タッチ(アニメ・漫画)のネタバレ解説まとめ

『タッチ』とは、あだち充による日本の青春漫画。題材は高校野球であるが、物語の軸は双子の上杉達也、上杉和也と幼馴染である浅倉南の三角関係となっており、登場人物らの恋模様も多く描かれる作品。甲子園出場を夢みる南、南の夢を叶えることを目標とする和也、そんな2人を見守る達也という構図で物語は進むが、甲子園予選の決勝に向かう途中で和也は交通事故に遭い亡くなってしまう。悲しみを胸に達也は「南を甲子園に連れていく」という和也の目標を背負うことを決め、南や残された仲間たちと甲子園出場を目指す。

『タッチ』の概要

『タッチ』とは、あだち充による日本の漫画作品。1981年から1986年の間、小学館から発刊されている『週刊少年サンデー』に連載されており、第28回(1982年度)小学館漫画賞を受賞している。
題材は野球であるが物語のはじまりは上杉達也、上杉和也、浅倉南の三角関係であるため、恋愛要素も強い。またスポ根というジャンルに含まれる作品としては珍しく、細かく野球の試合が描かれているのも作中で亡くなった和也が目標としていた甲子園出場が決まった予選大会の決勝戦までで、それ以降の甲子園での試合内容についての描写はない。本作では和也の目標を達成し、彼の死を受け入れながら前に進んでいく登場人物らに焦点当てられている。くすっと読者を笑わせる緩いコメディ、主人公たちの歯がゆい恋愛、そして高校野球の熱い青春をバランスよく楽しめる作品である。
連載時の単行本の初版は200万部を記録しており、2004年の時点でコミック総売り上げは1億部を超えるヒット作。テレビアニメやアニメ劇場化に留まらず、実写ドラマ化、映画化と幅広くコンテンツ展開もされている。
テレビアニメに関しては1985年から1987年にかけて101話が放送された。本作品は普通の高校生たちの日常を描いた作品であるのでグッズ展開がしづらいという理由でアニメ化への反対の声もあった。しかし企画を立てた旭通信社の片岡義朗プロデューサーはその声を押し切ってアニメ化を実現させる。基本的には原作に基づいてアニメ化されているが、相違点もいくつか点在する。中でも大きな相違となっているのは原作に描かれているエピローグがアニメ最終回では大きくカットされている点である。原作では甲子園開会式の当日に達也が鳥取にいる南に会いに行き告白をしており、また告白後の2人も少しだけ描かれている。しかしアニメでは明青学園が甲子園出場のために兵庫県に到着した後に達也が電話で南に告白して物語が終わっている。この相違が生まれた理由は、原作を連載している最中にアニメ最終回の内容を決める必要があった為である。原作の連載終了は1986年11月で、アニメの最終回は1987年3月に放送されている。あだちは連載をしながらストーリーを考えるスタンスを取っており、アニメ最終回の内容について決めなければいけなかったタイミングではまだ原作の終盤についても構想を練っている状態であった。その為、「知らねーよ」と思いながらアニメ最終回の内容について決めていたのである。本作は常に視聴率20%以上を保持する人気番組となり、1985年の12月には31.9%も記録している。また視聴者だけの人気に留まらず、一つのアニメ作品としても業界内で評価が高い評価を受け日本アニメ大賞・アトム賞を受賞している。背景美術を担当して作品を支えた小林七郎美術監督も美術部門最優秀賞を獲得しており、作品としての質の高さはアニメ業界関係者たちにも認められている。

