クアリー ~悪夢のサマーキャンプ(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』とは、Supermassive Gamesによって開発され、2Kによって配信されたホラーアドベンチャーゲームである。2022年に、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox、PC向けにリリースされた。ハケット採石場を舞台に満月の夜の狂気に9人のカウンセラーが巻き込まれていくストーリーは、先の見えない展開でプレイヤーを引き込んで離さない。また、プレイヤーの選択で物語が変わるマルチストーリーを採用しているため、物語が細かく分岐する作品だ。

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』の概要

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』とは、Supermassive Gamesによる開発と、2Kによる販売でリリースされたPlayStation 4、PlayStation 5、Xboxシリーズ、PC向けのゲームソフトである。ストーリー主体のホラーゲームである本作は、大小のあらゆる選択がストーリーに影響を与える体験型ゲームだ。サマーキャンプのために集まった9人のカウンセラーが、ハケット採石場の謎を巡る狂気に巻き込まれてしまうストーリーとなっている。プレイヤーはキャンプカウンセラーの1人を操作して、それぞれの場所と時間で最善の行動を起こす必要がある。ハケット採石場にいる獣や罠から逃れるために、無数の分岐以外にもQTEや銃によるエイム操作など手に汗握るゲームシステムが採用されている。Supermassive Gamesの同チームが手掛けた『Until Dawn -惨劇の山荘-』が高い評価を受けたこともあり、世界中のホラーゲームファンや映画評論家までもが注目した作品だ。

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』のあらすじ・ストーリー

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』は、プレイヤーの選択で無数に分岐するストーリーが魅力のゲームだ。チャプターごとにキャラクターの生死を分ける選択やアイテム収集が含まれているため、本章では物語の大筋と事のてん末を記載する。

プロローグ

車を運転するマックスと、助手席に乗るローラ

6月24日の午後23時50分。キャンプカウンセラーのマックスは、ハケット採石場へ向かうために助手席に恋人のローラを乗せて車を運転していた。ハケット採石場で行われているサマーキャンプでキャンプリーダーを任されていた2人は、先んじてキャンプの準備を行うために前乗りしようと考えていたのだ。慣れない土地での運転で迷子となっていた2人だが、突如目の前に巨大な動物が現れたため衝突事故を起こしてしまう。事故の衝撃で車は車道を外れ、深い森のなかへと入り込んでしまったが、命に別状はなかった。車の修理を行うために車外へと出た2人だったが、ローラは森の中でうごめく人影のようなものを見つける。轢いてしまった可能性もあるので様子を見に行くというローラは、車の修理をマックスに任せて深い森へと歩みを進めるのだった。
そこは、葉のさざめきが老婆の声のようにも聞こえる薄気味悪い場所だった。ローラは、森で壊れた檻を見つけたが、突如はっきりと老婆の声が聞こえたため怖くなってマックスの元まで戻ってきてしまう。車の修理もちょうど終わったため、走り出そうとした瞬間、急に現れた警官に職務質問されることとなる。警官の質問に素直に答える2人だったが、とある質問をきっかけに警察官の様子がおかしくなっていく。それは、今後の予定としてハケット採石場に前乗りするという返答をした直後だった。警官は頑なにハケット採石場への前乗りを拒否し、近くのハービンジャー・モーテルで一日泊まるように念押ししてきたが、2人はその提案を聞き流し直接ハケット採石場へと向かってしまう。
ハケット採石場のキャンプロッジに到着した2人は、静まり返ったキャンプ場を見て無駄足だったと肩を落としてしまう。しかし、管理人の車があることから付近を散策したローラは、ロッジ地下に続くシェルター内で傷ついて血を流す人影を目撃することになる。施錠されていた扉を強引に開けて施設内へと入った2人だったが、血のついた首輪だけが転がっている状況に首を傾げた。しかし、その静寂は一瞬にして破られることとなった。階段付近にいたマックスを突如として大柄の動物が襲い、マックスは重傷を負ってしまう。その姿を見て救助に入るローラだったが、出口付近の階段でもう一人の人影に襲われて気を失ってしまう。その人影は、先ほど職務質問をしてきた警官だったのだ。
「どういうつもりだ!ハービンジャー・モーテルに行けと言っただろうが!」
警官の怒号と鳴り響く銃声によって、ハケット採石場をめぐる狂気の物語が幕を開ける。

