頭文字D(イニシャル・ディー、Initial D、イニD)のネタバレ解説まとめ

『頭文字D』とは1995年~2013年まで、しげの秀一が週刊ヤングマガジンで連載していた漫画およびそれらを原作としたアニメ作品である。実在する日本の峠を舞台にし、自動車を高速で走行させて峠を攻める事を目的とする「走り屋」達の物語を描いた作品である。トヨタスプリンタートレノ(ハチロク)のドライバー藤原拓海が卓越したドライビングテクニックを駆使して数多くの走り屋とのバトルを繰り広げる様を描く。

『頭文字D』の概要

群馬県に存在する上毛三山(じょうもうさんざん)・秋名山(あきなさん)(作中での呼称、実際は榛名山(はるなさん))・妙義山(みょうぎさん)・赤城山(あかぎさん)と碓氷峠(うすいとうげ)等の実際に存在する峠を舞台に、主人公である藤原拓海(ふじわらたくみ)が藤原豆腐店の店主であり父親である藤原文太(ふじわらぶんた)の愛車であるトヨタスプリンタートレノ(AE86・愛称ハチロク)に乗って、峠バトルを繰り広げる物語である。多くの強力なライバル達との戦いを通して相棒であるハチロクと共に成長していく拓海の物語であるが、中には高校生という思春期の揺れ動く心情を描いた青春要素も含まれている。
アニメでは高校生時代を描く第一部と卒業後のプロジェクトDでの活動を描く第二部に大きく分けることが出来る。

なお、頭文字Dは「イニシャルディー」と読む。略称は、イニD「イニディー」である。
頭文字Dの由来は、本作での一つのテーマであるドリフトのDから作者が取っていると公言しているが、一方では「プロジェクトD」の由来となるDreamのDであると最終話にて明かされている。

原作である単行本は1995年11月から刊行され、2013年11月に発行された48巻で完結した。実に20年弱という長期連載となった。

『頭文字D』のあらすじ・ストーリー

高校生時代 アニメ1st Stage ~ アニメ3rd Stage

『頭文字D』(ACT1~ACT26)

主人公である藤原拓海(ふじわら たくみ)は、気の抜けた表情を浮かべたごく普通の高校生であるが、父である藤原文太(ふじわらぶんた)が経営する藤原とうふ店の朝の豆腐の配達を無免許で中学校時代から手伝っていた。拓海は秋名山(あきなさん)の峠道を父親の愛車であるAE86(ハチロク)スプリンタートレノを走らせて雨の日も雪の日も毎朝配達を行っていた。
18歳となり正式に免許を習得した拓海は、走り屋という存在に憧れている親友の武内樹(たけうちいつき)から「峠を走って攻める事の楽しさ」「走り屋のかっこよさ」を熱く語られる。しかし拓海にとって走るという行為は家業である豆腐の配達以上の物でしかなくつまらない物であり、走り屋の存在にあまり興味を示さないのであった。

そんなある日、拓海は日課である豆腐配達の帰り道に赤城山(あかぎさん)を本拠地としている走り屋チーム赤城(あかぎ)レッドサンズの高橋啓介(たかはしけいすけ)と出会い、いとも簡単に追い越してしまう。この事実にプライドをズタズタにされた啓介は、意地になってハチロクを探し求めることとなった。そんな中、秋名(あきな)スピードスターズの池谷浩一郎(いけたにこういちろう)は迫りくるレットサンズとの交流戦(バトル)が目と鼻の先に迫っている状態で、どうにかして地元の意地を見せるため勝利するための方法を模索していた。そんな時に職場の店長から「秋名の最速は豆腐屋の親父のハチロクだ」という事実を知らされる。その事実に最初は半信半疑であったのだが、後日池谷の職場であるスタンドへやってきた高橋啓介が「秋名に幽霊のような馬鹿っ速いハチロクが居るだろ?」と尋ねたことからこのハチロクの正体を探り始める。どうやら拓海の父親がそうであるらしいという情報を知った池谷は、藤原豆腐店を訪れる。赤城レッドサンズとの交流戦のためにも、全く歯が立たない自分のドラテクを少しでも向上させるために秋名の攻め方を教えて欲しいと池谷は文太に頼むが、文太からの返答は「ドラテクというのは人から教えられてどうこうなるというものではない」と、断られてしまうのだった。

