最終兵器彼女(最彼・サイカノ)のネタバレ解説・考察まとめ

『最終兵器彼女』とは1999年より高橋しんが「ビックコミックスピリッツ」で連載していたSF青年漫画、およびそれを原作としたアニメ作品、または映画作品である。累計総発行部数は400万部を記録しており、セカイ系漫画の先駆けとされている。SF×純愛をテーマとしておりキャッチコピーは「この星で一番最後のラブストーリー」である。主人公のシュウジとちせは北海道に住む高校生。しかしちせが「最終兵器」として戦場に行くことに。それでもシュウジとちせは互いに愛し続けた。

『最終兵器彼女』の概要

『最終兵器彼女』とは1999年より高橋しんが『ビックコミックスピリッツ』で連載していたSF青年漫画、およびそれを原作としたアニメ作品、または映画作品である。累計総発行部数は400万部を記録しており、セカイ系漫画の先駆けとされている。SF×純愛をテーマとしておりキャッチコピーは「この星で一番最後のラブストーリー」である。1999年12月から2001年10月まで連載されており、話数は72話。外編含めると単行本が8冊出ており、累計発行部数は400万部を記録している。アニメは2002年7月から10月まで放送しており、全13話で構成されている。OVAは2005年に全2話収録して発売した。映画は東映が制作し、2006年1月28日に上映。上映時間は121分となっている。今作は「泣ける漫画」として代表的な名作とされている。また数々の謎がストーリーに残されていることから、考察がネットで盛んにされており、語り続けられている枯れることのない名作となっている。内容は北海道の田舎町で暮らす主人公の高校生、シュウジとちせは恋人同士になったばかりのころから始まる。シュウジが憧れの存在であったちせは、周囲の女友達にはやし立てられ、度胸試しで告白したことが2人の始まりである。シュウジはそんなこととは知らず、ちせのことが可愛く思ったため、告白を受け入れて、その結果2人は付き合うことになった。不器用でデリカシーのないシュウジと、のろまでなかなか本音が話せないちせは、喧嘩したり悩みながらも、交換日記を交わしたりデートしたりしながらしながら、互いを大事に思って付き合っていく。しかしある日、なんの前触れもなく札幌が空襲される。たまたま札幌にいたシュウジは空爆に合い、一緒にいたクラスメイト達と逃げ惑う。そしてその中で、そこにいるはずのないちせが機械の羽を生やして戦場に立っているのを目撃したのだった。そして一週間後学校でシュウジはちせが「最終兵器」になったこと、戦場に出てることを本人の口から聞かされる。何故ちせが「最終兵器」になったのか、何故どんどん世界が戦争状態になっていくのか、本人たちにわかることはなかった。ちせの「最終兵器化」はちせの家族もクラスメイトも知ることがない、ちせと自衛隊上層部とシュウジのみが知ることだった。しかしその事実を知ってもシュウジはちせと付き合い続ける。なんとかなる、と思うシュウジだが事態は徐々に悪化していった。ちせの力はどんどん成長していき、日々を重ねるうちにより自衛隊が思っているよりも「兵器」としての性能が上がっていく。最終巻でそれはもう都市1つ滅ぼせるほどの力を持つようになってしまった。それに相対するようにちせの人間としての機能も徐々に失われていく。ちせはメンテナンスや薬なしでは生きられない体になってしまった。またシュウジの方も日常が戦場に侵されていく。クラスメイトか死んだり、家族と離れ離れになったり、少し前までは想像もしえなかったありえない非日常が襲ってくる。それぞれが違う視点で受け止めきれない感情を持て余し、しかし逃げ出すことはできずに懸命に酷くなっていく毎日を生きる。そして離れていても、どんな困難があっても2人は互いを想い合うことだけは忘れなかった。それが2人にとって最後の希望だったからである。そういったディストピアとなった世界で一般人の高校生シュウジと一般人だった兵器ちせがどこまで愛を貫けるのか、繊細な描写で切なく描いていくSF純愛物語である。