チャプター1:「ハケット採石場よ永遠に!」

荷物を車に乗せるエマ(中央)と、キャンプメンバー

チャプター1は、プロローグから2か月後のキャンプ最終日が描かれる。それぞれのキャラクターがどのような考えを持っているかというのをプレイヤーに説明するために、7人のキャラクターを紹介しつつもハケット採石場のメインとなる場所を説明するチャプターとなっている。車に荷物を入れるまでのストーリーはジェイコブ操作となり、離れの宿泊施設からロッジへ戻るまでのストーリーはアビー操作となる。ジェイコブは、お調子者で正義感の強い大柄の男性で、カウンセラーのなかでもムードメーカー的存在だ。アビーは、絵を描くことが趣味の内気な女性だが、このキャンプを通して根暗な自分を変えようと決意している。今回のサマーキャンプではそれぞれ別の異性に恋しており、以降のチャプターでは2人の恋の行方も描かれることになる。
時間帯はまだ昼で悲劇が起こる前となるため、キャラクターが楽しいサマーキャンプを惜しむようなシーンが多い。しかし、ジェイコブがサマーキャンプを一日伸ばすために車のローターアームを外してしまったことがきっかけで、その日の内に帰宅することができなくなってしまうのだ。ハケット採石場のキャンプを運営しているクリス・ハケットは取り乱し、カウンセラーに絶対にロッジから出ないで一晩過ごすように忠告してキャンプを後にする。血気盛んな若者がその忠告を守るわけもなく、キャンプファイヤーを楽しむことで意見が一致するが、その選択が悲劇の始まりとなるのだった。

チャプター2:「真実か挑戦か」

チャプター2は、キャンプファイヤーに必要な資材調達からキャンプファイヤー開始までを描くストーリーとなっている。ひと夏の恋が終わってしまったジェイコブとエマ、これから恋が発展しそうなアビーとニックというように、2人1組で資材調達をする姿が描かれる。エマは、容姿端麗で物怖じしない性格から、インフルエンサーとして活動している女性。ニックは、物腰の柔らかいスポーツマンで、物腰柔らかな性格から多くのティーンエイジャーのハートを射止めている。
また、本チャプターからスポットライトが当てられるキャラクターとしてディランとライアンの2人が挙げられる。ディランはユーモアと音楽知識によりカウンセラーに愛される男性。ライアンは、オカルトを愛するハンサムな男性で、毎年サマーキャンプに参加するほどハケット家にお世話になっている人物だ。この2人が、クリス・ハケットの部屋で地下に続く階段や監視室を発見し、ハケット採石場が異様な雰囲気に包まれた場所だということを確認する描写が平行して描かれる。
物語の展開として、ハケット採石場がどのような場所であるかという点と、キャラクターそれぞれの気持ちや想いを確認するチャプターとなっている。
キャンプファイヤー開始後は、それぞれの恋仲を後押しするきっかけにと強引なやり取りが行われるが、そのやり取りがきっかけでメンバー同士の関係が悪化することとなる。ジェイコブはエマの挑発を鵜呑みにして激怒し離席、アビーは別の女性といちゃつくニックの姿を見てられずその場を離れてしまう。ジェイコブとアビーがそれぞれ森へと消えてしまったことから、キャンプファイヤーは自然と解散してしまう。

チャプター3:「楽園の夕闇」

チャプター3は、初めて獣に襲撃されるチャプターとなっている。森へと足を踏み入れてしまったアビーや、アビーを追って森に入ったニックなどが謎の獣に襲撃されてしまう。その襲撃は、キャンプに残っていたメンバーを取り巻く大事へと発展することになる。操作キャラクターは、アビー・ジェイコブ・ライアンの3人だ。アビーは森で遭遇する獣からの逃走し、ジェイコブはエマとの関係を修復と謎の男からの逃走がストーリーの大筋だ。それぞれがキャンプファイヤーへと戻ってくるため、大筋をまとめるためライアンにスポットが当たっている。本章からキャラクターの生死に関わる選択が迫られるため、息もつかせぬ怒涛の展開となっている。