その後、池谷はその交流戦への焦りから秋名の下りで事故を起こしてしまう。愛車のS13シルビアも損傷し交流戦までには修理も間に合わないような状態だった。そこで池谷は最後の手段として文太に「自分の代わりに秋名の下りを走ってください」とお願いするのだったが、今更若者のバトルに自分のような中年が出るわけにもいかず文太はこれを断る。しかし何度も藤原豆腐店を訪れ、頼み込む池谷の態度に根負けした文太は「いってやれるかもしれない」と池谷に伝える。それは先日、文太の友人である立花祐一(たちばなゆういち)との話にて「子供の喧嘩には子供を出せばよい」という話から、文太は拓海をバトルに向かわせようと思ったのだった。ちょうどその時、高校のクラスメイトである茂木なつきと海に行く約束からハチロクを使いたいと文太に打診してきた拓海に対して、一度は「自分が車を使うから貸すことはできない」とその話を断るのだが、拓海が「どうしても使いたい使えないと困る」と言うのだった。そこで文太は、車を使わせる条件として「秋名の下りで赤城レッドサンズの高橋啓介に勝ってこい。そしたら、ガソリン満タンのおまけ付きで車を貸してやる」と拓海に条件を提示し、その条件を飲んだ拓海を交流戦へと向かわせることに成功する。秋名では藤原文太が来るとばかり思っていた池谷は拓海の登場に驚き「親父さんが来なかったら意味がないじゃないか」と拓海に言い寄るも、拓海は高橋啓介の黄色いFDを見て、一回勝ったことがある相手であると池谷に伝える。文太の言葉と拓海を信じた池谷は、拓海にバトルを頼むのだった。こうして、再び高橋啓介と再戦した拓海は溝落とし(コーナーの溝を利用したコーナーリングの技)等の技を使い見事にバトルに勝利する。これにより秋名のハチロクは世に知れ渡り始める事となった。次から次へ現れる強大なライバルたちは自分の名を上げようと秋名のハチロクへ挑戦するためにどんどんと秋名へとやってくるようになるのだった。

秋名のハチロクと拓海の神がかり的なドリフト技術は走り屋の間では有名となり、その名前は多くの走り屋達に知れ渡る事になるのだが、拓海はいまいちバトルで勝つという意味や「走り屋」と言う存在が理解できないという思いが残るのだった。

そんな中で、拓海のバイト先であるガソリンスタンドに現れた妙義(みょうぎ)ナイトキッズの中里毅(なかざとたけし)は、拓海へのバトルを申し込みに来るのだった。これに対応した拓海の友人である武内樹は、走り屋への憧れから本人である拓海や秋名スピードスターズのリーダーである池谷に確認することも無く、調子に乗って勝手にバトルを受けてしまうのだった。拓海は樹が勝手に受けてしまった中里とのバトルへ興味を示すことも無く、池谷には「何故バトルを受けたことをきちんと報告しなかったのか?」と中里からのバトルを勝手に受けた樹の事を厳しく糾弾するのだった。

