チア・アップ!(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『チア・アップ!』とは、2020年7月に公開されたハートフル・コメディである。余命が短いことを知った70代前半のマーサは長年住み慣れたニューヨークを去る。静かな余生を楽しむつもりで南部のバージニア州にあるシニアタウンに引っ越した。予想外の友情に恵まれたマーサは、高校時代に挫折したチアリーダーへの夢を叶えることを決意する。病魔と闘いながらかけがえのない絆で結ばれた仲間と全米チア・ダンスコンテストに挑戦する。その姿は老いに屈しない強い精神力への賛歌であり、長寿社会を生き抜くアイコンとなった。

『チア・アップ!』の概要

『チア・アップ!』とは、2019年5月にアメリで公開されたハートフル・コメディである。日本では2020年7月に公開となった。全米2750館で上映。興行収入は全世界で16,418,218ドル。批評家からのレビューも多く寄せられ、高い評価を得ている。誰もがいつかは直面せざるを得ない「老い」をテーマにした本作は、アメリカの実在のシニアチアリーディングクラブがモデルだ。
ヘイズ監督は当初、シニアチアリーディングチームのドキュメンタリー映画を作成しようと考えていた。だが、年齢をものともしない女性たちの物語として深く掘り下げるには、映画という手法を用いた方がより効果的だという結論をだす。老いてもなお夢をあきらめず努力することの素晴らしさを、ザラ・ヘイズ監督は辛らつかつ、ユーモラスに描く。そして、ファッショニスタとして映画界を牽引してきたダイアン・キートン演じる元教師のマーサの描き方にもこだわった。ただの老女の奮闘記にはせず、不治の病に怯えながらも余力を振り絞り、文字通り命を削って夢の実現を目指す女性として描いた。主要キャストも多様な女優を揃えた。マーサを支える親友を、オーストラリア女優のジャッキー・ウィーヴァ―が務める。チアクラブのメンバーにはパム・グリア、リー・パールマン、フィリス・サマーヴィル、パトリシア・フレンチ、ジニー・マッコール、キャロル・サットンを適用。マーサたちに敵対するヴィッキーには、セリア・ウェストンなど。

なかでも、ジャッキー・ウィーヴァー演じるシェリルの存在感には目を見張るものがある。良識ある行動を重視しがちな性格のマーサにおかまいなく、いつも行き当たりばったりで破天荒な言動で、マーサの生活に彩りを添えていく。シェリルの明るさと思いやりの深さが、余命わずかのマーサに全力で生き抜く力をもたらす。ジャッキーがキャストとして参加することがダイアンの出演の決め手になったのもうなずける。マーサが立ち上げたチアクラブのメンバーたちはチアリーディングの特訓を受けたが、ラストの「南部最大のチアダンスコンテスト」での演技は圧巻だ。

70代になったマーサは、46年間住み慣れたニューヨークのアパートを引き払い、南部のシニアタウンに引っ越す決意をする。不要となった家財道具の売りつくしセールを終え、がらんとした暗い部屋に別れを告げる。道中自家用車で颯爽と南部を目指すマーサと主治医との電話での会話がはさまれ、マーサが末期がんに侵されており、余命わずかであることが明かされる。
長いドライブの末にたどり着いたシニアタウン「サン・スプリングス」では、引越し早々、リーダーシップを発揮したがる独裁者のようなヴィッキーとその取巻きを始め、マーサが理想としていた静かな余生にさざ波を引き起こすお節介な隣人のシェリルの存在が待ち受けていた。ここでの生活がやがてマーサの人生を180度ひっくり返すことになるのだ。

