花よりも花の如く(漫画)のネタバレ解説まとめ

『花よりも花の如く』とは、2001年より白泉社の『月刊メロディ』にて連載の開始された、日本の伝統芸能『能』をテーマに描かれた成田美名子による漫画。
2006年より掲載誌が隔月刊誌『MELODY』にリニューアルした。
元々は同作家の連載『NATURAL』のスピンオフの読み切りから始まり、連載になった作品。
榊原憲人は幼い頃から祖父の元で能楽師として修行を積んでいた。憲人は様々な人物と出会いながら成長していく。

獅子座流星群を見に行くことを約束した憲人と葉月

五夜連続のTVドラマに出ることになった憲人。
内容は平家物語の一ノ谷の合戦から壇ノ浦までで、芳年と一緒の出演だった。
同時期に千葉の佐原市で子供向けの能楽教室の教師として関わることになり、来年の夏には「土蜘蛛」を上演する予定だった。
子供相手に手が抜けないと覚悟するが、お互いの予定が合わず葉月からの誘いにはなかなか良い返事が出来ない日が続く。
地方公演の途中、相葉家のルーツになる明石に祖父の左右十郎と共に訪れ、一ノ谷の合戦場も史跡も向かう。
その際山に登るリフトで偶然神戸の友人を訪れていた葉月とすれ違う。
葉月の兄の芳年から、葉月が神戸を訪れるようになったのは阪神淡路の震災の後からだと聞き、葉月とのすれ違いは葉月の一面しか見えていなかったからだと理解することが出来た。
しかしお互いのスケジュールが合わず、すれ違いは続く。
望の治療院にマッサージに行った際に、なにかに怒っていると指摘されるが憲人は認めることが出来ない。
初めて憲人の前で普段閉じている瞼を開けた望に「見えない方がわかることもあるんです」と言われてしまう。

憲人は麻生由規と葉月の距離が近く見える様子に、心が揺れるのを抑えることが出来ない。
「井筒」の演目でシテを舞う隆生先生を見て葉月との様々な想いを再確認する。
しかし兄の芳年に聞くと葉月は豪華客船でのピアノ演奏の仕事を引き受け、しばらく帰らないと聞く。
そんな中シテを終えて療養する隆生先生をお見舞いで訪ね、明石の相葉家の菩提寺の情報を得る。
大阪に行く用事があった為、時間の都合を付け立ち寄ることになる。
途中明石でプラネタリウムに立ち寄った際に、後ろの席で鼻歌を歌ってる客がおり、どんな人物か興味を持っていたら、それは葉月だった。
お互い驚くが、改めて向かい合い「獅子座流星群を見に行こう」と約束する。

葉月との恋人とは呼べない微妙なやりとりが続く中、今までの付き合っていた中の言動から、葉月には過去に男性に襲われそうになった過去があるのではないかと思い当たる。
兄の芳年に二人きりになり尋ねる憲人。
葉月には過去に車の追突事故から関係した相手に、ストーカー被害を受けた事実があった。
相手は駆け出しの役者であり、葉月を気に入ったものの当時売出し中だった葉月に絡むようになり、警察にも相談したものの当時はまだストーカー規制法も施行されていない頃だったこともあり、事件にはならなかった。葉月の話ではある日突然ストーカー行為は止んだのだったが、盗聴器まで仕掛けられていたこともあり、未だ葉月の心にはわだかまりや恐れが見えた。
同時に葉月の家族の事情も分かり、憲人は力になりたいと感じる。
すると葉月より「つけられてる気がする」との相談が。
ストーカーを受けていた当時相談に乗っていた麻生由規にも相談してみると、麻生も誤解を受けて葉月を挟んで三角関係だと勘違いされたことがあったという。
憲人は「悪いことは連鎖しない。連鎖させないために会いに行くんだ」とストーカー犯の七条に会いに行くことを葉月に薦める。
「おれが探す!」との言葉と共に。
無謀な決意に創風会の忘年会で弟弟子の楽から心配され、楽の地元の寺の三姑杵守りを貰う。
麻生とも共に葉月を守る約束を交わし、都内の七条の住んでいたアパートを探しに行くが七条はある時から帰らなくなってると、近所の住人から聞く。
所属した劇団から七条の人となり、写真などを見せて貰い、関西出身であることを攫む。

