広瀬徹（龍が如く）とは【徹底解説・考察まとめ】

広瀬徹の概要

広瀬徹（ひろせとおる）は『龍が如く6 命の詩。』の広島一帯を支配する極道組織・陽銘連合会（ようめいれんごうかい）の直系舛添組系広瀬一家総長である。陽銘連合会は関東の東城会や関西の近江連合に次ぐ国内ナンバー3の座に位置する大組織であり、どの勢力にも属さず、長年中立を貫いている。そんな大組織の傘下の組長を務める広瀬だが、極道組織の長らしからぬ飄々とした雰囲気を持つ。ユーモラスな言動もあって組員だけでなく、縄張りである尾道仁涯町（おのみちじんがいちょう）の人々からも愛されている。
普段は保険金詐欺のために病気を偽って入院しているが、その裏では「尾道の秘密」を守るために陽銘連合会会長の来栖猛（くるすたける）、本名巌見兵三（いわみへいぞう）の命令で邪魔者を排除している。「尾道の秘密」とは太平洋戦争の際に建造された超大和型戦艦のことである。この建造には大物政治家・大道寺稔（だいどうじみのる）の横領が関わっており、この戦艦の存在がバレると大道寺が破滅する恐れがあった。そのためこれを「尾道の秘密」として、陽銘連合会は秘匿し続けているのだ。広瀬は暗殺者渡世の親として以上の信頼を抱く来栖のために、組織内外のあらゆる邪魔者を抹殺し続けてきた。来栖からは「広島で一番の腕を持つ男」とその腕を高く買われている。

広瀬徹のプロフィール・人物像

CV：ビートたけし

広瀬のモデルはCVも務めるビートたけし。普段は白いシャツにベージュのパンツ、腹巻を身につけている。暗殺者として活動する際には黒っぽいジャンパーとパンツを着用。目出し帽をかぶることもある。
飄々とした態度とユーモラスな言動から堅気からも好かれる広瀬だが、来栖のためならば自身の兄弟分も殺害する冷徹な一面もある。しかし来栖の命令でも、実子のように大切にしていた広瀬一家若頭・南雲剛（なぐもつよし）たちは殺すことができなかった。
広瀬は若いころから機転が利く人物で、度胸もあった。それが来栖に気に入られて、陽銘連合会の構成員に所属することになる。

広瀬徹の能力

バトルスタイル

広瀬は包丁を武器にして戦う。高齢ということもあって激しい動きはしないものの、相手の虚を突いて鋭い突きを繰り出すのを得意としている。包丁は投げることもあり、作中では広瀬一家若衆の田頭直人（たがしらなおと）の太ももに包丁太ももに突き刺して機動力を奪っている。戦闘では距離が離れると投げつけてくる。攻撃だけでなく防御にも秀でており、大技を食らってもダウンしないという驚異的な防御能力を有する。
劣勢になると配管に穴を開けて噴出した霧に紛れて奇襲を狙うなど、長年培われた暗殺術をいかんなく見せつけてくる。

射撃能力

広瀬は銃の腕前も抜群であり、作中では片手での射撃で20m以上離れている標的の眉間を正確に撃ち抜くという神業を披露している。

広瀬徹の来歴・活躍

「尾道の秘密」の番人

広瀬はまだ若い時分、原爆投下によって天涯孤独の身となった。14歳になる頃には愚連隊を率いて暴れまわるという荒んだ生活を送っていた。ある日、広瀬は仲間と共に巌見造船に押し込み強盗を働いた。しかし強盗は失敗。ヤクザに殺されそうになったところを、広瀬の度胸と腕っぷしを気に入った巌見造船の会長を務める来栖に助けられた。彼の言葉に心を動かされた広瀬は来栖が同じく会長をする陽銘連合会の子分になった。
広瀬は最初の頃、気に入らなければすぐに手が出てしまう性分が邪魔をして、馴染むことができなかった。そのため彼に任せられる仕事はもっぱら鉄砲玉だった。しかし来栖は働きぶりを褒めてくれた。広瀬はそんな彼に対して、渡世の親として以上の信頼を抱いていった。

数年後、広瀬は来栖に呼びつけられて「尾道の秘密」について教えられた。詳細についてはまったく触れず、「秘密が明るみになると巌見造船や陽銘連合会がなくなってしまう」ということだけを聞かされた広瀬。敬愛する来栖たっての「生涯をかけて秘密を守ってほしい」という願いとはいえ、中身も知れない秘密を守るということに困惑を隠しきれなかった。しかし来栖が目の前で、秘密を知る広瀬の兄貴分を射殺する。そして頭を下げて「広島を一緒に守ってくれ」と懇願する来栖の姿を見て、広瀬も覚悟を決めて秘密を守っていくことを決心した。