感情の行き違いなど紆余曲折を経て、すっかり親友となったシェリルが、ある日マーサの高校時代のチアリーダーのユニフォームを見つける。シェリルが軽い気持ちでマーサに「チアリーディングをまたやってみたら」とすすめたことで、2人の運命が意外な方向へと動き出す。当初は、今さらチアリーダーなんてと思っていたマーサに心境の変化が起こり、シェリルとチアクラブ設立を目指すようになっていく。メンバー募集のためのオーディションにやって来た5人の演技を見終わったマーサとシェリルは、オーディションに来なかった最後の1人であるアリスを自宅に訪ねる。典型的な主婦層の代表とも言えるアリスは、夫からクラブ入りを反対されている。しかし、その夫が数日後にタイミングよくなくなったことで晴れて入部を果たす。クラブ設立に必要な6人を確保したマーサとシェリルは正式にチアクラブを立ち上げる。いよいよリーダーとして、ズブの素人相手に奮闘するマーサの新しい日課が始まった。
本作は、老いたからといって自分の大切な夢や希望をあきらめることはないのだと教えてくれる。「老人はおとなしくその日を過ごせばいいのだ」などというような古い概念を跳ね返し、どれだけ年齢を重ねようとも「未来へ羽ばたく」という生き方もあることを、ヘイズ監督はチアリーディングを通して見事に表現した。老いと病いという命題を深刻になり過ぎず、どこまでも楽観的に描いたヘイズ監督の姿勢は、本作に出演した俳優陣の演技にも如実に表れている。「老いてもなお楽しめることがある」という高揚感を与えてくれるのだ。

『チア・アップ!』のあらすじ・ストーリー

マーサの旅立ち

自宅前で「遺品セール」をするマーサ。

ニューヨークに住む元教師のマーサ・ウォーカーはこの家に46年間ずっと住んでいた。思い返せばあっという間だった。そして今、マーサはここを去る決心をする。末期ガンを患っているマーサは最新の診断結果から、自分の余命が残り少ないことを知ったことで、人生最期の住まいをジョージア州の老人コミュニティの「サン・スプリングス」に決めたのである。
引越しのために、思い出の詰まった家具や小物などを「遺品セール」として売りつくすことにした。自宅があるビルの前に自身が「ガラクタ」と呼ぶ雑多なものを並べ、客が来るのを待つ。
世間一般では、「人は年を取れば持ち物は全て子どもに譲り渡し、死ねば子どもが何とかすると思っている」と言われているが、マーサには子どもがいないので自分で全てを処理するしかない。老い先短いとはいえ、自分が生きている間に「遺品セール」ができるマーサの強靭な精神力が現れているようで興味深い。彼女の生き方そのものの集大成とも言える。

ある女性客の「遺品セールって大好き。人の人生が垣間見られて。持ち主をご存じ?死因は?なんという方?」という問いかけにもマーサは、「いい買い物ね。ありがとう」と簡潔に返答し、感傷を表に出さない。他人にあれこれと詮索される必要はないのだ。
「売りつくし」セールを終え、がらんとした自宅で過ごす最後の夜。南部の「終(つい)の棲家」へ持っていくものを手早く箱詰めするマーサの手が止まった。
高校時代に打ち込んでいたチアリーダーのユニフォームが出てきたのだ。マーサの脳裏にあの頃の思い出がよみがえる。チアリーディング・チームに受かるために必死の努力を重ねた日々を懐かしむ。一心不乱にチアリーダーを目指していた過去の自分に別れを告げるように、無造作に段ボール箱にそのユニフォームを突っ込んだ。

いざ、ジョージア州へ。

翌日マーサは、「人は死なない。想い出の中で生き続けるのよ」と言った母の言葉を思い出しながら、「さよなら。これで終わり」という言葉を残し、自宅を後にした。
郷愁の迷いを吹っ切り、ジョージア州へと車を走らせるマーサは、主治医に最後の電話をかけた。「マーサ。今日の診察に来ませんでしたね」と責めるような口調の主治医にマーサは、「キャンセルするわ。今後の予約も全て取り消したいの」と答える。主治医は「来週から化学療法が始まるのに」と困惑を隠さないが、マーサは「いえ、もう治療は受けない」ときっぱりと宣言した。
どんな高度な治療を受けても、もはや自分の病気が治らないことを知ったショックからはなんとか立ち直った。

マーサにはもうすぐ自分の命が尽きるのが分かっている。だからこそ死が訪れるまでの時間を誰にも煩わされず独り静かに、自由に生きることを選んだのだ。それでも運転中に薬を飲むのを忘れない。痛みを抑えるのと寿命を先延ばしにしたい欲求が表れている。

ジョージア州のシニアタウン「サン・スプリングス」に到着したマーサは、気軽に声をかけてくる通りすがりの住民たちに「やれやれ」と首を振る。静かに暮らそうとここを選んだのだが、思った以上に隣人が多そうだ。居住区内を低速で走行するカートがずらりと並ぶ駐車場に車を停め、降りようとドアを開けたとたんに隣のカートにドアをぶつけてしまう。身体をよじりながらなんとか車から出たマーサに、長いドライブでの疲労がのしかかる。疲れを振り払い、気を取り直して受付に入ると、そこには老夫婦をモデルにした「充実した老後を!」というボードが置かれている。「バラ色の老後がここにはありますよ」と声高にアピールしているかのように感じられ、マーサは顔をしかめた。自分には老後などもう残されていないのだから、そんな言葉は無意味だ。

