ラフ(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラフ』とは1987年~1989年にあだち充が週刊少年サンデーで連載していた漫画作品。栄泉高校水泳部員・大和圭介と二ノ宮亜美を中心に、同じ寮で生活する男女の交流を描くスポーツ青春群像劇。

『ラフ』の概要

『ラフ』とは1987年~1989年にあだち充が週刊少年サンデーで連載していた漫画作品である。ワイド版・文庫版を含めたコミックスの累計発行部数は1500万部を記録している。2006年には『ラフ ROUGH』のタイトルで実写映画が製作された。主演は、長澤まさみ・速水もこみち。
埼玉県の栄泉高校水泳部に入部した競泳自由形の大和圭介は、高飛び込みの二ノ宮亜美と出会う。初対面のはずの少女に「人殺し」と罵られ困惑する圭介だったが、その理由は代々続く実家同志の因縁だった。圭介と亜美は当初反発し合いながらも、多くの出来事を積み重ねて徐々に惹かれあい、水泳選手としても成長していく。”現代版ロミオとジュリエット”がテーマの、スポーツラブコメディである。
また同じ寮で生活する男女の日常と交流も描かれており、青春群像劇ともなっている。『タッチ』や『みゆき』『陽あたり良好!』など過去の代表作の要素を取り入れた、それまでの集大成とも言うべき内容になっており、魅力的な登場人物とコンパクトにまとまったストーリーから、あだち充の最高傑作と評されることもある。

『ラフ』のあらすじ・ストーリー

1年春-最悪の出会い-

初対面で「人殺し」と言われてしまう圭介。

中学時代トップクラスの成績を挙げて栄泉高校水泳部に入った大和圭介。入学早々彼に話しかけてきた高飛び込みの美少女、二ノ宮亜美の第一声は「人殺し」だった。
普段は男女分け隔てなく朗らかに接する亜美が、なぜ自分にだけ異様に攻撃的なのか。それは『やまと』と『にのみや』互いの祖父の代から続く和菓子屋同士の張り合いが元だったことを知る。

『1日デート』の待ち合わせ場所に着き、初めて相手が誰かを知る圭介と亜美。

何かにつけて反目する二人だったが、自分たちが生活する栄泉高校上鷺寮恒例の『1日デートの日』に代表者として選ばれたことがきっかけで、亜美は圭介の実際の人物像を見直すようになっていく。

1年夏-伸び悩みからの脱却 -

フォームを基礎からやり直したことで、自己ベストを更新。

一方圭介は3年連続全国中学水泳大会自由形3位という自分の泳ぎに伸び悩みを感じ、平泳ぎに転向しようと考えていた。しかし同じ寮に住む関和明が、亜美に一目ぼれしたことがきっかけで水泳部に入部。圭介はカナヅチである関に泳ぎ方の基本から教えたことが自らの泳ぎを見直すキッカケとなり、伸び悩んでいたタイムを縮めることに繋がる。また少年時代の憧れだった自由形の日本記録保持者仲西弘樹が、亜美の幼なじみであり、彼が自分のことを「伸びしろのある不気味な選手」と評していることを聞いた圭介は、自由形に対するモチベーションを復活させた。

1年秋~冬-縮まる距離-

一日デートのあとも何かと偶然出会うことの多い二人。誤解から圭介の方が遠ざかって、亜美が関係修復を試みたりといったこともありつつ、互いのことを徐々に知っていく。
デートの際に助けた老人、大場の招きを受けて山奥の家屋兼道場を訪れたことで、14年前の光景を思い出す圭介。実は二人は大場老の家で何度も一緒に遊んでいた幼なじみだった。雪の積もる庭先でかつての記憶と、今から作る思い出を語る圭介と亜美。

10年前に会っていた記憶は忘れていたとしても。

屋外プールのオフシーズンになり、他校から栄泉の室内プールを間借りに顔を出すようになった高飛び込みの全国区選手、小柳かおりは中学時代にあったアクシデントで圭介に恨みがあり何かと突っかかってくる。圭介と亜美の仲を勘違いした結果、小柳のボーイフレンドであり100m,200m自由形の現高校生チャンピオン、芹沢裕司と栄泉のプールで非公式の対戦をすることになる圭介。中盤まで互角の勝負を演じるも、直前に足を痛めたことが災いし、結局負けてしまう。特に言い訳することも無かった圭介だったが、異変に気付いていた亜美に「変な期待をされちゃかなわねえ」と周囲への口止めをする。亜美は「ほんじゃ私だけにしとくね、変な期待は」と返すのだった。

2年春-インターハイに向けて-

咄嗟に偽名で紹介される圭介。

亜美の母校に立ち寄った帰り、期せずして「にのみや」の家で亜美のコワモテの父親、憲次郎と面識を持つ圭介。憎き大和の息子ではなく『山田くん』と認識した憲次郎に、何故か気に入られてしまう。更に不良に絡まれたのを助けてもらったことで圭介に小柳が急接近してきたりと、二人の周囲にも色々と変化が起きる。肝心の水泳では、関の急成長や1年生にして圭介と同じ持ちタイムの愛川透の出現で県大会から強力なライバルが目白押し。そんな中、一人のんびりムードの圭介に亜美はヤキモキする。何かと発破をかけてくる亜美に「勝つのは俺だ」と静かな自信を見せる圭介。愛川の卑劣な妨害に遭いながらも、宣言通り県大会を圧巻の泳ぎで制覇してみせた。

2年夏-訪れた分岐-

上鷺寮の友人であり亜美の中学時代からの同級生、野球部の緒方剛。天才スラッガーとして、プロを目指す緒方だったが、チームの投手層の薄さを見てピッチャーとしての出場を決めた。中学時代に緒方が肘を壊したこと、母親の病気療養のため、2年の大会が終わったら転校することを聞いた圭介は、緒方に後悔はしないんだろうなと問いただす。緒方は「お前は俺の自慢話になるよ」と穏やかに笑うのだった。

高校最後の大会だと決めた緒方は、圭介に思いを託す。

優勝候補に0-1で負けた翌日緒方が栄泉を去り、寂寥感の残る中で関東大会へ挑んだ圭介は、初めて高校2位の田口に勝ち、高飛び込み3位だった亜美とともにインターハイ出場を決める。

亜美の危機に、自分の手が届くことは無かった。

全国大会までの束の間、憲次郎に強引に誘われ、圭介は亜美・仲西と供に海岸の別荘を訪れる。偶然居合わせた圭介のちゃらんぽらんな父、康介も含めて騒々しい休暇となる。仲西から「今シーズンで引退する、お前の想いを見せてみろ」と挑発され戸惑う圭介。その時、沖で泳いでいた亜美がヨットに頭をぶつけられ投げ出されてしまう。瞬間、同時にスタートを切り亜美のところを目指す仲西と圭介、それまでのどんな時よりも必死で泳ぐ圭介だが、先に着いたのは仲西だった。目の前で亜美が助け出され、人工呼吸の応急処置を受ける様子を土砂降りの雨の中、ただ見ていることしかできない。寮に戻った圭介は、自室に貼ってあった仲西のポスターを剥がし、亜美の見舞いに行くと、「やまと」の息子であることを憲次郎に告げた。

深谷 明義
深谷 明義
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