どうにかバトルを取り消してもらおうと池谷らは対応するも、既に評判になっていた秋名のハチロクとナイトキッズの中里毅とのバトルを聞きつけたギャラリーがその話を大々的に報じていた事から今更バトルを取り消すことは難しい状態になっていた。その話を聞いたガソリンスタンドの店長である立花祐一は、わざと拓海に「R32 GT-R とのバトルだけはやめておけ。ハチロクとは相手が違いすぎるし断ったって誰も逃げたって思わないさ」と、そのオヤジ譲りの負けん気の強さを刺激する話し方をすることで上手く拓海自身にR32 GT-R へ興味を持たせてバトルへと突き進ませることに成功するのだった。中里とのバトルでは途中で走りにキレてしまった中里が出したアンダーを見逃すことなく拓海はインを突き、これに勝利する。

ナイトキッズの下り専門のドライバーである庄司慎吾(しょうじしんご)は中里の敗北から自分が拓海に勝利すればナイトキッズのリーダーの座を手に入れることが出来ると考え、拓海へガムテープデスマッチという右手をステアリングにガムテープで縛りつけるという正気の沙汰とは思えないバトルを申し込む。
右手をステアリングに固定するガムテープデスマッチはハンドルの舵角が制限されることから、FRである拓海のハチロクは荷重移動とアクセルワークメインでの走行が求められるのだった。しかし万が一少しでもコーナーで突っ込みすぎた場合は制限された舵角のせいで大きくハンドルを切ることが出来ず、スピンさせて逃げるという事も難しいのであった。
これに対してFFである庄司慎吾のEG6はハンドルの舵角が制限されているというのは同条件であるが、コーナーで突っ込みすぎた場合もFFという前輪駆動からサイドブレーキやフットブレーキでアンダーステアを消すことが出来る。FFはその性能上基本アンダーが強いためにこのバトルにおいてもFRより挙動も安定しており、アクセルを踏んだままの左足ブレーキを多用することでFRよりも安定した走行が出来るのであった。
FF乗りの庄司慎吾に有利な条件ばかりのバトルであったが、だんだんとコツをつかみ始める拓海。いつまでも事故を起こさない拓海の走りに痺れを切らした慎吾はコーナーで故意に拓海のハチロクに軽くぶつけることで、拓海のハチロクをスピンさせて事故を誘発させようとする。しかし拓海はこれを持ち前のドライビングテクニックでハチロクを一回転スピンさせて回避する。ワザとぶつけられたことに怒った拓海は猛追を行うのだった。
普段は温厚な拓海であるが、友人の武内樹も言うように一度キレたら何をするか解らないと言うほどに庄司慎吾のダーティーなバトルにキレた拓海は、ガードレールに故意に車体をぶつけてその反動で曲がるというような暴力的な走り方を行いこのバトルに勝利するのだった。しかし、家に帰ってから文太にハチロクのぶつけた傷を咎められた。

拓海が秋名で勝利し続けていた中で、秋名スピードスターズのリーダーである池谷浩一郎は運転中にボンネットを開けている故障車を発見する。人の良い池谷はすぐに停車し駆け寄るのだが、その車のオーナーは今まで出会ったことがないほどに美人な女性、佐藤真子(さとうまこ)であった。ガソリンスタンドでの知識や自分の持つ車の知識を総動員し、真子の車を修理した池谷だったが、池谷の車に張り付けてある秋名スピードスターズのステッカーを見た真子は池谷に連絡先を渡してその場を去るのだった。後日、池谷は真子とデートをするもそれは碓氷のインパクトブルーのメンバーである佐藤真子が秋名のハチロクである藤原拓海とバトルを行いたいのでそのお膳立てのためであったことを知る。池谷は絶望するも、人の良い性格からその真子の思いを無下には出来ずに拓海へ碓氷でのバトルをお願いするのだった。しかし池谷の親友である健二(けんじ)はこの池谷の行為が仲間を売るような真似であり「秋名でせっかく作り上げてきた連勝記録が全て無駄になってしまう、秋名以外のバトルをしたことがない拓海が碓氷で勝てるはずがない」と激しく怒るのだった。親友の健二の言葉と、佐藤真子への純粋な好意の狭間で池谷は悩み続けることとなる。しかし拓海はこのバトルを受託し碓氷でのバトルが行われるのだった。初めて走る峠に最初は自分の思い通りに走れない焦りとリズムが作れないことからの恐怖があった拓海であったが、佐藤真子のシルエイティと同じラインで走るラインのトレースを繰り返すことで自分なりのリズムを作り出すことに成功した。そしていつまでもちぎれずに、後方からついて来るハチロクに驚いた真子がだんだんと集中力を失ってきたことでコーナーで突っ込みすぎた際にスピンしてしまう。これを拓海が華麗に回避し、その神がかりなドライビングテクニックを見たインパクトブルーのナビ役である沙雪(さゆき)は「完敗だよ」と言い残し、拓海の勝利を祝福した。