マーサ(左端)を歓迎する「サン・スプリングス」の仕切り屋・ヴィッキー(中央)と取り巻きのバーバラ(右から2番目)とゲール(右端)。

さっそく理事会の重鎮であるヴィッキーが「いらっしゃい。マーサね」とマーサを出迎えてくれた。親しい友人のゲールとバーバラも一緒である。マーサは歓迎のしるしに鉢植えを贈られる。これが南部のおもてなしなのだとヴィッキーが強調する。挨拶もそこそこに、ヴィッキーは「なぜサン・スプリングスへ来たの?」とズバリ聞いてきた。マーサが「終の棲家に」と正直に答えるとヴィッキーは「それはまだ早いんじゃない?」と不思議がるが、無理もないだろう。このシニアタウンは「死ぬ」ことを考えるよりも、いかに老後を楽しく生きるかが目的と捉えられているからだ。だが、自分の死期が近いことなど彼女たちには関係ないことなので、マーサはこの反応を笑顔で受け流した。
ヴィッキーが敷地内を案内してくれることになった。仲間の印として日よけになるピンクのキャップをかぶせてもらったマーサは植木鉢を脇に抱え、3人と連れ立って外に繰り出す。

受付を出るとすぐ近くにプールがあり、数人の女性がエクササイズをしている。他にもゴルフコースが3つとボーリング場が2つ、屋内プールと屋外プールが1つずつあり、娯楽には不自由しないようだ。ヴィッキーは「退屈になったら、とにかく水の中へ入ればいい」と笑う。これがヴィッキーの口癖だ。

敷地内を走るカートに乗ってからも、ヴィッキーの説明が続く。ここの住民は100以上あるクラブの中から最低1つのクラブに入る決まりになっている。もし入りたいクラブが見つからなければ、自分で新しいクラブを立ち上げてもいいそうだ。ヴィッキーもゲールと「南部美人の会」を持っているが、中西部の出身であるバーバラは入れてもらえないことに不満を持っていた。
ここで耳寄りな情報がマーサの印象に残った。このシニアタウン最大のイベント「シニア発表会」が近いうちに開催されるそうで、町じゅうの人が楽しみにしているということだ。
早く自宅で独りになりたいマーサがお礼を言ってカートを降りようとすると、ヴィッキーが「安全講習を受けてないでしょ」と引き留めた。

「サン・スプリングス警備」内で安全講習を受けるマーサ(左)。ヴィッキー(右)、見習いのドリス(中央)。

「サン・スプリングス警備」の建物に連れて行かれたマーサは、警備隊長であるカールの講習を受ける。ここは、住民の安全を守るため、ドリスたち有志の協力で成り立っているとの説明がなされた。カール警備隊長から「情報は匿名にするので気軽に通報を」と言われたマーサは「例えば、どんな情報?」と質問する。伸びた生け垣や華美な庭飾りとか出しっぱなしのクリスマス照明などが該当するという。

ようやく我が家へたどり着くマーサ。

安全講習も終わり、ヴィッキーたちからようやく解放され、我が家にたどり着いたマーサは「ずごいところね」とため息をつきながらベッドに倒れ込む。家に運び入れたのは、キャリングケース、ボストンバッグ、段ボール箱ひとつという身軽さだった。室内は家具付きで、ダイニングテーブルには歓迎の白ワイン、壁には絵が複数掛けられ、リビングボードには観葉植物も置かれている。すぐにでも新生活がスタートできる体制が整っていた。
やがて、気を取り直して荷物の整理を始めた。
もうひとつ持って来ていた段ボール箱を玄関から室内に入れようとしていると、隣に住むシェリルがさっそく挨拶に来た。シェリルは毎週ポーカーをやっていてメンバーにならないかと誘う。ここはギャンブル禁止のため、シェリルの自宅でこっそりやっているらしい。シェリルはマーサに「今夜仲間に顔を見せにきて」と言ってくれた。マーサは「誘ってくれるのは嬉しいけれど、今日は越してきたばかりで、朝から大変だったから」とやんわりと断る。

