超時空要塞マクロス(MACROSS)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『超時空要塞マクロス』とは、タツノコプロ・アニメフレンド制作の日本のロボットアニメ。 1982年10月から毎日放送(MBS)製作、TBS系列で放送された「超時空シリーズ」および「マクロスシリーズ」の第1作目である。飛行機好きのごく普通の少年・一条輝が、突如襲来してきた異星人との戦いの中でリン・ミンメイと早瀬未沙という2人の女性との恋をし、友情に生き、成長していく物語である。歌と文化と異星人との戦いを軸に、輝、ミンメイ、未沙の三角関係など、様々な人間模様が描かれている。

『超時空要塞マクロス』の概要

『超時空要塞マクロス』とは、タツノコプロ・アニメフレンド、毎日放送制作の日本のロボットアニメ。 『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』により隆盛した1980年代前半のアニメブームを象徴する作品のひとつ。 ロボットアニメにSF、ラブコメ、アイドルといった当時の若者文化の流行をちりばめた個性的な作風が特徴である。

特筆されるのは、制作側スタッフとしてSFもしくはアニメーションなどのファン層からアニメ業界に入ってきた若いスタッフが数多く参加していることである。 後のアニメ業界をけん引することになる河森正治、板野一郎、美樹本晴彦や、制作当時当時学生だった庵野秀明、前田真宏、貞本義行などがいる。 これらの若いスタッフは作品に「自分達が観たいものを作る」という実験的な方向性を持ち込み、結果的に視聴者層と世代感覚を共有することになった。
それにくわえて、従来のロボットアニメにはなかった80年代若者風のセリフ回しの脚本や、歌謡曲や管弦楽を活かしたアニメソングを多数手がけてきた羽田健太郎の音楽がさらなる世界観の広がりを生み出した。
その個性豊かな若者たちをまとめ上げ、彼らのセンスを最大限に活かしたのは、チーフディレクター石黒昇である。

マクロスシリーズの肝ともいうべき「歌の存在感」を高めたのも、アニメ業界における革命といえる。 ヒロインであるミンメイの歌を単なる劇中歌ではなく、物語の根幹にかかわる要素に位置付けたのは画期的な試みであり、以後のマクロスシリーズでも「歌」が重要なテーマとなっている。

放送開始後、ファンの支持や関連商品の好セールスを受け13話の延長が決定し、当初予定の23話から36話へ延長される。 その後も本作のスタッフが関わり、世界設定や基本要素を継承する形で「マクロスシリーズ」の作品が発表されている。

飛行機好きのごく普通の少年・一条輝(いちじょうひかる)が、突如襲来してきた異星人との戦いの中でリン・ミンメイと早瀬未沙(はやせみさ)という2人の女性との恋をし、友情に生き、成長していく物語である。歌と文化と異星人との戦いを軸に、輝、ミンメイ、未沙の三角関係をはじめ、地球人パイロット・マクシ ミリアン ジーナスと、女性異星人のメルトランであるミリア ファリーナとの結婚や、最後まで反逆児を貫いたゼントラーディのエース・カムジン クラウジュラの生き様など、様々な人間模様が描かれている。

『超時空要塞マクロス』のあらすじ・ストーリー

ミンメイと未沙との出会い

西暦1999年、突如宇宙より飛来し太平洋上の南アタリア島に墜落した巨大物体は、全長1,200m超に及ぶ宇宙戦艦だった。 これにより異星人の実在と、遥か彼方の宇宙で行われている戦争の存在を知った地球人は、宇宙からの脅威に対処すべく地球統合政府を樹立する。 有史以来初めての地球圏統一に反発する勢力との世界規模の紛争(統合戦争)を経て、統合政府は墜落艦を改修し「マクロス」と命名する。
統合戦争も終結した2009年のマクロス進宙式当日、地球付近に異星人艦隊が出現する。 その存在を感知したマクロスの主砲システムが勝手に動作し、戦艦群を撃破してしまう。 マクロス艦長グローバルは、この行動はマクロスに仕掛けられたブービートラップによるものであると判断した。 後にマクロスを攻撃した異星人艦隊はゼントラーディ軍、マクロスにブービートラップを仕掛け地球に落とした側は監察軍という勢力だと判明、地球人類は否応なく異星人同士の星間戦争に巻き込まれることとなる。