『タッチ』のあらすじ・ストーリー

幼馴染3人の三角関係

クラシックコンサートのチケットを2枚入手した南から誘いを受けた和也(右)。クラシックでなければ達也(左)が誘われていたかもしれないと示唆している。

明青学園中等部の3年生である上杉達也と上杉和也は双子の兄弟で、同い年の浅倉南という幼馴染がいる。3人は幼少時代からとても元気であったので、面倒を見るのに手を焼いていた双方の親たちは共同出資をして両家の間に子供たち用の小さな家を建て、子供たちの遊び場とさせていた。中学生になってからは勉強部屋として利用するようになり、その頃には上杉兄弟はどちらとも南のことを異性として意識するようになる。弟の和也は文武両道、野球部ではエースで性格も紳士的である一方で、兄の達也は和也と同じくらいの才能の持ち主でありながら基本的な性格がいい加減でだらしない性格なので、双子といっても対象的な2人であった。ただ基本的には互いに良いところを認め合っており、かけがえのない存在として大切にしている。2人の幼馴染である南は学校のマドンナ的存在で、優等生の和也とお似合いであると周囲の人からはやしたてられている。南に好意を抱いている和也は満更でもない。南は子供の頃にテレビで見た甲子園の試合で活躍する背番号1番の選手に強い憧れを抱いている。彼女の夢は自分の高校が甲子園出場を果たしそのチームの背番号1番が自分の大切な人であること、またその試合を今度はテレビではなく甲子園のスタンドから観ることであった。和也は南の夢を叶えるために必死に努力し野球の才能を磨いてきた。そしてその事を知っている達也は自身も南へ好意を抱きながらも、才能に胡坐をかかず努力をしてきた和也の方が南の相手として相応しいと考えており、自分の気持ちに蓋をしてしまう。ただ南は表面にはでない優しさをもつ達也に対して好意を抱いており、その気持ちに和也は気づいていた。3人の関係性は進展しないまま、中等部時代は終わる。

進展する関係と和也の死

トランプ占いをする南(左)を抱きしめる和也(右)。

明青学園高等部へ進学した和也は、甲子園出場のためにエースとして野球部へ迎え入れられる。一方で達也は部活を決められないままでいたが、達也にも野球の素質があると考えていた野球部マネージャーの西尾佐知子から何度も勧誘を受けることになる。達也は自分の気持ちと向き合い野球部への入部を決心し部室に向かうが、南が野球部のマネージャーになることを知り、甲子園は和也と南の夢だと遠慮して入部をやめてしまう。気力を失ってふらふらしている達也を見かねた同級生の原田は、達也に何も伝えないまま強制的にボクシング部へと入部させる。それぞれが部活に励む中、3人の関係性に少しずつ進展が現れるようになる。ある晩、勉強部屋で南が甲子園出場の夢が叶うかトランプ占いをしている様子を見ていた和也がふいに南を後ろから抱きしめる。南の困った様子を察した和也は話題を甲子園に戻し、何事もなかったかのように明るく振舞って部屋から出ていく。部屋に残された南は和也の気持ちを改めて知り、晴れない表情を浮かべるのであった。和也は寝室に入り、先にベッドで寝転がっていた達也に今さっき南を抱きしめたことや南のことが好きで誰にも渡したくないことを告げる。一瞬ムッとした表情を浮かべる達也であったが、そのことに対して何も返事をせず眠りにつく。

ボクシングの練習試合で負けふてくされた達也(右)にキスをする南(左)。

後日、ボクシング部の練習試合に達也が選手として選ばれる。それを学校で聞いた南は本人以上に喜び、一生懸命な姿を見るために必ず応援しに行くと達也に伝える。ただ練習試合の日は甲子園予選1回戦の日と重なってしまっており、誰もボクシング部の応援にはこられないことを達也は南に告げる。試合前日の夜、勉強部屋で達也がトレーニングをしていると、南が入ってきて明日雨が降れば予選が延期になって達也の試合に応援に行けるという話をし、まだ諦めていない様子を見せる。そして南の勢いに押され、達也は必ず勝つと約束させられ指切りをする。しかし、南との約束のために達也は試合で粘りのある戦いをするが惜しくも負けてしまう。そしてその夜はふてくされて寝室に一人でこもってしまう。達也を案じた南はねぎらいの言葉を掛けに寝室に入るが、何を言っても達也はふてくされたままであった。機嫌が直らない達也に困った南はどうしたらいいのか尋ねると、達也は冗談で「こんなときやさしい女の子なら…だまって優しくキスするんじゃないか…」と言う。冗談半分であった達也だが、南は黙ったまま達也の唇にキスをする。そして南は何事もなかったかのように部屋を出ていき、事態が把握できない達也が部屋に取り残される。

