A3!(ゲーム・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『A3!』(ゲーム・アニメ)とは、スマートフォン向けのイケメン役者育成ゲームアプリ、またゲームアプリを原作としたアニメ作品。キャラクターたちは春組・夏組・秋組・冬組の4つのグループに所属しており、アニメは春組と夏組のストーリー「SEASON SPRING & SUMMER」と秋組・冬組のストーリー「SEASON AUTUMN & WINTER」全24話が放送された。
舞台役者の各キャラクターが物語の中で別の役を演じ、1人のキャラクターの色々な話し方や言い回しを楽しむことができる。

自分がやったことを話し謝る太一。

いよいよ千秋楽前日、太一のスマホにはレニから着信が入っていた。震える声で電話に出た太一に、レニは明日の千秋楽をめちゃくちゃにしろと命じる。失敗すれば二度と舞台に立てないと言い、レニは一方的に通話を終了させた。通話後の太一に、臣が声をかけた。臣の優しさに、太一は我慢できなくなり、涙を流しながら脅迫状を書いたことや衣装を切り裂いたのは自分だと白状した。臣は太一をなだめて、他の秋組メンバーに全てを話すように促した。太一はもともとはGOD座に所属しており、MANKAIカンパニーをめちゃくちゃにしてこいとレニに言われてきたのだという。皆の怒りは太一ではなくレニに向いていたが、太一はひたすら泣きながら土下座してごめんなさいを繰り返すばかりだった。
万里は自分以外のメンバーのポートレートを見て、それぞれ抱えているものがわかり納得したが、太一のポートレートだけは感じるものが違ったのだと話す。そこで、あの時とは違う本当のポートレートをやって皆を納得させてみろと提案。
太一は皆に好かれたかった小学校時代から話を始めた。影が薄く存在感がなかった太一は、クラスで流行ったヨーヨーを必死で練習し大技ができるまでになっていたが、技を習得したころには、流行は終わっていた。しかし親戚の紹介でドラマにエキストラとして出演した時には、凄いとクラスメイトたちに褒められ目立つ事が出来た。それから太一は親に頼んで子役のアカデミーに入ったが、エキストラばかり。太一がエキストラで出演したドラマの主役を務めていた、同じ高校で同級生の皇天馬を近くで見たことで、自分との違いに絶望。それでもあきらめきれなかった太一は芝居を続け、アンサンブルキャストとしてGOD座に入団。舞台の真ん中に憧れながら過ごしていたある日、レニに呼ばれてMANKAIカンパニーへのスパイを命じられる。成功すれば次回公演のメインキャストはお前だというレニの言葉に、大好きな芝居を汚したくないと思いながらも太一は頷いた。秋組に入ってからも器用な万里に嫉妬し、不器用な十座にホッとしながらも芝居へのまっすぐな気持ちに罪悪感を覚えた。役をもらうために卑怯なことをしているため、皆の中には入れないと感じていた。
太一のポートレートを見た秋組メンバーたちは、太一がやったことは許さないとしながらも、辛かった気持ちには理解を示す。罪を憎んで人を憎まず、太一の事は許すとした。万里が太一に意志を確認すると、太一はMANKAIカンパニーの秋組メンバーであることを選んだ。

第18話「バッドボーイ・ポートレート」

万里も皆にポートレートを見せる。これまでの味気ない日々の中で、本気で熱くなれることを探していた万里は、十座の噂を聞き早速喧嘩をうった。しかし、殴りかかった瞬間、万里は地面に仰向けになっていた。一瞬で返り討ちにされ、十座は万里に目もくれずに帰って行った。人生で初めての敗北を味わった万里はそれから十座を倒す事だけを考え続けていた。それからどんなに喧嘩を売っても、十座は相手にしなかった。勝ち逃げが許せない万里はある日十座が劇場に入っていくのを目にして追いかけた。そこがMANKAIカンパニーだったのだ。
秋組旗揚げ公演千秋楽。ロビーで太一は丞に声をかけられる。フライヤーを見て丞は太一の名前があることを不思議に思っていたのだという。そこへ晴翔とレニもやってきた。おびえる太一の後ろから万里と十座が顔を出し、太一から話を聞いたこと、太一は今後MANKAIカンパニーでやっていくことを告げる。万里たちに連れられ太一がその場から離れた後、丞はレニがやったことや晴翔も知っていたという事実に憤り、自分もGOD座を抜けると宣言した。
千秋楽の幕が上がり、秋組の5人は自分にできる精いっぱいの演技で物語を進めていく。メンバーたちに全てを話した太一も、気持ちを切り替え今できる精いっぱいの演技をする。これまでとは違う太一の演技にMANKAIカンパニーの劇団員たちは驚き感心していた。