ゼントラーディ軍の包囲網から逃れるため、マクロスはフォールド航行(異星人の技術による空間転移航法)により月の裏側への待避を図る。 しかし制御に失敗したため南アタリア島一帯とともにワープ、大幅に軌道をはずして冥王星軌道付近に移動してしまった。 さらにフォールド航行のシステム自体も消失したため、通常のロケット推進のみでの地球への長い帰還の旅を強いられた。 その途上、南アタリア島住民5万8千人はマクロス艦内に街を再建し、戦争の傍らで普段通りの生活を営んでいた。

マクロスのフォールドに巻き込まれた1人であるアクロバットパイロットの一条輝(いちじょうひかる)は、同じく巻き込まれた少女リン・ミンメイと出会い、意識するようになる。 ミンメイは歌手になる夢を追い続けており、戦争に巻き込まれて自由に飛行機を飛ばせなくなってふてくされていた輝にとってまぶしい存在だった。
2人のデート中にミンメイが軽い気持ちで「飛行機が好きなら軍に入ればいい」と言うが、軍隊を人殺しの集団だと思っている輝にとってあり得ない選択肢だった。 しかしマクロスが攻撃され2人で避難した時、輝はアクロバットチームの先輩だったフォッカーが搭乗するバルキリー隊が、マクロスを守るため懸命に戦う姿を見た。 空を飛ぶしか能のない自分にできることがあったと悟った輝は、戦渦からミンメイを守るために軍入隊を決意、バルキリー隊の一員となった。
初めて出会った時から天真爛漫で輝を振り回してきたミンメイだが、市街地にテレビ局が開局した記念に開催されたミス・マクロスコンテストに優勝したことがきっかけでアイドル歌手になったことによって、さらに輝にとって遠い存在になっていった。 ミンメイとのすれ違いの日々が続く中、輝は何のために軍人になったのかわからなくなっていく。

輝とミンメイの関係が疎遠になる一方、上官である早瀬未沙(はやせみさ)との関係が密になっていった。
マクロスの航空管制官である未沙とは、マクロスが地球にいた時に輝が自分の愛用飛行機でマクロスのそばを旋回していたのを叱責され、むっとした輝は未沙を「おばさん」呼ばわりしたという最悪の出会いをしていたが、戦闘が続いて2人の交流が増すたび、喧嘩しつつも本音をさらけあえる関係になっていた。

ゼントラーディ軍との戦い

圧倒的な戦力を持つゼントラーディ軍がなぜ地球やマクロスを総攻撃してこないのかという疑問が解決されないままマクロスが地球に帰還する中、輝は部下の柿崎やマックス、宙域偵察中の未沙とともにゼントラーディ軍ブリタイ艦隊の捕虜となる。
艦隊司令ブリタイとその上司であるボドルザーとの会見の中、ゼントラーディ人とは戦争をすることだけが生きる目的であり、地球人のような文化文明を持っていないことを知る。 ブリタイ達から男女が一緒に行動している理由を徹底的に質問されるうちに、恋愛や子孫繁栄の話になった。 「愛するとは何か」と聞かれた輝は「抱き合ったりキスしたり」と答えたので「キスとやらをして見せろ」とブリタイ達から命令された。 紆余曲折の末輝と未沙がキスを披露することになった。 心の中でミンメイに謝りながら未沙とキスをした輝。
2人の姿を見たゼントラーディ人はこの世のものとは思えないものであるかのように驚き、ボドルザーは「プロトカルチャー」という謎の言葉を残して退席した。

収監された輝たちだが、未沙はプロトカルチャーという存在が大いなる力を持つ古代人で、その力を地球人が持っているのだとゼントラーディ軍は勘違いしているので今まで総攻撃を仕掛けなかったのだろうと推測した。 何とか脱走しようと苦心惨憺しているところへ、1人捕虜にならず別行動をとっていたマックスが救出に駆けつけ脱走を試みた。 その途中でマックス、柿崎と離れ離れになった輝と未沙は、ゼントラーディ人が装置を使って地球人サイズの体格に処置されている光景を目撃する。 未沙は、ゼントラーディ人は地球人と同じ遺伝子構造を持っているのではないかと推測し、マクロスに戻ってプロトカルチャー伝説や今見た光景を統合軍に伝えれば戦争終結の糸口になるかもしれないと思った。 そして苦労の末輝たちはマックス、柿崎と合流し、マクロスに帰還した。