決勝戦の前夜、達也は恋敵として和也と向き合うことを南に宣言する。

南の気持ちを知る達也であったが、和也への引け目もあり未だに事実を受け入れられないでいた。ただ甲子園予選の決勝前夜、和也が南に甲子園予選で優勝したら婚約してほしいと伝えているのを勉強部屋の外から達也は偶然聞いてしまう。和也は南の気持ちを確かめるように試合に勝つために「キスしてほしいんだ」と言う。達也に惹かれている南は和也にキスすることができないでいた。ただ自分の夢のために子供の頃から必死に努力してきてくれた和也の気持ちに応えたいという気持ちも抱いており、また晴れない表情を浮かべる。和也はキスのことは冗談だと言い明るく振舞って部屋を出ていく。窓の外から一部始終を聞いていた達也は自分の気持ちを抑えて2人と向き合おうとしない態度は、好きな相手に真剣に向き合おうとしている南に対しても、和也に対しても失礼であると悟る。外に達也が居たことに気づいた南は無気力のまま窓に近づく。近づいてきた南に達也は「あいつならぜったい幸せにしてくれるぞ」と言い、南も静かに同意をする。そして「おれには自信がない、今は…」と呟く。だが南の気持ちを察していた達也は「和也ほどではなくても、ある程度まわりが納得するような男になれるように努力してみるよ」と言い、南が堂々とどちらかを選べるように恋敵として和也とも向き合う姿勢を見せて南を元気づける。達也が寝室に入ると、外から達也の声が聞こえていた和也が真剣な顔をしつつもどこか嬉しそうな様子で「おれ、負けないよ」と達也に言う。甲子園予選決勝戦の朝、勉強部屋の外で和也は達也と南に対して「まず南を甲子園につれていくことで、先取点をねらいますのでよろしく」と晴れやかな様子で宣言し家を出ていく。だが彼は決勝戦の会場にいつまでたっても現れなかった。集合場所へ向かう途中で子供を助け交通事故に遭い、帰らぬ人となってしまうのであった。

甲子園の夢を引き継ぐ達也

和也の代わりとして入部させられた達也(左)を新たな相棒として認めようとしない孝太郎(右)。

エースを失った明青学園野球部は甲子園出場への士気を失ってしまう。だが野球部キャプテンの黒木武は達也が投球している姿を偶然見かけ、達也にも和也に劣らぬ野球の素質があると考える。再度、甲子園を目指すためにも新たなエースが必要と考えていた黒木はボクシングの部長に何度も掛け合い、達也を野球部へ入部させる。だが、多くの部員たちは達也が和也の代わりになりえないと考えており、特に中等部時代から和也とバッテリーを組んでいたキャッチャーの松平考太郎は強く反発する。その頃、南は新体操部の試合に怪我をした選手の代打として無理やり出場させられるが、活躍を見せ新体操界の期待の新人として有名になり始める。時間の経過とともに、孝太郎は達也の投手としての実力を認めるようになり、達也をエースとして受け入れる。ただその後、満を持して挑戦した2年目の甲子園予選ではエースピッチャーである西村勇を擁する勢南高校に敗れ、2回戦目で敗退。達也はこの敗戦で和也の代わりとしてまだまだ実力不足であることを思い知らされる。ただ予選を見ていた新田明男に達也は一目置かれるようになる。彼は昨年の甲子園準優勝校である須見工業高校に所属し、高校野球界でも有名なバッターであった。予選敗退の悔しさから達也はさらに練習に打ち込むようになり、和也が生前にこなしていた厳しいトレーニングメニューを実践し始める。そして着実に実力をつけ始めていた頃、予選で戦うことがなかった須見工業高校の方から明青学園に対して試合の申し出があり、練習試合が執り行われることとなった。誰もが須見工業高校の圧勝を予測していたが、試合の結果は1対1の引き分けと明青学園が健闘を見せる。この試合をきっかけ達也と新田のライバル意識が強まり始める。

