メイドインアビス / Made in Abyss

メイドインアビス / Made in Abyss

『メイドインアビス』とは、つくしあきひとによる日本のファンタジー漫画作品である。
作者のつくしあきひとは、ゲーム会社でデザイン等を行い、その後フリーのイラストレーターとなっている。本作品にもその経験が活かされ、ファンタジックな美しい背景やイラストが特徴である。
物語はアビスという大穴を冒険する様子が描かれている。主人公リコは人造人間のような見た目のレグと出会い、母を探しながら大穴の奥底に眠る秘密を探っていく。
美しい背景や可愛らしいキャラクターデザインとは裏腹に物語の内容は重く暗いものである。この事に関して、作中のレグの言葉を引用し「度し難い」と表現されることが多い。
テレビアニメは2017年、2022年に放映された。テレビアニメの総集編として、劇場版2019に前編『メイドインアビス 旅立ちの夜明け』、後編『メイドインアビス 放浪する黄昏』がそれぞれ公開された。2020年には新作劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』が公開された。

メイドインアビス / Made in Abyssのレビュー・評価・感想 (2/2)

レビューを書く
メイドインアビス / Made in Abyss
8

【映画】メイドインアビス 深き魂の黎明 【感想と見所】

「メイドインアビス」とは2012年からコミックガンマにて連載中である、つくしあきひと氏原作の漫画です。
2017年にアニメ化され、今回紹介する映画は2020年に劇場版として放映されました。
かわいらしい絵柄とは裏腹に、内容はシビアでハードR15+指定の映画となります。
かわいい少女や少年が楽しく和やかに旅をするといった内容を期待して観ると痛い目を見るのでご注意を...。

~あらすじ~
人類最後の秘境といわれる謎の巨大な縦穴『アビス』。そこから発掘される数々の不思議な力を持った道具『遺物』を求めて『探窟家』達がアビスへと挑み、富と名声、未知とロマン、望郷と憧れといったようなものに魅入られて、危険なアビスを奥底へと冒険にいく物語。アビスから帰らぬ母の背中を追いかける主人公の少女『リコ』とアビスの底からやってきて、さらにリコの母親とも面識がある可能性のある少年『レグ』が力を合わせてアビスの底を目指し数々の人や生き物、困難、未知の世界を突き進む様が描かれています。
今作はその中でもテレビアニメで放送されたストーリーの続編が映画化されたものです。
(今作とは別にテレビアニメの内容を総集編としてまとめたものが劇場版前編、後編と2作あります。
原作未読でアニメ未視聴の方ならば、先に総集編から視聴することをおすすめします。)
『ナナチ』を仲間に加え下層4層から5層へと到達、そこで待ち構える『白笛』の『黎明卿・ボンドルド』各々がそれぞれの信念や憧れを持ってアビス下層を目指す中、交錯するそれぞれの想いや立ちはだかる残酷な理に翻弄されつつも、なんとか5層を攻略し、6層への入口へと至るところまでが今作の内容です。

~感想~
えげつない情緒の嵐の中、ボンドルドのイカれた嘘偽りの無い愛と穏やかな狂気がブレずにどっしり軸としてあったから、エグい内容でも耐えられました。そして最後には謎の感動と清涼感さえ感じるカタルシスが待ち構えていました。
ちなみに私は原作既読なので映画の内容は知っていましたが、それでも心をぶん殴られたかのように激しく揺さぶられ、感動しました。ここまで様々な感情を掻き立てられ、吐き出させられることはなかなかないと思います。感情を無理やりデトックスさせられたせいか、帰り道では謎の疲労感と満足感のようなものに包まれました。

~見所~
正直見所しかありませんが、あえてわかりやすくあげるとするならばこんな感じです。

・「映像が美しい」
美麗な作画によりアビスの未知の異世界観が鮮明に伝わってきます。息をのむほど幻想的な空間や、目を逸らしたくなるほど恐ろしく残酷な環境への没入感が凄まじいです。

・「音楽が美しい」
没入感という点では劇中で流れる音楽が素晴らしかったです。エンドロールも最高で、ラストで搔き乱された情緒と処理落ちした感情を優しく包み込んでそのまま昇華してくれるような音楽でした。また、効果音もとてもリアルで、劇中のえげつないシーンではそれが際立っているように感じました。

・「作画がすごい」
暴走したレグとボンドルドの戦闘シーンは圧巻です。スクリーン内を縦横無尽に移動しヌルヌルと滑らかに動いて激しく戦う描写はその迫力が凄まじかったです。