苦労の末マクロスに帰還した輝たちの報告を、グローバル以外のマクロス上層部は全く意に介さなかった。 一個艦隊が小型艦を除いても400万隻以上だの、民間人という概念のない戦闘しか知らない民族だの、古代人のおそるべし力だの、人工的に巨人化したり地球人サイズにまで自在に身長を変化できるだのという話を信用できないというのだ。 それは地球の統合軍本部首脳たちも同じだった。

苦難の末やっと地球に到着したグローバルと未沙は統合軍首脳に報告をしたが、彼らは異星人との和平交渉など眼中になかった。 統合軍は異星人の存在を地球市民に公表しておらず、マクロスはテスト航海に出て、南アタリア島民は反統合軍残党ゲリラの攻撃により全員死亡したという公式見声明を出している。 そのためマクロスは地球から追放同然の仕打ちを受け、死んだことにされている民間人の地球受け入れも却下された。 しかも異星人がマクロスの民間人に関心を持っているので、統合軍が迎撃態勢を整える間の囮になれとも言われた。
グローバルの元上司で未沙の実の父である早瀬元帥は未沙に、マクロスを降りろという手紙をこっそり渡した。 未沙はその手紙を破り捨て、我が家となったマクロスに戻った。

地球から追放されたマクロスだったが、人々は普段通りの生活に戻っていた。 彼らにとってはすでにマクロスが故郷となっているので、グローバルから地球から見捨てられたといわれても意外と混乱は生じなかったのだ。

マクロスがおとりとして地球から離れた時、地球からミンメイが連れてきたのがいとこのカイフンだった。
統合戦争のころから反戦主義者である彼は、ミンメイが軍人である輝と接近するのを嫌悪し、未沙にも冷たい態度をとった。
輝にとっては恋のライバルでしかないカイフンだが、未沙にとってはもっと重要な存在だった。
カイフンは未沙の初恋の人、ライバー少尉に生き写しだった。 ライバー少尉は軍人であるにもかかわらず争いを好まない火星の観測基地の職員だったが、統合戦争にまきこまれ死亡していた。 その悲しみを忘れるため未沙は今まで軍の任務に没頭してきたが、ライバーの分身かと思われるカイフンから、軍人であることが理由で冷たく扱われたことにショックを覚えた。
だが、カイフンがミンメイと接近することによって輝と未沙の距離が急接近していった。 ミンメイとカイフンが遠い手の届かない存在だと輝と未沙が思い知らされる一方で、輝と未沙はお互いが身近な存在で、喧嘩しながらも本音を話し合えるいい関係なのだと気づいたからだ。

ボドルザーたちと輝たちとのファーストコンタクト後、マクロスは牽制程度の戦闘を仕掛けられつつも地球へ向かっていた。
輝が順調に小隊長としてキャリアを積んでいく中、兄貴分と慕ってきたフォッカーが戦死した。 彼が死んだのは戦場ではなく、恋人クローディアのいる部屋の中だった。 あまりにもあっけなく、静かな彼の死を輝は信じられなかった。
その心の空白が埋まらないうちに、今度は明るくムードメーカーだった後輩柿崎が死んだ。 マクロスの新装備、全方位バリアーの暴走による爆発に巻き込まれたのが原因だった。 柿崎の両親に向けて息子の戦死報告のレポートを書こうとしては何度も失敗し、涙する輝だった。
ブリタイ艦隊からマクロスにスパイを送り込んで以来、彼らが持ち帰ったミンメイの歌などの文化は瞬く間に兵士の間に広がり、戦闘を放棄してマクロスに亡命するものが増えてきた。 これらの流れに際し未沙はもう一度父である早瀬提督にゼントラーディ軍との徹底抗戦を考え直し、和平交渉をするよう説得すべく地球へ単身戻ることを決めた。 輝への思いを隠したまま、未沙はマクロスを離れた。
未沙の護衛についた輝は、今までありがとう、と素直に礼を言った後、バルキリーのシグナルで「貴君の目的の達成とマクロスへの無事帰還を祈る。 一条輝」と伝えて去っていった。