楽屋を訪れた春組メンバー。

大盛況で終わった秋組公千秋楽。控室に戻った秋組の元へ夏組が来ていた。話している中で思わず十座の事を十ちゃんと呼んでしまった椋。そのまま十座は椋と親戚であることを話す。太一は幸に衣装をダメにしたことを謝り、天馬には演技で張り合うことを宣言。夏組に続いて春組も訪問、至は万里にスマホを渡し、早速ゲームに誘った。公演後の控室はとても賑やかだった。
ビロードウェイを歩くレニと晴翔。トップである丞が抜けたことで、晴翔がGOD座のトップになった。レニは不敵な笑みを浮かべ、MANKAIカンパニーへのタイマンACTを申し込むと晴翔に話す。レニの言葉を受け、晴翔も自信に満ちた表情で期待に応えると返事をした。
公演が終わった後の劇場で話すいづみと左京。春組の時には借金取りだった左京が同じ仲間として劇団に居ることが不思議だといういづみに、止まっていた時間を無理やり進めた責任はとってもらうと左京が言う。それに自信満々に答えるいづみ。その態度に生意気だと言いながら頭をなでる左京。もうちびっこじゃないといういづみに「そのちびが俺の初恋だと言ったら笑うか」と左京は言う。驚き固まったいづみに左京は微笑み、いちいち芝居に本気になるなと返す。次は冬組だ。これまで以上に総監督業に励めと左京はいづみに喝を入れた。

SEASON WINTER

第19話「再会の季節」

新しい劇団が見つからない丞をスカウトするいづみと驚く丞。

MANKAIカンパニー冬組オーディション、スカウト枠もいないため来てくれる不安になるいづみだったが、2人のオーディション希望者がやってきた。秋組の公演を見て興味を持って来た雪白東は、これまで町の添い寝屋をしていたというどこか妖艶な雰囲気を持つ男性。演劇の経験はないらしいが、自然な演技を見せる。月岡紬は劇団に所属したことはないが学生演劇の経験があるという。紬は課題をセリフなしで、しぐさと表情だけで演技をした。
残り3人を集めるために東と紬、万里と十座はストリートACTを行う。その様子を見て言葉の表現をメモしていた男性をいづみがスカウトした。有栖川誉というその男性は、出版もしている詩人だという。誉の詩は表現がとても独創的で、劇団員たちは少々困惑した。通りを歩いていた丞を太一が見つけて声をかける。GOD座を辞めた丞だが、他の劇団には受け入れてもらえずにいるらしい。そこでいづみはMANKAIカンパニーへ来ないかと誘う。紬の事を気にしながらも、丞も入団することになった。

皆で寮に帰ると、寮の前で男性が倒れている。どうやら寝ているだけの様で、皆で室内へ運ぶ。起こして話を聞いてみるが、記憶がない様子で、御影密という名前しか覚えていない。身元が分かるようなものも持っていないため、紬は警察に連絡しようと提案するが、記憶はないが断固として警察へ行く事は拒否する密。どうしようかと皆が悩む中、いづみは密をスカウトする。少し悩んでいたがとりあえず気が向いたら稽古に参加するのはどうかと左京が提案し、密は入団することにした。落ち着いたのか密のおなかが鳴る。太一がマシュマロならあるけど食べるかと差し出し1つ食べる密。少し驚いた表情になったが、そのあとも続けて口に運んでいる。密はマシュマロを気に入ったようだ。
冬組の入寮日、ほとんど寝ている密と同室であれば創作活動にも影響ないだろうと誉が密と同室に手を挙げた。後の部屋割りを決める中で、紬と丞の関係が幼馴染だという事で同室を提案したいづみだったが、2人の様子はどこかよそよそしく不穏だった。残りを東が1人で使用することとなった。部屋割りが決まってからも、紬の顏を見ているとイライラすると丞は部屋を出ていった。
冬組のメンバーが集まり、部屋に密の物が何もないことについて話していた。私物どころか布団すらないらしい。密は別に構わないと言うが、皆で家具を買いに行こうと提案するいづみ。資金は東と誉が出し、持ち帰るために丞が車を出すことになった。買い物の帰り、海が見えると密が車を止めてと言う。車をおりるなり海に向かって走りだした密を追いかけるいづみと誉。後を追おうとした紬を残るように促し東も密を追いかけた。砂浜で波打ち際に立ち海を眺める密。ここに流れ着いたような気がすると言う。東は焦らなくてよいと声をかける。車に残っていた丞は紬に本当にもう一度芝居をやるのかと問いかけていた。また逃げ出すのではないかという丞に、もう逃げない逃げたくないと紬は答えた。