・「演技がすごい」
声優さんたちの魂の込め具合がすごい。アニメから引き続き『リコ』『レグ』はもちろんのこと、『ボンドルド』無機質ながらも慈愛に満ちた声の表現が一貫していて、とてもよかったです。『プルシュカ』も涙を枯らす勢いでいい演技です。

・「ストーリーがすごい」
原作既読で内容や展開を知っていてもなお、涙なしには見ることのできない物語でした。また、ストーリーと同時にそれを引き立たせる演出も絶妙で、情緒が揺さぶられました。(上映中、館内の至る所から鼻をすする声が聞こえてきたほどです。)

~最後に~
以上、個人的にはとても満足した映画でしたが、最後に1つだけ注意点があります。
それは猟奇的な描写がハードに含まれているということです、画風からは想像もつかないような残酷な目に彼女たちは会うことになります。そのあたりの描写が許容でき覚悟できる方ならば筆者は太鼓判を押してお勧めします。ただ、少しばかり”癖”が過分に盛り込まれた内容(リョナ、ショタ、ケモナー等の要素)でもありますので、やはり万人にお勧めはできないようにも思います。
しかし面白いことには間違いないです。未知への冒険や、少年少女が協力し合い、困難を乗り越えて成長していくような物語が好きな方ならきっと楽しめるかと思います。

メイドインアビス / Made in Abyss
8

冒険ファンタジー系アニメでNo.1

アニメの舞台は町の真ん中に直径1,000メートルの「アビス」という大穴が空いている島です。この街にはアビスを探検してお金を稼ぐ探窟家がいます。このアビスの大穴の深さは分かっていなく、深い場所に行くほど人類の技術では到底作ることのできない希少なものが存在しています。しかしこのアビスには「呪い」があり、浅いところだとめまいや吐き気で済みますが、深い場所までいくと人格障害や死といった症状が出るため探窟家は命がけで挑みます。そんな恐ろしいアビスですが、魅力もたくさんあります。まず多彩な生態系、見たこともないような美しい色合いの鳥や植物たち。幻想的な風景や近未来的な建物など、これらをアニメーションで精巧に表現しています。このいろとりどりのアニメーションを観ているだけでも感動しワクワクできる作品です。
そして物語の本題です。主人公は12歳の女の子名前はリコ。彼女の母親は有名な探窟家で、アビスの底に挑戦をして現在は行方不明になっています。その母親を探しに行くために、持ち前の前向きな考え方と強い意志をもって、リコも探窟家を目指します。そして、修行中のリコが探窟中に偶然出会う機械の少年レグ。見た目はリコと同い年の少年ですが、体が機械でできていいます。レグは記憶がなくわかっていることは、刃物を通さない皮膚と伸びる手、燃えない髪、手から出る火葬砲という高火力の必殺技、エネルギーは電気でもご飯でもどちらでもいける。そして、アビスの穴の中から来た事以外だれが作ったのかも、わからない謎だらけの存在です。リコはいなくなった母親を探すために、レグは自分が何者なのかを探すためにお互い理由は違うけど目指す場所は同じことから、アビスの深淵を目指す冒険が始まります。
一つ注意点があります。物語の設定上アビスの過酷な環境に適応した生物は、この世のものと思えないほど強く、見た目もグロテスクなものも多いです。苦手な方にはきつい部分もあるかと思います。ですがそれもメイドインアビスの魅力の一つなので、楽しんでいただけたら幸いです。

メイドインアビス / Made in Abyss
8

完成度の高い映画『メイドインアビス 深き魂の黎明』

2020年に公開された映画で、アニメ版の続編です。
メイドインアビスシリーズは、可愛らしい絵柄とは裏腹にダークな内容でグロテスクなシーンが多いため、R-12指定からR-15指定へと引き上げられました。
『メイドインアビス 深き魂の黎明』は、ボンドルドと彼の愛娘プルシュカの話がメインで、TVシリーズから引き続きボンドルドと主人公たちの対決が描かれています。
プルシュカはボンドルドを大好きな父親であり信頼している一方で、ボンドルドはプルシュカに愛を注ぎながらもそれは人間味のないとてつもなく奇妙な愛情であり、最後にはプルシュカを自分の力の道具にしてしまいます。
その他にも悲しくて辛い話が多く、見ていて心が張り裂けそうになりますが、内容がしっかり作られているので映画の世界に引き込まれていってしまうのです。
また、レグとボンドルドの熱く力強い戦闘シーンは迫力がすごく、息もつかせない激しさで見入ってしまいます。
アニメ版でもそうでしたが、映画でも映像がとても美しく、音楽もオーケストラの演奏でとても迫力があります。
映像と音楽に一体感があり完成度が高いという所も、この映画の魅力の一つです。
登場人物たちの気持ちの交差や狂気にも似た心情を考えてしまう、とにかく心が震える作品です。