未沙と離れてみて輝は、初めて自分は未沙にひかれ始めていることを知った。 そして輝も、死んだフォッカーと柿崎のためにも戦争を終結させたいと思うようになっていった。
輝と未沙の願ったゼントラーディ軍との和平への道。 その出発点となったのが、ラプラミズ艦隊のエースパイロット、ミリアとマックスの星間結婚だった。 二人が出会ったのは互いの顔も知らない戦場で、ミリアはマックスとの戦いで初めて負けるという屈辱を味わった。

その相手を探して屈辱を晴らすためミリアはマイクローン化してマクロスに潜入し、ゲームセンターで偶然出会ったマックスと二度目の対決をして再び負けた。 ミリアはマックスが探し求めた宿敵だと察して、マックスがデートに誘った公園へ行ってナイフで襲い掛かるも、マックスは三度目の勝負も勝つことができた。 ミリアは3度までも敗れて精魂尽き果て、マックスに殺せといった。 マックスは、ミリアがゼントラーディ人だということは全く気にせず、ただミリアの美しさに惹かれた。 そして2人はキスを交わした。

翌日、輝はマックスに大事な話があるからと喫茶店に呼び出され、ミリアとの結婚を決めたと事後報告をした。 美しく着飾り、マックスと仲睦まじいミリアを見た輝は、あっけにとられつつも2人の結婚が和平の架け橋になると確信した。 グローバルは2人の結婚式をテレビ放送し、その模様はゼントラーディ軍にかなりの動揺を与えた。 そして自分の艦隊から亡命者を多数産んでいたブリタイも、マクロスとの停戦を考えるようになっていった。
ゼントラーディの歴史には、プロトカルチャーと接触するとゼントラーディは破滅する、という言い伝えがあった。 文化に汚染されつつあるブリタイ艦隊や星間結婚の現状を鑑み、言い伝えは正しかったとボドルザーは判断し、その文化と接触したブリタイ艦隊もろとも地球とマクロスに対する徹底抗戦を決断した。

ボドル基幹艦隊が自分たちもろとも地球を滅ぼしに来ると察知したブリタイはマクロスとの停戦と同盟を決断する。 外交使節として副官のエキセドルを派遣し、文化の象徴であるミンメイとカイフンの協力を仰いだ。 ミンメイは素直に賛同したが、カイフンは500万の艦隊(基幹艦隊)と闘うなんて無理だ!と自棄になった。 たとえ勝つ見込みが少なくてもできる限りのことはしなければならない、とグローバルもエキセドルも、最後まであきらめなかった。
最終決戦のため出撃しようとした輝は生きて帰れないかもしれないと悟り、初めてミンメイに「好きだった。 カイフンと幸せに」と告白し、敬礼をした。 思いもよらない告白に驚くミンメイ。 輝がパイロットスーツに着替えていると、ミンメイが訪ねてきた。 「お友達だと思っていた」というが、ミンメイは動揺していた。 告白されてはじめて、ミンメイも本当は輝を好きだったと気づいたのだが、輝はその意味を、初めからお友達でしかなかったと受け取り、ショックを受けた。
同じころ、地球にいた未沙は早瀬提督の説得を続けていた。 娘の根気と情熱に負けた提督は、もう1度和平について考え直そうと言った矢先、ボドル基幹艦隊がデフォールドしてきた。 艦艇数約500万の大艦隊だが、ゼントラーディ軍にとってはただの一個大隊にしか過ぎなかった。

