残酷で幻想的な世界観の映画まとめ!『パンズ・ラビリンス』など

ここでは美しく哀しいストーリーや、残酷で幻想的な世界観が魅力の映画をまとめた。残酷な現実の中で自分だけの幻想に救いを見出す少女を描いた『パンズ・ラビリンス』、『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督の美しくグロテスクなファンタジー映画『ロスト・チルドレン』などを紹介している。

▼ファシズムの脅威に晒された内戦直後のスペイン、厳しい現実から逃れるために、少女は自分だけが見える幻想の世界で幸せを探した...。圧巻の映像で描いた、美しくも哀しいダークなおとぎ話。

『パンズ・ラビリンス』

『デビルズ・バックボーン』『ヘルボーイ・ゴールデン・アーミー』等で独自の世界観を持った映像美を追求するギレルモ・デル・トロ監督による2006年の名作映画。ファシズムの脅威に晒された内戦後のスペインを舞台に、少女が厳しい現実から逃れるかのように、幻想の世界の住人パンの誘う迷宮での試練を乗り越え、永遠の幸せを探していく。ダークでイマジネイティヴな不思議な世界観を持った映像と、殺伐とした現実の世界とを両極端に並べ、残酷で優しくて美しい、独特の世界を作り出した。大人のファンタジックなメルヘン。

『パンズ・ラビリンス』予告編

小さい子供の妄想にまで、侵食した内戦の過酷さの描き方と妄想世界における世界観が素晴らしい。ラストは絶対ハッピーエンドであったと信じています。

出典: www.jtnews.jp

単にファンタジックなものを期待しているのならその見込み違いに大いに後悔するだろうし、それほど観終わった後が重たい作品だった。未だに女性のハミングする歌声が頭から離れない。

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ファンタジーの装いではあるが、子供が巻き込まれる凄惨な戦争映画でもある。大人でも目を背けたくなる描写もあり、幼い子供に観せたらトラウマ必至なので注意。基本的には大人のための映画だ。

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▼フランスの奇才、ジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャロの作り出す独特の映像感覚で描かれる、美しくもキッチュでグロテスクな世界をファンタジックに描いた、世にも不思議な冒険譚!!

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『ロスト・チルドレン』

『デリカテッセン』でも独特の美しくもグロテスクな独特の世界を描いたフランスの奇才、ジャン=ピエール・ジュネ監督と、美術監督のマルク・キャロのコンビによるファンタジックなSFおとぎ話。一つ目族と呼ばれる奇妙な子供窃盗集団に弟を誘拐された知恵足らずの男が、弟を救出するために行動を起こす。妖しくグロテスクだった『デリカテッセン』の映像に、ファンタジックな要素を盛り込み、前作を上回る唯一無二の世界を作り出した。ジャン=ピエール・ジュネ監督は、この後アメリカに渡り、『エイリアン4』の監督を担当したが一般的な評価は低く、フランスに戻って『アメリ』を作り出すのだった。

『ロスト・チルドレン』予告編

居心地がいいだけのファンタジーに終わらず、美しさと隣り合わせの残酷さ、絶望を垣間見せる。映像は常に暗みを帯びている。陰鬱な美しさのある作品といえるだろう。

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「デリカテッセン」では描かれなかった外界の物語とも取れる世界で、鉄サビ色の工場のような未来世界の中に近代初期のノスタルジックな雰囲気を漂わせ、独自の世界観を描き出すことに成功している。

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現実というものを、これほど幻想的に、しかももう一方で、これほどリアルに描いた映画というのも珍しいのではないだろうか。

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▼これぞティム・バートン・ワールド!都市伝説の彷徨う首なし騎士をスタイリッシュに不気味に描いたダーク・ファンタジー。おとぼけジョニー・デップと麗しきクリスティーナ・リッチもイイのだ!

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『スリーピー・ホロウ』

鬼才ティム・バートン監督&ジョニー・デップのコンビによる1999年のゴシック要素の強いダークなファンタジー・ホラー。共演はクリスティーナ・リッチ。アメリカを中心に語り継がれる都市伝説を元にした原作『スリーピー・ホロウの伝説』を独特の世界観で描く。彷徨う首なし騎士をスタイリッシュに不気味に描き、それに怯える人々たちをミステリアスでダークに、しかしユーモアを交えたバートン節で描く。おとぼけのジョニー・デップ、麗しのクリスティーナ・リッチも完璧なキャスティング!

『スリーピー・ホロウ』予告編

素晴らしい。 幻想文学ファン必見。夜の映像はビデオになると暗く映るのが常なので、劇場でその美しさを賞玩するが吉。 青と黒、あるいは白と黒の夜の色彩がもう美しいのなんのって。

出典: alisato.web2.jp

背景色を基本的にモノクロに統一し、登場人物の肌の色や、炎や木の葉などに極力色を抑えた淡い色を施すことによって、絵画のような、鳥肌が立つほど美しい映像に仕上がっているのです。

出典: www7a.biglobe.ne.jp

首無し騎士の伝説だけあって、ホラーやミステリアスな雰囲気が一層強い今作。事件の犯人を捜したり解明されていく謎が説けたとき、なんとも言えない快感が包みます。しかし、それもまた謎の始まり。

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