メイドインアビス / Made in Abyss
9

メイドインアビスの魅力

メイドインアビスは、つくしあきひと先生原作の漫画です。
この作品の大まかなあらすじは、アビスと呼ばれる巨大な穴がある街に住んでいる探窟家の少女リコと、アビスの底からやって来た、記憶喪失の機械の少年レグが大穴の底で待っているリコの母親に会う為に、大穴の底を目指すお話です。
とても可愛らしい絵の作品なのですが、そんな可愛らしい絵とは裏腹に、とても過酷で残酷な出来事が二人を待ち受けています。
大穴の中には独自の生態系があり、危険な生物がたくさんいるのです。
それだけでも充分危険だと言うのに、他の探窟家の悪意、果てはアビスの呪いと呼ばれる原因不明な現象と言った、数々の驚異が二人を襲うのです。
主人公の二人は小さな子供なのですが、子供が体験するには余りにも悲惨で凄惨な出来事が何度も起こります。
ただ不思議な事に、残酷でありながらも何処か綺麗で美しいと感じてしまう不思議な魅力がこの作品にはあります。
つくしあきひと先生が影響を受けた複数の作品の中に、シュナの旅と言う作品があります。
これはあの風の谷のナウシカの原型になったと言われている作品です。
そう言った部分がメイドインアビスの残酷ながらも美しい世界観を形作っているのではないでしょうか。
不思議で独特な世界観、そこに住む奇妙な生物、解明されていない超常現象、それらを秘めた巨大な大穴、この作品にはたくさんの謎が存在します。
全ての答えは、巨大な大穴、アビスの底に隠されています。
リコとレグと共に、この謎の答えを解明しましょう。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

冒険ファンタジーの最高傑作

かわいらしいキャラクターがたくさん出てきますが、残虐非道な内容も合わせ持つハイブリット型ファンタジー作品です。

上昇負荷という呪い。
アビス生物のデザインや生態。
圧倒的な背景描写と世界観。
アビスの断面図を見た時に、「どうやってこんな世界を思いつくんだ……?」と驚愕しました。
設定が細かすぎるが故にキャラクターの魅力がよりいっそう引き立ち、ストーリーにみるみる惹き込まれます。
コマ割りの枠を手書きで書いてるところにも、つくしあきひと先生のこだわりが見えます。

絵のタッチが柔らかく、特に毛皮のモフモフ具合がたまりません。
ナナチを筆頭に、ミーティー、ファプタ、メーニャ、ネリタンタンなどなど。
ギューッと抱きしめてモフモフしたい欲に抵抗できる人間は、この世にいないでしょう。
人外好きにはたまりません。

一方、引くほどグロい描写もあるので要注意です。
マンガは3巻から、アニメは10話から、覚悟して進んでください。
外道と言わんばかりの展開が待ち構えています。
心をえぐられるような話が衝撃的すぎて、トラウマになる人が続出しているそうです。
しかし、その残酷さを乗り越えようとするレグやリコ、ナナチ。
つらくとも前に進もうとするその姿に、涙があふれて止まりません。

劇場版も最高でした。
原作の緊張感や絶望感を120%再現しており、特に戦闘シーンはスピードと迫力に圧倒されて、呼吸を忘れるほどでした。
声優さんの渾身の演技は、全身を金縛りさせるくらい痺れました。

マンガの表紙カバー下には、特別イラストもあります。
ファン大歓喜のサービス設定が目白押し。
本を買う楽しみが増えますね。

公式アンソロジーも発売されています。
本編のシリアス具合とは一転してギャグ要素の多い作品が多く、ほんわかとした気持ちになります。
気を張りすぎて疲れた時に、息抜きとしてちょうどいいです。

読んでる側もいつの間にか、アビスの呪いと祝福を受けている。
憧れは止められない。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