ボドル基幹艦隊は、統合軍本部が攻撃する隙を与えず一斉射を地球に放った。
ほんの数分で地球上の生命は九十九パーセント死滅し、アラスカの地下にあった統合軍本部も反撃むなしくあっけなく陥落して早瀬提督も死亡した。 和解して数分もたたずに未沙は父を失い、攻撃の影響で地下管制室に閉じ込められた。
地球が一瞬で滅びるさまを輝とミンメイも目の当たりにしていた。 両親の死を悲しむミンメイと、未沙を気遣う輝。 ミンメイが泣きながら歌を歌っている姿を見た輝は、ミンメイの歌が突破口になるとひらめいた。
グローバルとエキセドルは、文化を知らないボドル基幹艦隊にミンメイの歌を聞かせればカルチャーショックを受け、一時的に指揮系統をマヒさせることができると判断し、輝の案を採択した。 ブリタイにもその旨を相談したら士気高揚にもなるからと賛同したので早速作戦準備に取り掛かった。 輝は知らなかったが、エキセドルの提案でカイフンとのキスシーンも追加されていた。 キスという行為が最もゼントラーディ人にとって衝撃的だからである。
ミンメイの歌う「私の彼はパイロット」をバックに、マクロスとブリタイ艦隊、そしてミリアの結婚を止められなかったため処分対象とされていたラプラミズ艦隊の攻撃が始まった。 予想通り、初めて歌を聞くボドル基幹艦隊はカルチャーショックを受けて戦闘不能になっていた。 エキセドルの案どおり、1曲終わったらミンメイとカイフンがキスをすると基幹艦隊の驚きはピークに達した。 2人のキスシーンを見ていたバルキリー内の輝は曲が「小白竜」に変わると同時に、ミンメイへの思いを吹っ切るように出撃した。 だが反応弾で戦艦を落とすも、ミサイル攻撃を食らって戦線を離脱、地球の大気圏に機体は流されていった。

ボドルザーの最期

バルキリーが大気圏に突入する前に輝は意識を取り戻した。 「シルバームーン・レッドムーン」がバルキリー内に流れていた。 その曲に合わせて機体を大気圏突入モードに変形させつつ、輝はミンメイのことを思い出していた。
出撃前に輝がミンメイの歌を切り札にしようという作戦を思いつき、ミンメイの同意を得た。

「歌ってくれるんだね、みんなのために!」
「ええ、今日だけは、あなたのために」

2人は初めて、誰からも命令されず、自分の意思でキスをした。 これが2人のファーストキスだった。
輝が焦土と化した地球を1人で滑走していたら、未沙からの救助要請の通信を傍受した。 さっそく救助に向かうという輝を未沙は危険だと止めるが「そういう命令、今まで守ったことなかったですね」と言って輝は未沙の元に向かった。
戦場では「愛は流れる」をバックにマクロスがボドルザー旗艦への特攻をかけようとしていた。 今まで様子見をしていたカムジンは、最後まであきらめないマクロス、ブリタイ艦隊とミンメイの歌に感動し、ボドルザーに反旗を翻した。

マクロスはボドルザー旗艦の内部突入に成功し、ボドルザーのいる中央指令室にたどり着いた。 ボドルザーは「プロトカルチャーめ!」と言い放った。
モニターに映るマクロスとミンメイの歌、つまり文化の力を最後まで否定したボドルザー。 マクロスはこれまでに改善、改良を繰り返して強力になっていき、生き延びてきた。 修理という概念もなく、改良、改善自体がボドルザーにとっては「文化」であり、理解しがたいものなのだ。
そして、武器も使えない一人の華奢な少女が、歌を歌うだけでボドル基幹艦隊の士気を消失させたという事実もその理由も、ボドルザーには最後まで理解できなかった。
ボドルザーは未知のものを受け入れない老害の象徴として、マクロスの反応弾一斉射撃を受け、旗艦ごと消滅した。

戦争の終結

一方地球では脱出に成功した輝と未沙だったが、もう誰も生き残っていないかと思い気落ちしていた。 すると、彼方からミンメイの歌が聞こえた。 その方角に行ってみるとぼろぼろになったマクロスを発見する。 マクロスのみんなは何とか無事だった。 輝と未沙は明るい笑顔を浮かべ、マクロスに帰還した。

