ハニーレモンソーダ(ハニレモ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハニーレモンソーダ』とは、村田真優が漫画雑誌『りぼん』で連載した少女漫画作品。
高校1年生の主人公・石森羽花は、中学の頃いじめられており、友達も恋人もいなかった。しかし高校受験前、三浦界という少年に出会って憧れ、彼と同じ八美津高校に入学する。高校で自分を変えるきっかけを得た羽花の成長と、界との恋模様を描いた物語。
2020年の「読者が選ぶ好きな少女マンガ&実写化してほしいマンガランキング」で1位を獲得し、累計発行部数は1000万部を突破している。また、2021年に実写映画版が公開された。

『ハニーレモンソーダ』の概要

『ハニーレモンソーダ』とは、日本の漫画家である村田真優が2016年、少女漫画雑誌『りぼん』にて連載をスタートした作品。2020年の「読者が選ぶ好きな少女マンガ&実写化してほしいマンガランキング」で1位を獲得し、累計発行部数は1000万部を突破している。また、2021年に実写映画版が公開された。
村田真優は2005年発売『りぼん』10月号で、「りぼん漫画スクール」にて「準りぼん賞」を受賞し、受賞作の『君の瞳に』が同年の12月号に掲載されたことでデビュー。
高校1年となった主人公の石森羽花は中学時代運動も苦手で唯一得意な勉強だけが取り柄だった為、周囲から「石」というあだ名で呼ばれいじめられていた。そのため、彼女は泣いたり笑ったりすることも忘れていた。中学3年の頃、進路で悩んでいた時に、自分を変えたいと思うきっかけをくれた「三浦界」というレモンソーダのような髪色の少年に出会い、三浦界に憧れ同じ高校に入学を決める。それから界と界の仲間たちとの学園生活が幕を開ける。一緒に過ごしていくうちに界の事を好きになってしまう羽花、そして界の意外な一面を発見し、より一層想いが募っていく。羽花は、自分の思いや考えをすぐに言葉に出来ない性格で、空回りしたり思い込んでしまう事もあった。しばらくして界の元カノに出会ったり界や周りの友人たちと、共に助け合いながら学園生活を過ごし、界との恋愛を通して羽花が成長していくストーリー。さまざまなキャラクター達の個性あふれるカラーと、自分を変えようと頑張る羽花とその仲間たちがそれぞれの個性を生かし楽しく面白くたまには真剣に刺激し合う。キャラクターたちが徐々に絆を深めていくのも魅力の1つだ。

『ハニーレモンソーダ』のあらすじ・ストーリー

羽花と界の出会い(受験前、入学後)

中学3年冬、高校受験を控えていた羽花は学内で1人だけ真聖学園を志望していたが、自分自身を変えたいという気持ちから八美津高校に憧れるようになっていた。クラスのみんなは、おしゃれで友達も多く、自分とは正反対で自分は自信もなく思っている事も言葉に出来ずネガティブで、いつも独りぼっちだった。運動も苦手で人前に出ると顔が固まってしまったり、自分の行動が人を不愉快にさせていることから「石」とあだ名がつけられた。
パンフレットを持ち外を歩いていた羽花は石と呼ぶクラスメイト達と会い、真聖に行くことをいじられ座り込んでしまう。しかし、その近くに三浦界がその光景を見ていて羽花に声をかける。この出会いが羽花の運命を変える、そして界に憧れて八美津高校に入学することを決める。
行きたかった八美津高校に入学した羽花は、入学式の日に憧れである三浦界を見つけ胸が高まる。そんなある日、校舎の外を歩いていると界が他の生徒に思い切り振ったレモンソーダをかけようとする。しかし、レモンソーダはそこにたまたま通りかかった羽花にかかってしまう。界は謝るが、羽花は界に見られているのが恥ずかしくなりその場をダッシュで逃げてしまう。本来ならレモンソーダをかけられて嫌なはずだが、「三浦君にかけられたから寧ろ嬉しい」と思う羽花だった。自分の性格(怠慢・自己責任)をこのままでは駄目だと感じ、翌日界に話しかけようと気合を入れて登校する。