キレやすく自己中心的だったと言う七条は、本人自身もそのことで苦しんでいたらしいことを知る憲人と葉月。
通っていたという京都の大学に向かう。
新幹線の中で二人を心配した左右十郎から電話が来る。
「気持ちはわかるが無謀すぎる」「人間というのはお前が思うよりずっと恐ろしいものなんだぞ」と言われるが、祖父は現実的なアドバイスを与え、「くれぐれも失礼のないように」と憲人の後押しをする形で電話を切った。
大学の受付で事情を話したところ、職員らしき女性から「私と同郷の人じゃないか」と声をかけられる。
しかしその女性は同郷どころではなく、実は七条側の関係者だった。
その女性の素性が分らないまま、女性と会う約束をする。
葉月は「あの頃私がきちんと向かい合っていたら、今こんなことになっていなかったはずよね?」と言うが、一日50通もメールが来ていたという葉月の被害を考える憲人。そうすると今現在はメールや電話の数が少ない。
もしかしたら七条は近くにいるのでは、と警戒しながら京都の街を葉月と歩いていると、先ほどの女性上田から電話が入る。
「七条と会いたいのか、話したいのか」と聞かれ「よろしければ彼の家にご案内しましょうか?」と言われる。
案内をする上田と共に、七条の故郷に向かう列車の中上田から幼い頃の七条の話を聞く。
辛いこともあったようだと聞く七条の生い立ちは厳しいもので、憲人は被害を受けた葉月の様子が気になってしまう。
心の中で憲人は葉月に謝るが、葉月は守られているだけの女性ではなく、戦っている人なんだと感じる。
七条の実家には母親が一人きりで家を守っており、七条の元に案内すると言う。

実は七条は既に故人となっていた。
五年前葉月に出会ったきっかけになった交通事故と同様の状況で、今度は彼が加害者側だった。
五年前に葉月へのストーカー行為が止まった理由は分かったものの、現在の事件は?と疑問に思う葉月と憲人に、七条の母親は「それは自分です」と謝罪する。
当時東京で暮らしていた七条が誰と親しかったのかよく分らなかった母親は、携帯の履歴を見て七条が葉月へのストーカー行為への加害者だった事実を知ってしまう。
謝罪の為葉月を訪ねたが、生き生きと笑う葉月の様子を見てたまらなくなり、何かせずにいられなくなり、今回の騒ぎを起こしてしまったと言う。
自分の行為を心から謝罪する母親を前に「もう一度お会いしたかった。生きている彼と本当に話したかったです」と葉月は真っすぐ告げた。

日常に戻り、また能に向かう憲人。
望のマッサージを受けながら、望の音楽での活躍も聞く。
越えなければならない山を感じながら、佐原市の子供の能の教室の発表会の準備へと向かう。
そろそろ役柄を決めなければいけない時期に来ており忙しい。
そんな中七条の幼馴染だった上田が東京に来ており、四国にお遍路に向かうとの決意を聞かされる。
七条の母親の代わりに行くのだと言う。
七条の母親は持病があり、無理はさせたくなかった上田は代理に立つ決意をしたのだとか。
HPを作って七条の母親に毎日見て貰ったらどうかと薦める憲人。
上田は前向きに行動しているようだった。