こうして後の世に星間戦争と呼ばれる戦役は終結した。
だが、地球の復興という大事業が、生き残った人々を待ち受けていたのだった。

戦争終結後2年が経過した。 焦土と化した地球の復興が進められる一方で、地球の暮らしに馴染めない一部のゼントラーディ人が各地で問題を起こし始める。 輝は未沙と親密になりながらも多忙な毎日が続き、すれ違うことが多くなっていた。
一方、各地で歌手として活動しながらも今後の展望に行き詰まっていたミンメイも、公私ともにパートナーとなっていたカイフンとの仲が冷めていた。 かつての輝きを失ったミンメイをカイフンは見限り、放浪の旅に出てしまった。 1人残されたミンメイは一度振っている輝に身を寄せ、輝も未沙に後ろめたさを感じつつもミンメイを受け入れてしまった。
1度は文化にあこがれながらもゼントラーディ人の闘争本能から逃れられなかったカムジンとラプラミズたちは、終戦以来2年間影を潜めつつ、同じく文化的な生活になじめないゼントラーディ人を集結して再び戦乱の宇宙に戻ろうと暗躍していた。
輝たち統合軍は彼らを同胞として迎えるため、暴動に対しても最低限の攻撃でとどめたり説得をしたりしていたが、カムジンたちにその思いは届かなかった。 文化を否定するカムジンだが、ラプラミズと文化(という名のキス)をするのはやぶさかではないようだ。 2年間の隠遁生活が2人の仲を進展させたのであろう。
自分たちで戦艦を修理、改善したカムジンたちは戦乱が続く宇宙に戻る前に文化の象徴たるマクロスを破壊すべく攻撃を仕掛けるが、ぼろ船だと思われたマクロスは、約2年のブランクがあるにもかかわらずカムジンたちの猛攻をしのいだ。 自ら戦艦で特攻をかけたカムジンとラプラミズは、互いの名を呼びあいながら炎の中に消えていった。

その一方、輝と暮らしていたミンメイは輝に軍人を辞めて自分と一緒にいてほしいと願った。 ミンメイが戻ってきたことに気づいた未沙は輝との恋愛関係に悩むが、グローバルから人類宇宙移住計画の移民船初代艦長に任命されたのをきっかけに、輝から身を引く決心をした。 輝に「好きだった」と告白して去っていく未沙を輝は追った。 未沙が離れて行って初めて自分には未沙が必要だと悟った輝は、きっぱりとミンメイに別れを告げた。 輝は未沙の元に戻り、ミンメイはひとり、歌とともに生きていく道を歩み始める。

『超時空要塞マクロス』の登場人物・キャラクター

主人公

一条輝(いちじょう ひかる)

CV:長谷有洋
生年月日 1991年(1992年)11月4日
年齢 16歳または17歳(初登場時点)
身長 175cm
体重 58kg

当作品の主人公。 民間のスタントパイロットであったが戦闘に巻き込まれ、地球統合軍に入隊する。
熱血漢にはほど遠い性格、戦闘技量で脇役に劣る、乗機を失い乗り換える、ライバルとなる敵キャラクターがいない、最終決戦の途中で戦場から離脱するなど、ロボットアニメの主人公としては前代未聞のキャラクターであった。 これは一市民に近い青年の感覚を表現するために、従来のヒーロー像を意図的に外した演出術であった。 また特に恋愛に関しては、リン・ミンメイ、早瀬未沙というふたりの女性の間でしばしば優柔不断で鈍感な面を見せる。 「おたく」という二人称をアニメファンに浸透させた一因であるともいわれている。
生年月日が2つあるのは、テレビアニメ発表当時の設定が2つあるから。

ヒロイン

リン・ミンメイ

CV:飯島真理
漢字名は鈴明美。 中国圏では林明美表記もある。

生年月日 1993年10月10日
年齢 15歳(初登場時点)
身長 158cm
体重 47kg
血液型 O型
家族 リン・パオチュン(父)
鈴しげよ(母)
親戚 リン・カイフン(従兄)
リン・シャオチン(伯父)
リン・フェイチュン(伯母)
スリーサイズ B80 W58 H87

横浜中華街で中華料理店の明謝楼(ミンシャロウ)を経営する両親の一人娘。
元子役スターの伯母の影響で、幼少時より芸能界に憧れる。 15歳のときレコード会社の歌手オーディション予選に合格するが、宇宙戦艦マクロスの進宙式を観ようと遊びに訪れていた南アタリア島で、伯父、伯母とともに異星人との交戦に巻き込まれる。 自身を救助した一条輝とともにマクロスに乗艦し、艦内に収容された市街地に住むことになる。