『最終兵器彼女』のあらすじ・ストーリー

シュウジとちせの付き合い始め

付き合い始めの2人は初々しく幸せそうである。

物語の始まりはシュウジとちせが付き合って5日目というところから始まる。北海道の田舎町で学校まで地獄坂を上って登校する2人。ちせは足が遅くのろまで、シュウジの後ろを息を切らして追いかけていく。「シュウジの彼女だから一緒に通学したい」と言うちせに「バカ」とデリカシーのないことを言うシュウジ。口癖の「ごめんなさい」ですぐ謝ってしまうちせ。まだ付き合いたてな2人は関係がギクシャクしていて、うまく噛み合っていかない。故に、シュウジとちせは互いの友達に「付き合うってどうすればいい?」と相談することにする。しかしどちらの友達も話のネタにするだけで、答えは出してくれない。とりあえず妥協案として、ちせの提案で2人は交換日記をすることになった。しぶしぶといった体でノートを受け取るシュウジだが、いざ家に帰ってからノートの内容を見ると「かわいい」と感涙する。文章だと普段無口なちせでも自分の気持ちを伝えられるようで、シュウジもそれに答えるよう筆をとるが、今まで部活の女子としか絡んだことのないシュウジには上手くいかない。しかしそれでもなんとか返事を書いたシュウジ。喜んでちせは受け取るがその内容は「やっぱやめよう」という文字と「そのかわり放課後ちょっと付き合ってください」の一言。その言葉通り2人は放課後集い、シュウジが先導して人気のない坂を上る。現在は自衛隊の敷地になっているそこは人っ子一人いない。そして坂を上っていきついた先は自分たちが住む町を一望できる、シュウジお気に入りの場所だった。「最後にこれを見せときたくって」と言うシュウジ。そして「わりぃ、オレもう疲れた」と別れを切り出した。その言葉にちせはボロボロと涙をこぼし「私だって疲れたよぉ!」と怒る。そして、実は告白は女友達からそそのかれて行ったことだと告白する。「わたしなんかのどこがよかったのよぉ!」と怒鳴るちせに、シュウジは赤面しながら「カオだけ」と答えた。続けて「おめーみてぇなかわいい子からコクかれたらぼくだって」とテンパって告白の返事の理由を答える。そこでちせはシュウジの一人称が普段の「俺」と違い「ぼく」になっていることに気付く。そこを指摘すると、シュウジはさらにテンパる。その様子を見たらちせは今までシュウジのこと怖かったのが嘘みたいになり、泣き笑いながら「シュウちゃんかわいい」と連呼し始める。そうすると今までギクシャクしていた空気が柔らかくなり、2人で笑い合った。そして、シュウジから改めて「これからふたりで好きになってみねぇ?」とちせに告白した。それに泣きながら頷くちせ。そして交換日記がしたいとシュウジに目で訴える。シュウジはそれを笑顔で承諾した。そうするとちせは「じゃあ何したらいい!?」と聞く。それに対してシュウジはそっぽむきながら照れ顔で「キス、とか」と答える。ちせはそれを勢いよく頷いて答えた。するとシュウジは優しく笑い、2人は優しくキスをした。「シュウちゃん心臓の音、すごいね!」と笑うちせ。シュウジはその手をそっと握りしめ、2人で町の景色を見る。そしてモノローグで「ぼくたちは、恋をしていく」と決意をあらわにした。