ある日、中学が一緒で自分の事を石と呼んでいた生徒たちも同じ高校に入学していて、中学の頃と同じ様に羽花はいじめられ悪口を言われる。何も言えずにいると、界に「誰かに言えよ、助けてって」と言われるが、また逃げてしまう。しかし三浦界という憧れの人と出会い、このままではいけないと勇気を出して、翌日またいじめっ子にいじめられそうになった時、買っておいたレモンソーダを界が以前したように振って相手にかけたのだった。しかし、言い返されて反論しようとした時に界に声をかけられ、「言えよ、昨日の事、俺に」と言われ戸惑ってしまう羽花だったが、自分の言葉で界に「たすけて」と言い助けてもらう。こうして、界とその仲間たちと関わり絆を深めていき、変わろうと必死で頑張る羽花なのである。

八美津高校文化祭

高校1年になり、初めての文化祭。羽花のクラス1-Bは、メイド喫茶をすることになった。羽花は裏方でパンケーキやアイスなど作る係で皆を陰でサポートしているのだが、界は教室にはいない。羽花のクラスは人気で、午前中に材料が足らなくなり、羽花がすぐさま買い出しに行く。羽花はクラスのために頑張りながら、「界と少しでも話せたらいい」と願っていた。
材料の買い出しに向かっている羽花だったが、ある場所が賑わっているのが気になり足を止める。それぞれの学年各クラスから、人気の生徒が撮影された「バカッコイイ」という映像が上映されていた。そこに界も参加していて、それぞれの生徒が「○○係」というキャッチフレーズを順番に言っていく。界は「1年B組 三浦界 石森係」とまさかの発言をする。それを聞いてしまった羽花は、とてもびっくりした。でも嬉しくて顔が赤くなる。なぜ界が「石森係」と言ったのか理解できなくて、どういう事なのかと疑問に思った。でもやっぱりどんな理由でも嬉しいし幸せだと感じる羽花であった。

高校生活はじめての夏休み

夏休みに突入し、仲のいいあゆみに海水浴に誘ってもらった。芹奈や界など他のクラスメイトも沢山来ていて皆おしゃれな水着を着ていた。しかし、羽花はTシャツに短パンという出で立ち。羽花は周りが美しすぎるせいで顔が真っ赤になるくらい照れてしまい彼らをまっすぐ見れない。でも、この中に誘って貰っただけで幸せだと手を合わせて拝んでいると、そこに界たちがやってくる。またも何処を見ていいか分からず目をそらしてしまう。しかし界は「慣れろ」と少々怒り気味に言ったあと、過去に芹奈と色々あった先輩たちと遭遇してしまう。
芹奈と先輩たちの過去を知っている生徒たちは「芹奈を守んなきゃ」と言い、羽花も同調するが、界は「余計なことすんな オレがついてるから 石森は関係ない」と言う。羽花は「出しゃばってしまった」と落ち込んでしまう。界は羽花を守ろうとしただけだったが、意図をハッキリ言わないせいで周りにいつも誤解を与えている。ただでさえ鈍感な羽花はネガティブに捉えてしまっていた。

いたたまれなくなった羽花は、「ブラブラしてくる」とみんなに告げて歩いていると、自分の事をいじめていた同級生に遭遇してしまう。また嫌なことを言われてしまうが、「逃げちゃだめだ」と勇気を出した羽花は「お元気ですか!?」「最近学校でお見かけしませんが」と言う。生徒たちは「羽花のせいで学校が居心地悪くなり辞めた」と答える。羽花は「すみません…そうですか」とつぶやくが、同級生たちは「うざいけど前よりマシ」と少し優しくなっていて、羽花は笑顔で別れる事が出来た。

ついに羽花と界がつきあう

界が全校朝礼で全校生徒の前で挨拶することになった。先輩からアドバイスを受けている際、話題が界の彼女のことになり、周囲の友人たちは「羽花じゃないか」と言うが界は否定する。それを聞いていた羽花は皆の前で勇気を振り絞り、「私と付き合ってください!」と告白する。しかし羽花が話している最中に界が先生に連れていかれ、返事を聞くことができなかった。
その後、朝礼で生徒たちの前に立った界は「石森さん オレと付き合ってください」と羽花に告白する。お互いとても良い笑顔で、無事2人は付き合う事になったのだった。