性格は明るく屈託がなく、艦内で伯父の中華料理店「娘々(ニャンニャン)」を再開しようとするなど、環境に順応する積極性を持っている。しかし、一部自己中心的かつ八方美人な性格で、他人の感情や立場を配慮することが不得手である。 このため、奥手な輝を恋愛面でも振り回すことになり、2人の思いがすれ違っていく原因となる。

しばらくは店の看板娘という以外は平凡な高校生であったが、艦内放送開局イベント、ミス・マクロスコンテストでの思わぬ優勝をきっかけに芸能界入りする。 瞬く間に人気アイドルとなり、宇宙戦争という現実にも霞むことのない天真爛漫な魅力は、流浪のマクロス市民を励ますだけでなく異星人ゼントラーディの兵士までも魅了し、やがて戦争終結に大きな役割を果たすこととなる。
最終決戦をまえに死を覚悟した出撃前の輝に告白されるが、このときは幼いころからの憧れだったカイフンを選ぶ。 この決戦において、ミンメイの歌を全面に押し立てて戦う輝の案(リン・ミンメイ作戦)が初めて採用され、人類側の勝利に大いに貢献する。 これらの偉業により、のちの時代では伝説の歌姫とよばれる。

終戦後は地球各地を回り復興に尽力するが、一時期の熱狂に比べて人気は凋落する。 公私ともにパートナーだったカイフンとも離別し、歌うことの意味に迷い失踪、楽しかった昔の記憶に縋るように輝のもとに身を寄せる。 そうしてようやく輝への想いを認識するものの時すでに遅く、輝はミンメイではなく早瀬未沙を選ぶ。 そしてミンメイはもういちど歌手として生きる道を選び、ひとり旅立つ。

自身の歌がストーリー上重要な役割を果たしたという今までにないヒロイン像に注目されたが、わがままで男を振り回すタイプであったため、ファンの反感を買うことも少なくなった。

早瀬未沙(はやせ みさ)

CV:土井美加
生年月日 1990年3月3日
年齢 19歳(2009年時点)
身長 168cm
体重 45kg
血液型 A型
家族 早瀬隆司(父)
早瀬沙紀子(母)
スリーサイズ B83 W57 H83

マクロスの航空管制主任オペレーター。 100年前から続く軍人の家系に生まれ、未の刻(午後2時)と母親の一文字から「未沙」と名付けられた。 少女時代は利発で愛らしく、父の部下で、のちにSDF-1マクロスの艦長となるブルーノ・J・グローバル(当時中佐)にはことのほか可愛がられていた。 父の方針により地球統合軍の幼年学校に入学し、のちに士官学校を首席で卒業する。
厳格な仕事ぶりから「首席の中尉は鬼より怖い」と呼ばれる。

ダイダロスアタックの考案、ゼントラーディ人とのファーストコンタクトの分析、プロトカルチャー説の考察など、軍人としての任務に没頭する中、初恋の人ライバーに容姿が似た反戦主義者リン・カイフンの出現や、宇宙規模の圧倒的な敵戦力を目の当たりにし「異星人との和平」を模索しはじめる。
その思いをともにする輝とは次第に惹かれあい、やがて軍人としてではない本来の一面を見せはじめる。 しかし思いを素直に表現できず、恋愛では親友クローディアの助言に頼ることが多い。 ゼントラーディ軍との最終決戦では、長年確執のあった親子の和解もむなしく父の戦死に際することになる。 爆発崩壊しつつある統合軍地下司令部から、輝により救出されて終戦を迎える。

戦後は新統合軍のメインスタッフとして活躍。 輝との恋愛関係に悩み一度は退役を考えるが、グローバル総司令から人類宇宙移住計画の移民船初代艦長(「移民船」だが「船長」ではなく「艦長」とされている)に任命され決意を新たにする。 マクロス・シティ防衛戦において、輝に自身の正直な気持ちを告白、互いの思いを認めあい結ばれる。

『機動戦士ガンダム』のミライ・ヤシマに着想を得て、テレビアニメでは珍しい「地味めなヒロイン」としてデザインされた。 目が小さいのは、細やかな感情表現をする演出意図のため。 ミンメイとは逆に、恋と仕事に悩んだり控えめで健気な女性像がファンから好感を得ている。

地球統合軍

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