引越し初日の夜。隣家のシェリルがポーカー仲間を引き連れてくる。

その夜マーサがベッドで本を読んでいると、隣のシェリルの家の騒音がうるさいため業を煮やして注意をしに行くが、ドアをノックしても誰も出てこない。仕方なくマーサが警備室に電話をすると、カール警備隊長と見習いのドリスがカートでシェリルの自宅前にやってきたので、慌てたシェリルがマーサの玄関先に現れる。シェリルは「警察に通報してないわよね?困ったことがあれば私に直接言って」とマーサに聞き、ポーカー仲間全員でマーサの家に隠れさせてと頼み込む。マーサの返事を待たずして、シェリルは勝手にポーカー仲間をマーサの家に招き入れてしまう。マーサの困惑には誰も注意を払わない。我が物顔で振舞うシェリルに怒りを覚えながらもスナック菓子を提供して世話をするお人好しのマーサ。逃げ込んできたメンバーの中にシェリルの庭師をやっているベンという青年もいた。

玄関にノックの音が聞こえた。応対に出たマーサに、カール警備隊長が苦情の電話をもらったことを告げる。マーサが「それなら解決したわ」と返事をすると、カール警備隊長は「いや、それは甘い。当該の家は騒々しい家だ。今は人気がないがごまかしているのは明らかだ。外でドリスと見張っているから」と言ってカートに戻っていく。室内に戻ったマーサにシェリルが「一緒にビールを飲もうよ」と陽気に声をかけてくるが、疲れ切っているマーサは寝室に引き上げてしまう。隣室から聞こえてくる絶え間ない話し声に睡眠を邪魔され続けたマーサは「静かにしてよ。なんて夜なの」と独り言を言う。初日から人の都合を考えない隣人のなんと多いことか。いまからこれだと先が思いやられると、ため息をつくマーサだった。

「ランチ」と称するお通夜の席で料理を持ち帰ろうとするシェリル(右)に呆れるマーサ(左)。

翌日。マーサが外を歩いていると、喪服を着たシェリルがカートで近づいてきた。「ランチ」に行こうと誘ってくる。しかたなくカートに乗ったマーサはシェリルに、なぜこのシニアタウンに来たのかと聞かれた。マーサが冗談で「南部美人の会の評判を聞いたからよ」と答えると、シェリルは「南部美人の会ね。意地悪なおばさんが多いクラブでしょ」と笑う。マーサはシェリルが何のクラブに入っているのか聞いてみた。シェリルは「私は関心があるフリをして、タダ食いするだけ」と打ち明けた。マーサが「シニア発表会のことを聞いたんだけど、あなたも出るの?」とシェリルに聞くと、シェリルは自分の特技はポーカーとお節介だと答える。

マーサはシェリルにある家に連れて行かれた。そこはお通夜の最中で、たくさんのご馳走が並んでいる。人目もはばからず料理に手を伸ばすシェリルにマーサは驚く。シェリルは「ここの特典は、人がしょっちゅう亡くなること。葬儀の情報は新聞に載るからタダの料理にありつける」と言って次々と料理を自分のバッグに入れていく。さらには、揚げ物をいくつも詰め込んだ持参のビニール袋を「あなたのバッグに入れて」とマーサに差し出す。シェリルのバッグに入りきらない料理をマーサのバッグに入れて持ち帰ろうとしているのだ。マーサはさすがに「いえ、自分のバッグに入れて」と断る。マーサはシェリルの厚かましさに嫌悪を抱いてしまう。

棺に横たわる故人にシェリルとお別れの挨拶をしに行ったマーサは、思わず怯んでしまった。「私、もう帰る」と言い、「お茶は?」と聞くシェリルに「よそで飲むからいい」と足早にそこを退出した。
人の死を目の当たりしたことで動揺したマーサは、デリカシーに乏しいシェリルとは距離を置くことにした。そんなマーサの気持ちを顧みないシェリルから、毎日のように留守電が入るようになる。引越しの片づけが残っているマーサは、電話に出る気も起きないので無視していると、今日もまた電話が入った。留守電をオンにしているとシェリルの声が流れてきた。「もしもし。シェリルよ。ビンゴに行くんだけど、賞品がいいから一緒にどう?この前はごめんね。お通夜に連れていって気分を害したんでしょ?電話して。このところ顔も見てないし、ビンゴを楽しみましょう」と言って電話は切れた。マーサはソファに横たわり留守電を聞き終えた。それからもシェリルからの電話は止まない。そんなある日マーサはトイレで嘔吐した。病気の悪化にマーサは気を落とす。