読み始めると、落ちていく

この作品は、底の見えない大きな穴「アビス」に探検家たちが挑んでいく物語です。この作品は絵がとてもかわいらしく、主人公はかわいい女の子と人間そっくりの男の子のロボットいう一見ほのぼのとした作品かと思うのですが、蓋を開けるとグロテスクなシーンや残酷な描写が多く、かわいい絵柄だからこそこの差にびっくりします。しかし、ただグロテスクなだけでなくたくさんのフラグがちりばめられており、あれはこういうことだったのかと毎話驚かされます。
いちばん印象にのこっているシーンは、主人公が実は1度死んでいたことがわかるシーンです。主人公はメガネをかけているのですがそれにも理由があることが分かり、そこまで綿密に作り込まれているのかとすごく驚きました。また、主人公は死んだ後アビスにあったものによって生き返ったことで生きているのですが、それを使うとどの生物もアビスの底に行こうとするらしく、それのせいで主人公はアビスに執着しているのか、それとも探検家の性なのかという疑問もうまれました。1度死んでいるということはいつまた動かなくなってもおかしくないし、主人公はアビスの底にたどり着くことができるのかも気になっていて、このシーンがとても好きです。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

勇気をもらえる

「アビス」と呼ばれる巨大で深い穴へ冒険にいく孤児のリコが、穴の中で少年のように見えるロボットと出会い、冒険を繰り広げる物語。
深くへ進めば進むほど恐ろしい生物も増えていくとともに、アニメを見進めるほどハラハラ感が増していく。
私は見入ってしまって、1日ぶっ通しで見ていた。
登場人物が少しロリっぽく描かれており、私もはじめは少し抵抗がありましたが、アニメを見ればそんなの忘れる。
というより、あんなかわいい子供たちがあんな恐ろしい出来事に立ちむかう姿にはしびれるし、勇気をもらえる。
あと、私がこのアニメを見てなにより感動したのは絵!
絵がキレイすぎる。こんなにキレイなアニメはなかなかない。感動するレベル。芸術といっても過言じゃない。
アビスがかもし出す少し恐ろしい雰囲気も、恐ろしくても魅了される美しさも、すべてが表現されている。
深海や宇宙など、未知の世界感が好きな人は絶対みてほしい作品。
ただ、見ていて苦しくなるシーンもあるので、苦手な人は要注意!
グロくはないですが、いたたまれなくなるシーンがあるので…。
2020年1月に劇場版が公開されたほどの人気なので、見たことがない人は絶対見るべき!
ハラハラドキドキすること間違いなし!

メイドインアビス / Made in Abyss
10

全ての始まりの総集編

人気アニメーション、『メイドインアビス』の総集編の『前編』であり、第1話から第7話Aパートを再編集し新規シーンを追加した作品が『旅立ちの夜明け』だ。ある孤島である巨大な縦穴が発見された。縦穴には『魔力』があり、未知の原生生物や遺物と呼ばれる宝が存在し、様々な『探窟家』と呼ばれる冒険家を呼び寄せた。人々は縦穴の周りに『オース』という町を築き、縦穴と共存する事を望んだ。巨大な縦穴の名は『アビス』という。アビスには『呪い』も存在し、それは、アビスを降りる分には問題は無いが、帰路、つまり『上昇する時』に様々な負荷を身体に受ける。軽い負荷は、『目眩』や『吐き気』、『頭痛』から、重い物ともなると『全身の激痛』や『出血』、『幻覚』、果ては『人間性の消失』等がある。この危険かつ魅惑的なアビスに『探窟家』と呼ばれる者達が挑む物語だ。
主人公の幼い少女、『リコ』もその内の一人だ。孤児院で暮らし、アビスの浅い箇所で採掘作業をしていたリコは、巨大な原生生物に襲われそうになった所を何者かに助けられた。リコを助けたと思われる者は、リコと歳の変わらない褐色の肌の少年だった。彼は人間ではなく、強靭な身体を持つロボットであり、自身の事はおろか、ロボットである事さえ記憶を喪失していた。リコは恩人であるロボットを孤児院に連れ帰り、『レグ』という名を与え、友人達の提案で身の上話を偽り、孤児院で暮らすよう手はずを整えた。そんな時、リコの母親の、達人の探窟家が持つ事を許される『白笛』 と、封書がアビスから上がって来た。封書には、幾つかの記録と、『奈落の底で待つ』という短い手紙が入っていた。リコは、『奈落の底で待つ』という母からの手紙を頼りに母に会う為に、レグは、リコを守り、自身の出自を知る為にアビスへと旅立つ。彼女等の旅は過酷なものだった。
二層目からは、恐ろしい原生生物に襲われ、最初の目的地である監視基地(シーカーキャンプ)では、リコの母親を知り、リコの母親と同様に『白笛』を持つ、『不動卿、動かざるオーゼン』という女性から手痛い歓迎と、これから先、アビスで生き残る為の厳しく辛い『生存訓練』を受け、一回り成長を遂げる。リコとレグは、オーゼンと友人になったオーゼンの弟子マルルクに別れを告げ、更に下の階層へと向かう。物語はここで、彼女らの旅路の無事を祈りつつ、【後編】へと続く事となる。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