恋人となった羽花と界だったが、1か月経っても進展はなく、それまでと同じ付き合いが続いていた。羽花は勇気が出なくて自分から電話をかけることができない。界と友人たちと遊びに行った際には界の好みに合わせた服装と髪型で参加するが、界はそっけない。
羽花の提案で、界がよく行く店に行くことになる。界がみんなを連れていったのは、以前オーナーの娘エミリが界に告白したことで界が行かなくなった店だった。羽花に対抗意識を燃やすエミリは羽花の服が前後反対だったことに気付き、それをからかって羽花に恥をかかせる。すると界が「黙れよ うるせぇんだよ」とエミリを一喝し、「彼女だから」とはっきり宣言する。その後、ふたりは初めてのキスをし、羽花は界への愛情を噛み締めた。
界の誕生日、羽花はレモンソーダや市販のお菓子をプレゼントする。特別感のないプレゼントに友人たちは驚くが、界が甘いものや大げさなサプライズが好きではないことを知った上での選択だった。

2年生に進級

2年生に進級した羽花たち。2年からは進学するかしないかでクラスが決まり、羽花は進学希望でB組、界は就職希望のためF組という振り分けになった。羽花、高嶺、あゆみ、真鈴、とんぼはまた同じクラスになり担任は阿部先生、界は芹奈、華原、悟と同じクラスで担任は緑先生となった。
羽花は進級を機に携帯を新調し、スマホを持つことになった。また、美術部に入部するという新しいことにも挑戦していた。しかしどちらも界には告げていなかった。あるとき界がLINEを開くと「知り合いかも?」の欄に「石森羽花」が表示されており、スマホを買ったことを聞かされていなかった界はクラスの窓から身を乗り出して「石森!!おまえちょっと来いや!!」と叫ぶ。
羽花と界は屋上で合流し、羽花はスマホのことや部活に入ったことを打ち明けた。「これからは遠慮しないで、何でもすぐ言う」と羽花が告げると、界は納得した。羽花が勇気を出して「毎日LINEしてもいいですか?」「クラスも校舎も離れてしまって寂しい」と自分の気持ちを打ち明けると、界は羽花にキスをする。そこでタイミングよくチャイムが鳴り、羽花は真っ赤な顔のまま、界はご機嫌でそれぞれのクラスに戻るのだった。

林間学校

林間学校で、羽花の友人のあゆみは悟に想いを伝えて付き合うことになる。羽花も界と甘い時間を過ごす。羽花はあゆみと仲を深め、ファーストネームで呼び合うようになっていた。
あるとき、帰りが遅くなった羽花を界が家まで送っていくと、羽花の父親が出てきて「ふたりで話がしたい」と界に申し出た。羽花は止めようとするが、界は「大丈夫」と言って羽花の父親とふたりきりで話すことになる。父親は界の派手な見た目やアルバイトで夜遅くまで働いていること、会社の部下が夜の街で界を見掛けたことなどを引き合いに出し、学生が夜遅くまで出歩いていることに苦言を言う。界は自分に両親がいないこと、その経緯、今は叔父のマンションにひとりで暮らしていることなど、見の上を正直に打ち明けた。それを聞いた父親は界に名詞を渡し、「何かあったら頼りなさい」「出来る事は力になる、羽花が選んだのが君だから」と界を認めるのだった。
羽花と界は少しずつお互いのことを知っていき、順調に仲を深めていった。