秋名以外の峠でも勝利をすることが出来た拓海であったがそんなある日、ついに赤城レッドサンズの高橋啓介の兄でありかつて赤城の白い彗星とも言われた不敗神話を持つ走り屋、高橋涼介(たかはしりょうすけ)から挑戦状が送られてくるのだった。今までに無い強烈なライバルとのバトルとなり、今までに無いプレッシャーから突っ込みすぎてアンダーを出してしまう拓海。その隙を付かれて追い越されてしまう。しかし、後半までタイヤマネジメントを管理していた涼介であったが前半に拓海のハチロクの走りを模倣したことで思った以上にタイヤが摩耗してしまいだんだんとペースを落とさざる負えなくなってしまう。後半の急こう配とヘアピンカーブにてついに涼介に追いついた拓海はそのままインを差して涼介を追い越すことに成功するのだった。ここに高橋涼介の不敗神話は途切れ、新しい不敗神話が秋名のハチロクと藤原拓海に生まれたのだった。

『頭文字D Second Stage』(ACT1~ACT13)

赤城の白い彗星ともかつて呼ばれた走り屋である高橋涼介にも勝利しここまで負けることなく勝ち進んできた拓海であったが、峠最強のマシンとも言われ連戦連勝で群馬エリアを制圧しようとするエンペラーのランエボ軍団の一人、岩城清次(いわしろせいじ)と秋名の下りでバトルを行う事となった。電子制御の峠最速マシンであるランエボと旧式のハチロクとのバトルにギャラリーも池谷らも今度と言う今度は厳しいかもしれないと口を合わせて話すも、親友の武内樹だけは「拓海は絶対に勝ちます」と、拓海の勝利を信じるのだった。拓海のハチロクに何かを感じ取ったランエボ軍団のエンペラーのリーダーである須藤京一(すどうきょういち)は清次に対して「シミュレーション3で行け」と指示を出す。
「シミュレーション3」とは、手ごわい相手への対処方法であり藤原拓海とハチロクに何かを感じ取った京一が出した指示であった。それは前半はタイヤを温存するためにも相手の走り方を観察し十分に見極めてから、後半で相手の弱点を突き追い越すという戦法であった。
前半はその指示通りに走る清次であったが、旧式のハチロクが自分のランエボに勝てるはずがないという慢心と油断から後半にその言いつけを破りハチロクを追い越してしまうのだった。結果的に後半の中高速セクションで拓海に、秋名での溝落とし等の技を見せられて敗北してしまう。しかし拓海自身も秋名でなければ負けていたと思うほどの強敵であった。

岩城清次が敗北し群馬での全勝記録が止まってしまったエンペラーであったが須藤京一の最終的な目的は、宿命的なライバルである高橋涼介に勝利することだった。涼介が秋名のハチロクに負けたことを知り、また清次とのバトルの仇を取るためにも拓海をバトルに引っ張り出すように挑発する。最初はその挑発に乗らなかった拓海であったが、そんな中で拓海と恋人関係になりかけていた茂木なつきが援助交際をしているという匿名の手紙が自分の下駄箱に入っているのを確認する。いたずらだと思いながらもその現場へ行ってみると、確かに年配の男性と歩くなつきの姿を目撃してしまうのだった。この衝撃と憤りから拓海は先の須藤京一とのバトルを受けてしまう。