次回作へと物語は続く……。

第7話Bパートから第13話を再編集し新規シーンを追加した、『旅立ちの夜明け』の続きとなる作品。
原作の都合上やや残酷表現が有り、PG12指定を受けた。
監視基地(シーカーキャンプ)を離れ、更なる下の階層を目指す探検家のリコと、ロボットのレグ。
更に危険な三層を抜け、四層へと降りて来た。
四層で彼女らは『タマウガチ』という猛毒を持つ原生生物と遭遇してしまう。
逃走を試みようとするが失敗し、リコは左手を負傷し、毒を受けてしまう。
再びタマウガチから逃走する為にレグは負傷したリコを抱え、レグの能力である一つの、ワイヤーで伸びる腕を使い、上方向へと逃走するが、四層での上昇時の負荷は、『全身の穴からの出血と激痛』、『幻覚』、『幻聴』という恐ろしいものだ。
それを覚悟で上昇したが、リコは負荷により、大量出血、毒を受けた左手は倍以上に腫れ上がってしまう。
リコは毒を受けた左手を切り落として欲しいとレグに懇願する。
躊躇いながらもリコの腕を折り、そこから切り落とそうとするも、リコの呼吸が止まってしまう。
悲しみの余りリコの名を叫ぶレグの前に、長い耳を持つ人物が現れ、人工呼吸をするようにとレグを指示する。
その後、長い耳の人物は自分のアジトにリコとレグを連れて行き、毒と折れた腕の処置を施す。
長い耳の人物は、『ナナチ』と名乗り、人間性を喪失する六層の負荷を受けた『成れ果て』だという。
ナナチは、崩れた肉塊のようなものと一緒に暮らしていた。
肉塊のようなものの名前は『ミーティ』といい、このような姿になる前は可愛らしい少女だった。
ナナチはミーティを『宝物』と呼び、大切にしている。
ミーティもナナチ同様『成れ果て』であり、毒を自分の身体で治せる等、何をしても死ぬ事の無い不死の身体を持っている。
レグはリコが回復する間、ナナチにより上昇負荷である『アビスの呪い』の教授を受け、その際再び遭遇したタマウガチをレグのもう一つの能力、強力な熱光線、『火葬砲(かそうほう)』を使い、打ち負かす。
レグの能力を見たナナチはレグに「頼みがある」 という。
その頼みとは、「ミーティを殺してくれ」というものだった。
戸惑うレグがナナチから聞いた過去はそれは酷いものだった。
ナナチは、ボンドルドという男性の誘いの言葉を受け、数十人程の子供達と共に五層までやってきた。
そこで、ナナチとミーティは親友となり、暫くは本を読む等をして過ごした。
しかし、ボンドルドが子供達を連れて来た理由は、六層の上昇負荷である『人間性の喪失』を回避する研究をする為だった。
二つの昇降機の、ミーティは呪いを押し付けられる側、ナナチは呪いを押し付ける側へと乗せられ、六層に落とされた後、五層へと引き上げられる。
その際、ナナチは獣のような姿に、ミーティは身体が溶けたような姿に変化してしまった。
不死故に幾度も酷い実験をされるミーティを連れ、ナナチはボンドルドの元から逃げ出したのだ。
ナナチの頼みに躊躇いを持ちつつも、『ミーティを送ってリコの治療を終えた後も自ら命を絶たない事』を約束とし、レグはありったけの思いでミーティを『火葬砲』で送り出した。
リコの意識も回復し、腕の治療やリハビリや補助器具の制作を終えた後、リコ達は再び旅立つ。
その旅にはナナチも加わっている。
希望的な旅立ちの裏で奇妙な器具を見つめるボンドルドの姿。
彼女等の旅は、次回作の『メイドインアビス 深き魂の黎明』へと続く。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

可愛らしい絵に騙されて下さい!!

