目次

  1. 「モッズ」とは
  2. 1960年代のイギリスに登場した「怒れる若者達」
  3. ラストシーンにまつわる様々な見解
  4. あの「スティング」がスクリーンデビューしたのがこの作品
  5. 日本の人気アニメ「けいおん!」にもモチーフとして本作が登場
  6. THE WHO、KINKSなど当時の音楽が満載
  7. まとめ

「モッズ」とは

モッズは、音楽や衣服に共通したものを好んでいたようです。ファッションはモッズファッションと言われるように、ヘアスタイルは前に髪を下ろしたようなモッズカット、ファッションでは、三つボタンのスーツ、ミリタリー調のパーカーなどが好まれたようです。音楽では、イギリスのザ・フーやスモール・フェイセズなどがモッズたちによく聞かれていたようです。また、ビートルズは、モッズファッションでデビューしたことは有名ですね。

モッズは、深夜クラブに集まって、ダンスに夢中になったり、ファッションを競い合ったりしていたようです。また、モッズは、スクーターを愛用していました。スクーターを利用した理由は、オートバイでは、エンジンが剥き出しになっているのでスーツのズボンが汚れてしまうためだからでした。スクーターの中でも、ベスパなどという車種のものが好まれたようです。

出典: DETAIL.CHIEBUKURO.YAHOO.CO.JP

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「モッズコート」と言えば、カーキ色でフードのついた膝丈ぐらいのカジュアルなコートが思い浮かぶかと思います。
「モッズ」というのは、そのモッズコート、もっと正確に言うと米軍放出品のミリタリーコートを細身のおしゃれなスーツの上に羽織り、イタリア製のスクーター、ベスパを愛用した1960年代の若者達のことです。
この画像でもわかるように、このスタイルは現在にも受け継がれていて、当時としてはかなり斬新なセンスだったであろうと想像されます。

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イギリス南部、白亜の断崖がそびえ立つ海辺にたたずみ、それからゆっくりと海に背を向けてこちらへ歩み出す主人公ジミーのシルエット。
これは映画冒頭のシーンですが、ラストとつながる大事なモチーフになっています。

「REAL ME」から続くめちゃめちゃかっこいいオープニングシーン。

1960年代のイギリスに登場した「怒れる若者達」

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本作の舞台は、1960年代のイギリス。
ビートルズ登場前夜でもあったこの時代、それまでの社会通念・大人達の常識に疑問を抱き、荒れる若者達が目立つようになっていました。
「長距離走者の孤独」を書いたアラン・シリトーの作品に出てくる青年はその典型です。
こういった若者達のことはAngry Young men=「怒れる若者達」と呼ばれていました。
その「怒り」は、様々な形で表現されていましたが、本作の主人公ジミーは、昼間はメッセンジャーボーイとして一応「まともな」仕事をこなしつつ、夜になるとモッズファッションに身を包み、ハイになるためのクスリを飲んで仲間達がたむろする遊び場へと繰り出していました。
仲間たちもそれぞれ昼間は普通に仕事をする若者たちですが、けっして高収入を得る仕事をしているわけではなく、胸のうちには社会や大人に対するもやもやした不満を抱えながら生きていたのです。

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ジミーには憧れの女性がいました。彼女の名はステフ。昼間はスーパーのレジ打ちをし、夜になると彼氏と一緒にモッズ仲間たちの溜まり場へ姿を見せる美しい彼女にジミーは何とか近づくことができました。
そして近くブライトン(イギリス南部の避寒地・日本の湘南のような場所)で行われるイギリス全土のモッズの集会へ一緒に出かける約束を取り付けることに成功。
内気で要領の良くないジミーにとって、これは奇跡みたいなことで、彼は一気に舞い上がります。

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そしてブライトン行き当日。
ジミーは最高の気分で、仲間たちとともに愛車ベスパをすっ飛ばします。

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ところがこの先行きには暗雲が。
実は同じように「怒れる若者たち」ではあるけれども、モッズとは見た目やライフスタイル、ファッションが全く異なるロッカーズ(昔で言うところのカミナリ族)たちも、この日ブライトンを目指し、彼らの愛車であるバイクを走らせていたのです。

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ブライトンに着き、「俺たちはモッズだ!(WE'RE MODS!)」と雄叫びをあげるジミーたち。
しかしこの後、彼らとロッカーズが鉢合わせをし、街中で乱闘が始まってしまいます。
この事件がきっかけで、その後ジミーの人生はまったく意図していなかった方向へと走り始めていくのです。

ラストシーンにまつわる様々な見解

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セブンシスターズと呼ばれる白亜の崖の上に佇むジミー。
この後ジミーがとった行動と、「彼がどうなったのか」については、見る人たちによって様々な解釈があります。
個人的には冒頭に流れた、夕日の海を背に、こちらへ向けて歩いてくるシルエットがその答えだと考えています。

あの「スティング」がスクリーンデビューしたのがこの作品

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モッズの中でもひときわ目立つクールな男。彼の名はエース。
このかっこよすぎる男を演じていたのは、POLICEのボーカリストだったスティングです。
黙っていてもカリスマ性が溢れ出していて、主人公もすっかり惚れ込んでしまう役どころをスティングが見事に表現しています。

日本の人気アニメ「けいおん!」にもモチーフとして本作が登場

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日本の人気アニメ「けいおん!」劇場版では、ジミーが佇んでいた同じ場所から海に向けて花束を投げ入れるシーンがあります。
メンバーたちがイギリスへ行くという内容のもので、そのEDで流れました。
もちろん本作に絡めたものです。

THE WHO、KINKSなど当時の音楽が満載

フーのピート・タウンシェンドによる同名の本
「四重人格」も出てるけれど、あちらの内容は別モノの短編小説集です。

映画の方はもちろん随所に出てくるモッズ・ファッション、スクーター、
そして当時のモッズのライフ・スタイルが味わえる
という意味でも60年代のモッズを知る際には欠かせません。

これと前後してモッズの大リバイバル・ブームが起き、
ネオ・モッズ・ムーヴメントなるものも発生したから、
ここでのライフスタイルは見る人に絶大な影響を与えたのでしょう。

出典: MODS.BEAT-NET.INFO

脚本がイギリスの(今も現役で活動中!)バンドTHE WHOのメンバー、ピート・タウンゼントによるものであり、実際に1960年代当時のモッズたちが好んで聴いていた曲で代表的なもののひとつに彼らの「MY GENERATION」があります。この曲はまさに「怒れる若者たち」の心情をストレートに映し出したものと言えるでしょう。

またこのほかに、キンクスやロネッツ、カスケーズなど当時ヒットチャートを賑わせた曲がたくさん流れます。


まとめ

主人公ジミーがあまりにもセンシティブすぎて、やることなすことうまくいかず、最終的に「全部壊れろ!」と思ってしまう過程。
これを「ひ弱過ぎる」「自分勝手すぎる」と感じる方たちには、本作はなかなか共感を得難いかもしれません。
しかし青春時代というのは多かれ少なかれ、(実際に行動に移すかどうかは別として)こういう心情になることがあるのではないでしょうか。
純粋すぎるあまり自滅していくジミー。でもこの後にはきっと少年時代と決別し、大人になった彼の姿があるものだと私は思っています。