デビルマン(漫画版DEVILMAN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『デビルマン』(漫画版DEVILMAN)とは、永井豪が『週刊少年マガジン』に連載した漫画である。デーモンとの戦いを通して人間の弱さや邪悪さが露呈し、その過程で本当に守るべきものは何か、本物の悪魔とは何かを問う作品となっている。おとなしい高校生の不動明は友人飛鳥了の提案により、200万年の眠りから目覚めたデーモン軍団から人間を守るためにデビルマンとなり戦うことを決断する。デビルマンとなった明はデーモンから人間を守りたいと戦うが、追い詰められた人間が見せる剥き出しの残虐さに絶望していく。

了はこれまでの戦いを振りかえり明に懺悔する。明はすでに永遠の眠りについていた。

200万年前は自分たちのものであった地球を支配する人類を滅亡させようと手を尽くしたサタンであったが、それはかつて神がデーモンを忌み嫌い地球から追放しようとしたことと同じであったと明に語り掛ける了。明はすでに永遠の眠りについていた。このシーンは『新世紀エヴァンゲリオン』の旧劇ラストにも影響を与えたと言われている。

『デビルマン』(漫画版DEVILMAN)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

後世の作品に多大な影響を与えた『デビルマン』の斬新な設定

デビルマン以前はヒーローものの漫画といえば勧善懲悪が基本であり、デビルマンのようなダークヒーローが存在し、ヒロインが惨殺されるなどの描写は衝撃的なものであった。そのためデビルマンは後世の作品に大きな影響を与えたと言われている。『新世紀 エヴァンゲリオン』作者の庵野秀明氏は『庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン』の中で、『デビルマン』の影響について「永井豪テイストはもう完全に入っているでしょう」「『デビルマン』のインパクトが否定できなくなっている。それを否定してしまえば、自分の人生が根底からひっくり返ってしまう」と語っている。海外でもハリウッド映画化の依頼が多数あったことや、トッド・マクファーレン作のアメコミ『スポーン』にも影響を及ぼしたとされている。『スポーン』は地獄に落ちた主人公がダークヒーロースポーンとなり蘇るという世紀末的ストーリーである。他にも『寄生獣』や『ベルセルク』など、『デビルマン』の影響を受けたと言われる作品は数多く存在する。そして作者である永井豪のその後の作品にも影響を与えたといわれており、バイオレンスジャックやデビルマンレディーなど派生作品がいくつも生まれた。

『デビルマン』の実写化が評価の低い映画の典型例となった理由

2004年秋に『デビルマン』は日本で実写化されることとなり大きな話題を呼んだ。作者も「ハリウッドからのオファーが何度もあったが、今回ようやく納得出来るシナリオとめぐり合えた」と話しており、当時としてはめずらしいCGを使用して戦闘シーンを表現するということなどからかなりの期待を寄せられていた。ハリウッドからの映画化申し入れに関しては「デビルマン=悪、敵」というコンセプトがあったことなどから作者が承諾しなかったという。ところが実際に公開されてみるとメインキャストの演技経験の無さ、本来の物語での重要な場面がカットされているなどその評判は壊滅的であり、製作費10億円に対して興行収入は5.2億円と興行的大失敗に終わった。同年は多くのアニメや漫画が映画化されているが、その中でもデビルマンは特に評価が低かったといわれ、最低映画を決定すると言われる文春きいちご賞で1位を獲得している。ちなみに2022年に公開された映画『大怪獣のあとしまつ』は、その評価の低さから「令和のデビルマン」とよばれた。

テレビアニメ『デビルマン』の終了に合わせた原作の打ち切り

『デビルマン』はテレビアニメも原作漫画とほぼ同時期に進行していた。アニメ版『デビルマン』は、デビルマンが妖獣と戦う1話完結のストーリーとなっており、「同一の基本設定を使用して描かれた2つの作品」と作者自身が指摘している。そして、漫画はアニメとは無関係として作者は長期連載のつもりであったが、アニメの打ち切りが決定したことにより、漫画の方も2か月半ほどの期間を残して連載終了が決まったという(それでも当初はもっと期限が短かったところを延長してもらった)。それによって漫画の終盤はストーリーをかなり詰め込み気味になったが、それにより大胆な展開に仕上がったともいわれている。この期間はデビルマンの連載に集中するため、週刊少年チャンピオンにて連載中だった『あばしり一家』の連載を止めている(『激マン!』デビルマンの章より)。

『DEVILMAN crybaby』がNetflixにて公開

監督は『四畳半神話大系』などで有名な湯浅政明、脚本は『ルパン三世PART5』の大河内一楼でNetflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』が製作され、2018年1月5日から公開された。同作品は永井豪画業50周年記念として舞台を2010年代に置き換え、キャラクターも現代風にリメイクされている。明、美樹等が陸上部に所属している、原作には姿を見せなかった明の両親の登場、ミーコの出番がかなり増えていること等原作との相違点はところどころあるが、物語の大まかな流れは同じである。

icenana_coffeez1
icenana_coffeez1
@icenana_coffeez1

Related Articles関連記事

NEW
マガジンの歴代ヒロインまとめ

マガジンの歴代ヒロインまとめ

『少年マガジン』は、日本でもっとも長く続いている週刊の少年漫画誌の1つである。その長い歴史の中で幾多の傑作を生み出し、日本の漫画文化を支えていった。「少年漫画」という縛りがあるため主人公の多くは少年だが、その活躍を支えるヒロインたちもまた物語に欠かせない存在として魅力たっぷりに描かれている。 幼馴染に学生、人外や異世界人と設定も様々なら、その関係性も恋人から友人、ライバルまで多種使用である。ここでは、マガジン作品を彩ったヒロインたちを紹介する。