コミックが原作で、アニメ化もされている作品です。可愛らしい絵柄で、「あー、この可愛らしい子達が冒険する話なんだろうな」初見の人はきっとそう思うでしょう。はいその通りです。しかし、覚悟して下さいね。表紙に描いてある可愛い子、12歳なんです。子供なんですよ。子供が危険で恐ろしい地へと冒険に出るのです。主人公のリコが目指す先は『アビス』。アビスとは、美しい風景と未知の『遺物』と呼ばれる宝と、凶暴な原生生物と呪いが存在する恐ろしい地です。直径1000メートル、深さ不明の縦穴で、七層で形成されており、界層毎に『呪い』が存在します。降りるのには問題は無いのですが、そこから上へと上昇する時に、体に負荷が掛かります。その『上昇負荷』を、『アビスの呪い』と呼ぶのです。
深界一界層の負荷は、軽い眩暈と吐き気。
深界二界層の負荷は、吐き気、頭痛、末端の痺れ。
深界三界層の負荷は、平衡感覚の異常、幻覚、幻聴。
深界四界層の負荷は、全身の激痛と穴という穴からの流血。
深界五界層の負荷は、全身の感覚の喪失とそれに伴う意識混濁と自傷行為。
深界六界層の負荷、ここからはシャレにならない負荷になります。その負荷は、人間性の喪失、もしくは死。
深界七界層の負荷は、確実な死。
そんな場所へリコと、リコが深界一界層で拾った人間そっくりなロボットのレグは恐れず挑みます。リコは非力ではありますが、遺物の知識が豊富である事と、料理上手という特技があります。レグはロボット故、上昇負荷を受けることがありません。加えて強靭な体と、ワイヤーで長く伸びる腕、素早い動きによる戦闘技術、『火葬砲』という掌から発せられる強力な熱線(しかし、使用後は数分後に2時間ほど昏倒するので使用するには注意が必要)で原生生物との戦闘では頼もしい存在です。後に仲間になるウサギのような姿のナナチという獣人は、アビスの知識が豊富な上医術にも詳しく、外科手術の技術もあります。彼女達の前には様々な困難が立ちはだかります。目を覆いたくなるような怪我を沢山します。見るに堪えない経験も沢山します。沢山失い、それでも、リコ達はアビスの底へと挑むのです。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

人気アニメの正当続編映画

大人気コミックが2017年にアニメ化、2019年にアニメ総集編としての映画化を経て、2020年にこれまでのストーリーの続編が劇場版となって上映された。アニメのラスト直後、コミックでは4巻と5巻がメインのストーリーとなる。巨大な縦穴、『アビス』へと挑む、探窟の知識が豊富なリコと、ロボットの少年レグは、後にウサギのような耳を持つ姿のナナチと出会う。ナナチはアビスの知識と医療の知識を持つ。リコとレグとナナチはアビスの深界5層へと歩みを進める。そこで、三人はプルシュカという天真爛漫な少女と、その少女の父親であり、かつ、ナナチとナナチの親友の宿敵でもある仮面の紳士ボンドルドと出会う。ボンドルドは、優しく丁寧な物腰でありながら、非人道的な人物で狂気に満ちている男。ボンドルドは『調査』と称し、レグを連れ去り拘束した上で、様々なおぞましい調査を行い、右腕を切断。そんなボンドルドを「パパ」と慕うプルシュカ。彼女の願いは「リコ達と一緒に冒険に行きたい」、「パパがリコ達と仲直りして欲しい」というもの。果たしてプルシュカの願いは叶うのか。そして、宿敵ボンドルドとの決着はどうなるのか。最後まで目を離す事が出来ない作品ある。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

見ているうちにどんどん物語に引き込まれる!

