ライフ・イットセルフ 未来に続く物語(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』とは2018年にアメリカで製作されたヒューマンストーリー映画。大ヒットTVドラマシリーズ『This Is Us/ディス イズ アス』の製作総指揮を務めた、ダン・フォーゲルマンがメガホンを握った作品として話題を集める。アメリカとスペインという遠く離れた地に住む2つの家族の過酷な人生模様を描く。その2家族が運命的に出会った時、そこに真の愛の物語が生まれた。ボブ・ディランの名曲をバックに、2つの家族の生き様を、3世代に渡って描いた壮大なラブストーリーだ。

大学の英文科を首席で卒業したアビーの卒業論文のテーマが「信頼できない語り手」。
物語においては「どんな語り手も主観が入るから信用できない」、つまり「人生は信頼できない語り手」と彼女は語っていた。
3世代にも渡る壮大な人生の物語である今作のテーマが、このセリフにも表れている。

ディラン「肥満者はチョコを、迷子は助けを、私は幸福な人生を切望する」

子ども時代のディラン

後にディランが子ども時代を振り返って、当時の気持ちを「肥満者はチョコを、迷子は助けを、私は幸福な人生を切望する」と表現する。
ディランは子どもの時、死という悲劇から逃れられない運命だと思い込んでいた。
心から幸福と安定を求めている切なさが、淡々としたこのセリフから伝わってくる。

イザベルがロドリゴに贈った言葉

ロドリゴ(右)に最期の言葉を贈るイザベラ(左)

ロドリゴが大学に入学する際に、イザベルはロドリゴに「人生は何度も荒波に襲われる辛いもの。しかし挫けずに前に進めば、己は愛に恵まれずとも次の世代できっと幸せになれる」と思いの丈を伝える。
イザベルは最期のお別れのつもりでこの言葉を遺し、亡くなる間際にはロドリゴを呼び寄せなかった。
イザベルのメッセージを受けて、ロドリゴはディランと出会い、母が切望しつつも得られなかった真の愛を手にすることができた。

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

名作『パルプ・フィクション』へのリスペクト

仮装してダンスに興じるウィル(左)とアビー(右)

『パルプ・フィクション』とは、1994年に製作されたアメリカ映画。
鬼才クエンティン・タランティーノ監督の最高傑作と評され、アカデミー賞では脚本賞、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞した。
ストーリー進行と実際の時系列が異なるという、当時としてはかなり斬新な手法の映画として話題を呼ぶ。
あるカップルが起こした強盗事件や殺し屋とそのボスの妻を取り巻くエピソードなど、いくつかのストーリーが交差するスリリングなクライムムービーだ。
今作ではプロポーズするハロウィンパーティーで、ウィルとアビーが『パルプ・フィクション』の主人公ヴィンセントとミアの仮装をしている。
また監督役を演じているサミュエル・L・ジャクソンは『パルプ・フィクション』にも出演しており、フォーゲルマン監督のタランティーノ監督へのリスペクトが随所に感じられる。

ダン・フォーゲルマン監督はヒットメーカー

今作の監督ダン・フォーゲルマンは、アメリカの大ヒットTVドラマ『This Is Us/ディス イズ アス』の企画・脚本・製作総指揮を手掛けた人物。
『This Is Us/ディス イズ アス』とは複雑な事情を抱えた3兄弟の家族愛を、過去・現在・未来に渡って描いた異色のヒューマンドラマ。
ゴールデン・グローブ賞を含む38の賞を受賞し、TVドラマ界では空前のヒットとなった。

ボブ・ディランありきの『ライフ・イットセルフ』

今作ではボブ・ディランの名曲の数々が映画の世界観を表している。
幸せ絶頂期の妊娠中に、アビーがウィルにボブ・ディランのアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』(1997年)の素晴らしさを熱く語るシーンが登場する。
その後妻アビーを亡くし、不安定なウィルがカフェでいきなりボブ・ディランを歌い出す。
またディランが母の命日に追悼のために歌った『メイク・ユー・フィール・マイ・ラブ』は、アビーの大好きな曲の1つだった。
監督のフォーゲルマンは、本作の脚本をアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』を聴きながら書いており、後に「ディランの曲なしにこの映画を作れるとは誰も思っていなかった。」と語っている。

『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』の主題歌・挿入歌

挿入歌:ボブ・ディラン「ラヴ・シック」

映画の冒頭でサミュエル・L・ジャクソンが、ウィルの妄想の中で監督として登場する。
彼のナレーションに沿って最初は物語が進むが、そのバックに流れているのがこの曲。
フォーゲルマン監督は後に、この曲が「この映画の冒頭にふさわしい曲だ、と思ったんだ」と語っている。

挿入歌:ディラン・デンプシー「メイク・ユー・フィール・マイ・ラブ」

母アビーの命日に追悼の意を込めて、ディランはこの歌をステージで歌う。
最初はオリジナルの曲調通り優しく歌い出すが、途中から激しいパンクロック調でシャウトする。
この曲は批評家達の非難を浴びる一方、ビリー・ジョエルやガース・ブルックスなど多くの歌手がカバーしている名曲だ。

挿入歌:ボブ・ディラン「タイム・アウト・オブ・マインド」

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