くもりときどきミートボール(アニメ映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『くもりときどきミートボール』とは、ジュディ・バレット作の絵本、およびそれを原作とする3DCGアニメーション映画作品。
発明家を夢見る主人公のフリント・ロックウッドが水を食べ物に変える画期的なマシンを開発する。以降、町には大量のチーズバーガーやドーナツ、ステーキなどの食べ物が大量に降ってくるようになり、そこから巻き起こる騒動を描いている。主人公のフリントが自身の発明を通して、町の人々や家族と心を通わせる物語である。空から降ってくる様々な食べ物を3DCGで見事に表現している。

『くもりときどきミートボール』の概要

『くもりときどきミートボール』(原題:Cloudy with a Chance of Meatballs)とは、2009年に製作されたアメリカ合衆国の3DCGアニメーション映画作品である。
配給はソニー・ピクチャーズエンタテインメントで、その子会社のソニー・ピクチャーズ・アニメーションが制作をしている。ソニー・ピクチャーズ・アニメーションは、コンピューターグラフィックを用いたアニメ制作をしている企業である。
日本での公開は2009年9月19日で、本作の監督・脚本を務めたのはフィル・ロードとクリストファー・ミラー。

フィル・ロードとクリストファー・ミラーはどちらもアメリカ合衆国出身で1975年生まれ。アメリカ合衆国の私立大学であるダートマス大学で出会い、学生新聞のコラムを執筆していた。その大学新聞がディズニーのマイケル・アイズナーの目に留まり、ディズニー・テレビジョン・アニメーションからオファーを受けた。
2人が関わった作品に『LEGO ムービー』(2014年)、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)、『ミッチェル家とマシンの反乱』(2021年)などがあり、『スパイダーマン:スパイダーバース』は第91回アカデミー賞長編アニメ賞に選ばれた。

原作では登場人物に名前や特徴などはなかったが、映画化にあたり個性溢れる登場人物が決められた。
チーズバーガーやゼリーなど、劇中に登場する食べ物を3DCGで見事に表現している作品である。

本作の舞台は寂れた港町のスワロー・フォールズ。サバの缶詰の生産で有名だったベイビー・ブレントサーディン缶詰会社が倒産してから、町民は大量のサバの缶詰を消費する味気ない日々を送っていた。そこで幼い頃から発明家を夢見る主人公フリント・ロックウッドが水を食べ物に変えるマシンを開発。だが上手くコントロールできずマシンを空の彼方に飛ばしてしまう。しかしそのことがきっかけで町は空から様々な食べ物が降ってくるようになり彼は一躍人気者になるが、食べ物は日に日に巨大化していく。そんなスワロー・フォールズで巻き起こる騒動を止めるべく奮闘するフリントの様子が描かれている。

『くもりときどきミートボール』のあらすじ・ストーリー

フリント・ロックウッドの発明

小学生のフリント・ロックウッドはクラスの発表会でスプレーシューズなる発明品を披露する。これを足に吹き付ければスプレーが固まって靴が即席で出来上がり、靴紐が解ける問題が解決するという。しかしクラスメイトのブレント・マクヘイルに「どうやって脱ぐんだ?ガリ勉」と指摘され、クラス中の笑いものになってしまった。それから雨の中泣いて帰ることになったフリント。部屋で泣いていると、母のフランシス・ロックウッドはフリントを励まし、白衣をプレゼントしてくれた。そんな母に後押しされ、フリントは発明を続けていった。

フリントはリモコン・テレビやフライングカー、ネズミ鳥など様々なものを作るが、いつも失敗に終わり町の人たちに迷惑を掛けてばかりだった。
フリントの夢は自分の住む町であるスワロー・フォールズを助けることだった。この町はかつてイワシの名産地だったものの、ベイビー・ブレンドサーディンという会社が倒産してからイワシの缶詰が大量に余っていた。そのため町民は毎日イワシを食べる日々を送らなければならないのだった。

そんな事態を解決するため、フリントは水を食べ物に変えるマシンを開発する。実験室で実験するも、大量の電力を消費してブレーカーが落ちてしまう。ついに父のティム・ロックウッドが、発明は止めて自分の釣具店で働かないかと提案する。フリントは「もう少しだけ発明を続けたい」とティムを説得しようとするが、ティムは理解を示してくれない。苛立つフリントは「ママは信じてくれたのに」と、ティムを責めてしまった。母のフランシスが亡くなってから10年になる頃だった。言い過ぎたことを反省したフリントは渋々了承し、働き始めた。

除幕式

市長のシェルボーンがある発表をするという。その除幕式が行われている最中で、釣具店からこっそり抜け出したフリントは水を食べ物に変えるマシン「FLDSMDFR(フリズムドファー)」を持って大量の電力を使える場所を探し回っていた。そこに警察官のアールが現われる。何かと町に迷惑を掛けるフリントに目を光らせていたのだ。しかしフリントは逃げるようにその場を後にし、送電塔へとたどり着いた。