桐生との邂逅

元東城会四代目会長の桐生一馬（きりゅうかずま）は、家族の澤村遥とその子どものハルト失踪の手掛かりを求めて広島の尾道仁涯町へと向かった。そこで広瀬一家の若衆、南雲と知り合った。広瀬は南雲が桐生を連れてくると、「車が事故ったって言って保険金もらってるの」とおどけて見せた。
その後、広瀬はハルトを取り戻した桐生と再会する。広瀬は桐生に近況を尋ねつつ、「また顔見せに来てよ」と言葉を交わした。

ハルトの父親

遥とハルトの失踪には、広瀬一家にとっては本家にあたる陽銘連合会が絡んでいた。広瀬一家の若衆たちは桐生の人柄に触れて慕うようになり、本家と軋轢が発生することも厭わずに彼をサポートしていく。広瀬一家若衆の松永孝明（まつながたかあき）が本家に逆らったせいで制裁を受けそうになった後で、桐生は広瀬たちに自分が元東城会四代目会長であることを打ち明けた。広瀬は興奮する松永に「そんなにすごい人なのか？」ととぼけたようなことを聞いている。

その後、スナック「清美」のママが東城会直系染谷一家総長の染谷巧（そめやたくみ）と思われる人物に拉致されるという事件が発生。清美に想いを寄せる南雲はすぐに染谷のもとへ向かおうとするが、「染谷は陽銘連合会と杯を交わすために広島を訪れている。本家の客のもとに乗り込んでいったらエンコを詰めさせられる程度じゃすまない」と言って桐生が止めた。どうしようかと話し合っている時に現れた広瀬は、事情を聞くと目出し帽を全員にプレゼントした。その際、広瀬は「昔はこれ被ってムカつくヤツを殴ってたもんだ」と説明している。桐生たちの作戦が終わった後で、広瀬は「どうだ、バレなかっただろ？」と一行に尋ねた。「南雲が暑いと言って脱いでしまった」と聞くと、広瀬は部下を相手に目出し帽の扱い方を教えてやった。
清美の話から「ハルトの父親は元広瀬一家若衆の達川修（たつかわおさむ）なのではないか」と疑いを持った桐生は、ハルトを清美に預けて南雲たちと共に神室町へと向かった。

神室町で桐生は、かつて東城会が潰した韓国マフィアの真拳（ジングォン）派のトップであるハン・ジュンギと出会う。彼から達川に関する情報を得て調査をする一行だったが、達川は刺殺体として発見された。達川について調べていく過程で、祭汪会（さいこうかい）という香港マフィアの存在が明るみになる。祭汪会との接触で、尾道には何らかの秘密があるらしいということを知る桐生たち。祭汪会の総帥であるビッグ・ロウに会った桐生は、彼からハルトの父親は達川ではないと聞かされた。その直後、広瀬がハルトを連れて姿を消したとの連絡が入った。桐生は神室町から広島へと戻ることになった。

ハルトが狙われる理由

広瀬とは広瀬一家の面々も連絡が取れなくなった。しかも本家の人間も広瀬と連絡がつかないという。広島に戻った桐生は同じく広瀬を探す陽銘連合会若頭、直系小清水組組長の小清水寛治（こしみずかんじ）と戦いになる。戦いが終わった後に駆けつけた南雲が彼の頭を殴りつけて気絶させた後、彼から話を聞こうとした時にハルトを連れた広瀬が姿を現した。桐生たちを落ち着ける場所に案内した広瀬は、遥とハルトについて話し始めた。
広瀬は遥とハルトが神室町で事故に遭うまでの間、ずっと面倒を見ていたという。広瀬が彼女たちを匿っていたのは、ハルト血筋に価値を感じる人間が山ほどいるからだった。父親の名前を尋ねる桐生に対し、広瀬は「皆も良く知っている人間だ」と前置きしてからその人物に目を向けた。それは広瀬一家若衆の宇佐美勇太（うさみゆうた）であった。
勇太本人も達川が父親だと思っていたこともあり、自分がハルトの父親だとは知らない様子だった。なぜ広瀬がその事実を知っているのかと桐生が問いかけた直後、その場に陽銘連合会直系舛添組組長、舛添耕治（ますぞえこうじ）が現れた。そもそもの話として、広瀬は「最初に遥の妊娠に気づいたのは舛添と達川だ」と語った。祭汪会の構成員だった2人は勇太のことを小さいころから監視していたのだ。それは勇太が、祭汪会の跡継ぎだったからである。勇太はロウの実子なのだ。
広瀬は達川と舛添に「子どもをおろせ」と脅迫されていた遥と出会い、彼女を保護した。子どもを産む時間と場所を与えられた遥は、そこでハルトを出産することができた。

