ライフ・イットセルフ 未来に続く物語(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』とは2018年にアメリカで製作されたヒューマンストーリー映画。大ヒットTVドラマシリーズ『This Is Us/ディス イズ アス』の製作総指揮を務めた、ダン・フォーゲルマンがメガホンを握った作品として話題を集める。アメリカとスペインという遠く離れた地に住む2つの家族の過酷な人生模様を描く。その2家族が運命的に出会った時、そこに真の愛の物語が生まれた。ボブ・ディランの名曲をバックに、2つの家族の生き様を、3世代に渡って描いた壮大なラブストーリーだ。

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』の概要

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』とは2018年にアメリカで製作されたヒューマンストーリー映画。
本作は第43回トロント国際映画祭でプレミア上映されるなど、前評判が高く、多くの人々の関心を集めた。
興行収入800万ドルという収益的にはさほど振るわない結果とはなったが、熱狂的なファンの支持を得て、今もって語り継がれる名作となっている。

明暗併せ持つ悲劇の男ウィル役を演じたのは、コーエン兄弟監督『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年)で主演に大抜擢されたオスカー・アイザックである。オスカーはこの作品で全米映画批評家協会賞主演男優賞を受賞した実力派俳優である。アビー役のオリヴィア・ワイルドは大ヒットテレビシリーズ『The O.C.』に出演し、その演技力とセクシーな容姿で一躍注目を集めた女優だ。その他アネット・ベニングやサミュエル・L・ジャクソンなど豪華なベテラン俳優が脇を固め、確かな演技力を披露している。また数々の賞に輝いたTVドラマ『This Is Us/ディス イズ アス』の製作総指揮をし、全米を感動の渦に巻き込んだダン・フォーゲルマンが監督を務めた。

突然の事故で最愛の妻アビーを亡くし、絶望したウィルは自殺をする。その娘ディランは両親の死を始まりとして次々に悲劇につきまとわれる。アビーの事故を目撃したことでトラウマを抱えた少年ロドリゴは、父が家出し、母は病に倒れてしまう。この物語は1つの悲惨な事故を通して、2つの家族が交差し合い、運命という悲劇の先に待つ幸福を追い求めていく物語。諦めずに立ち向かったその先に、きっと真の愛が待っている。そう力強く訴えかける感動のヒューマンラブストーリーである。

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』のあらすじ・エピソード

ウィルとアビーの物語

お腹の子どもについて語り合うアビー(左)とウィル(右)

ウィル・デンプシーとアビー・デンプシーはニューヨークに住む、若く情熱的な夫婦だ。ウィルは大学時代に美しく魅力的な女性アビーに出会った。アビーは幼い頃に凄惨な事故で両親を亡くし、辛い人生を歩んできた。しかし悲劇に挫けることなく猛勉強し、大学で首席を獲得するほど努力を重ねた。ウィルは彼女が運命の人だと確信し、2人は愛を深めていく。やがて2人は結婚し、アビーの愛してやまない歌手ボブ・ディランの音楽と、ファックフェイスと名付けた犬に囲まれながら蜜月の日々を過ごす。そして赤ちゃんを授かり、順風満帆な毎日を送っていた。時折、夫婦はウィルの実家に食事に招かれる。ウィルの両親アーウィン・デンプシーとリンダ・デンプシーは温かく2人を迎え入れ、お手製のミートローフを味わいながら、生まれてくる赤ちゃんについて4人で語り合った。リンダは数えきれない程赤ちゃんグッズを買い込み、初孫の誕生を心待ちにしていた。実家で食事をした帰り道、横断歩道を渡ろうとしたアビーに何気なくウィルが声を掛ける。アビーが立ち止まり振り向いた瞬間、突然バスが突っ込んできて、アビーは轢かれてしまう。そしてそのままアビーは帰らぬ人となった。