第20話「タイマンACT」

大学で演劇サークルに入っていた紬と丞。即興劇を行う2人はとても楽しそうだ。
冬組の稽古で、それぞれエチュードを披露する。密はやる気のないファストフードの店員をリアルに演じる。初めて演劇に触れる誉はファンタジーの世界観で話を作った。稽古終わりに冬組のリーダーを決めるが、そこでもまた丞は紬にイラついていた。
その夜談話室にてシトロン、一成、左京、誉が麻雀で盛り上がっている。賑やかな様子に在りし日のMANKAIカンパニーを想いだし、松川は嬉しさに涙を流す。当時は左京も子供でルールはわからなかったが、劇団員たちが麻雀をしていた事は覚えていて、それを大昔かのように一成が茶化す。劇団ができてからはもう26年たっており、これまでにも色々な事があったと松川は劇団に伝わる逸話を話し始めた。誰もいないはずの203号室から声が聞こえるというのも逸話のひとつだったのだが、その正体は三角だと分かり解決していた。逸話は他に開かずの間、真心ルーペ、無限人形というものがある。無限人形の内容は、仲違いした二人の劇団員のもとに不思議な人形が現れ、仲直りするまで無限地獄を味わうというものだった。怪談のように話した松川だが、仲直りを目的とする内容に恐怖を感じない団員たち。続けて東は開かずの間の内容を尋ねる。開かずの間はある日忽然と姿を消してしまった団員と、それを探しに行ったもう1人が存在しないはずの部屋に閉じ込められてしまったというもの。真心ルーペは小道具に紛れ込んでいたルーペを使うと相手の本心が聞こえるようになるという内容だった。

MANKAIカンパニーにタイマンACTを申し込むレニ。

ある日、ビロードウェイで丞と東がストリートACTをしていると、晴翔が絡んできた。GOD座を辞めてMANKAIカンパニーに入った丞を貶す晴翔に、丞は「うるさいぞ、山田弦太」と言い返す。晴翔は方言丸出しで丞に食いつくが、方言が出ていることを指摘されると大人しくなった。晴翔は本名で呼ばれることを非常に嫌っているのだ。そこへレニが現れ、MANKAIカンパニーはうちから劇団員を引き抜くのが好きなようだと言いがかりをつける。太一も丞も自分の意志でMANKAIカンパニーに入団したのだが、落とし前はつけてもらうと強引にタイマンACTを申し込むと言い渡した。GOD座が負ければ次回公演の売り上げを全額MANKAIカンパニーへ譲渡する、勝てばMANKAIカンパニーを即解散するとの条件を一方的に出すレニ。条件が解散だと聞いた丞は受ける必要はないと突っぱねようとしたが、ビロードウェイで話す両者の周りではたくさんの演劇ファンが話を聞いている。レニは断ればしっぽを巻いて逃げだしたとの噂が広まるだろうと笑みを浮かべながら話す。受けるしかないという状況を作り出すために、人通りが多い場所でタイマンACTの話を持ち出したようだ。1週間後に返事を聞くと言い残し、レニと晴翔はその場から離れた。