ちせの「最終兵器化」

最終兵器になったことを話すちせ。緊張感がない。

しかし2人の平和な恋は長くは続かなかった。札幌が空襲にあったのである。そのときちせと出かける約束がパアになったシュウジが男友達と札幌でバーゲンに来ていた。しかし突如大きな衝撃が走る。上を向いたら戦闘機が大量に飛んでいて、大量の爆弾が落ちてきた。何とか無事だったシュウジはその場から急いで走り出す。すると、煙幕の向こうにここにいるはずのないちせが立っていた。「ごめんねシュウちゃん。あたしこんな体になっちゃった」そう言うちせの背中には謎の機械が生えていた。札幌空襲から一週間後、死者は約8万人出て、たくさんの戦闘機が街に墜ちた。それら全てちせが行ったらしい。ちせには最終兵器になったこと以外、自衛隊から知らされていなかった。ちせの両親も知らず、シュウジだけがちせが最終兵器であることを知っている。この世界は戦争状態で、それにはちせの力が必要の様なためちせはいつもポケベルを持っていた。そのポケベルが鳴ったら出撃の合図。それでも2人は自分たちのペースで付き合うことを選んだ。しかし交換日記でちせの方から別れを告げられた。シュウジに最終兵器であることを受け入れてもらって嬉しかったけれど、戦争で兵器として戦うことが怖く、罪悪感で押しつぶされそうなところを叱ってもらえなくて、余計悲しくなったと文章で語るちせ。それを見てシュウジは夜の町に飛び出した。そして空からおりてくるちせを見つける。交換日記のことで言いたいことが沢山あるけれど言葉にならないシュウジは「アホ」と叫んだ。人に見られたらどうするのか等叱りつけ、最後には「おかえり」と言う。そうするとちせは「ただいま」と言って泣いた。その後は2人で最終兵器の身体を持つちせとどう過ごすか、と周囲には秘密でちゃんと話し合った。しかしちせはあることに気付く。交換日記に「シュウちゃん、私、成長している」と書き込んだ。それを見たシュウジは「どこが?」と思うばかり。周りは「おっぱいのことだ」とか「デブ言ったから気にしてるんだ」とシュウジに言ってくるが、実はそれは全て的外れでちせは兵器として成長していた。ちせは無理なダイエットしてその成長をとめようとしたがそれは不可能だった。シュウジはそんなちせを抱きしめる。自分の体なのにどんどん変化していくことに怯えるちせ。さとすシュウジはだんだんドキドキしてくる。キスしようとするシュウジだがちせが拒んだ。理由は監視されているからだった。監視までされていることに怒るシュウジだが「仕方ない、戦争だもん」「わたしがひとりで我慢すればそれで収まる」と言ってちせは笑う。その様子に思わず「逃げよう」と言うシュウジ。ちせはそれに頷いた。夜、自転車で家に帰らず逃げる2人。監視の目は追ってきている。そしてちせにも異変が起きた。体から爆弾が出てきたのだ。2人はは茂みに逃げ込むが、ヘリが飛ぶような音が鳴りやまない。それに対して「なんとかしなきゃ」と兵器として行動しようとするちせ。シュウジはそれを必死で止めた。しかし「人を殺さない兵器なんてないんだよ」とちせは小声で言う。そしてシュウジに「あたし、もう死んだ方がいいんかな」と泣いて聞いた。それを聞いた途端、シュウジはちせにキスをした。そしてそのまま押し倒し、ちせの体に触れた。けれどちせの体には大きな傷があった。それを見てシュウジは思わず泣いてしまう。そして、その後は2人で町を見下ろせるいつもの2人だけのいつもの場所へ行った。そこで互いに好きだと伝え直し、2人でここから逃げることを決める。しかしちせは家族に挨拶したいと言って1度家に帰った。待ち合わせ場所で待つシュウジに対し、ちせは来なかった。父親に止められて出かけられなかったのだ。次の日、2人は何事もなく登校する。しかし前夜の逃げるチャンスが唯一ちせの成長を止めるチャンスであることをこの時の2人は知らなかった。

