クアリー ~悪夢のサマーキャンプ(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』とは、Supermassive Gamesによって開発され、2Kによって配信されたホラーアドベンチャーゲームである。2022年に、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox、PC向けにリリースされた。ハケット採石場を舞台に満月の夜の狂気に9人のカウンセラーが巻き込まれていくストーリーは、先の見えない展開でプレイヤーを引き込んで離さない。また、プレイヤーの選択で物語が変わるマルチストーリーを採用しているため、物語が細かく分岐する作品だ。

チャプター8:「怪物の腹の中」

チャプター8は、ローラとともにハケット家が住んでいる館へと足を踏み入れていくライアンと、ロッジへ戻るケイトリン・ディラン・アビーの物語が展開する。満月の夜にすべての元凶となる獣を打倒さないと呪いが解けないことを聞かされたメンバーは、その元凶となる獣が誰か分からないまま関係者を探すことになるのだった。
その元凶をハケット採石場の管理者であるクリス・ハケットだと推測するローラだったが、ハケット家の一員であればなりふり構わず引き金を引くような心境であった。ハケット家がいる館を捜索していたローラとライアンの行動は、やがてハケット家を巻き込んだ血みどろの脱出劇へと発展していく。ハケット家の住人は悪なのか、それとも巻き込まれただけなのか。先の見えない選択肢に行き着く暇のない展開が続くチャプターとなっている。

チャプター9:「偉大なる母」

チャプター9は、ハケット家の館で獣の病の元凶を捜索するローラとライアンと、車のローターアームを捜索するディランとケイトリンの2パートによって構成されている。自身も感染しているローラは、徐々に正気を失い始めているがその力を逆に利用して仲間を助けることができる。物語も終盤となり、選ぶ選択肢も発想の転換が必要なものばかりとなっている。
車のローターアームを捜索しに近くにある廃車工場まで移動したディランとケイトリンは、新しめの車を見つけたが獣と遭遇してしまい最後の望みとなる車も壊れてしまう。車での脱出は無理だと判断した2人は、大人しくロッジへと引き返すのだった。ローラとライアンは、ハケット家の館で血みどろの惨劇を乗り切り獣となっていたクリスをやっとの思いで殺害した。クリスを殺害したことで、クリスに噛まれて呪われていたローラの感染も一時的に収まった。しかし、トラビスの口から元凶はクリスではないことを知らされる。獣の呪いの始まりは、ずっと追い続けた白狼だという。

チャプター10:「煉瓦と漆喰」

獣と交戦を始めるディラン(左)とケイトリン(右)

チャプター10は、ロッジ周辺を捜索しているアビーとエマ、ロッジ内で救助を待つディランとケイトリンの2つのストーリーで構成されている。もうすぐ夜が明けるという状況で、残されたメンバーが獣の襲撃に必死に耐える姿が描かれる。アビーとエマは、プロローグでローラとマックスが入り込んだ地下室を捜索して銀の弾を拾うこととなる。地下からはしごを利用してクリスの部屋へとやってくるが、鍵がしまっていてこれ以上どこにもいけない状況だ。ロッジにいるディランとケイトリンは、煙突から侵入してきた獣と交戦し、逃げ隠れしながら好機を伺うことになる。獣に行く手を阻まれ絶体絶命に陥ってしまったケイトリンだったが、ドアの下から銀の弾を滑り込ませたアビーの機転によって、持ち歩いていたショットガンで獣を打倒した。獣の正体は、クリスの息子であった。

エピローグ

暗い森へと赴いたライアン(左)とトラビス(中)とローラ(右)