テレビアニメの続編。アビスという地面に何層にも分かれて空いた大穴を探掘家見習いであるナナチ・リコ・レグの三人で協力して、今まで見たことのない遺物や潜ったままで行方不明となっているリコの母親を最下層まで探しに行くお話です。
尚、このアビスの大穴にはアビスの呪いといって一層潜るごとに返ってくる負荷があり、一層目は軽いめまいや吐き気などで済みますが、二層目三層目になると嘔吐や体中の穴という穴から血が出てくるという、生命維持に関わって来るほどの負荷がかかります。一見かわいらしい子供たちの冒険かと思いきやその可愛らしい作画とは裏腹に劇場版はしっかりとR15指定だったりします。
深き闇の黎明はそんな三人が第五層の施設に到着してナナチの昔の知り合い・天才科学者のボンドルドとその娘である、三人と同じ年ごろくらいの女の子プルシュカに歓迎されるところから始まります。第五層の施設から第六層まで行くには特殊な装置があり、彼に装置の動かし方を教えてもらう必要がありました。
実はこの知り合いボンドルドが泣く子も黙らすほどのサイコパス化学者で、化学進歩や疑問解明のために非人道的な人体実験も行っている(プルシュカは知らない)。そんな彼が、探掘家見習いが本来来れるはずのない五層までたどり着いたことに興味を持たないはずがないのだ。「今日は疲れたでしょう。止まっていきなさい、簡易な食事と休める寝床を用意してあります。ゆっくりとしていってください」との言葉に甘えて泊まることにした三人、案内役のプルシュカの明るさに気を緩めてたくさん冒険の話をしているうちに寝てしまいます。ふと目が覚めるとリコしか部屋にいません。みんな、トイレかな?と思ったリコはトイレへ向かいますが…ここから物語は大きく動き出します。
果たしてレグやナナチはどこに行ってしまったのか、ボンドルドとナナチの過去とは、三人は六層まで無事にたどり着けるのだろうか…!!

メイドインアビス / Made in Abyss
8

可愛らしいキャラクターと作りこまれた世界観が魅力

可愛らしい絵柄に惹かれて読み始めましたが、良い意味で裏切られました。
冒険し尽された世界で、唯一の前人未到の大きな縦穴アビスに挑む「探窟家」の物語です。謎に包まれた環境での冒険、危険で不思議な生き物たち、旅の仲間と友情、背景までよく描きこまれた画面に引き付けられます。アビスの呪いという、人体に悪影響を及ぼす上昇負荷があるので、深く潜れば潜るほどに帰ることができなくなり、最悪は死に至るという重く苦しい設定。
外見は子どもっぽいキャラクターですが、主人公のリコが背負っている事情は重く、唯一の肉親の母と2歳の時に生き別れ孤児院で暮らしています。母は探窟家の最高峰白笛と呼ばれる地位の人で、アビスの最深部に挑んだものの消息不明です。リコも母に憧れ、探窟家になってアビスの最深部に挑むことが目標です。
リコは12歳の時に、アビスの不思議な技術で作られたロボットのレグという男の子と出会い、二人で巨大で危険な縦穴に挑んでいきます。
小さな機械から植物に至るまでよく描きこまれていて、本当にこんな世界があるような錯覚を起こしてしまいそうな綺麗な作画に、ワクワクします。
話が進むにつれて明らかになっていく謎。そして読者をも裏切るアビスの過酷な環境。
絵柄は本当に可愛いのに、表現はかなりリアルなものとなっています。とにかく痛い。心も痛いし実際に負っていくケガや呪いもかなり痛々しいです。
好き嫌いははっきりと分かれると思いますが、魅力が詰め込まれた作品です。

メイドインアビス / Made in Abyss
10

完成された美しい世界観!

可愛らしいキャラクターのデザインと表紙のイラストの美しさに心を惹かれてコミックスを購入しました。
幼い主人公たちがアビスという穴に潜りこみ冒険をしていくアドベンチャー作品で、キャラクター達が一コマ一コマとても可愛らしいのですが、危険な目に遭わされた時の表情、仕草などなどのギャップがまた素晴らしく、引き込まれていきます。
絵柄はとても可愛らしいのですが内容はかなりシビアです。

出てくるモンスターはゴツく、恐怖を煽るデザインで、その中で冒険していく主人公たちの気持ちになって読者も世界に入り込むことが出来るのでとても楽しいです。
時折出てくる冒険中の料理も、モンスターを利用した料理は美味しくなさそうなのに美味しそうに見えて、この画力には圧倒されます。
主要キャラクターたちの心の描写も素晴らしく、シビアな面が多い内容上何度も心が痛くなったり、泣いてしまいました。主人公レグの気持ちの描写が多く、感情移入してしまいます。

世界観の作り込みが素晴らしく、どこに伏線があるのか考えながら読み進めるのもまた楽しいです。
これからの展開が気になって気になってしょうがなくなり、どんどん先を読み進めてしまう、素晴らしい作品です!