道成寺を演じるまで、あと一年になってしまった。
上田の開設したお遍路のHPを応援しながら、能役者として迷いながら歩む憲人だが、自身が立ち上げた会「榊の会」での演目も選びかねている。
土蜘蛛の配役もなかなか決まらず、先輩の匠人から「子供能なら秋吉さんだろ」とアドバイスも受ける。
秋吉恭子先生の元に話を聞きに行き、「上手いし本人はやりたいけど、お役代が出せないて言う子がいたら、後見を任せてみたら」と言う。
後見は本来の舞台ならば熟練の役者が、舞台で演じている者の衣装替えの時などに手伝いに入る役目で、難しい務めになる。
有益なアドバイスを受けているうち、憲人は自身の会の演目を「清経」にしようと決め、ツレというシテの次の大切な役柄を、森澤楽に任せることに決める。
だが残念なことに葉月のささやかな気遣いに、憲人は気がつくことが出来ず、余計に二人の間柄に距離が出来てしまう。
創風会の弟子たちに「考えてると聞こえないんですよね」と言われ、付き合いの長い間柄ならば気持ちが読めるものの、葉月との間はまだ付き合いが短いと自覚。
楽に「もしまた同じようなことがあったら、殴ってでも声掛けて」と伝える。
マッサージの治療院でも望に「始めはお互いどうしても、したいこととしてほしいことがかみ合わないから」と言われ、葉月が望に渡したバレンタインのチョコレートを「それ憲人さんに渡すはずだったんじゃないかと思うんです」と手渡されてしまう。憲人は受け取ることが出来ず、「葉月さんに返して下さい」と断りマッサージ治療院を出てってしまうことになった。

琳とカラオケに行った憲人

榊の会の「清経」の舞台に葉月が観客として来ているのを確認して、ホッとする憲人。
楽屋に訪ねてきた琳より葉月を怒らせてしまったかも知れないと聞き、なんとか会って話さなければと思う。
しかし電話はつながらない。
兄の芳年に聞くと、今ドラマの結構大きい役に挑んでおり、役に力を入れているとのこと。
葉月の状況にも思いが至らなかったと憲人は反省する。
家族団らんで話していた夕食時、妹の彩紀が連雀で事務手伝いに誘われてることを聞く。
彩紀は世界の人に能を知って貰いたいとの思いから、語学留学も希望しているが、家族は同時多発テロの影響から賛成出来ない。
父方祖父の高則も弟の西門も近々青森に帰ることが決まっており、それぞれ道が決まってきたことを感じる憲人。
特に弟の西門に対しては、他にしたいこともあったのではと、気持ちを簡単に言葉には出せなかった。
上田のお遍路のHPは続いており、その中で七条が亡くなる前に上田が「つらそうだったので帰ってきたらと言ったら、車で地元に帰る途中、高速で事故って死んじゃいました」と書いているのを読み、言葉をかけられずに戸惑う。そうしたら七条の母より「私も帰って来いって言ったのよ」との言葉。
お遍路の結願の日に居合わせたいと望む。
そんな中、TVで妻との別居報道で騒がれていた琳をカラオケに連れ出す。
「現代でもみんな戦ってる。なにもないやつなんていないでしょ」と琳に言われ、心に決めた。
上田の結願の日、長尾寺の近くの民宿で上田を待って、最後の山を一緒に越えることにする。
励ますつもりで来たつもりが、励まされていることに気が付く。すると最後の寺の前に葉月と、入院中のはずの七条の母親の姿があった。
お互いに驚くが、帰路葉月と話し誤解を解く。
お遍路は続いており、真実の最後と言われている高野山に向かっている記事をHPで読む。
新しい「旅」を感じる憲人だった。