血を重視するロウにとって、日本人の血を引くハルトは邪魔な存在だった。だからこそ祭汪会はハルトの命を狙っていた。そこにハルトを狙うハン・ジュンギたちが現れる。桐生たちは奮闘したものの、ハルトは攫われてしまった。広瀬一家と桐生は彼らを追って船で向かった。道中、広瀬は陽銘連合会と祭汪会の繋がりを語った。2つの組織はヘイハイツ（戸籍のない中国人の子どもたち）の密航ビジネスで繋がっていた。その話の流れで、広瀬は南雲たちが「尾道の秘密」という言葉を知っているのが分かった。松永はさらに来栖と「昭和のフィクサー」という大物政治家・大道寺の繋がりについて言及した。
ハルトを奪還するために敵地へ乗り込んだ桐生たち。広瀬は「船に残る」と言って別行動をとり、「尾道の秘密」について桐生に漏らそうとしたハン・ジュンギを人知れず銃殺した。その後、舛添も広瀬が殺害している。

桐生と広瀬一家

ハルトを取り戻した桐生たちは、祭汪会と話をつけるために神室町へと向かった。ロウとの勝負を経て、ハルトの安全を約束させた桐生だが、ロウから「勇太が自分に殺意を持つように仕向けた人間がいる」ということを聞かされた。そこで桐生と勇太は、広瀬を思い浮かべて「まさか」と驚愕する。ロウの話では息子のジミー・ロウが殺された後に来栖の使いとして広瀬がやってきて、「尾道の秘密」を知る自分に日本撤退を求めてきたという。
桐生たちはロウから聞いた話を広瀬一家にも伝えた。だが広瀬を慕う南雲たちは桐生に反発。桐生は彼らと戦うことになる。戦いの最中に陽銘連合会の者が現れる。南雲たちは桐生たちに諭され、広瀬を信じるために「尾道の秘密」を暴く決心を固めた。桐生たちはすべてに決着をつけるため、巌見造船所に向かうことになる。

巌見造船所を探る一行の前に、目出し帽を被った人物が現れて桐生に包丁を向けた。桐生は包丁を交わしたが、田頭が太ももを刺されてしまう。男は目出し帽を脱ぎ、ついに桐生たちの前に暗殺者としての姿を見せた。広瀬が桐生に敗れた直後、田頭がレバーを引いたせいで超大和型戦艦が姿を見せた。
驚く桐生たちの前に来栖が現れて、超大和型戦艦について語り始めた。超大和型戦艦は戦争末期に巌見造船が極秘に建造を命じられたものだった。しかしその財源は大道寺の戦費の横領だった。未完成のまま終戦を迎えると、途端に負債となってしまう。その補填をしたのが大道寺だった。大道寺は来栖に有利な法案を成立させるなどの便宜を図り、借りを返していった。つまるところ、超大和型戦艦は大道寺と巌見造船の長年の癒着の象徴といえるものだ。この存在が明るみになると大道寺はもちろんのこと、今の政界に大打撃は避けられない。だからこそ、来栖たちはこれを「尾道の秘密」として秘匿し続けてきたのである。

来栖は「尾道の秘密」を知った桐生たちを殺害するよう、広瀬に求めた。広瀬は桐生を庇う南雲を殺すことができず、来栖に助命を求めた。だがそれは許されず、広瀬は来栖に撃たれてしまう。来栖に憤る南雲を制した広瀬は、桐生に「尾道の秘密をほんとはずっと知りたかった」と言って礼を言った。そして南雲や松永の名前を呼ぶと「ほんとはお前らに殺されてやりたかったんだけどなぁ」とこぼす。2人の父親は、来栖の命令で広瀬が手にかけた人たちだったのだ。そのことを気に病んでいた広瀬は、「ごめん な」と言うと力尽きた。後に南雲は、「父親を殺したのが親っさんだと言われても、あの人を殺してやろうとは思わなかったはずだ」とこぼしている。

広瀬徹の関連人物・キャラクター

桐生一馬（きりゅうかずま）