ふゆみ先輩との再会

ふゆみ先輩はシュウジにとって大切な人だ。

シュウジは内心気にしていたがあの夜のことは互いに話し合って水に流し、シュウジは「兵器」であるちせとの日常を送っていた。そんな時、シュウジは初恋の人であるふゆみ先輩と出会う。ふゆみ先輩はシュウジの初恋の人でシュウジの憧れの先輩「テツ」の奥さんだ。ふゆみはちせが飛んだ衝撃で爆発した建物の衝撃波に巻き込まれ、自転車で転んでしまったようだ。突然の再会に頭真っ白になるシュウジ。とりあえず怪我したふゆみを家まで送り届ける。家の様子を見ると今は旦那のいない1人暮らしの様だ。するとふゆみがシュウジに猛アタックし、Hしようとすら言ってくる。理由は自衛隊に入った旦那「テツ」が2か月も帰ってこなくてさみしかったから、シュウジに甘えたらしい。シュウジは断り、家を出る。ふゆみと会ってる間、ちせのことを忘れられたと思うシュウジ。そんな自分を「ザンコク」だろうと思いながら帰路についた。次の日、ちせを家に呼んだシュウジは2人でゲームをすることに。経験値をあげた女の子が一撃で敵を倒すゲームの描写に、ちせは自分を重ね涙した。そんな姿を見てシュウジはちせに触れ「好きだ」という。触れたちせの体は冷たかった。良い雰囲気で押したシュウジだが、ちせの持ってるポケベルのアラームが鳴った。泣きながら「行かなきゃ沢山の人が死ぬ」と言って家を出た。外には自衛隊の人が来ている。そしてその人たちと出動するちせ。シュウジは悲しくなったり情けなくなり、どうしたらいいかわからない感情を抱えて夜中走った。そして行き着いた先はふゆみの家。ベランダから見えたふゆみはテツの制服を抱きしめながら泣いていた。それは昔シュウジが見たふゆみと同じ姿だった。ふゆみはシュウジを中に入れ、2人はベットで横になる。シュウジがふゆみに腕枕していると、しばらくしてふゆみが起き上がり、シュウジにキスをして、身体に舌を這わせる。抵抗しないシュウジだったが、しかし突然泣き出した。「ちせの彼氏の癖にいつもこんなちせを傷つけることしかできないんだ」と言い「ちせが悪いわけじゃないけれど、俺も悪いわけじゃない。俺だってわかんねーんだ」と今まで言葉にしなかった想いを叫ぶシュウジ。その言葉はふゆみの部屋にに響いて消えた。

ちせの兵器としての成長と、戦況の悪化

アシカやイルカショーをを楽しみにしていたちせ。「最終兵器」の面影はない。

シュウジはちせに水族館へ行こうとデートに誘った。季節は10月なのに真夏のように熱かった。そんななかで2人はバスに乗りちせの好きな水族館へ向かう。しかしついた途端財布を落としてしまうちせ。バス代が無くなると帰れなくなるから水族館はお預けになった。落ち込むちせだが、シュウジは水族館のある場所の裏手が見えるところへ案内し、そこから景色を眺めることに。ちせの目はズームが出来るのでアシカやイルカのショーもその場所からも見れる。喜ぶちせを幸せそうに見守るシュウジ。しかしその日は不思議とポケベルが鳴らなかった。それをシュウジが尋ねると、ちせは「今日は置いてきちゃった」と言う。「悪い子かな」と顔を曇らせるちせ。シュウジは必死にファローするが「大変だな、ちせの仕事」と言った途端ちせの顔が今までの中で一番「無」の表情をして「もう慣れた」と呟いた。その顔にシュウジは「いとおしいものが変わらないことを望むのは、愚かなことだろうか」と思案し始める。「ちせはまだ高校生で17歳で小さくて。普通の、普通の」と考えるシュウジだが胸騒ぎが止まらない。そうしてちせとシュウジの最後のデートが終わった。そして場面は切り替わり、デートの前日へ。自衛隊の人達が商店街で疲れて座り込む情景が描かれ、そこに制服が破れたちせが通る。ちせの登場に若い隊員は喜ぶが、テツ二尉だけは彼女を兵器として冷静に見ている。そんなテツ二尉をよそにちせの話を隊員が聞きたがると、テツ二尉のように自分を叱ってくれる彼氏がいることや、「最終兵器」になってからちせを「不良娘」だと思い、父親がノイローゼになってしまったことなどを話した。その話を聞いてちせのおかげで生きてると若い隊員は言う。それを聞いて、暴走するよりも徐々に力の制御ができるようになってきたとちせは話し出すが、テツは「余計なことは考えるな」と制止した。しかしちせはその話をきっかけに自分の戦う意味を考えるようになる。そう思っていたところ、ステルスでちせが背後から攻撃される。「痛いなあ」そう言うとちせの背中からちせが意識するよりも先にミサイルが発射され、辺り一面が真っ白になった。ちせは意識が混濁する中で「多くの人をまもりたいな」「そしてシュウちゃんに褒めてもらいたいな」「だったらがんばろう」と思うのだった。しかし意識を取り戻した際、周りの町は無くなっていた。ちせのおかげで敵は全滅し、テツは「よくがんばった」と悲しげに言った。それに対しちせは背中を向けて「私を殺してください」と言う。続けて「私バカだから、兵器なのに何かを守られるなんて勘違いして」「私が生きて許されることなんてないのに」と悲痛な思いを叫ぶ。そこでちせにテツが銃を向けた。「この距離なら外しません」と言うテツと、何も言えない周囲の自衛官。しばらくの静寂を置いてちせは「うわぁあああ」と泣き叫んだ。そして「死ぬのはいやだ。殺さないで。怖いよおおお」と地面にひれ伏す。「好きな人が出来たのに、キスだって3回したことないのに、好きな人といっしょにしたいことがたくさんあるんだ」とちせの自分の想いがあふれだす。地面に座り込むちせにテツは膝をついて「キミはもう死なない」「世界中のどんな兵器を使ってもキミを殺すことはできない」と言った。泣きだしそうになるちせにテツは「よかったな」と優しく笑った。そして「自分は好きな女がいるが、遠くない未来に死ぬ。もうこの戦争は本物の戦争だから」と続けた。そしてちせを抱きしめて「よかったな、生きて。よかったな、好きな男がいて」と言った。するとちせは声をあげて泣いた。その後、自衛隊はその場所から撤退し、次の日ちせは学校へ行った。交換してない交換日記には「シュウちゃん。あたしもっともっと強くなるね」と書き残してあった。