弟子が増え、新しく自宅を稽古場にすることにした憲人。
稽古場を移す提案をした弟子の中に杉浦という女性がおり、バリバリのキャリアウーマンで以前はフレグランスのいい香りがしていたとの評価だった彼女から、なぜかゴミの臭いがすることに気が付く。
彼女は現在夫とは別居しており、父親の介護の為病気でゴミ屋敷になってしまった家に住んでいたのだった。
父親が怒るからと家を片づけられず無気力になっていた杉浦に、片付けの手伝いを申し出る。
片づけながら発表会の演目の練習もすればいいと、考える憲人だが、しかし現実はそんなに甘いものではなかった。
片づけるうちに杉浦の父親は気持ちが過去に向かっており、過去を大切にするあまり物が捨てられなくなっていることが分かるが、整理しつつも想いが未来に向っていないことを感じ、憲人は残念に感じる。
段々とゴミ屋敷から、杉浦の家が回復していくのが分かり、杉浦や父親、そして憲人の気持ちも整理が付いてくる。
杉浦の父親の様子から、過去のことを忘れてボケてしまったのではなく、「ふり」をしているのではないかと疑う憲人。
しかし葉月とは相変わらずすれ違い、折角の誘いも断ってしまう。
実は憲人の誕生日だったので葉月は誘ったのだが、忙しさのあまり憲人は自身の誕生日にも気がつかなかった。

片付けを続ける憲人と杉浦。
杉浦の父親が猫の鳴き声に気が付き、猫の親子がいることに気が付き、杉浦の下で保護することになる。
命を大切にしていた杉浦の父の母の話から、過去を大切にする杉浦の父親の想いもありながら、「娘の話を聞いて下さって、今後もよろしくお願いします」と先々の話をした時のことを思い憲人は悲しむ。

祖父の高則と匂いの記憶について話した後に、差し入れでウナギを持って行って、杉浦の父親の様子を見る憲人だが、病気でも「ふり」でも幸せそうな様子に、もうどちらでも良いかなと感じつつあった。
そんな時片付いてきた部屋を見て「猫のために少し物を処分したほうがいいのかな」と言う父親の発言に、娘の杉浦も驚く。
少しずつ未来へ向かっている様子を感じ取る憲人。
杉浦も「私もう処分しなくていいやって気持ちになりました」と言う。
これも含めて父だと言う。
パン屋の匂いが流れてきたという窓が開けられるようになって、杉浦の父親の気持ちには一つの区切りが付き、過去に止まっていた時が流れ始めたのを憲人も杉浦も感じた。

お素人の弟子たちの発表会の日になった。
会場にはしばらく連絡の取れなかった葉月の姿もあった。
メールにお礼を言う葉月に憲人も嬉しくなる。
楽屋にいる杉浦から、父親が自身の夫を連れてきたと聞く。
緊張して吐きそうになる杉浦を憲人と憲人の母がお手洗いに連れていくと、どうやら杉浦は妊娠しているのではないかと分かる。
過去に生きる杉浦の父の姿に、過去の自分を重ねていたのではないかと考える憲人。
「人間は本当につらいことは忘れてしまうと知ってもいた」「でもそれは何を捨てても生きていこうとしているのだ」とも。
自分にも時を進める時が来たのだと感じていた憲人だった。

自虐する憲人を叱咤する葉月

父方祖父の高則は青森に帰って行った。
弟の西門の旅立ちも近づいていた。
「清経」の稽古は今一つの出来具合。
弟弟子の楽と直角の様子のおかしさに事情を聞いてみると、楽の噂話を彩紀にしているところを本人に見られてしまったと言う。
直角のおどおどする様子に「子供の性格に近い」「誰でも本当はこうしたいってことをやるから、悪目立ちする」と話し合うが、態度を変えない楽を憲人は不思議に思う。

土蜘蛛の子供たちの発表会が近付いていた。既に本番に向けての通し稽古に入っている。
後見を受け持つ子供たちに一度舞台を見せたいと思う憲人は、自分も一緒に見に行ける公演を探す。
稽古上手で熱心な山口渚だったがお役代が出せない為、後見を任せることになっていた為友達の泉と共に誘う。
渚の母親はシングルマザーで忙しかった為、稽古には泉の母親が二人を連れてきていた。
憲人は二人を薪能に連れていくことになる。

