ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

リオン・ステファノティスの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「見たくないか!?200年周期だから、生きているうちにもう見る機会はないぞ!ア、アリー彗星だ…!」

パンを握り締めながら、ヴァイオレットをアリー彗星の観測に誘うリオン。

ヴァイオレットは、天文に関する書物の写本をするために、アストレア国ユースティティア地方のシャヘル天文台にやってきていた。天文台のスタッフとドールが2人1組になり、天文台のスタッフが書物を解読し、ドールがそれを記すことになった。ヴァイオレットと組むことになったのは、リオンという影のある少年。リオンは、ドールの少女たちを理由も分からないまま毛嫌いし、そんな自分に戸惑っていた。ヴァイオレットにもキツくあたっていたリオン。しかし、ヴァイオレットがドールの仕事をする理由やヴァイオレットの境遇を知っていくうちに、リオンが抱くヴァイオレットへの気持ちに変化が起こっていった。リオンは、200年に1度見られるアリー彗星の観測に、ヴァイオレットを誘う決意をする。リオンはヴァイオレットに「見たくないか…!200年周期だから、生きているうちにもう見る機会はないぞ!ア、アリー彗星だ…!」と、昼ご飯のパンを握り締めながら、声を掛ける。リオンの決定的な心の変化が分かる名セリフである。また、リオンは、女性を誘う緊張を誤魔化すようにパンを強く握り、ヴァイオレットから肯定的な返事を受けると、固そうなパンを引きちぎるというクスッと笑える名場面でもある。

「また一緒に星を見てくれるか?なぁ?ヴァイオレット・エヴァーガーデン!」

ヴァイオレットとの別れ際に、涙を浮かべて声を掛けるリオン。

シャヘル天文台で写本の仕事をしているリオンは、ヴァイオレットの生き様に触れ、自分の気持ちと向き合う。流れ者の旅芸人だったリオンの母は、アストレア国のユースティティア地方で、シャヘルの文献収集を仕事にしていたリオンの父に恋をし、リオンを産んだという。収集家の仕事は危険を伴う仕事で、ある日、仕事に出ていた父の消息が途絶えた。母は、父を愛するあまり、リオンを置いて、父の捜索に出てしまい、戻って来なかったのだ。そんな家庭環境のせいで、リオンは、女性も恋愛もなんとなく嫌悪してしまっていた。いつか母が父を連れて帰ってくるのでは、と思ったリオンは、写本の仕事をして、ユースティティア地方に留まっていたが、本当は父と同じ文献収集がしたいという気持ちを思い出した。ヴァイオレットとの別れ際、囚われていた過去の思いを乗り越え、リオンはヴァイオレットに、自分の夢を話す。そして、リオンは遠ざかっていくヴァイオレットに向かって、「また一緒に星を見てくれるか?なぁ?ヴァイオレット・エヴァーガーデン!」と叫ぶ。リオンが未来に目を向けた名セリフで、仄かに恋という感情を知ったリオンの表情も見どころのシーンである。

オスカー・ウェブスターの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「どんなに辛い冒険をしたとしても、最後はハッピーエンドだ。主人公も観客も幸せになる。いや、してみせる」

父であるオスカーに寄り添う、闘病中のオリビア。

舞台の脚本家として有名なオスカー・ウェブスターの台本の代筆に向かったヴァイオレット。オスカーは、妻と娘を病気によって亡くし、お酒に頼って脚本を書いていた。悲しくて、名前すら囁けない娘と同じ髪の色のヴァイオレットが来たことに驚くオスカー。お酒をやめられないオスカーだったが、ヴァイオレットからの指摘を受け、なんとかお酒を飲まずに執筆を開始する。今回執筆するのは、子ども向けの芝居の脚本だ。劇の主人公オリーブは、精霊使いの力を使い、苦難を乗り越えながら、怪物を倒す。オリーブは怪物を倒して、精霊使いの力を失う。ここまでは順調だったオスカーだが、帰りを待つ父のもとへ、オリーブがどうやって帰るか、というところで行き詰まった。オスカーとヴァイオレットは気分転換に外に出る。ヴァイオレットの目に留まったのは、フリルのついた水色の綺麗な傘だ。それはオスカーの娘オリビアのお気に入りだった。オリビアの思い出の詰まった傘を見たオスカーは、休憩をすると、自分の部屋に入ってしまった。オスカーは、オリビアの死が悲しすぎて、そんな現実と向き合いたくなかったのだ。オスカーが部屋から、外を見ると、水色の傘をさしたヴァイオレットの姿が見えた。オスカーはたまらず、ヴァイオレットが持つ傘をはたき落とした。ヴァイオレットは、オスカーが抱える娘への想いを聞き、大切な人と2度と会えない寂しさと辛さを知って、涙する。
その夜、オスカーはヴァイオレットの部屋のドアを叩く。オスカーは、ヴァイオレットに昼間のことを謝罪し、途中になっていたオリーブの物語を完成させると言う。オスカーは続けて、「どんなに辛い冒険をしたとしても、最後はハッピーエンドだ。主人公も観客も幸せになる。いや、してみせる」と言い、決意を新たにする。オスカーがオリビアの死を受け入れ、前を向く名セリフだ。