地元で起きる大地震

心配するアケミとぶつかるシュウジ。

デートが終わった後の日常がシュウジ目線で日常が過ぎていく。授業は体育で、シュウジはふゆみとのことを思い出していた。ふゆみとHはしなかったものの、その事をちせには黙っていた。ちせの体育姿がまぶしく感じるシュウジ。周りからその事をはやし立てられる。日常的ないつもの風景だが、最近は毎週のように避難訓練が行われるという変化があった。今日はそんな避難訓練の日だが、ちせは教室の机に突っ伏して寝ていた。しかし突然、授業中だと言うのに立ち上がる。そして「避難した方がいいと思うんだけどなあ」と赤面しながらクラスメイトの前で言った。教師もクラスメイトも冗談だと笑い飛ばしたがシュウジだけはちせの異変に気づき、1人トイレに向かうふりをして非常ベルを鳴らした。そして急いで教室に戻ると、ちせを連れて廊下に出る。そして勢いよく「何が来る!?」とちせに尋ねた。するとちせは泣きながら「危ないのはあたし」と告げる。「あたし兵器だから、間違って何するかわからん」と途切れ途切れに言い、そのあと明確に「ごめん、来るの、地震。なーんか、大っきいの」と告げた。そしておかしくなっていく体を抑え込み、大きな声で「ごめんね見ないでぇええ」と叫んだ。その声にシュウジはちせを置いて逃げた。そしてその後、校舎の一部が大爆発した。その爆発のせいで校舎中が揺れ、瓦礫が落ちる。逃げ惑う生徒たち。ようやくその揺れが落ち着いた頃、シュウジは瓦礫の中ちせを探した。そしてなんとか見つけ出したちせは、コンクリートむき出しの床に全裸で倒れていた。そして前触れもなく突如起き上がる。シュウジは泣きながらちせに抱き着き「ごめんな」と叫んだ。ちせの彼氏なのに何もできないふがいなさや結局ちせを置いて逃げた自分が信じられないといった気持ちでいっぱいになる。そんなシュウジに合わせてちせも謝りながら泣いた。そして2人で空を見上げて、自衛隊のヘリを眺める。その後ちせがジャージに着替えて、2人は校舎を出ようとする。学内の被害は重傷者も出ているようで、教師は「普段からまじめに避難訓練をしてないからだ」と怒鳴っていた。2人はそこには向かわず、家の様子を確認しに行こうと思うがちせが「自衛隊の人と一緒に行く」とシュウジの手を放した。それに絶句するシュウジだがちせは「今まで黙っていたけど、あたしね、もうメンテナンスしないと死んじゃうんだわ」と言った。続けて「あたし兵器だからメンテナンスしたり、人間だから薬飲んだり、いろいろしないと、もうあたしだけじゃ」とも言い、最後に「ごめんね。行くね」と自衛隊のもとへ行った。それに対してシュウジはただ「ちせ!!」と叫ぶしかなかった。その後、シュウジは校庭に行き、教師に自分勝手な行動だと咎められたが「てめーだってちせに守ってもらってんだぞ」と反抗的な視線で返す。そんなところにちせの親友で、シュウジの中学からの部活仲間のアケミが険しい顔でやってきた。そして何も言うことなく、アケミは勢いよくシュウジの頬をひっぱたく。しかしシュウジも瞬時に無言でひっぱたき返した。その後「わりぃ」とだけ言うシュウジ。アケミはその場に泣き崩れる。それを見てシュウジはその場を無言で去るが、心の中では「俺だって泣きて―よ。くそおおっ」と叫べない思いを宿していたのだった。