それ以来ウィルは精神的に不安定となる。アビーの死を受け入れられないウィルは、彼女とは別れただけと思い込み、定期的に精神科医ケイト・モリスの元でカウンセリングを受けていた。ウィルは脚本家として活動しており、元々とてもウィットに富んだ男である。しかし事故後は脚本を書いていても、ドクター・モリスがバスに轢かれるシーンを妄想したりと、忘れ去りたいはずの記憶が彼を苦しめた。そして昼間から酒を飲みながらカフェでボブ・ディランを歌い出すなど、生活はますます荒んでいく。ドクター・モリスは奇跡的に生まれた娘ディランのために、トラウマを乗り越えるようウィルを説得する。しかしアビーが亡くなったことを思い出し、悲しみに飲み込まれたウィルは、発作的に銃で頭を撃ちぬき自殺してしまう。

ディランの物語

祖父アーウィン(右)と乾杯する子ども時代のディラン(左)

ディラン・デンプシーはまだ自身が胎内にいる時に、母が事故に遭い、生まれてすぐに母は亡くなってしまった。その後まだ物心つかないうちに父は自殺、相次いで祖母リンダを亡くしてしまう。父母が飼っていた犬「ファックフェイス」はディランの親友となり、そんな彼女を慰めたが、その親友もほどなく死んでしまった。ディランは心に悲しみを抱えながらも、心優しい祖父に見守られ成長する。ディランの誕生日は母アビーの命日でもあったが、祖父と乾杯しながらささやかに自身の誕生日をお祝いした。ディランは複雑な幼少期と混とんとした思春期を経た後、アーウィンの反対を押し切って、大学を中退する。そしてロックバンドで活動をしながら、恋やケンカに明け暮れていた。そんな中、母の命日にはステージで母の好きだったボブ・ディランの名曲を、パンクロック調に歌い追悼する。追悼後、母が事故に遭った場所で、ディランは今だ癒えない悲しみに涙を流していた。

ゴンザレス家の物語

慎ましくも幸せに暮らすゴンザレス一家

ハビエル・ゴンザレスはスペインにある広大なオリーブ農園で働く平凡な男だ。仕事に対する真面目な姿勢を、雇い主ヴィンセント・サチョーネに買われ、作業長に昇進することになった。そして敷地内にある小奇麗な家を与えられる。その後街でウェイトレスとして働いていたイザベル・ディアスと結婚し、平凡だが満ち足りた生活の中で、息子ロドリゴ・ゴンザレス・ディアスが生まれる。ヴィンセントも度々その家を訪れ、ロドリゴに勉強を教えたり、高価な地球儀を買い与えるなど、ロドリゴをまるで自分の子どものように可愛がった。ヴィンセントの生い立ちはとても複雑なものだった。彼のイタリア人の父親はスペイン旅行をした際に母に一目惚れし、彼女をイタリアに連れ帰り、結婚する。しかしスペインを愛する母に、イタリアの流儀を無理やり押し付け、彼女を酷く苦しめた。ヴィンセントはそんな両親の不幸な夫婦生活を目の当たりにして育ったせいか、結婚もせず孤独を抱えながら生きてきた。そしてヴィンセントはいつしかイザベルに好意を抱くようになっていく。不穏な空気を察したハビエルは、地球儀をヴィンセントにつき返し、拒絶する。そして父親としての威厳を示すべく、ハビエルは家族旅行を計画した。行先はロドリゴが地球儀で興味を抱いたニューヨークだ。ゴンザレス一家は不穏な雰囲気など忘れて、生き生きと観光を楽しんだ。そこでたまたま乗り合わせたバスの運転手に、ロドリゴは興味津々に挨拶をする。その可愛らしい挨拶に応えようと運転手が前方から目を離した瞬間、身重の女性を轢いてしまう。それがアビーの事故だったのだ。

事故を目撃してから、ロドリゴは精神的に不安定になる。毎晩夜泣きやおもらしをするようになり、それにつれてイザベルとハビエルもナーバスになっていった。以前は笑顔に溢れた家庭であったのに、絶えず夫婦ケンカが起こり、そんな張り詰めた空気から逃げるようにハビエルは酒に溺れるようになった。追い詰められた夫婦は専門家にロドリゴを診察してもらう。しかしそれには高額なセラピー代が必要だった。そこで、金銭的余裕がないゴンザレス家に、裕福なヴィンセントが援助を申し出る。それを機にヴィンセントの訪問が増え、徐々にイザベルとロドリゴに笑顔が戻ってくる。その反面、無力感に襲われたハビエルの心は荒んでいった。そしてついにヴィンセントは、イザベルを愛しているとハビエルに告白する。その告白を聞いたハビエルは、自分がいない方がイザベルとロドリゴが幸せだと考え、妻の反対を押し切り家を出て行った。イザベルはまだハビエルのことを愛していたが、ロドリゴを育てるためにヴィンセントを頼った。

