を足止めできるタイムリミット」が経過したと判断した夏油は、もはや乙骨を殺して里香を奪うだけの猶予は無いと判断して都立呪術高専を撤退する。
しかしタッチの差で駆け付けた五条と遭遇し、もはや戦える状態でもなかった夏油は己の敗北を受け入れる。立場的にも状況的にも夏油を逃がすわけにはいかず、ここで殺さなければならないことを理解した上でなお、五条は彼を「自分の一番の親友」として扱う。夏油はこれに苦笑しつつ、彼に討ち取られる形で死亡するのだった。

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」の対決のその後の影響

「自分の命を懸けてでも夏油を倒す」という決意の下で里香への本気の想いを口にした乙骨だったが、意外にもこれが彼女の呪いを解除する鍵となった。里香は乙骨を呪っていたのではなく、最愛の幼馴染との死別を無意識に拒んだ乙骨が、自身の呪力で無意識に里香の魂を捕らえて呪霊化し、支配下に置いていたのだった。
乙骨は「何もかも自分のせいだった。里香を怪物にして、多くの人を苦しめた」と悔やむが、呪いから解放された里香は「死んでも大好きな人の側にいられて幸せだった」と乙骨を慰め、あんまり早くこっちに来ちゃダメと釘を刺して成仏していく。その後乙骨は改めて自身の呪力を制御するために仲間たちと共に五条の下で学び、若手筆頭の術師として期待と注目を集めていった。

夏油の死により、彼の仲間たちはそれぞれに道を違えていく。そんな中、五条は夏油の仲間の1人で自分に食い下がるほどの力を見せつけたミゲルという海外の術師に接触し、彼が夏油の思想ではなく夏油個人を気に入って力を貸していたこと、夏油が敗れた以上自分や日本の呪術界に逆らうつもりはないことを確認して乙骨を預ける。かくして乙骨はミゲルを案内人として海外留学し、日本以外の世界の呪術についても学んでいく。
五条によってトドメを刺された夏油だったが、「親友の遺体を術師の実験材料として弄ぶのは忍びない」と考えた五条が裏で手を回したことで、一般的な葬儀が執り行われる。しかし夏油の類稀な才を利用することを目論む術師が彼の死体を密かに奪い、自身の術でこれを乗っ取ってしまう。夏油の遺体と術師としての力はその後も悪用され、五条にとっても乙骨にとっても不倶戴天の存在として暗躍を続けていった。

「乙骨憂太 vs. 夏油傑」の対決の重要人物・キャラクター

乙骨憂太（おっこつ ゆうた）

強大な怨霊と化した幼馴染の少女に取り憑かれた少年。やや気が弱いが優しくて誠実な人柄で、仲間たちからは「術師を目指す人間であんなに善良なヤツは見たことがない」と呆れ半分に信頼されている。
自分を支えてくれる仲間たちが、自分を守るためにこそ命懸けで夏油に挑んで敗れ去った姿を見て激昂。里香の力を存分に引き出してこれに立ち向かう。

乙骨憂太（呪術廻戦）とは【徹底解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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乙骨憂太（おっこつ ゆうた）は、『呪術廻戦』の登場人物で、現代最強の術師五条悟に特に期待されている若手呪術師にして、国内に四人しかいない特級術師の一人である。
ごく普通の少年だったが、幼馴染の祈本里香の死後、彼女の霊に取り憑かれる。やがて里香は国家規模の破壊すらもたらしかねない強大な呪霊と成り果て、これを御する術を学ぶために東京都立呪術高等専門学校に転入。呪術の世界と関わっていく中で、その秘めた才能を開花させていく。
『呪術廻戦』本編では、主人公虎杖悠仁の一学年上の生徒という立場。

祈本里香（おりもと りか）

乙骨の幼馴染。幼いながらに結婚の約束を交わすほど親しい間柄だったが、5年前に乙骨の目の前で交通事故により死亡する。その後彼女との別れを拒む乙骨の呪力の影響で強大無比な呪霊と化し、彼を害する者ことごとくに容赦の無い暴威を振るうようになった。
「なんの素質もない少女が国家をも揺るがすほどの力を持つ呪霊と化す」という前例のない事態には物語のかなり早い段階から疑問が呈されており、最終的に「天才的な呪術師としての才能を持つ乙骨が、最愛の里香との別れを拒んで無意識に自身の呪力で束縛し、これによって彼女が恐ろしい力を持つ呪霊へと変化した」ことが判明した。