ふゆみ先輩と再び会うシュウジ

学校を出て悶々と考えながら町を歩くシュウジだったが、クラスメイトのアツシがシュウジの後を追いかけてきた。そして声をかけたと思えばいきなりシュウジの顔を殴る。その結果、地震でブツけた傷が開いて流血するシュウジ。殴る気はなかった、勢いでやってしまったアツシは気まずそうに「心配したんだぞ」と目を反らしながらもシュウジに言い放った。その言葉にシュウジは思わず涙してしまう。ここに来る前、ちせと離れる前のこと、シュウジはちせに「ちせ、なんで怒んねーんだ。くやしくねーのか」と叫んだのだ。ちせは今までしたことのないくらい悲しそうな顔をして、返事はしなかった。自衛隊の方へ行くちせの背中に「展望台に来てくれ!待ってるからな!」とシュウジは言ったが、届いたかわからない。そのことをアツシの「心配したんだぞ」の言葉からシュウジは思い出してしまった。そんなシュウジをよそに、アツシは「オレ、アケミに告ろーと思うんだ」と言う。「これから世界でどんなことが起こっても、オレ。アケミを守ってやりてーんだ。できれば彼氏として」そう言うアツシは真っ直ぐに目をしていた。それに対して「がんばれ」と言うシュウジだが、内心は応援よりもアツシがうらやましいという気持ちが大きかった。付き合えてもそうじゃなくても自衛隊に入ろうと思っていると言ったアツシ。シュウジはその疑いもなく未来のほうを見ることができるアツシが複雑に羨ましかった。そしてアツシと別れ、シュウジはポツンと町で一人になる。自分だけ変化がない、と思うシュウジに、突如としてふゆみが現れる。片足はサンダルを履いてなくて、全身ところどころ傷だらけなふゆみは「シュウジ無事だった?ケガはないかい?」と心配そうな顔をした。そこで急に場面は切り替わる。ふゆみとシュウジが裸で寝ていて、そこにちせがやってきた。シュウジの隣で眠るふゆみ。戸惑うシュウジ。そんな2人を見て「やらしい」と言い兵器の腕を見せて「2人ぐらい簡単に消せちゃうんだわ」とちせは言ってみせた。それはとても冷酷な顔だった。そこでシュウジはハッと目が覚める。先ほどまでの映像が夢だったようだ。シュウジは「なんて彼氏だ」と頭を抱えて泣いた。周りを見渡すとシュウジが寝ていた場所はふゆみの家だったようだ。2人で座って寝ており、部屋は地震の影響でぐしゃぐしゃ。そこで電気もつけず、ぼうっと2人で座っている。シュウジは何か考えようとしたがうまく頭が働かない。その隙を突かれて、ふゆみに突然唇を奪われた。そしてここで回想が入る。過去、ふゆみが母校に教育実習に来ていた頃のことをシュウジは思い出す。体育館倉庫でふゆみが泣きながらシュウジに迫り、体を重ねた2人だけの思い出。その事と今の状況が重なった。シュウジに触れながら「おっきいよ」と言って熱っぽい視線を送るふゆみ。戸惑うシュウジはどうしたらいいかわからない。