一方そんな中で父親である文太は拓海には一切語ることなく、そろそろハチロクのエンジンのホーバーホールを検討し始めていた。文太がどこからか入手してきた不明であるが、ハチロクの新しいエンジンはグループAと言われるレース専用エンジンであった。それを見た文太の友人である立花祐一は物凄い代物であるエンジンがハチロクに乗るという事に興奮し、文太にエンジンの乗せ換えを急かすのだったが、文太はエンジンを乗せ換える条件を「拓海が負ける事」だと言うのだった。その理由を「エンジンのパワーを出し切っても絶対に勝てないという相手に出会った時に初めて、パワーを出すというありがたさが解る」と文太は語っていた。

そんなエンジンの乗せ換えの話が拓海の知らない中で行われている中で、ランエボ軍団の一人である須藤京一とのバトルの際に拓海はエンジンブローを起こしてしまう。エンジンブローの責任を感じて自分を責める拓海であったが、文太は「エンジンが寿命だったから仕方がない」と優しく声をかけるのだった。数日後、エンジンの乗せ換えから戻ってきたハチロクであったが、拓海にとってはなんだか乗りにくい、遅くなったと感じてしまう。その理由を自分なりに模索する中で、同じハチロク乗りの秋山渉(あきやまわたる)と出会う。秋山渉の助言から「ハチロクのタコメーターが全く足りていない。このエンジンはもっと回るエンジンだ」と指摘された拓海はバイト先の先輩である池谷に手伝ってもらいレース用のタコメーターを取り付ける。取り付けは成功するものの「新しいエンジンの最大回転数がいったいどこまで回せばよいのかはエンジンの詳細を知る文太でなければ解らない」と池谷に言われた拓海は、エンジンの回転数を尋ねる為に父親である文太の元へと向かうのだった。エンジン回転数を尋ねる拓海の問いに、文太は無言で背中を向けて店の中へ入ろうとした矢先に「1万1千回転まできっちり回せ」と拓海へ伝えるのだった。こうして拓海は秋山渉と新型ハチロクでの初めてのバトルへ望み、見事に秋山渉のハチロクターボに勝利した。

『頭文字D Third Stage』(劇場版)

数々の強力なライバルたちを倒し、高橋涼介の不敗神話を崩した藤原拓海とハチロク。秋名山で交流戦で高橋啓介を破ったことから始まった拓海とハチロクとのバトルが行われた熱い夏からひと段落し、季節は秋から始まる物語である。数多くのライバルとの戦いを振り返って、自分にぽっかりとかけていた何かを感じ取った拓海は、ハチロクと言う車の事をもっとよく知るためにメカに関しても学びたいという気持ちを持ち始める。そんな中で高橋涼介からプロジェクトDへの参加を打診される。プロジェクトDとは高橋涼介が企画した群馬選抜チームであり、相手の峠にて勝負を行う期間限定の遠征選抜チームだった。高橋涼介との会話を通して、拓海はプロジェクトDへの参加を前にしてやり残したバトルがあることに気づき、須藤京一とのバトルをいろは坂で行うのだった。前回の勝負でハチロクを廃車にして乗り換えろと言っていた京一であったが、再び拓海はハチロクで京一の前に現れハチロクとランエボⅢのバトルが始まるのだった。いろは坂のコースは京一が得意とするジムカーナのようなテクニカルなコースであり、拓海は京一にだんだんと距離を詰められる。勝利を確信した京一は橋の上で猛追を行うも、一切引かない拓海とハチロクの走りに驚愕する。狭い架橋の上で二台が並ぶバトルであったが、どう考えても普通は曲がれないはずのコーナーを曲がっていく拓海のハチロクにアクセルを踏み抜くことが出来ず、京一はブレーキを踏んでしまうのだった。バトルは拓海の勝利に終わるも、京一の「普通の奴ならあそこで曲がることは出来ない、普通の車なら曲がらない。」という問いに対して、拓海は「自分が走る先が見えたら曲がることが出来るんです」と曖昧ながらも後に藤原ゾーンと涼介が呼ぶようになる「普通の車では絶対に曲がれないが藤原拓海とハチロクであれば曲がることが出来る状態」の片鱗を見せる結果となった。その答えに京一は拓海の健闘を称え、嘗て一度は貶したハチロクを良い車だと言い残してその場を去るのだった。