「清経」本番の日左右十郎に褒められたのは、ツレで清経の役をやった楽だった。
では自分は?
葉月は電話では「昨日のお舞台?良かったですよ。でも憲人さんのベストオブ舞台ではないと思う」と言う。
集中力がそれたかもと感じる憲人。
会話が前回の杉浦家のゴミ屋敷を片づけた件になり「憲人でんて……、誰にでも優しいのね」とトゲを感じる言い方をされてしまう。
後に葉月からジャズのライブの誘いが来るが、子供たちを連れて薪能に行く日だったので、断らざるを得なかった。
薪能の日、子供たちに貢献の役割を見せ会場を出ると、葉月が車で迎えに来ていた。

車の中でゴミ屋敷の片づけの話になった際に「おれがこんな性格じゃなかったら、他にも火事になった女の子は死んでたかもしれないし、小野寺さんは自殺してたかもしれないし」と言った憲人に、葉月は驚いてしまい「それもうやめて!キライ!!」と返してしまう。
葉月の全否定に落ち込む憲人だが、子供能の発表会に向けて日々準備が忙しくなってくる。

渚の母親は稽古の付添に一度も来たことがない為、友人の泉の母親に憲人は本番来られるのか確認する。
葉月に怒られたこともあり、口を出して良いものか感がる憲人。
なによりもしばらく会ってない葉月に会いたいと感じる日々が続いている。
兄の芳年に誕生日を尋ねたところ、子供能本番の翌日だと分かり、大きい花束をもって会いに行こうと決意。
そんな時泉の母親より、渚の母親が本番に来ることがどうやら難しくなりそうだと聞く。
来て欲しいに決まってる。
そう思った憲人は葉月からの「憲人さんがしなくていいことでしょ」との忠告も心にありながら、渚の母親と話そうと泉の母親に頼んでみる。
たこやきをしながら渚の母親を待つことになった憲人。
大人同士の話を聞いた渚の「お母さんほんとに大変なんだと思うんです。先生からお話したらきっと無理してしまうので」、話さないで欲しいとの懇願に、結局憲人は渚の母親に会えたものの、何も言うことができなかった。

涙する渚を見た憲人

子供に気を遣わせてしまった。
さらに落ち込む憲人だが、そこに翌日会うはずの芳年から電話がかかってくる。
だが挨拶を交わした程度で電話が切れてしまう。
翌日事情を聞いてみると、憲人にメールをしようか迷う葉月に電話すれば?と自分の携帯から電話したものの、葉月に電話を奪われ切られたとのこと。
道成寺の初披露が近付いていた為、葉月も憲人に連絡することを控えていたらしい。
葉月の気遣いに気付かず、ゴミ屋敷の片づけなどに手を出していた為に葉月が怒ったのだと気が付いたのだった。

子供能、本番準備の日。
盛り上がっては来るものの、しっかりと準備怠りなかった渚の姿が見えないことに気が付く。
渚は会場の外で一人で泣いていたようだった。
「あんなこと言っても寂しくないわけがないじゃないか!」
改めて気が付き、自分自身に憤る憲人だが弟弟子の楽の応援もあり、もう一度渚の母を説得したいと思った。
説得の方法に迷い、思い切って葉月に電話をすると、考えていたより葉月は積極的に相談に乗ってくれた。
「お母さんが無理でしたらお父さん来られませんか?」と言ってみるかな?」と具体的なアドバイスもあり、憲人自身葉月の性格も理解出来てきた。
はじめから話せばよかったのか。
そう思う憲人だった。
思い切って渚の母に電話をすると、あっさり本番に行くことを了承する。
ただ非常に取り込んでいるようだった。
驚く憲人だが、母の冴子と通り魔逮捕のニュースを見ていて気が付く。
TVの画面には渚の母が映っていた。
渚の母は公務員だと聞いていたが、千葉県警に勤めていたのだ。
事件が無事解決したので、明日来られるようになったのだ。
渚の為に嬉しく思う憲人だった。