ちせとシュウジの待ち合わせ、そして苦渋の別れ

ちせは学校で別れた時の約束を覚えており、展望台へ1人向かっていた。ポケベルを破壊し、私服姿で夜の町をかける。自衛隊に連れていかれた後、ちせは今日は仕事を休むと言い放った。メンテナンスをしたら指示を出す、と言い放ち「このことで私の家族や恋人に何かしたら、あとであなた方を殺します」と力強く言い切った。その後の自衛隊はちせ無しで動くことに。「今日あたり自分たちの番っすね」と笑うちせと知り合いの若い自衛官はテツと共に敵襲の対処と向かった。そしてその夜、テツは手負いの仲間を背負って歩いていた。今にも死にそうな仲間に苦しまないよう殺そうと拳銃を向ける。息絶え絶えのその兵士は「どうせ死ぬならちせちゃんに殺されたかった」と言った。そして苦しいのは嫌だ、怖い、などたくさんの感情を口から吐き出し最後に「かあちゃん」と言って泣いた。その言葉を最後に夜空に銃声が響き渡る。そしてテツは死んだ仲間の遺体を持って「死にたくねえ」と泣いた。場面は戻り、ちせの視点へ。展望台に急いで走る。しかし周りには自衛隊がついてきていた。「邪魔しないでくださいね」と言うちせだが、自衛隊が行く方向を阻む。そして今の状況をちせに伝えようとすると、それよりも先にちせが今の戦況をセンサーで理解した。状況はちせが言ったとおりに動かず、最悪な状態だった。上の指示でそうなったらしい。ちせを小隊長と呼び「出動を!」と必死に呼びかける自衛官。それでも展望台に行こうとするちせだが「ご友人は展望台におられません」と残酷な事実を告げる。でも自分がシュウちゃんが待ってなきゃと思い「もう残り少ないから」と言ってちせは自衛隊を振り切って行こうとする。しかし自衛隊もちせを止めようと必死で銃を構えた。それを見てちせは怪しく笑った。「一発でも打ったらこの街が消える」と笑顔で伝えるちせ。でも出動しないと仲間が死ぬと訴えかける自衛隊だが、ちせは自分が行ったほうがたくさん死ぬと言って拒んだ。「恋人が待ってるから行かせてください」と泣くちせの背中は兵器の翼が生えていた。そこからもう止める者はいなかった。そして展望台までの坂を転びながらも必死で走るちせ。しかしシュウジは展望台に居ない。「どこにいるの」と泣くちせに反応して衛星がシュウジの居場所をサーチする。見たくないちせは止めてと泣くが「ふゆみ先輩?」と呟いて、シュウジの居場所を知ってしまうことになった。そしてついた屋上はガランとしていて誰もいない。ちせは1人さみしく様々なことを考えて、最後に座り込んで眠る。するとなんだか背中が温かく感じた。背中にちせを抱きしめるシュウジ。そのまま2人は夜明けまでそうしていた。夜が明けると、ちせは勢いよくシュウジにキスをした。その大胆でやけくそな様子から、ちせを拒むシュウジ。そしてちせを何も言わず抱きしめた。そうするとちせは勢いよく大声を出して泣きだした。しばらくそうして泣き、落ち着いたころ、ちせは「ただのクラスメイトに戻ろう」とシュウジに言った。しかしそれ以上の言葉が出ない。その代わり、シュウジが話し始めた。昔憧れの人がいたこと、それが「テツ先輩」と言う人だということ、陸上部での大会でテツ先輩とチームだったこと、ふゆみ先輩とテツ先輩が付き合っててそんな2人が好きだったことなど、ぽつりぽつりと語り出す。しかしふゆみ先輩はさみしがりで、ふゆみ先輩を守りたいとと思ったシュウジは、ふゆみと、ちせに伝える時に濁しながら、関係を持ったことを話そうとした。しかし濁しながらも話そうとするシュウジに「聞きたくない」とちせは暴れた。それを何とか押さえつけ。シュウジは自分の口から「中学ん時、ふゆみ先輩としたんだ」と言い、そしてさっきまでふゆみと居たことを告げた。「なんにもなかったよね?」と聞くちせに「何もなかったわけじゃない」と答えるシュウジ。そして「今、ちせが泣いてる」とこの状況に涙した。そしてちせもシュウジが本音を言ってくれなかったこと、自分に遠慮していること、自分だって人間だと言うことを伝え、涙を流す。そして再びちせは「クラスメイトに戻ろう」と言った。シュウジは口では答えなかったが、承諾した。こうしてその日、2人は別れることになった。

クラスメイトとしての日常

アケミと付き合い、自衛隊に入ることになるアツシ。優しい笑顔を浮かべる。

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