「名作」とはもういえない…？「キャプテン翼」が駄作に成り下がってしまった理由まとめ

実力に開きが出る翼と岬

いまでは翼と岬の2人は黄金コンビと呼ぶに相応しいものかどうか疑問である。両者の実力差が大きくなり過ぎているのだ。
翼は中学卒業後ブラジルにわたり、今では名門バルセロナのスター選手である。一方岬はフランスリーグ挑戦の意志もあったようだが、結局はJリーグに所属したまま。

左の画像は転校する岬に送った寄せ書きのボール。そこには「全日本でもコンビを組もう」と翼のメッセージが添えられている。今となってはこれが虚しく響く。

岬の思考回路は翼準拠

「翼君だったらこうする」「もしここに翼君がいたら…」
いつの間にか岬はこんなセリフを吐くシーンが多くなった。自身のプレイスタイルを全て翼に照らし合わせて、翼を基準にしてフィールドで戦う。
もはやほとんど翼依存症である。「岬太郎」という個が消え去ろうとしている。

一応必殺シュートもあるのだが…

岬がアフリカで身につけたというブーメランシュートは、早田のカミソリシュート以上の曲がり具合を見せ、サウジアラビア戦で見事ゴールを奪った。

しかしこのシュートは翼のドライブシュート、日向のタイガーショットのような鮮烈なイメージが定着する事もなく、ただ単に早田の株を落とすだけに終わった。

翼に憧れサッカー選手になった太陽王子

彼こそワールドユース編のもう一人の主人公である。
大空翼に憧れ単身イタリアへ渡り、数多くの苦労と挫折を経ながら一人前のサッカー選手に成長する。持ち前の明るさから「太陽王子」と呼ばれる。

しかし奇しくもこの葵の登場がキャプ翼という作品にプラスの面とマイナスの面をもたらす事になってしまった。

フィールドを縦横無尽に駆け回る「中盤のダイナモ」

豊富な運動量とスタミナで試合中の描写も多い。主人公的キャラなのである程度スポットが当たるのは自然の流れだが、しかしこれが他のキャラの活躍を奪う結果にもなってしまった。
葵の露出が増える＝他の選手の描写が減るという事である。ベンチに追いやられた立花兄弟、本戦前に怪我をした岬などが良い例だろう。

ライバルのサルバトーレ・ジェンティーレとの因縁の試合がカット

葵と言えばイタリア。翼の因縁のチームがサンターナとロベルトのブラジルであるのと同様、葵の全ては宿敵ジェンティーレとヘルナンデス率いるイタリア戦に集約されるはずだった。
予選で同グループになった日本とイタリアだが、しかし肝心の試合描写はほぼカット。これが葵信伍というキャラに消化不良感を与える結果になってしまった。

「さすが翼さん！」

大空翼という憧れの存在に追いつくため、異国の地で努力を重ねる葵。この姿勢は本当に良いものである。言わば挑戦者的、チャレンジャー的ポジションからの視点で物語を広げる事が出来るからだ。

しかしこれがいつしか、「さすが翼さん」「やっぱり翼さんはすごいや」「俺も翼さんに褒められたいな」といったスタンスに変化してしまう。
憧れの存在に対する念というより、ただの太鼓持ちに見えてしまうのだ。

ワールドユース以降の作品で「翼無双」がより顕著になるが、その遠因のひとつは葵によるものかもしれない。

弱小サッカー部のキャプテンからサムライブルーの一員へ

石崎は作者・高橋陽一氏の想いがふんだんに詰まったキャラである。
天才肌の翼とは対称的に、当初はお世辞にもサッカーの実力は決して高くは無かった。
しかし持ち前の努力と根性で南葛や全日本のスタメンに定着。下手糞でも努力は実るという作者のメッセージを代弁するキャラである。

翼の親友にしてチームのムードメーカー 仲間からの信頼も厚い

南葛市に引っ越してきた翼の最初の友達が石崎である。二人の友情はその後も変わる事は無い。翼が名門東邦学園のスカウトを断った理由のひとつが「石崎と一緒にサッカーがしたい」というものだった。

翼のみならず、他のチームメイトからの信頼も厚い。チームが落ち込んでいる時に進んで発破をかけるシーンは作中で多く見られる。南葛高校では事実上のエース岬を抑えてキャプテンに就任している。

十八番の顔面ブロック！

顔面ブロックこそ石崎の代名詞である。その守備力は若林より高いかもしれない。
ミスや自殺点も多い石崎だが、ここぞという時にはしっかり活躍する。