頭文字D(イニシャルD・イニD)のネタバレ解説・考察まとめ

『頭文字D』とは1995年~2013年まで、しげの秀一が『週刊ヤングマガジン』で連載していた漫画およびそれらを原作としたアニメ作品である。実在する日本の峠を舞台にし、自動車を高速で走行させて峠を攻める事を目的とする「走り屋」達の物語を描いた作品である。トヨタスプリンタートレノ(ハチロク)のドライバー藤原拓海が卓越したドライビングテクニックを駆使して数多くの走り屋とのバトルを繰り広げる様を描く。

小柏 カイ MR-S VS 藤原拓海 AE86(改)

バトル開始からの序盤は拓海に引き離されるも、小柏は中盤に急激な追い上げを見せる。終盤のレイトブレーキング勝負で藤原ゾーンという、高橋涼介でさえ完全な説明が出来ないという藤原拓海とハチロクだからできる理を超えた運転スキルを見せられるのだった。ハチロクがクリアしていったコーナーを自分では間違いなく曲がることはできないと判断し、クラッシュを防ぐために故意に車をスピンさせた結果大きく引き離され敗北する。
プロになって以来公道レースを見下していたが、スピンした理由を自分の闘争心が負けた事での逃げであると表現し、レーサーとして自分に足りないものを理解し素直に敗北を認めた。
なお、小柏は拓海と二戦バトルを行っているが両方とも敗北に終わっている。

池田 竜次 Z33 フェアレディZ Version S VS 高橋啓介 FD3S RX7

プロジェクトDのヒルクライム担当の啓介とのバトルでは、視界の悪い濃霧が立ち込める悪条件の下で恐怖心からアクセルを抜こうとする自分と、それを良しとしないもう一人の自分という二人の存在に気付き、持論であるゼロの心で走れていないことを自覚する。それでもなお、自分の理論を信じて走り続けたが、対向車がいなければケンタが啓介の携帯を鳴らして合図を送るという作戦を用意していた啓介によって何も見えない状況下の霧の中で追い越され、戦意を失い敗北する。負けはしたが素晴らしい勝負だったと認め、自分とゼロ理論のより一層の成長を誓った。

奥山 広也 S15 シルビア VS 藤原拓海 AE86(改)

後追いを選び後ろからプレッシャーをかけ続ける走りを行う奥山 広也 であったが、だんだんとプレッシャーを気にせずペースを上げ始める拓海のセンスに驚く。後半に拓海のミスを狙うが、霧の中で視界が不自由でありながらもアクセルを思いっきり踏んで行ける拓海の走りっぷりにだんだんと走行への恐怖を感じ始めるのだった。巻き込まれ事故を回避するために少しマージンを取った奥山であったが、藤原ゾーン(どう考えても曲がりきることが出来ない状態でも拓海とハチロクであれば曲がってしまう)を見せられて、必死に追走するも、コーナーを抜けた先には既にハチロクの姿を見ることは出来なかった。自分の理解を超えた走りを拓海に見せつけられて敗北した。

北条 豪 NA1 NSX VS 高橋啓介 FD3S RX7

バトルの直前に応援に駆け付けた北条凛に「バトルを楽しめ」というアドバイスを受けて自分にモータースポーツの楽しさを教えてくれた尊敬する兄が戻ってきたという嬉しさと、過去の確執との狭間で心が揺れ動きながらも高橋啓介のFDとのバトルに臨んだ。一本目はあえて感情を封印して走り、自身のコースレコードを2秒近く短縮する走りを見せるが、最後まで啓介を振り切ることが出来ずにそのモチベーションをだんだんと喪失し始める。
後追いの2本目で、自分の前を気持ちよさそうに軽快に走る啓介のFDと啓介の走りを見てバトルの前に兄である北条凛から言われた「バトルを楽しめ」という意味にようやく気づいて、そこから純粋に走りのみを追求した自分が楽しいと思える走りへと切り替えていく。自分と車が持っている限界領域を超える喧嘩ともいえるバトルを啓介と繰り広げたが、最終コーナーにてスピードが乗りすぎてスピンを起こして敗北してしまう。

乾 信司 AE86 VS 藤原拓海 AE86(改)

