猫楠 南方熊楠の生涯(水木しげる)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『猫楠 南方熊楠の生涯』とは、1991年から『ミスターマガジン』で連載された水木しげるによる伝記漫画。粘菌の研究で有名な南方熊楠の生涯を猫の視点から観察し分析している。史実に基づいた描写の他、水木しげるが得意とする妖しげな雰囲気をまとわせた世界観が魅力。熊は熊野/那智(ナチ)の地(ナ)霊(チ)の化身と作中で熊楠が猫に語るように、常人には理解難しい奇抜な行いをしながらも、その行いには深い意味とエネルギーが秘められていると感じられる内容となっている。

熊楠の妻、たまに家出するが基本的には熊楠に理解を示しその奇行を受け止める。

熊弥

熊楠の息子。粘菌の絵を上手に描くなど熊楠に期待されるも錯乱し療養生活となる。

文枝

熊楠の娘。しっかり者で看護婦になる。

『猫楠 南方熊楠の生涯』の用語

粘菌

熊楠の研究対象。生死のつながりが目に見える形で表れている不思議な生物。

パレルモグア

窒素採取の研究に使われた藻の一種、研究は中止となったが南方研究所設立や天皇行幸のきっかけとなる。

反吐

熊楠の良く使う武器。気に入らないとかける。家でも壁にかけて妻に怒られる。

霊魂

目には見えないが生命の本質として存在するもの。

陰毛

熊楠の研究対象。芸者にシラミを付けて集める。

熊楠と気の合う生物で至る所で熊楠と共生する。

ドドイツ

熊楠の好きな音楽スタイル。気分が良いと良く歌う。

『猫楠 南方熊楠の生涯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

名言
・そう熊楠の熊はその地霊の化身である
・粘菌の世界を見ても死んだと見える状態に似ているときに粘菌はもっとも活躍してるんだ
・埋もれて牟婁の江の辺年を経しけさの日を仰ぐ貝(甲斐)もありけり/海底に埋もれていた年老いた貝が思いもかけず浮かび上がり太陽を仰ぐことが出来たという意味で大満足の歌

名場面
独身時代
・猫楠と熊楠が那智山中で美女幽霊の一団や夢族の演奏会で現世とは違う存在のあり方を話し合う場面(第二話 那智山中の幽霊村)

結婚後
・子供が生まれて首が座るまでは触るなと言われたので何度もまだかと医者に確認したりいろんな人に子供が可愛いと自慢する場面(第五話 田辺の親分)
・注意されて激高し包丁を振り回したため家出した松枝を呼び戻すため夫婦の営みを門前で唱える場面(第五話 田辺の親分~第六話 神狩り戦争)

子育て期
・蟻に刺されて腫れた一物を再現して研究しようと再度蟻に刺されるため苦心する場面(第八話 蟻の研究)
・銭湯で按摩の亀と河童や山男について話し、熊が熊野の地霊であると話し合う場面 (第十話 柳田国男)
・白井教授からの絶交状に反省の意を示すため息子と二人剃髪しミミズ・カニと号する場面(第十話 柳田国男)

老年期
・発作を起こして逃げ出した熊弥を夫婦そろって嵐の中追いかける場面(第十五話 大いなる哀しみ)
・熊弥が発作でそれまで書き溜めた粘菌の絵を全て破り熊楠が号泣し、訪ねてきた小畔から文枝を守るため投げ飛ばす場面(第十五話 大いなる哀しみ)

晩年期
・天皇陛下の行幸のため弟子達と荒れた海に標本採取に行き、行幸でその標本を気に入ってもらえて弟子を褒める熊楠。またその後妻と記念写真を撮り、貰ったお菓子を周囲に配りご機嫌でドドイツを歌う熊楠(第十六話 天皇陛下)
・粘菌を見る熊楠に猫楠が真言密教的な教えを感じる場面(第十七話 転生)
・寝込んだ熊楠が文枝を床に呼び自分の娘である証拠としての遺品として署名した今昔物語を渡し、熊弥を心配しながら松枝と文枝に看取られ絶命する場面。(第十七話 転生)

『猫楠 南方熊楠の生涯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「妖力の副作用」として表現した卑猥さ

5utomato1994
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