エピローグでは、プレイヤーに助言を行ってきた老婆エライザとその息子のサイラスを取り巻く過去パートと、獣の呪いを根絶するために動く現代パートの2つで構成されている。
獣の呪いの元凶は、かつてエライザが巡業として行っていたサーカス団に在籍する子供サイラスだった。サイラスは元々人間だったが、サーカス内では人間として扱われず一匹の動物として育てられた過去がある。サーカス巡業当時、檻に閉じ込められていたサイラスを不憫に思い、クリス・ハケットの子供であるケイリー・ハケットとケイレブ・ハケットが協力して脱出させた。しかし、その過程で不慮の火災が起きてしまいサーカスは炎上、エライザは帰らぬ人となっている。このことからエライザは、森を彷徨う亡霊となってカウンセラーの前に現れるようになり、ハケット家の復讐を願って成仏できない存在となってしまったのだ。サイラスはエライザの執念を持って呪いとなり、一番最初の獣になった。そして、逃亡の際に手助けしてくれたケイリーとケイレブの2人を噛んで感染させてしまう。この出来事がきっかけで、獣の病がハケット家に伝染してしまうのだった。これが、ハケット家を取り巻く獣の病の過去と真実である。
獣の呪いは、サイラスを殺さない限り完全に消えることはない。ハケット家の一員でも良心を残しているトラビスは、エピローグの事故で轢いてしまった動物がサイラスであると確信しローラに道案内を頼むことになる。ローラの乗った車が事故を起こした場所まで車で向かったトラビス・ローラ・ライアンの3人は、現場付近でサイラスを発見する。衰弱しきった獣は、怯えながらも深い眠りについていた。ローラは、その悲しみと哀れみの混ざった気持ちを抱えながら銀の弾が入ったショットガンの引き金を引くのであった。サイラスの死亡によって、獣の病は消え去った。獣に変わっていたキャラクターは人間の姿を取り戻し、闇に包まれていたハケット採石場に朝日が昇り始めていた。この事件を警察がどのように処理したのか地元のラジオ番組では大きく取り上げる事案となっている。

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』のゲームシステム

プレイヤーの選択でストーリーが無数に分岐

2択を迫るローラ

本作は、プレイヤーの選択が物語をいくつにも分岐させるマルチストーリーとなっている。その分岐が緻密に繋がり合い、時にはキャラクターを助け、時にはキャラクターの命を奪うことになる。プレイヤーの選択は基本2択だが、時には照準を合わせるエイムであったり、息を止めて難を逃れるという緊迫感のある選択が迫られる。
プレイヤーの選択はキャラクターの生死に直結し、その生死によって他のキャラクターの物語が連鎖的に変化していく。目に見える選択だけでは決して読み解けないストーリーとなっているため、先が見えない展開にのめり込んでしまうはずだ。

QTEによる緊張感

梁を渡るケイトリン

プレイヤーの操作とムービーがシームレスに繋がっているため、ムービー中であっても気が抜けない作品だ。QTE(Quick time event)が随所に設定されており、画面上に表示されたコマンドを正しく入力できるか否かで、その後のストーリーが分岐する。QTEはすべて成功すればいいというものではなく、時にはわざと失敗したり行動しないという選択が最善の場合もある。
QTE以外にも、ボタンを押している間息を止めて難から逃れる「息止め」や、銃によるエイムなど、物語を盛り上げる要素がふんだんに用意されている。

映画のような没入感とグラフィック

座り込むトラビス

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』は、映画のように美しいグラフィックで物語に引き込まれる没入感が素晴らしい作品だ。探索パートとムービーがシームレスに繋がっており、世界観に引き込まれる作りとなっている。また、緻密に作り込まれたストーリーには「シアターモード」という観賞設定が用意されている。キャラクターの性格を事前に決めるだけで物語が自動で展開し、1本の濃密な映画として本作を楽しむこともできる。

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』の登場人物・キャラクター

『クアリー ~悪夢のサマーキャンプ』は、多くのキャラクターが登場するゲームだ。メインキャラクターとして紹介する人物は、物語の進行に欠かせないプレイアブルキャラクターである。また、重要人物として紹介するキャラクターは、物語の核となる「ハケット採石場」の過去に関連するキャラクターである。

メインキャラクター

ローラ

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