除幕式では中継が行われていた。ニューヨークから来た見習い天気リポーターのサム・スパークスは緊張の面持ちで中継を始める。市長のシェルボーンの顔がカメラマンのマニーによって映し出された。シェルボーンがゲストを呼び、壇上にブレントが登場する。ブレントは赤ちゃんの頃にベイビー・ブレンドサーディンのCMに出演していたことから町では有名人だった。そしてシェルボーンはサーディンランドをこの町に作ったと発表した。乗り物、博物館、そして巨大なイワシの入った水槽を披露する。

そんな時、フリントは送電線の電力を使い、FLDSMDFRを起動させた。しかしマシンは暴走し、町中を飛び回る。飛んできたマシンが巨大な水槽にぶつかり、水槽は転がってサーディンランドを破壊し始めた。結局FLDSMDFRは空の彼方に飛んで行ってしまった。町は大混乱に陥り、フリントは町中から非難の目で見られるようになってしまう。ティムはそんなフリントを悲しい表情で見ていた。

チーズバーガーの雨

海辺で落ち込むフリントの元にサムがやってきた。彼女はフリントの靴や本音翻訳機などの発明品を見て驚く。そんな時、空からチーズの欠片やピクルスが落ちてきて、フリントは空を見上げる。巨大な色とりどりの雲が町を覆い始め、無数のチーズバーガーが降り注いできた。フリントは「上手くいった!」と両手を上げて大喜びする。サムも彼の発明を一緒に喜んだ。町の人たちもイワシを食べ飽きていたため、チーズバーガーの味に大喜びした。

フリントがサムとカメラマンのマニーに実験室を案内する。もう一度食べ物を降らせて欲しいとお願いされたフリントはトーストとカリカリベーコン、目玉焼きをパソコンに入力する。サムは町から食べ物の天気予報を伝えた。

フリントの元にシェルボーンが現われる。観光客を集めるためにこれから毎日食べ物を降らせて欲しいというお願いだった。自分の発明が有名になると言われて了承するフリント。その後、フライドチキン、ワッフル、コロッケ、アボカドなど町民の要望を聞き入れ、たくさんの食べ物を降らせた。食べ残ったものはフリントの発明である「消しちゃう君」で全て片付けられ、遠くのダムに飛ばされた。町の看板もブレントからフリントに変わり、彼は一躍人気者になった。

スワロー・フォールズの変化

シェルボーンは食生活がガラリと変化し、体型が驚くほど大きくなっていた。その後もフリントが食べ物を入力し続けたので、空に浮かぶFLDSMDFRは壊れかけていた。

フリントはティムの釣具店に足を運ぶ。食べ物が降ったことで人が来なくなり釣具店は閑散としている。ティムは「店を手伝うなら大歓迎だ」とフリントに言うものの、フリントは忙しいと断ってしまう。

釣具店を出て実験室に籠もっていると、警察官のアールが訪ねてきた。息子のカルの誕生日のためにマシンで特別なものを降らせて欲しいという。機械に限界が来ていることや、今までの自分への扱いが酷かった事を理由に断るフリントだったが、落ち込むアールの姿に負けてアイスクリームを降らせた。一面のアイスクリームに喜ぶカルとアール。フリントも子供達に混ざって雪合戦を楽しんだ。

ゼリーの城

ゼリーの城を楽しむフリント(左)とサム(右)

フリントはサムをデートに誘う。サムの大好物であるゼリーを固めたお城に招待したのだ。そこは全てがゼリーで作られたもので、フリントとサムは飛び回って楽しんだ。ひとしきり遊んだ後、夕焼けを見ながらゼリーのソファに座るフリントとサム。サムは昔、ポニーテールにメガネという格好で気象科学に夢中だったという。しかしその姿がガリ勉だとクラスメイトにバカにされて以来、メガネを外し科学の話もしなくなった。その話を聞いたフリントはサムにメガネを掛けさせ、ゼリーで作ったシュシュで髪をポニーテールに結ってあげた。恥ずかしがるサムだったが、「これが本当の君だ。そうだろ」とフリントは言う。フリントの言葉に喜んだサムは顔を近づける。互いに顔を寄せ合い、キスをしようとしたところでフリントの電話が鳴った。2人は気まずくなってそのまま別れた。

巨大化する食べ物

フリントはその夜ティムとステーキの店で食事をした。店には屋根が無く、肝心のステーキは空から降ってくる。フリントは明日のスワロー・フォールズ新装オープンでテープカットすることをティムに伝える。しかしティムは喜んでくれるどころか、機械を止めた方が良いと助言してくる。フリントは理解してくれないティムに憤ると、ティムは店を出て行ってしまった。