ロドリゴの物語

死の床で手を繋ぎ合うイザベル(中央)とヴィンセント(左)とハビエル(右)

母イザベルとヴィンセントに見守られ、賢いロドリゴは有望な青年へと成長していく。しかしアメリカの大学に合格した直後、イザベルが重い病に倒れる。ロドリゴは母の面倒を見ながら、ヴィンセントのオリーブ農園で働き始めた。しかし息子を思うイザベルはロドリゴを大学へと送り出す。母の思いに応えようとロドリゴは優秀な成績を取るなど、大学で目覚ましい活躍をした。そして休みの度に故郷に帰り、母を見舞う日々を送る。

しかしイザベルの病状は重くなるばかりだった。イザベルに残された時間が僅かとなった時、ヴィンセントはハビエルを家に呼び寄せる。ハビエルがイザベルの元を去ってから、ヴィンセントはハビエルに家族の状況をずっと手紙で伝え続けていたのだ。ヴィンセントはイザベルに決して男女の関係を求めず、家族として彼女とロドリゴを支えてきた。そしてハビエルはイザベルに仕送りをし、遠く離れた地で家族をずっと想っていたのだ。イザベルは笑顔で愛するハビエルを迎え、再会に涙を流した。長い期間を経て再び巡り合った3人は、手を取り合って見つめ合う。辛い時代を乗り越えて3人の心は繋がり合い、死の間際わずかではあったがイザベルは満たされた時を過ごす。

エレーナの物語

エレーナが両親と共に訪れたスペインのオリーブ農園

イザベルの死の報せをアメリカで受け取ったロドリゴは、深い悲しみに襲われた。悲しみをふっきるために、ロドリゴが街中をジョギングしていると、ベンチで1人泣いている女性を見かける。いたたまれない思いでロドリゴが声をかけたこの女性こそがディランであった。ディランはアビーの命日に、悲しみに打ちひしがれながら、母が事故にあった場所で涙を流していたのだ。母が事故にあった運命のその瞬間、ディランは母の胎内に、ロドリゴはバスの中におり、2人はもう既に出会っていたのだ。長い時を経て再び巡り合った2人は、運命に導かれるように結ばれる。

そしてその後42年間夫婦として仲睦まじく寄り添い、4人の子と7人の孫に恵まれる。スペインにいる育ての親であるヴィンセントの元を訪問し、その広大なオリーブ農園で子ども達と幸せな一時を過ごし、母の叶えられなった家族の愛を手に入れた。その後彼らの子どもの1人、エレーナ・デンプシー=ゴンザレスは『Life Itself(人生そのもの)』という本を出版する。それは3代に渡る永遠の愛の物語を描いた作品だ。祖母アビーは「人生そのものさえ信頼しきれない」と大学時代の論文で人生の不安定さについて書いている。しかしもう1人の祖母イザベルは、「荒波こそが人生そのものであり、それを乗り越えた先に愛を見つけてほしい」とロドリゴに語っていた。それによって「ロドリゴの中に受け継がれた自分が幸せになるのだ」と。たとえ悲劇に見舞われたとしても、綿々と引き継がれた人生の営みの先に真の愛が待っている。エレーナは力強くそう語った。

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』の登場人物・キャラクター

デンプシー家の人々

ウィル・デンプシー (演:オスカー・アイザック )

映画の脚本家。
アビーと運命的に出会い、大恋愛の末結婚した。
しかし愛する妻を交通事故で亡くしたことで、現実を否定し、妄想の世界の住人となる。
アビーの死を受け入れられなかったウィルは、まだ生まれたばかりの娘ディランを残して発作的に自殺してしまう。

アビー・デンプシー(演:オリヴィア・ワイルド )

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