数日後、バイト先のスタンドへ現れた青いSW(MR2)から降りて来た小柏は藤原拓海へのバトルを申し込む。小柏という名前と車のナンバーに何かを感じ取ったスタンドの店長の立花祐一は、小柏健の事を尋ねるのだった。店長の問いかけに小柏カイは「小柏健は自分の父親である」と語りスタンドを後にする。それは文太のかつてのライバルであった小柏健の息子の小柏カイであり、父親の車を使用してのバトルを行う事や幼少期から英才教育のようなドライビングスキルを学んできたという拓海と似た境遇にある小柏カイとのバトルがいろは坂で繰り広げられることとなるのだった。
小柏カイは父親からのアドバイスの通りに、いろは坂で地元スペシャルともいえる掟破りの走り方である空中に描くライン(いろは坂の段差を利用した走り方)を駆使して拓海を追い越す。しかし拓海も負けじと同じラインでこれをクリアし小柏カイのジャンプを模倣し自分もジャンプを繰り返し小柏へ迫るのだった。終盤まで小柏カイに離されることなくついていった拓海であったが、このままでは小柏の前に出ることは出来ず負けてしまう。どうにか前に出なければと思った拓海は、文太に言われた「この時期のいろは坂は路肩の溝が見える」というアドバイスを思い出し、路肩の草が枯れて溝が見えている事に気づくのだった。拓海はここで溝走りを駆使して最後の最後で小柏カイと並び、追い越す所までいくのだった。そして2台が並んで段差を乗り越えた先、そこにあるのは落ち葉の吹き溜まりだった。ちょうど小柏カイの場所に残っていた落ち葉の吹き溜まりに載ってしまった小柏はスピンし、拓海もこれをうまく回避してバトルは拓海の勝利で終了する。

プロジェクトD編 アニメ4th Stage~アニメFinal Stage

『頭文字D Fourth Stage』(ACT1~ACT24)

高橋涼介のプロジェクトDへ参加することを決めた拓海。上りは高橋啓介のFDが担当し下りは藤原拓海のハチロクが担当するダブルエース体制にて相手のホームコースでバトルを繰り広げ快進撃を行っていく。
相手の地元でのバトルはセブンスターリーフの末次トオルとのバトルが初戦となる。ロードスターでダウンヒル専門の末次トオルは拓海と似た特徴のドライバーであると涼介が言うようにカミカゼダウンヒラーという異名を持っていた。拓海はこれに対して溝またぎという走り方を駆使して走り続けるも、ハチロクにできるなら自分にもできると判断したトオルが模倣した際にタイヤを溝に落としてしまい横転事故を起こしてしまう。

プロジェクトDでの次のバトル相手に対して須藤京一は高橋涼介に対して「今度の相手はやめておけ、もしやるなら涼介、お前が走れ!」と助言をするほどの強烈な相手である東堂塾が立ちはだかる。東堂塾の中でもかなりの実力を持つ二宮大輝(にのみやだいき)や東堂塾のOBでプロである舘 智幸(たち ともゆき)とのバトルであったが、その走りは拓海にとってもダウンヒルで今まで体験したことがない恐怖を感じるほどに激しい突っ込みを行わなければならないハイレベルなバトルとなった。そんな中で高橋涼介からのアドバイスを明確に守ることでどうにか勝利への活路を見出す拓海。相手の車のタイヤが熱ダレを起こしている事に気が付いた拓海は、バトルでの勝利の突破口としてEK7のエンジンよりもさらに高回転型ユニットである拓海のハチロクのエンジンのトップ回転2000を封印をここで開放するのだった。故に2000回転分さらに回るハチロクのエンジンはタイヤも限界に近いEk7よりも速くコーナーを抜けることに成功し、高橋涼介からの的確なアドバイスと拓海のドライビングテクニックで東堂塾の強烈なライバルたちに勝利するのだった。