フリントは帰り道に巨大なホットドッグがそこら中に落ちているのに気がついた。異変を感じ、ティムに言われた通りマシンを止めるべきか悩んで実験室に帰る。するとシェルボーンが現われ、マシンは止めるべきじゃないと言い始めた。明日の新装オープンのこともあり、フリントは彼の言うことに従った。FLDSMDFRは悲鳴をあげ、壊れかけていた。

予定通りオープンし、町には世界中からたくさんの観光客が押し寄せた。式の直前でフリントの元にサムがやってくる。サムは食べ物が巨大化していて恐ろしいことになると訴えるが、フリントは聞く耳を持たない。サムの言葉を無視して式を強行した。テープカットをした後、町に塩こしょうの風が吹いた。次の瞬間、スパゲッティの竜巻が発生し、町は大混乱に陥る。事に重大さに気がついたフリントは実験室に戻り機械を止めようとするが、シェルボーンが止めに入った。さらにシェルボーンが巨大なラディッシュを投げつけ、機械は爆発してしまう。FLDSMDFR本体を止めるしかなくなったフリントは、スパゲッティ竜巻の近くまで走る。そこで風に煽られ、フランシスから貰った白衣が飛んでいってしまった。

FLDSMDFRを止める計画

フリントはまた自分の発明のせいでみんなに迷惑を掛けてしまったことで、ゴミ箱の中で落ち込んでいた。「発明は向いていない」と嘆くフリントに、ティムは「雨の日には、コートがいる」と漁師のことわざを言う。そして電線に引っかかっていた白衣をフリントに渡した。白衣が戻ってきたことで覚悟が決まり、町の住民を救う決意をしたフリント。あらゆる技術を駆使してフライングカー2号を作り上げた。竜巻の中心に飛んでマシンに停止コードのUSBを差すという計画を立てる。これを町民に説明するが、みんな怒っていて聞き入れてもらえない。そんな時アールが、今は協力するべきだと言って町民を説得してくれた。一致団結した町民は船造りに取りかかる。一方フライングカー2号にはサムとマニーも同乗するという。さらにブレントもやってきた。早速車を飛ばして空を見ると、マシンの周りに巨大なミートボールのような塊が出来ていた。マシンから巨大なフードハリケーンが発生している。巨大化した食べ物はフライングカー2号に襲いかかる。その衝撃で窓が割られ、USBが飛んでいってしまった。しかし引き返せないためフリントとサムとブレントは中心部に降り立ち、FLDSMDFRに近づく。

FLDSMDFRとの戦い

町民が船を作り終えたところにシェルボーンがやってきて、我先にと船に乗り込んだ。ほかの町民たちも船に乗り、脱出することに成功する。各地では巨大な食べ物が降りかかり、世界中が大混乱に陥っていた。

中心部に来たフリントたちは巨大なチキンに襲われたが、ブレントが身を挺して守ってくれたお陰で前に進めることになった。フリントとサムはピーナッツ飴の谷にやってくる。サムの掴んでいるロープを使い、伝い降りるフリント。その時サムがピーナッツ飴の欠片に触れてしまった。ピーナッツアレルギーの彼女は顔が腫れ上がりピンチに陥る。フリントは「ロープを離して治療に急げ」とサムに言うが、彼女はロープを離さない。そして「あなたが好きなの」とフリントへの想いを口にする。フリントは「僕もだ」と返し、2人を繋ぐロープを切った。チキンを倒したブレントはサムを連れてフライングカー2号を操縦するマニーの元に急ぐ。フリントは谷底に落ち、ついにFLDSMDFRにたどり着いた。

暴走し襲いかかってくるFLDSMDFRをどうやって止めるべきか悩んでいると、自分の靴が目に入った。これだと思い、フリントは白衣からスプレーシューズを取り出してFLDSMDFRに向かって吹き付けた。フリントの活躍でマシンは止まり、世界は元通りになった。

元に戻った世界

サム達はフライングカー2号で帰還したものの、フリントが戻って来ないことで悲しみに暮れる町民たち。そんな時空にネズミ鳥の大群が現われ、フリントを運んできた。英雄の帰還に大喜びする町民たち。彼の元にサムとティムも駆け寄った。フリントに対して本音を言えずに口ごもるティムを見かねて、サムは本音翻訳機を彼に取り付ける。ティムは「お前は才能も独創性もある。ママはお前の成功を信じていた」とフリントに伝えた。フリントとティムは抱きしめ合った。

そしてフリントはサムの元に行く。2人はぎこちないキスを交わし、町は祝福ムードに包まれるのだった。

『くもりときどきミートボール』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

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