Read Article

デビルマン(DEVILMAN)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

デビルマン(DEVILMAN)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『デビルマン』とは、70年代にアニメの企画と並行して誕生した漫画作品で、原作者である永井豪の会心作の一つである。 悪魔を主人公にした斬新な設定と、ハードなアクション、そして後半のヨハネ黙示録を元にした終末観溢れるストーリーが話題を呼び、いくつもの派生作品が生まれた。 人、悪魔、そして神とは一体何か、本作の登場人物の言葉にその秘密が隠されている。

Read Article

DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『DEVILMAN crybaby』は、永井豪原作漫画「デビルマン」のアニメ化作品。監督は世界的にも有名な湯浅政明。 Netflix限定配信で、2018年1月5日より一挙配信。泣き虫な少年、不動明が悪魔の力を持つ人間、「デビルマン」となり、愛情、欲望の間で葛藤しながら世界のために戦う物語。ネット配信であることを生かした暴力的、性的な描写は、原作に忠実なダークな印象を鮮烈にした。

Read Article

デビルマン(劇場版DEVILMAN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

デビルマン(劇場版DEVILMAN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2004年公開の永井豪原作の『デビルマン』実写映画。PG-12指定作品。制作費10億円、CGと実写の融合だけではなく手描きのカットを差し込む実験的映画で、双子がデビルマン(アモン)とサタンを演じるとあって話題作となった。 「デビルマン」になった不動明が人間と敵対するデーモンを討伐するために立ち上がり、最後は世界の終末のような場所で持てる限りの力を使いサタンである了と最終決戦に臨む。

Read Article

ゲッターロボ アーク(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ゲッターロボ アーク(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ゲッターロボ アーク』とは、石川賢が手がけたSF巨大ロボットバトル漫画であり『ゲッターロボ』シリーズの叙事『ゲッターロボ・サーガ』最終作。 正義のロボットだったはずのゲッターロボが、未来ではゲッターエンペラーとして宇宙を侵略する悪魔のようになってしまう予知があった。 なぜ、そのような未来が創られたのか。初代ゲッターパイロット流竜馬の子、流拓馬が現代での最新ゲッター「アーク」を駆って、その謎を解き明かす予定だったが、作者急逝により謎のまま未完となった。 2021年夏アニメ化。

Read Article

キューティーハニー(CUTIE HONEY)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

キューティーハニー(CUTIE HONEY)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『キューティーハニー』は、漫画、テレビアニメ、オリジナルビデオアニメ、数回にわたる実写映画など、様々な媒体で製作されている、永井豪の代表作の一つである。セクシーシーンと臨場感あふれるアクションシーンが満載の、キューティーハニーと悪の組織・パンサークローとの戦いは、少年少女のみならず、幅広いファンを獲得した。

Read Article

鋼鉄神ジーグ(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

鋼鉄神ジーグ(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『鋼鉄神ジーグ』(こうてつしんジーグ)とは、2007年に放送されたロボットアニメ。1975年に放送された『鋼鉄ジーグ』の続編ではあるが、設定や世界観は手を加えられている。前作の原作を担当した永井豪らしいお色気シーン、往年のロボットアニメに見られた熱血的な演出や特訓シーンなど、古き良き作品の魅力をブラッシュアップした演出が好評を博した。 初代鋼鉄ジーグと邪魔大王国の決戦から50年。結界に覆われたままの九州から出現した新たな敵を倒すため、高校生の草薙剣児は鋼鉄神ジーグの操縦者となって戦い始める。

Read Article

グレンダイザーU(Grendizer U)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

グレンダイザーU(Grendizer U)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グレンダイザーU』とは、世界的に高い人気を誇るロボットアニメ『UFOロボ グレンダイザー』のリブート作品。総監督に福田己津央、キャラクターデザインに貞本義行、脚本に大河内一楼、音楽に田中公平と豪華絢爛なスタッフで話題となった。キャッチコピーは「宙と大地よ、思い出せというのか?」。2024年放送予定。 故郷フリード星を滅ぼされ、地球へと逃げ延びたデューク・フリード。その地球に仇敵たるベガ星連合軍が迫っていることを知ったデュークは、フリード星の守護神グレンダイザーに乗ってこれを迎え撃つ。

Read Article

伝説のクソ映画・実写版『デビルマン』まとめ

伝説のクソ映画・実写版『デビルマン』まとめ

ここでは「クソ映画」の金字塔とも言うべき傑作(?)実写版『デビルマン』についてまとめた。永井豪の漫画『デビルマン』は日本の漫画史に残る傑作として名高いが、その実写映画はB級映画の顔ともいうべき作品に仕上がっている。そのクオリティは、実写版『デビルマン』を観れば大抵のB級作品は普通に観られる、とまで言われるほどだ。

Read Article

【ガラダK7】徹底解説!マジンガーZに登場する機械獣一覧!【ダブラスM2】

【ガラダK7】徹底解説!マジンガーZに登場する機械獣一覧!【ダブラスM2】

スーパーロボットアニメの元祖として語り継がれる伝説的名作『マジンガーZ』。作中で主役ロボットマジンガーZが戦うのが、世界征服を目指すDr.ヘルに率いられた“機械獣”である。そのデザインは千差万別にして自由奔放、狙撃兵を模したようなものから機械に人体風のパーツがついたようなものまで様々である。 ここでは、『マジンガーZ』に登場した機械獣たちを紹介する。

Read Article

目次 - Contents