「あと何千回だって、そう呼ばれたかった。死なないで、欲しかったな。生きて、大きく…育って…欲し、かった、な…」

水に浮かぶ木の葉の上を歩いてみせたヴァイオレット。

子ども向けの芝居の脚本を考えるオスカーとそれを代筆するヴァイオレット。オスカーが書く劇では、オリーブという主人公が精霊使いの力を使って、冒険をしながら、怪物を倒す。オリーブは、怪物を倒した代償に精霊使いの力を失ってしまう。力を失くしたオリーブが、父のもとへどうやって帰るか、というところで、筆が止まっていた。オスカーは、鳥なら飛んで帰れるというヴァイオレットの言葉をヒントに、傘で飛んで帰るという案を思いついた。その案の裏には、フリルの傘が好きで、水鳥に憧れていた愛娘との思い出がある。この脚本の元になったのは、オスカーがオリビアが寝る前に聞かせていた話だった。オスカーは、途中までしか無かったそのお話を完成させたいと思ったのだ。傘で海を渡って帰ってきたオリーブは父親になんと声を掛けるのか、という場面で、また行き詰まってしまうオスカー。オスカーはイメージを掴みたいと言い、ヴァイオレットに傘をさして歩いてくるように指示する。ヴァイオレットは、歩くだけでいいのか、と問い、オスカーは、出来たら湖に浮かぶ木の葉の上を歩いて欲しい、と冗談で呟く。それを聞いたヴァイオレットは、助走をつけ、湖の木の葉めがけて飛ぶのだった。ヴァイオレットが傘を開いて、湖の上を歩く姿を見たオスカーは、オリビアの言葉を思い出す。オリビアは傘をさして、水鳥を眺めながら、「あの落ち葉の上なら歩けるかなぁ…!いつかきっと見せてあげるね、お父さん!」とオスカーに微笑んだ。オスカーは、「あと何千回だって、そう呼ばれたかった。死なないで、欲しかったな。生きて、大きく…育って…欲し、かった、な…」と、涙で顔を歪めながら、言ってしまったら娘の死を受け入れなくてはならなくて、ずっと言えなかった自分の想いを吐露する。ヴァイオレットが湖の上を飛ぶ映像美が味わえる名場面であり、父親の深い愛が感じられる名セリフである。

アン・マグノリアの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「あ、飲んだ!飲んだ紅茶どうなるの!?」

ヴァイオレットが紅茶を飲んだことに驚くアン。

母のクラーラの客人としてやってきたヴァイオレットのことを、アンは本物の人形だと思っていた。ヴァイオレットが挨拶をすると、アンは人形が喋った、と驚いた。ヴァイオレットは、出されたお茶を口にする。アンはさらに驚き、「あ、飲んだ!飲んだ紅茶どうなるの!?」と口にする。年齢相応の純粋な質問が微笑ましい名セリフだ。

「私、知ってる!お母さんは…、お母さんが居なくなったら私1人よっ!私はいつまでお母さんと一緒に居られるの!?」

自分の気持ちを涙ながらに伝えるアン。

母クラーラの体調は、ずっと芳しくない。娘のアンが心配すると、クラーラは、すぐに良くなると言うのだった。アンは、クラーラが長くは生きられないことを、幼いながらに悟っていた。だから、母との時間をたくさん過ごしたかった。そこへ、人形のようなヴァイオレットがやってきて、クラーラと7日間も、誰かに手紙を書くという。アンは、手紙を書いている間、立ち会わせてはもらえなかった。クラーラが書いていた手紙は、成長したアンへ、毎年誕生日を祝うものだったからだ。アンは、手紙を書くクラーラとヴァイオレットの様子を、窓越しに眺めていた。クラーラは時折苦しそうに胸を抑えるが、無理をしてでも手紙を書くことをやめようとはしなかった。そんな母の姿を見ていられなくなったアンは、母のもとへ、もうやめて、と止めに行く。大丈夫だという母にアンは、「私、知ってる!お母さんは…、お母さんが居なくなったら私1人よっ!私はいつまでお母さんと一緒に居られるの!?」と涙する。アンは続けて、お見舞いにも来ない知らない誰かに手紙を書くくらいなら、その時間を自分と過ごしてほしいと言い、家を飛び出した。母を想うアンと、娘を想うクラーラがすれ違う、涙なしでは観られない名場面である。

クラーラ・マグノリアの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「アン、誕生日おめでとう」

アンに手紙を書くクラーラ(右)と代筆するヴァイオレット(左)。

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