寮に帰り、他の組の劇団員や松川も交えてタイマンACTを受けるかどうかの相談をする。GOD座の売り上げは1,000万円、勝てば劇団の借金は返済出来る。今のままでは期限までに借金を返済することは難しく、負けた場合の条件がなくとも解散になる可能性が高い。タイマンACTを受けるかどうかの決断は冬組に一任し、他の組の団員たちは受けるのであれば精いっぱいフォローすると約束する。冬組メンバーは決断をリーダーである紬に委ね、決めかねている紬に対し丞は苛立ちを露わに声を荒げる。左京といづみが期限までゆっくり考えようと声をかけ、決定するのは後日にした。
GOD座へ返答する日の前日、紬と丞の様子から話し合いすらまともにできない状態の冬組。元気のない紬に、誉は独創的な詩を贈る。メンバーが揃い朝練を開始しようとするが、座って眠ったまま起きない密。誉がひそかに向かってマシュマロを投げると、密は目を閉じたまま口を開けてマシュマロを食べる。その様子を見た東も密にマシュマロを投げるとぱくっと食べる。何度も繰り返すが、密は起きずしびれを切らした丞が抱え起こした。これくらいお前がしきれと紬に怒鳴る丞。稽古の後にタイマンACTについていづみが切り出すと、紬は劇団の借金返済のために勝負を受けるのも良いと思うと答える。しかし自分が主演ではGOD座に勝てない、だから主演を丞にと言う。一度負った責任を投げ出す様な発言に、怒りを顕わにし紬の胸ぐらを掴む丞。喧嘩は無意味だと誉に声をかけられ丞は手を放し、無責任な奴と舞台に立ちたくないと稽古場を出て行った。いづみはタイマンACTの辞退を提案。自分が決めずに、責任を全て紬に委ねていた事を謝罪した。
夜、寮の中庭で1人落ち込む紬のもとに、空からぬいぐるみが落ちてきた。ぬいぐるみを手にとり、大学生時代の丞とのやり取りを思い出す。紬は「昔みたいにまた丞と話したいな」と呟いた。
翌朝、前日と同じように朝練に向かう紬。昨日のぬいぐるみが枕元に置いてある。稽古場に行くと君のために詩考えてきたよと誉に声をかけられる。昨日も同じように声をかけられていたため、紬と丞は”今日もまたか”という反応をした。誉が披露した詩は昨日と同じだった。しかし誉は今朝の新作だと言い、東は昨日と同じように誉の詩を褒めた。そして昨日と同じように、眠っている密にマシュマロを放り投げる誉と東。丞は何度も昨日と同じだと訴えるが、誉と東は理解できない様子でデジャヴなのではないかと言う。しかし、紬も丞と同じことを感じていた。紬がスマホを取り出し確認すると、そこに表示されていたのは昨日と同じ11月12日だった。テレビのニュースも11月12日を伝える。一日中昨日と同じ事が起こり、昨日と同じように稽古終了後のタイマンACTについて話す時間を迎えた。昨日と同じ考えを話そうとする紬の言葉を遮り、丞は稽古場から出ていく。その夜、きちんと明日になるか不安を感じながら紬は眠りについた。屋根の上では三角が嬉しそうに今日見つけたサンカクを眺めていた。

第21話「責任と覚悟」

ぬいぐるみの前で仲良しアピールをする紬と丞。

朝練にて、誉は紬のために詩を贈る。丞は詩を読む誉を止めて紬を呼び出し、2人で日にちを確認すると今日もまた11月12日だった。はっとした紬は、中庭で空から落ちてきたぬいぐるみの事を丞に話す。日にちがループすることと関係しているかもしれない、みんなにも見せてみようとぬいぐるみを持ち部屋から出たところで三角と会う。三角は紬と丞のせいだったのかと納得した様子でぬいぐるみを指さし、無限人形だという。紬と丞のせいで新しく拾ったサンカクが翌日になくなってしまうと言う三角も、紬や丞と同じようにループしていることを認識していた。以前松川が話していた仲直りするまで永遠に無限地獄を彷徨う無限人形の話は本当だったのだ。ぬいぐるみの前で仲直りすれば解決するはずだと言い残し、三角は新たなサンカクを探しに出かけて行った。
その夜、2人は部屋で仲直りの方法を考え試してみる。手をつないだり、肩を組んでみたりぬいぐるみの前でアピールする。明日が来ることを願って紬と丞は眠りにつく。三角は昨日と違うサンカクを手に入れ満足げに微笑んでいた。