付き合って1年記念

つき合って1年になる日、羽花と界は記念日のデートをする。プリクラを撮ったり映画を観たりして楽しい時間を過ごすが、ちょっとしたすれ違いから小さな仲違いをしてしまう。落ち込む羽花だったが、実はお互いにこっそりプレゼントを用意していたことがわかった。通行人にぶつかられた羽花はプレゼントを噴水に落としてしまうが、界は躊躇うことなくそれを拾い上げた。羽花が用意していたプレゼントのピアスを界はその場で身に着け、自分が用意していたプレゼントを羽花に渡す。中身は名前入りのブックカバーだった。
性格もプレゼントも真逆の自分たちがくっつくことになるとは、出会った頃はまったく想像していなかった界だが、「だからよっぽど惹かれたんだろ、石森羽花に」と正直な気持ちを伝える。幸せな記念日となったのだった。

羽花は遠慮がちな性格が災いして、自分から界に会いに行ったり誘いをかけたりできないでいた。界に誘われたときには屋上で会い、膝枕をするなど甘い時間を過ごしていたが、冬に差しかかってきたためそれも難しくなっていた。
羽花は手作りのお弁当を持って界に会いに行こうとするが、界が友達にからかわれるのが嫌いなことを思うと勇気が出ない。するとしびれをきらした界が会いに来て、図書室で羽花のお弁当を食べることになる。界は「明日から毎日ここ待ち合わせで」と約束をしてくれた。界の気持ちを確かめた羽花は、「これからはためらわず会いに行く」と決めたのだった。

3年に進級

羽花たちは3年生になった。3年生も進級組と就職組でクラス分けされるため、界とは校舎もクラスも別れたままだと羽花は思っていた。しかし自分のクラスに入ろうとした時、隣から「おはよう」と声をかけられ、見てみるとそこには界がいたのだ。界は「進学する、以上報告」とだけ言って、羽花の隣のクラスに入っていった。
新たに入学してきた新入生の中には、羽花に憧れて八美津高校を選んだ女の子がいた。彼女は羽花に「友達の作り方教えてほしいです」「本当に憧れなんです」と必死に伝える。羽花は「話しかける!」と答え、彼女の学校生活が上手くいくことを願うのだった。
羽花のクラスに新入生がやってきた。厳しい担任の先生は「用もないのに3年の教室に来るな」と注意をする。羽花が後輩を庇うと先生は怒り、「先輩後輩ごっこまでするようになったか。友達ごっこ恋人ごっこ、そのうち今までの環境が甘かっただけだと気づくさ」と吐き捨てる。後輩は友達の作り方を聞きにきたのだが、羽花は先生の言葉にすっかり消沈してしまった。それを見ていた界は「おまえに今足りないものは?」と羽花に問いかけ、背中を押された羽花は「自分に足りないものは勇気と自信だ」と気が付く。
羽花は新入生に向けて八美津高校のプレゼンを行い、自分がどうなりたいか目標を持つこと、それに向けて努力すること、勇気を出して周囲を動かすことを伝える。そして「夢も希望もここにある、それさえ信じていればきっと無敵」と新入生を励ますのだった。

『ハニーレモンソーダ』の登場人物・キャラクター

石森 羽花(いしもり うか)

八美津高校に通う1年いわゆるJK。他人とコミュニケーションを取る事が苦手で、人前に立つと緊張して固まった表情になり石のように動かなくなるので、中学時代「石」とあだ名がつけられいじめられていた。自分はどんくさくて内向的で他人をイラつかせてしまう人間なんだと、周りと関わらないように生きてきた。
高校に進学する際、羽花は有名な進学校へ入学できるレベルの学力を持っていたが、高校受験前に街でいじめっ子たちに遭遇しまたいじめられていた。そこに偶然居合わせた三浦界が助けてくれて、自分が持っていた高校のパンフレットをみて「こっちが案外似合うんじゃねぇの」と言ってくれた。それがきっかけで界と八美津高校にも憧れるようになり、環境ではなく自分自身を変えたいという思いで八美津高校に入学する。
自分をいじめていた同級生も八美津に入学しており、中学の頃のようにいじめられてしまう。しかし、界が助けてくれた事で色んな人たちと関わりを持つようになり、徐々に友達も増えていく。界に対しては、憧れや自分を助けてくれた感謝でいっぱいだったが、少しずつ異性として見るようになる。恋愛経験ナシの羽花が皆のおかげでどんどん変わっていく。

三浦 界(みうら かい)

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