蜘蛛ですが、なにか?(小説・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『蜘蛛ですが、なにか?』とは、馬場翁が『小説家になろう』に投稿したweb小説である。KADOKAWAからライトノベルが発売、その後、漫画化・アニメ化された。2021年8月にはシリーズ累計発行部数が430万部を突破している。女子高生だった前世の記憶を持って、蜘蛛に転生した主人公が成長していく過程を描く。作中に張り巡らされた多くの伏線の謎が解き明かされていく展開は、非常に魅力的である。

人族と魔族の間で起こった戦争。アリエルが魔族軍に侵攻させたことで引き起こされた。
アリエルや白織たちの真の目的は、人族と魔族に大量の死者を出させること。大量の死者をだすことで、「システム」にエネルギーを回収させ、世界を再生させる一助にしようとした。

魔術

魔力を使って、何らかの現象を引き起こすための魔法を構築する技術。「システム」も管理者Dが作成した魔術の1つ。
「システム」内で使用できる魔法のスキルは、管理者によって作られた魔術を、「システム」の補助で発動させているだけに過ぎない。
「神」は容易に魔術を使用できるが、他の種族が使用するのは非常に困難。

MAエネルギー

星の生命エネルギー。
かつて、機械文明が栄えていた世界で、人々がより豊かな生活を得るために利用とした。しかし、MAエネルギーが枯渇したことで、世界は崩壊し始めた。
その後、サリエルの犠牲によって「システム」が稼働し、少しずつMAエネルギーが補充されていく。

神言教

「システム」の天の声を神として信仰し、「神の声を聞くためにスキルやレベルを上げよ」という教義を掲げる宗教。拠点は、聖アレイウス教国。教皇は、ダスティン六十一世。人族の中で最も広く信仰されている。

女神教

女神サリエルを信仰する宗教。「女神にスキルを捧げれば救われる」という教えを説いている。

『蜘蛛ですが、なにか?』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

転生直後に現状を考察する「私」

転生直後、「私」はすぐに自分が蜘蛛であることを受け入れる。しかし、記憶では確かに高校の教室で古文の授業を受けていた記憶がある。そこで「私」は、何が起こって自分が蜘蛛になっているのかを考察する。その結果、3つの可能性が考えられた。1つ目は、何らかの原因で死亡し、蜘蛛に転生した可能性。「私」はこの可能性が最も高いと考えていた。2つ目は、実は死んでいなくて、魂のみが蜘蛛に憑依している可能性。この場合、本当の「私」はどこか別の場所に存在することになる。3つ目は、「私」の記憶を持っているだけの蜘蛛の可能性。
この時の「私」は、考えても答えを出すことができず、結論を保留にする。しかし、本編中には教室で起こった爆発に巻き込まれて、26人が死んだとされているため、前世の「私」も死亡したと考えられる。よって読者は、1つ目の可能性が正解だと捉える。また、序盤では「私」の前世での名前が伏せられていたが、中盤で「若葉姫色」だと明かされる。これによって、前世の若葉姫色が死亡し、蜘蛛に転生した、と確信する。しかし、それらはすべて著者によるミスリードであったことが、終盤で判明する。正しくは、「私」は若葉姫色の記憶を与えられて転生した、ただの蜘蛛だった。つまり、3つ目の可能性が正解である。まさかの展開であるが、真相を知るためのヒントが、物語の開始直後から与えられていたことに気づくと、より一層驚くシーンとなっている。

蜘蛛vs地龍アラバ

「私」(左)、地龍アラバ(右)

エルロー大迷宮を脱出す目処が立った「私」は、地龍アラバに戦いを挑むことを決意する。「私」が初めてアラバと遭遇した時は、実力差を肌で感じ、生き残るためには逃げ隠れるしかなかった。マザーと並んで、「私」が絶対に敵わないと恐怖を感じた相手である。しかし、スキルやステータスを上げ、「私」はアラバにも挑めるほどの力を手にした。本作は、最弱の魔物に転生してしまった「私」が成長し、強くなっていく過程を描いているが、アラバと互角に激しく戦う様子は、作中で最も「私」の成長の成果を感じさせる。
また、この戦いで「私」はアラバのSPを消耗させることに成功する。SPがゼロになり、身動きが取れなくなったアラバは、抵抗を諦め、自ら敗北を受け入れた。「私」が雪辱を果たした戦いであったものの、後味の悪さが残る。

白織・アリエルvsポティマス

白織(中央)、アリエル(左下)

白織・アリエルは、魔族軍を率いてエルフの里を襲撃する。アリエルは、ポティマスとの決着をつけるため、地下へ向かった。そこでポティマスが作った機械兵器と戦う。その機械兵器は、管理者であるギュリエと戦うために作られたもので、非常に強力だった。アリエルは戦闘中に重傷を負ってしまう。その時、別の場所で戦っていた白織が、ポティマスの想像を超える力を発揮し、戦況をひっくり返す。焦ったポティマスに隙が生じ、アリエルは「謙譲」のスキルを使って優位に立つ。
本作における悪役との最終決戦で、それまで圧倒的な強さを見せていたアリエルの危機に、読者は手に汗を握る。また、白織とアリエルの絆を感じさせる場面でもある。
当初、白織とアリエルは敵対関係にあり、白織はアリエルの攻撃で何度も死にかけた。しかし、アリエルが白織の並列意思と融合したことで、休戦状態になり、共に旅をした。同じ時間を過ごすうちに、両者の間には友情が育まれていく。この場面では、別の場所で戦っていても互いを信頼し、背中を預けているのが伝わってくる。

『蜘蛛ですが、なにか?』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

web版・ライトノベル・漫画での内容の違い

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@yusuke137

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