翌朝、それぞれスマホの画面の日付を見て肩を落とす紬と丞。そこへ「またサンカクが消えた」と三角が怒って入ってきた。三角は2人に仲直りの方法を話す。それは本当に思っていることを相手に伝えるという事だった。丞は紬をビロードウェイへ連れ出し、いきなり乱暴な言葉を投げる。何事かと驚く紬に、即興のストリートACTだから合わせろと耳打ちし、セリフを続ける丞。それをうけ、紬も即興でストーリーを繋げていく。区切りがついたところで、いつも間にか集まっていた観客から拍手と歓声が上がった。場所を移した2人は一緒に過ごしていた時間の話をする。学生時代はしょっちゅう一緒にストリートACTを行っていた。芝居では真剣に紬と向き合えるという丞。一緒に芝居をする事をお互いに楽しいと感じていた。大学を卒業してからGOD座に入った丞と離れてしまった紬は、丞と芝居をしていた時の楽しさが忘れられずにまた一緒に舞台に立ちたいと思っていた。GOD座との対決でも、本当は主役として胸を張って舞台に立ちたいという紬に、丞は自分も支えるから諦めずにがんばれと微笑む。丞が何か話そうとしたところで、買出しに出ていた万里と太一が声をかけ、紬と丞は一緒に寮へ帰った。
夕食のあと、紬は丞と一緒に受けたGOD座の入団試験でレニに才能がない、演劇を辞めた方が良いと言われたことがきっかけで大学まで続けていた演劇から一度逃げ出したことを団員たちに話した。芝居をする事が怖くなり天鵞絨(びろうど)町から離れて演劇と関係ない仕事をしていたが、諦めきれずに戻ってきたのだ。そしてGOD座とのタイマンACTを受けたいと訴える。紬の話を聞いた劇団員たちは全員一致で賛成。翌朝、スマホの日付は11月13日を表示している。紬の枕元からあのぬいぐるみは姿を消していた。
GOD座に受けると返事をしたいづみ。レニが出したテーマは”天使”。壮大で芸術的な表現を得意とするGOD座が得意とする分野だ。同じように派手な方向性で対抗しても、予算が桁違いなため勝負にならないと丞は言う。そこで神聖で清らかなイメージの悲劇を提案する冬組メンバー。今回も脚本を担当する綴は冬組に当て書きするなら大人っぽく落ち着いたストーリーにと構想する。控え目ながらも今までとは違うインパクトを残せるようにと衣装の方向性も決まった。冬組旗揚げ公演に向けてMANKAIカンパニーが動き出す。

第22話「不協和音」

冬組の稽古の様子を見に来ていた雄三は、これまでの組の中で一番出来上がっていると演技について評価する。そして冬組の問題点はお互いに距離があることだとし、一緒に酒を飲みに行く事を勧めた。紬は早速今夜飲みに行こうと提案し、東の馴染みの店へ。落ち着いた雰囲気の店内にはダーツもある。散々酒を飲んでいるにも関わらず、見事な命中率を見せる密。程よく酒が回ったところで、距離を縮めるためにプライベートな話題として恋愛について話すことになり、紬、丞はこれまでの恋愛について語る。密は覚えていないためタイプの女性について語り、東は特定の人はいないと語った。最期に誉の番になるが、恋愛についての話も恋愛観もないと答える。東が掘り下げて話を聞こうとしたところで誉は急に立ち上がり、詩を披露。相変わらず独創的な詩に、意味が分からないと呟く丞。誉は今の詩を詠んだのは、最近突き刺さるような視線を感じることがあるからだと話す。その話を聞いた東と紬も身に覚えがあるようだ。監視でもされているのかと不安を抱きながら、少し気をつけようという事で話がまとまる。店を出て通りを歩いていると路地の陰から様子を窺っている人物がいたが、密が視線を向けると姿を消した。
ある日の談話室、衣装ができたという顔色の悪い幸と太一。東以外は天使を演じるため、4人の衣装の背中にはそれぞれ形の違う翼がついていた。ぎりぎりまでクオリティをあげると意気込む幸に、太一は顔を引きつらせながらラジャーと答える。2人の様子を見て冬組メンバーも気合を入れ直す。
GOD座ではレニがMANKAIカンパニー冬組のメンバーについての資料を手に笑みを浮かべていた。
天鵞絨駅前でチラシを配る冬組以外のメンバーたち。十座も頑張ってはいるが、渡した相手がおびえて逃げるように去って行ってしまう。一方、椋や至、幸は笑顔でさわやかにチラシを渡していた。他のメンバーも総出で宣伝しているため、今回はチケットの完売もこれまでより早そうだ。