チャプター4:「ドント・パニック」

チャプター4は、ジェイコブから離れてしまい小さな島へと移動したエマと、チャプター3で獣の攻撃で重傷を負ったニックとそれを介抱するメンバーという2つのストーリーが交錯するような構成となっている。操作キャラクターは、ディラン・ライアン・エマの3人だ。ジェイコブとボート小屋付近の湖で泳いでいたエマは、ジェイコブが消えてしまったことに愕然としながらも対岸の島に到着。スマホで映像を取りながら、島の探索を始めることになる。エマのストーリーは、島にあるツリーハウスにいた獣の襲撃から逃れ島から脱出することを目標としている。QTEや生死に繋がる選択も多く、手に汗握る展開が繰り広げられるストーリーだ。ディランとライアンのストーリーは、ニックの治療のためにロッジへと戻り外部との連絡手段を探す過程で施設の謎や、打開策について話し合うストーリーだ。電話線が切れて警察に繋がらないことから、無線のある小屋まで移動する案が浮上。ディランとライアンは銃をケイトリンに渡し、無線小屋まで移動することになる。ケイトリンは、指示役に徹する事実上のリーダー的存在の女性で、射撃訓練ではカウンセラーで一位の腕前を持っている。カウンセラーのメンバーは、ケイトリンの的確な指示と腕前を信頼しているため、ディランとライアンがケイトリンに銃を渡す選択をしたのは賢明な判断だった。

チャプター5:「ホワイトノイズ」

無線小屋で獣の襲撃にあうライアン(左)とディラン(右)

チャプター5は、ロッジ内でニックを介抱するチームと、無線小屋で外部との連絡を取るディランとライアンの2つの物語が交錯するように展開する。ここではニックが徐々に荒々しい性格になってくる様子が描かれており、先の展開の不穏さを煽る演出が特徴的だ。ロッジ内に謎の大男の姿を見かけたことをきっかけに、ニック・アビー・ケイトリンはロッジから脱出することになる。ディランとライアンのパートは、無線小屋で獣に襲撃されるという緊迫感のある展開だ。高周波を応用して獣を撃退することに成功するが、ディランは獣に腕を噛まれてしまい重傷を負ってしまう。獣を撃退した後、ロッジメンバーと無事合流するディランとライアンだったが、数発の銃声によって安堵の表情は凍り付く。銃声と走り去る人影を追いかけるメンバーの前には、プールに浮かぶ死体だけが残されていたのだった。

チャプター6:「夜の祈り」

チャプター6は、プール小屋でニックの看病をするチームと、エマを助けに戻ったジェイコブの2つのストーリーが主軸となって構成される。本パートは、獣の正体についてメンバーがその目で目撃するパートとなっており、物語の核心に一歩近づく展開だ。7人のカウンセラー達を捕まえようとしている謎の大男と老人についてもスポットライトが当たり始め、物語の裏で動いている謎も少しずつ解明されていくことになる。プール近くの小屋で暖を取るメンバーは、ニックの変わり果てた姿に戦慄しながらも、過去を知るカウンセラーの1人ローラとの出会いを果たすことになる。

チャプター7:「私たちの過去」

牢を挟んで会話するローラ(左)とトラビス(右)

チャプター7は、プール小屋にあらわれたローラの過去を紐解いていくストーリーとなっている。プロローグで獣に襲われたローラとマックスは、警官のトラビスに刑務所に監禁されていた。監禁されながらもハケット採石場の秘密を見つけ、トラビスの閉ざされた感情を解き放つことが目的となっている。プレイヤーの選択が、本筋を説明したがらないトラビスを改心させるきっかけとなるため、物語の根底にある謎を知るために今まで以上に相手の心を読んだ選択が重要になっている。本章では、獣の呪いに感染した者は満月の夜になると獣になってしまうという真実が語られる。ハケット家は、長年その呪いを解呪するために満月の夜に行動していたのだった。しかし、これからどれだけの期間監禁されるか分からないローラとマックスは、トラビスの監禁の目をかいくぐって脱走することを決意するのだった。

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