メイドインアビス / Made in Abyss
8

探究心から生まれる人間の本性を暴く

この作品の世界では、誰もがアビスという大穴に強い関心を抱いている前提でストーリーが続く。アビスという大穴の魅力に取り憑かれた人々は、それが一体何を意味するのか、もしくはその穴を通して自分の存在を確かめる為にそこを探索するのである。目的は違えどアビスに対する探究心は皆同じ。そしてその探究心が人間の本性を暴くのである。
あるものは真っ直ぐに底を目指し、あるものは遺物を発掘し研究し、あるものはあらゆる物を使い実験する。目的を遂行するための手段が様々なのは、本来の人間の在り方なのかもしれないが中には非人道的な事も起きていたりする。それが観ている者の倫理感に訴える作品になっている。
登場人物の誰もが皆正しい事をしているというという認識であるため、何らかのキャラクターには感情移入しやすいかも知れない。特に主人公達は子供であるため同情する場面は多いかも知れない。アビスの中はあらゆる試練の連続であり、それに立ち向かっていくヒューマンドラマとも言える。
前半は少し間の抜けた雰囲気だが、後半にかけて段々とシリアスな展開へと変化して行く。この作品は作画がとてもクオリティが高いのでそれがまた暗い独特な世界観をしっかりと表現している。

メイドインアビス / Made in Abyss
8

憧れは止められない

『メイドインアビス』は、つくしあきひとが描くファンタジー漫画であり、アニメ化もされています。さらに2019年1月には劇場版総集編も公開、アニメ2期も制作中という大人気作品です。

人類最古の秘境と呼ばれる巨大な縦穴『アビス』、その大穴の縁に作られた街には探掘家達が暮らしており、日々命懸けの探掘をしています。その街にある孤児院に住む探掘家見習いのヒロイン・リコは偉大な探掘家である母・ライザのような探掘家になることを夢見て、修行に励んでいました。ある日の探掘でリコはアビスに生息している危険生物に襲われるも、謎の光線により難を逃れます。その光線が放たれた跡を辿ると、少年のような姿をしたロボットが倒れていました。このロボット・レグとの出会いによりリコは底知れぬアビスの深部まで潜ることを決意し、少年少女たった2人の大冒険が始まるのです。

前半の見どころは、柔らかなタッチで描かれる個性豊かなキャラクター達のリアリティのある人間模様です。綿密に詳細に設定が作り込まれており、本当にこの街が、この人々が存在していると感じる程です。一見可愛らしい見た目のキャラクターが多いですが、皆それぞれ暗い過去や熱い想いを抱えており、とても人間味を感じられます。
また、探掘家の称号や道具、アビスに生息する生物達についても細かく設定されています。

後半の見どころは、リコとレグが2人でアビスの大穴に挑み、幾多の危険に見舞われながらも共に成長していくところです。深く潜れば潜るほど危険が増すので、読んでいてとてもハラハラします。時には目を覆いたくなるようなこともありますが、2人の絆に感動します。そして途中で仲間になる"成れ果て"のナナチがまた魅力的なキャラクターで大変人気があります。ナナチにも重く抱え込んでいる過去があり、涙なくしては読めません。また宿敵との手に汗握るバトルもあります。

少しグロテスクな表現もあるので評価は8ですが、ワクワクドキドキが止まらない大冒険活劇のメイドインアビスは本当にオススメのマンガです。

メイドインアビス / Made in Abyss
9

可愛い絵柄と過酷な冒険に注目。

ハイクオリティな作画と音楽で作られたアニメが注目され、一躍注目作品となったメイドインアビス。
現在原作は連載中でまだ最終回は迎えていませんが、巻が進むにつれ深まっていく謎に目が離せません。

リコとレグが探窟家(冒険者)となり、アビスと呼ばれるあまりにも大きく深い縦穴に挑むお話です。
注目すべきはまるまるとした可愛らしい絵柄と、あまりにも過酷過ぎる冒険の内容です。

リコはアビスに挑んで帰ってこなくなった母を探す少女、レグはアビスで拾われたロボットのような少年です。舞台装置であるアビスは下に進むにつれて様々な「呪い」があり、二人の行く手を阻みます。それは得体のしれない怪物であったり、身体の異常であったり、実にさまざまに用意されています。
さらによくあるRPGゲームとは違い、回復魔法なんて都合の良いものはなく、命はひとつしかありません。便利な武器はあっても壊れるし、使えなくなったら修理もします。次に何が起こるかわからない、「終わりの見えない旅」という恐怖との戦いであり、またそれを乗り越え、困難に打ち勝った時に得る確かな希望を読者は感じることが出来ます。

可愛らしい絵柄と過酷な冒険の織りなすギャップがこの作品の魅力と言えるでしょう。