子供能、本番。
渚自身からも「来てほしい」と母親に頼んだと聞き、渚の気遣いや努力に、憲人は子供の力のすごさに改めて気付かされる。
子供能は無事終了し、その夜憲人は思い切って葉月に会いに行く。
決意通り大きな花束を持って。
ところが葉月に花束を持っていくと、葉月はお礼を言って兄の芳年に渡してしまう。
今日誕生日なのは葉月ではなく、芳年だった。
憲人は芳年に主語を抜いて誕生日を聞いてしまった為、芳年は空気を読まず自身の誕生日を答えたのだった。

『花よりも花の如く』の登場人物・キャラクター

相葉家の能楽師たち

榊原憲人(さかきばら のりと)

主人公。本名は「のりと」だが家族も含め周囲からは「けんと」と呼ばれている。
幼少時から能楽師の母方祖父の下、修行を続け、22歳で6世相葉左右十郎の内弟子となる。
初シテは「経正」。
幼少時に父方の伯父の家に、神主の後継として養子にいった弟の西門とは、表面化はしないもののお互いに心を開いて話せないようなわだかまりがある。仲は良い。
顔の造作は悪くないものの、イケメンではない。ドラマ出演まではメガネを掛けていた為家族からは「のび太」と呼ばれている。
ドラマで共演した能楽師の宮本芳年の妹・葉月とは趣味のジャズを通じて仲良くなり、様々な意思の食い違いもありながら、付き合っていくことになる。
付き合い始めてからも、互いの気持ちの擦れ違いが多い。
能一筋だった憲人だったが、2時間ドラマ「石に願いを」に能楽師役の準主役として出演し、共演者や周囲との交流から、能以外の表現の世界も知っていくことになる。
このドラマが縁となり、主演俳優の藤井琳が弟子になる。
コミックス9巻の辞典で匠人のお礼参りに道成寺に同行。左右十郎の発言がきっかけとなり、30歳になった時に「道成寺」のシテを初めて演じることが決まっている。

相葉尋人(あいば ひろと)

能楽師。観世流と思われる創風会の責任者であり、6世相葉左右十郎(あいばそうじゅうろう)。
コミックス11巻にて名跡を長男の相葉匠人に譲り、自身は相葉泰一(あいばたいいつ)を名乗る。
シテ方。稽古は厳しく時には手も出るほどだが、それは能に対しての真摯な態度の表れであり、憲人を初めとする弟子たちの悩みには、丁寧に相談に乗る。
自身の後継者を憲人にするか西門にするか悩んだこともある。

相葉匠人(あいば たくと)

七世相葉左右十郎。創風会のシテ方の能楽師。芸風は豪快だけれども繊細さも兼ねている。
憲人の母方の伯父で、海人の父親。
「お父さん、女の人になってる時は怖くない」と移動中の列車の中で言われてしまい、社内販売の乗務員に誤解を受ける。

創風会所属の能楽師たち

森澤楽(もりさわ がく)

憲人の弟弟子。父親も創風会所属の能楽師。幼少期に奈良県に引っ越すが、その際地毛の茶髪を染めて黒髪にしていたことで、染髪料に被れてしまい、いじめにも遭った為不登校となってしまう。
ある日コンビニであった剣道場の子供たちに付いていったことから、剣道を始め、社会生活を復活し、東京に戻り、髪を染めずに能を続けていくことになった。
才能もあり、弟子として裏方としての気遣いもよく出来る。
憲人からは弟弟子の中では一番信頼されている。
生まれた時から、サイコメトリックな力を持ち、その場にかつて存在した人々の感情を読み取る力があり、憲人の内面に関しても、本人が気付かないようなことも指摘してくる鋭さを持つ。
憲人の妹の彩紀には幼少期から彼女の姿の幻を見ており、特別な縁を感じている。
口べたなのか、口数は少ない。語彙が少ないとの周囲の指摘もあり、やや天然でもある。
周りの空気を読んでいないようで、繊細な気遣いに長けている。

相葉海人(あいば かいと)

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