冬組メンバーに接触してきたサングラスの男。

駅構内でチラシを配っていた紬の元へ、サングラスの男が「GOD座の入団試験を落とされたことを恨んでタイマンACTを申し込んだのは本当か」と声をかけた。男は他のメンバーのところへも現れ、密には「密入国者なんですね」と声をかけ、東には「水商売やってるって本当か」と声をかけた。悪いうわさが立っていると言い残し男性は人込みへ消える。男の背中へ視線を向けていた東の視界に、路地から出てきた晴翔の姿が映る。そして晴翔の後ろからは丞が出てきた。その光景に東は不快感を抱く。

宣伝の甲斐あってチケットの完売が間近となり喜ぶいづみだったが、冬組メンバーの表情は暗く嫌な雰囲気に包まれていた。紬は自分がGOD座の試験に落ちた事が噂になっているようだと話す。続いて東は水商売をしていると言われたこと、密は密入国者だと言われたことを話した。紬や東については団員以外の誰かが知っていてもおかしくないのだが、密については誰も知らないはずだ。密はスパイの可能性を口した。その言葉に東は昼間に丞と晴翔が話しているのを見た事を話す。疑われていると感じ「誰彼構わず親しくする人間とは違う」と言う丞に、東は「僕への当てつけなのか」と答え険悪な雰囲気になってしまう。
稽古の時間、丞と東の険悪な雰囲気は続いたままだ。本心はどうあれ、切り替えようという丞に「自分が居ることで外聞が悪いならやめても構わない」という東。添い寝屋をしていた東は誰彼構わず客をとっていた事には違いなく、そこから秘密が漏れたのかもしれないと言う。簡単に辞めるという東をどういうつもりなのかと責める丞。いづみが止めに入り言い合いが中断したところで誉が一度整理したいと口を開いた。誉は言葉を濁すことなく東に対して「添い寝屋という商売に引け目があるのか、他のメンバーの目を気にしているようだね」と発言。続いて丞に対しては「元GOD座であるという事を気にしすぎて疑われることを恐れて必要以上に攻撃的になっている」、密に対しては「記憶がなく疑われても弁明の余地がないため黙っているのかな」、紬については「GOD座に落ちた時のトラウマをまだ克服できていない、リーダーとして積極的になれないのはそのせいだ」と核心を確認する誉。紬は言われたことをみとめつつも、言っていいことと悪いことがあると反論。東たちは今日の稽古は休みにしてほしいと稽古場を出ていき、紬も後に続いて稽古場を出た。誉はまた間違えたのだなとため息を吐いた。
いづみと2人になり、誉は自分の過去について話す。昔の恋人に”壊れたサイボーグ”と言われたことがあり他人の心がわからず、思考回路そのものが理解できないことをとても悲しいと感じている。稽古場での発言も稽古に悪影響が出ている原因を明らかにし、解消すればいいと思っただけだった。他人への共感力がない自分の行動によって、皆を傷つけたことにひどく落ち込む誉。いづみはきちんと説明しようと説得する。