鬼監督の登場

自己紹介の時点から明青学園野球部に敵意を出す英二郎。

達也が高校3年生となると、新入生として新田の妹である新田由佳が明青学園に入学し野球部マネージャーとしてチームに加わる。また西尾監督が病気で入院することとなり、野球部OBであり監督が信頼を置いている柏葉英一郎が監督代行として野球部に来ることになる。だが、西尾の代わりに代理監督を呼んだ校長に勘違いがあり、実際に代行として呼ばれたのは英一郎の弟である柏葉英二郎であった。英二郎も兄と同様に野球部に所属していた過去があるが、部内で嫌がらせを受け、退部にまれ追い込まれた過去があり明青学園野球部を心の底から恨んでいる。その為、必要以上に厳しい練習をして選手たちの身体や精神を潰そうとする。また西尾監督の了解を得て野球部マネージャーと新体操部を掛け持ちしていた南にも目をつけ野球部から追い出す。壮絶なしごきに耐えられず多くの新入生が辞めてしまうが、和也の果たせなかった夢を叶えたいと強い意志を持っていたレギュラーメンバーたちは残り、厳しい練習に明け暮れる日々となる。そして最後の甲子園予選が始まり、英二郎の嫌がらせにより実力をつけていた明青学園は予選を勝ち進んでいく。準決勝で明青学園の対戦になると予測し警戒してきた勢南高校は、エースである西村の不調で本領が発揮できずあっけなく敗退してしまう。勢南高校を制したのは三光学院であったが、その試合の勝因は西村の不調であり、三光学院の実力が高いという理由ではなかったため、準決勝では明青学園が圧勝をする。予選が進むにつれ、学生時代の英二郎が甲子園出場を達成できなかった兄のために自分がその目標を果たそうと野球に打ち込んでいた過去や、英二郎に対する嫌がらせの背景には弟に嫉妬した英一郎の策略があったことが明らかになり始める。また英二郎は目の病気を抱えており、予選中に視力の低下が著しく進行し始める。

最後の予選決勝戦

決勝戦10回裏で全力投球を続ける達也(上左)とファールで粘る新田(上左)。その様子を息をこらして見守る由佳(下)。

予選を勝ち進んだ明青学園は決勝戦で須見工業高校と対戦することになる。準決勝までは周囲が和也にひけをとらないと驚くほど調子のいいピッチングを見せる達也であったが、決勝戦の前半では本調子が発揮できないでいた。和也の代わりにならなければいけないという強い想いが逆に達也の実力を出せなくさせていたのである。それを見抜いた英二郎はベンチに戻ってきた達也に和也の写真に目をやりながら、「こいつ(=和也)はな、上杉達也がめった打ちにされるところを見たいんだよ。おれがいなきゃ甲子園なんかいけるもんかといいたいんだよ」と声を荒げる。近くでそのやり取りを聞いていた孝太郎は怒りを表すも、その言葉で達也は本領を発揮し始める。英二郎の言った言葉は表面的には和也が達也を妬んでいると言いたいように捉えられるが、真意としては達也は和也のコピーとしてではなく、自分の実力で戦えばいいということを示したものであったのだ。きつい言い方であるが達也は英二郎の言いたいことを察する。その後、調子を取り戻し必死に戦う達也や部員たちをみて英二郎の明青学園野球部に対する恨む気持ちよりも、昔の自分も甲子園出場を果たしたい野球に打ち込んでいた頃の気持ちが強くなりはじめる。そして、英二郎は監督として的確な指示をメンバー達に出し始める。そのおかげで試合は延長戦に突入し、10回表で明青学園が1点リードする。10回裏を無得点で守れれば明青学園に勝機があるが、2アウト2塁の状況で新田に打順が回ってくる。新田がホームランを打った場合は2点の得点が須見工業高校に入り逆転される可能性があるため、明青学園の勝利を確実にするには敬遠して新田に打たせずに、次の打者でストライクを取るのが通常の戦略である。しかし明青ナインは達也の力を最大限引き出してくれるのは新田しかいないと確信し、達也の敬遠に持ち込もうというサインを無視して全員真っ向勝負で戦う姿勢を見せる。そして達也の全力投球が続き、新田はファールで粘り続ける。実力は互角で観客側も気を抜けない一騎打ちが続くが、達也は体力の限界を感じ始める。最後に渾身の一投を投げる為、達也がおおきく振りかぶると一瞬和也の気配を感じる。そしてストライクを取り、明青学園は甲子園への切符を掴むこととなる。

エピローグ

新幹線で目的地の名古屋駅を降り過ごしてしまった里子(左)とその場に出くわす達也(右)。

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