お互いに車もハチロクで境遇も似た者同士である信司と拓海のバトルにおいて、信司は独特のリズムで先行し拓海を苦しめるも、以前ハチロクから見えた白い翼をもう一度見てみたいと思い突然進路を譲り拓海を前に出すという意味不明な行動に出る。拓海はこの信司の行動の意味が解らず混乱し走りの繊細さが欠けたことからも、信司は前に見た白い翼を見ることが出来ず拓海のハチロクに接触を繰り返し抜き返しを計って追い越しに成功する。
その後、再び先行した信司であったが自身の持つ走行ラインが乱れてしまうと本来の走りが出来なくなるという弱点を拓海に突かれた事から、拓海のブラインドアタックによって抜かされてしまう。
その時、先ほどは見れなかった拓海のハチロクからの白い翼が生えるの信司は再度目撃する。後半、拓海のハチロクはタイヤが苦しくなりツッコミが甘くなっているという事を見抜いた信司は再度インからハチロクに接触することで抜き返すのだった。その後も拓海に並走されると、お互いの車体をガードレールや標識に接触させながらのアグレッシブなバトルを繰り広げた。
最後はゴール直前にブラインドアタックを再度駆使して抜き返した拓海であったが、ライトをつけた瞬間にインパネのタコメーターから飛び込んできた情報に驚愕する。本来1万1千回転まで回すエンジンであったが、その回転数は1万2千回転を指していた。これによってハチロクはエンジンブローを起こしスピン。窮地に直面したことのない信司は目の前でスピンした拓海のハチロクへの対応が遅れてしまい接触を回避するために自らも自分のハチロクをスピンさせて体制を立て直そうとするも大きく失速してしまう。拓海は180度スピンした直後にクラッチを切ることでバック走行のままでゴールラインへと駆け抜けて、信司とのバトルに勝利した。

プロジェクトDの解散

湖畔で開催されたプロジェクトDの解散式。数多くの強大なライバル達とのバトルを終えたメンバー達には焼肉とビールがふるまわれ、和やかな雰囲気の中でそれぞれがプロジェクトDでの活動を振り返るのだった。プロジェクトDは1年間という限定的な活動であり、何時か終わりが来るという事は皆が解っていた事だった。しかし誰もが夏の夕焼けの中でひと夏の終わりのような寂しさを感じていた。
プロジェクトDのヒルクライム担当のFDに乗っていた高橋啓介は、プロへの道を目指すことを宣言する。
プロジェクトDのブレインであった高橋涼介は、次の群馬からのドライバーを育てるために再び峠へと向かう。
そして拓海は、自分の進むべき道を歩み始めD1レースの観戦へと向かい、文太の友人であった土屋圭一と出会うのだった。

ハチロクのその後

秋名でのデビュー戦からプロジェクトDでの活躍を通して、藤原拓海の不戦勝伝説を作り上げてきた相棒であるハチロクは最後の乾信司とのバトルでエンジンブローを起こしてしまう。皆が今までハチロクが作り上げてきた伝説を誇り、二度目のエンジンブローから廃車となることでの幕引きは仕方が無いと判断するも、池谷も親友の樹もハチロクの廃車を惜しんでいた。しかしガソリンスタンドの店長である立花祐一と藤原文太は「ハチロクの伝説はここまでだ、ハチロクはこんな素晴らしい伝説を残して役目を終えたのだ。この幕引き(廃車)が一番良いのだ」と言う。しかし拓海は「どうにか自分で少しづつ直してやりたい。ただこいつ(ハチロク)と一緒に居たいだけだ」と言うのだった。

藤原豆腐店の駐車場には動かなくなったハチロクがその日常の景色のまま残っている。拓海はハチロクには乗らず、インプレッサに乗っていつものように秋名を走る。そして対向車としてすれ違うのは、新型の86だった。
本作の最後に登場するTOYOTA86は、トヨタとスバルの共同開発によって2012年に誕生したいわゆるトヨタAE86とスバルGC8インプという二大国内メーカーが共同で作り上げた車であり、新世代の象徴として描かれている。
この時のナンバーがちなみに「86-239」ハチロクにサンキューとなっている。

LK168g9
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