またゴッドアームとゴッドフットの異名を持つパープルシャドウの城島 俊也と星野 好造とのバトルは今までに無いほどの強烈なライバルとして立ちはだかり、特にゴッドハンドの城嶋俊也とのバトルは拓海にとって限界ぎりぎりまで走り続けた結果、溝を乗り越える際にサスペンションを損傷させてしまうのだった。完全な敗北を実感した拓海であったが、ここ数日の疲れから胃腸の弱っていた城嶋俊也が激しいバトルの繰り返しからの疲労でゴール手前でスピンし嘔吐してしまう。その横をサスペンションの効かなくなったハチロクでゆっくりと追い越し、結果的には勝利することとなったのだが事実上は敗北だったと拓海は思っている。そんな城嶋から学んだワンハンドステアの技術やそのドライビングスキルは拓海にとって更なる技術をもたらすこととなるのだった。

今までに無い強烈なライバルとの戦いを繰り返し、数多くの経験を積むこととなりその走りへの道を極めて行くのだった。

『頭文字D Fifth Stage』(ACT1~ACT14)

プロジェクトDの戦いはついに走りの聖地である関東エリアへと向かう。そんなプロジェクトDの評判にあやかろうとして、藤原拓海と高橋啓介の偽物が現れるのだった。拓海の偽物に友人がナンパされたことにキレた上原美佳(うえはらみか)は本物の拓海に出会い「女の子をナンパして気持ちを弄ぶなんてサイテー」と言い平手打ちを受けてしまう。最終的にこの誤解は解けるのだが、この刺激的な出会いによって二人は惹かれ合う事になるのだった。

プロジェクトDでのバトルはヤビツ峠にてチーム246の大宮智史(おおみやさとし)とのバトルとなった。元プロレーサーの走りとプライドで先行ぶっちぎりでどんどん拓海を引き離すが、拓海のブラインドアタックで互いの車が並走した時にロードスターのリアウイングを標識にぶつけてしまい損傷させてしまう。半分外れたリアウイングは余計な空気抵抗となり走りを大きく不安定な物にさせていくのだった。最終的に思い切って前に出るもその影響からバランスを崩してスピンアウトしてしまうのだった。
次戦となる小柏カイとの再戦では、既にプロレーサーとして経験を積んでいたカイは公道でバトルを行う事に若干見下していた部分があり、前半からアグレッシブな走りを行い拓海を引き離すも、後半では藤原ゾーンというハチロクと拓海という条件が揃えば本来曲がれないコーナーも曲がることが出来る現象を見せつけられて、自分には曲がれないと判断。車両を立て直すために故意にスピンさせることでこれを回避するのだが大きく引き離されてしまい結果敗北してしまった。

『頭文字D Final Stage』(ACT1~ACT4)