寮に戻り一人どう話そうかと悩む誉は不思議なルーペを見つける。そのルーペを通すと心の声が見えた。これさえあればと、誉は皆に話をする事を決意。
稽古をする前に、誉は無神経な物言いで傷つけた事を謝罪。皆の事を理解したいと思っているし理解してほしいとも思っている、そして自分なりに皆の事を愛していると思いを伝える。誉がルーペを通して皆を見ると丞たちは自分が言ったことを理解してくれたようだった。しかし密の心の声が「マシュマロ食べたい」だったために、思わず口に出してしまう誉。すると丞にルーペについて突っ込まれ慌ててごまかす。強引にスパイについての話に切り替え誉は話を進める。丞は公演が終わるまでGOD座の団員との接触を控える、添い寝屋の仕事をしていたことに引け目を感じている東はその経験を芝居をするうえで武器にする、密の記憶喪失は本人にもどうにもできない。ならばこれから”役者、御影密”としての経歴を作っていけばよいのではないかと提案。昨日までの嫌な空気は無くなり、公演に向けての稽古に気合を入れ直した。その日の夜、皆のわだかまりを取り除いてくれた誉に紬は感謝を伝える。誉は”まごころルーペ”と書かれたルーペを元あった場所に戻しいつか自分の力で皆と分かり合えるようにと決意する。
いよいよ公演初日。いづみに送り出され冬組は初めての舞台へ挑む。

第23話「隣に立っていたいお前で」

ビロードウェイで芝居の確認をする紬と丞。

冬組旗揚げ公演、”天使を憐れむ歌”は、人間に恋をした天使ミカエルと、ミカエルを見守る天使ラファエルを中心に描いた悲劇である。これまでの公演とは全く違った演出と物語だったが、これまでのファンにも受け入れられた様で良いスタートを切ることができた。
公演の合間に買出しに出ている紬と丞。頼まれたものを購入し話しながら歩く2人。ふと上の空になっている丞に紬が声をかけると、丞は「なんだ、ミカエル」と紬の事を役名で呼んだ。公演中に役名で呼んでしまうのは昔からの丞の癖だ。帰ってから3幕の確認をするから付き合えという丞に、紬はわかったと嬉しそうに微笑む。紬も丞も演劇の事ばかり考えている演劇バカだ。丞が確認に付き合えと言ったのがどの場面なのかが気になり、そのまま路上で確認を始めてしまい2人の周りにはいつの間にか人だかりができていた。慌てて口頭でMANKAIカンパニー冬組旗揚げ公演の宣伝をし走ってその場を後にする。

ベンチに座り息を整えたところで、丞が買い忘れを思い出し紬を残して席を外した。紬が1人になると、レニが現れ声をかけた。高圧的な態度で紬の芝居を酷評し貶すレニに対し、紬は自分の演技で勝つと宣言する。しかしレニはあざ笑うように君たちが無様に敗北しようがどうでもいいと言い残し去って行った。
千秋楽を明日に控えた公演後のロビーでは、観劇に来ていた女性客が話をしている。丞の演技がGOD座の時と違うことにがっかりしている様子の女性。さらに別の女性は相手役が晴翔ではない事に不満を漏らす。女性たちの会話が耳に入り肩を落とす紬に丞が気付き声をかける。なんでもないとごまかした紬だが、その表情は暗い。その日の夜公演前の控室で、紬は芝居を少し変えたい、もっとよくしたいからと申し出る。ためらいながらも許可を出すいづみ。しかしその日の芝居は紬の良さが一切なくなっており、観客も違和感を感じるほどのものだった。公演後丞は紬に詰め寄るが、紬本人もどうしていいのかわからないと丞の手を振りほどく。丞だけでなく他のメンバーも紬の演技に戸惑っていた。何とかしたいと思いながらも、自分ではだめだと手をこまねく丞の背中をいづみは押す。過去の後悔を繰り返さないために丞は紬と話をする決断をし寮に戻る。しかし部屋に紬の姿はない。紬を探して走り回る丞。紬を見つけた丞は、今日怒鳴ったことを謝り、GOD座オーディションの後に紬に何も言わなかったことを後悔していたと話す。丞は紬の演技をとても好きで、演技に対する姿勢も尊敬していた、同じ舞台に立てることが誇らしかった。それの事を伝えていれば紬は演劇を辞めていなかったかもしれないと後悔していたのだ。紬には紬の演技をしてほしい。
2人が劇場に戻ると、冬組メンバーといづみが待っていた。冬組メンバーも紬の演技が好きだと伝え、皆で演技の最終調整を行い明日の千秋楽、GOD座とのタイマンACTに臨むのだった。

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