マーサの高校時代のチアリーダーのユニフォームを発見したシェリル。

気分がすぐれないままソファでテレビを見ていたマーサはティム・ニコルズの「遺灰を花火にして空に打ち上げ、故人を盛大に見送る」というサービスを知る。それは「うん、うん」とうなずくマーサの脳裏に刻まれた。
その夜。寝静まったマーサの家。不審な物音にマーサが目覚め、武器として使おうと植木鉢を抱えて室内を見回る。マーサは忍びこんできたシェリルを見て驚き、植木鉢を床に落とす。植木鉢は大きな音を立てて割れた。マーサは「あなた、何してるのよ。泥棒だと思ったじゃない」と叫ぶ。
シェリルは、マーサが電話しても出ないし、家から何日も出てこないので心配になって訪れてきたと説明する。仲直りした2人はワインを飲むことにした。マーサが「お通夜では大人げなかったわ。別のことで気が立ってあなたに八つ当たりして」と素直に謝ると、シェリルは「勝手に連れていった私が悪いの。あなたは自分が思ったようにすればいいのよ」と思いやりを示す。
マーサはあの時、故人と対面して自分が死んだところを想像してしまい、複雑な感情に襲われたのだったが、それをシェリルに言うわけにはいかなかった。

シェリルが自分の座っている椅子の横に置いてある段ボール箱の中にあったチアリーダーのユニフォームを取り上げ、マーサが元チアリーダーだったことを知る。マーサは高校時代、学校から走って帰るとひたすらチアリーディングの練習をしていたことをシェリルに打ち明ける。チアリーダーの選考オーディションに3回落ちたが、最後の学年でやっと入部がかなう。だが、デビュー戦の前日に母が重い病気だと分かり、チアを諦めて母の看病をした。マーサはチアリーダーのユニフォーム姿で人前に立ったことは一度もない。それが心のしこりとなっていた。やっとの思いで掴んだチアリーダー・デビューがあっけなく消え去った悲しみは今も消えていない。

ユニフォームを気に入ったシェリルがマーサに「またチアをやってみたら?」と冗談まじりに言う。マーサの胸の内に気づいたからである。だが、マーサは過去のことだからと取り合わない。マーサからユニフォームを借りたシェリルは、それを自分の家に持ち帰る。シェリルがいなくなるとマーサは、思い出の詰まった段ボール箱をもう一度開けてみた。そこにはチアリーダーのユニフォームを着た自分が誇らしげに写っており、マーサの目に涙が込み上げてきた。再びベッドに入ったマーサは高校時代を振り返る。

シェリルが代理教師をしている教室の窓をノックするマーサ。

翌日、シェリル宅の玄関ドアをノックしたマーサの前に現れたのは、シェリルの庭師だという青年だった。彼に対して初対面から不審に思っていたマーサは、彼をシェリルの若い愛人なのではないかと疑っていた。しかし、彼はベンという名前で、シェリルの孫であることが判明する。このシニアタウンには55歳未満は住めない決まりだから周囲には内緒で同居しているという。シェリルの所在をマーサが尋ねる。シェリルは小遣い稼ぎに、ベンの高校で代理教師として授業を受け持っていた。
ベンはシェリルが授業をしている時には、恥ずかしいのでいつも病欠しているそうだ。それを聞いたマーサはベンの高校に行き、授業中のシェリルに自分が来たことを窓から合図して知らせた。シェリルの授業が終わり、スタンドからグラウンドで練習をするチアリーダーたちを見ながらマーサとシェリルが談笑している。マーサが自分も教師だったことを話題にすると、シェリルは「自分では“人生のコーチ”だと思っている」と答えた。シェリルがマーサに何をしに高校に来たのかを問うと、マーサは「チアリーディングのクラブを立ち上げる」という。「入りたいクラブがないから自分のクラブを作るの。とんでもないことだけど独りではできない。あなたどう思う?」とシェリルに賛同を求めて来た。シェリルは賛成の交換条件として、マーサがベンに車の運転を教えることを求める。

マーサはチアリーダーの夢を叶えようとチアクラブを設立する

「サン・スプリングス」の理事会でチアクラブを設立を認めるかどうかの審査が行われた。

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