奥山広也とのバトルでは涼介に「コース全体の3分の1以内に決着をつけろ」と指示され、藤原ゾーンを駆使して走り続ける拓海に奥山は自分の理解を超えた走りを見せつけられたことで敗北する。
本作の最後の藤原拓海のバトル相手として登場する乾信司(いぬいしんじ)は、18歳という年齢でありながらもダウンヒル専門として呼び出された少年だった。片親であり無免許で毎日母親の代わりに運転をしたことや、愛車がハチロクであり元々はラーリードライバーで死亡した父親の車であった事等、多くの面で藤原拓海に似た経歴を持っている。また学業成績はあまり良くないものの、空間認識能力はずば抜けて高い。
普段の性格は温厚であり拓海に似ているも、運転中は相手を故意に前に出したり悪意はないが接触させたりと怖いもの知らずでアグレッシブな部分が拓海とは異なっている。初期の拓海と同様に彼もモータースポーツの面白さが解らない事からバトルでのモチベーションが上がらず、今回の拓海とのバトルに関しても気が進まなかったが拓海の車に白い翼を見たことで興味を持ちバトルを始めるのだった。バトルではその独特のリズムや急に拓海を前に出す等して理解不能な行動で拓海を苦しめたが、走行ラインが崩れると本来の走りが出来なくなるという弱点を拓海に見抜かれたことでブラインドアタックで追い越されてしまう。しかし再び拓海のハチロクに接触しながらもこれを追い越し、2台は並走のままでガードレールや標識に接触しながら激しいバトルを繰り広げた。最終的にゴール直前に勝負に出た拓海が再びブラインドアタックを駆使した後に、前照灯を点灯させた際にインパネのタコメーターが指していた回転数はレブリミットの1万1千回転を超えておりその事実に驚愕するも既に遅く、レブリミット以上回ってしまったハチロクはエンジンブローを起こしてしまうのだった。目の前でスピンした拓海のハチロクに驚いた乾信司はこのような窮地に直面したことがないことからも判断が遅れ、接触の回避のために自分も大きく車をスピンさせ失速してしまう。逆にバトルの場数を踏んできた拓海は冷静に180度スピンしたままのハチロクのクラッチを切ることでニュートラル走行のままでゴールへとハチロクを滑り込ませ勝利するのだった。
針に糸を通すようなバトルを繰り広げ、エンジンブローを起こしてしまうも最終的に強敵に勝利した拓海であったが最後はハチロクが勝つためにその力を貸してくれたのだと拓海は語っていた。

プロジェクトD編では高橋涼介が提唱するプロジェクトDにおける活動が描かれ、さらに強力なライバルとの戦いが描かれている。最終的に全ての峠での勝利を得て公道最速伝説を築きあげたプロジェクトDは解散しその活動は終了するのだった。

神奈川最終戦から2週間後、湖畔で開催されたプロジェクトDの解散式では、数多くの強大なライバル達とのバトルを終えたメンバー達が和やかな雰囲気の中でそれぞれがプロジェクトDでの活動を振り返るのだった。インプレッサでやってきた拓海にハチロクのメカニック担当だった松本修一はバトルで拓海が勝利するも結果的にエンジンブローさせてしまったことを謝罪する。しかし拓海は「ハチロクの意志のような物がどうしても勝とうという気持ちがそうしてくれた」と言うのだった。プロジェクトDは1年間という限定的な活動であり、何時か終わりが来るという事は皆が解っていた事だった。しかし誰もが夏の夕焼けの中でひと夏の終わりのような寂しさを感じていた。

そして、秋名山には今日もインプレッサの咆哮が響いていた。エンジンブローしたハチロクの代わりに、インプレッサで秋名を走る拓海。そんな中で、新時代の象徴ともいえる新型の86と拓海はすれ違うのだった。

AE86について

本作のヒットによって、一般層にもハチロクという名前が知れ渡り、1983年発売の旧車でありながらも今でも中古車市場での人気が高いことで知られている。
トヨタスプリンター・トレノ・AE86 通称「ハチロク」は1987年に生産を終了しているが、頭文字Dの影響によって中古車市場価格が高騰する現象を生んだ。
チューニングのしやすさと今でも根強い人気を誇るAE86(ハチロク)の精神を継承したとされるトヨタ86「ハチロク」・スバルBRZ「ビーアールゼット」が2012年にトヨタとスバルから発売されている。

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