趙天佑（龍が如く）とは【徹底解説・考察まとめ】

趙天佑の来歴・活躍

横浜流氓の若き総帥

趙は武闘派中国マフィア「横浜流氓（ハンピンリューマン）」の前総帥の息子として生まれた。そのうえ、勉学も運動も優秀であり、悪知恵も働くため、次期総帥候補とされていたが、趙本人は「世襲制は合理的ではない」としてやる気がなかった。そのやる気のなさに関して、趙は「器用貧乏の性」と自らを分析している。
しかし中国系マフィア組織の「蛇華」日本支部総統の劉家龍（ラウ・カーロン）との抗争をはじめとするごたごたによって父親から当代総帥を引き継ぐことに。それと同時に、伊勢佐木異人町（いせざきいじんちょう）を支配する「異人三」が関わる偽札についても知らされた。趙は表向きは異人町を手に入れようと躍起になる若い構成員を押さえつけるために弱腰な態度を見せずに振る舞い、裏では「異人三」のバランスが崩れて異人町がよそ者によって荒らされないように奮闘する。だがそんな振る舞いが向上心旺盛なナンバー2の馬淵昌の反感を買って煽るきっかけとなってしまう。馬淵の言動は先代総帥や古参幹部たちの怒りに触れ、馬淵を消そうと動きだしたこともあったが、馬淵を高く評価して信じていた趙は、内輪揉めを良く思わなかったことや組織の未来を潰すことになるということなどから、土下座をして頼み込むことで阻止した。しかし趙のそんな思いも、馬淵には伝わっていなかった。

馬淵の暴走

馬淵は異人三の均衡に不満を持っていた。その均衡を崩そうと目を付けたのが、関西一円を束ねる巨大極道組織「近江連合」を後ろ盾とし、異人三の偽札作りを暴こうとしていた東京都知事・青木遼の部下であるブリーチジャパン代表の小笠原肇（おがさわらはじめ）だ。彼の「近江連合での良い肩書き」という餌に乗せられ、異人三による均衡を崩す火種を作るべく、異人三の一角を担う横浜星龍会のシマに密かに手を伸ばし始めた。その中で、主人公の春日一番が世話になったソープランドの店長である野々宮勲を自殺に見せかけて殺害した。
これに怒った一番たちが真相を探りに来たことを好機ととらえ、彼らを星龍会の刺客に仕立て上げた上で、「先に仕掛けたのは星龍会」と強弁を張って星龍会に宣戦布告。若頭の高部守の可愛がっていた部下を惨殺した。
高部守は激怒して横浜流氓のアジトである「慶錦飯店」を襲撃してきた。しかし馬淵の狙いに気づいて追いかけてきた一番たちと戦い、敗れる。そこに趙がやってきた。趙は馬淵を信じていたこともあり、銃を向けながら一番たちに馬淵が実際に野々宮を殺したという証拠を持ってくるよう要求した。そして「馬淵がもし異人三の均衡を壊すつもりならコミジュルが気づかないわけがない、街でどうしても知りたい情報があるときはコミジュルに行けばいい」と、異人三の一角であるコミジュルに向かうよう促した。

異人三による会合

コミジュルに向かった一番たちは、そこで異人三による偽札作りのことを知った。だが偽札を追って行方が分からなくなった弟を探していた仲間のナンバが、コミジュルと敵対する。一番たちはコミジュルの女総帥ソンヒにより、コミジュルのソンヒ、横浜流氓の趙、星龍会の星野龍平という異人三のトップが揃う会に招かれる。そして異人三の成り立ちが語られ、偽札のことが暴露されると近江連合などによって異人町が壊滅してしまうということを告げられた。ナンバを庇おうとする一番たちも、異人町に受けた恩を思い返して黙ってしまう。趙率いる横浜流氓からすでにナンバに対する刺客が送られているので、ナンバの命が心配なら横浜流氓より先に見つけたほうが良いだろうと説得された。

クーデター

異人三のトップにより行われた会合の後、それが外部に漏れてしまった。そのことが原因で各組織でクーデターが起こった。横浜流氓も馬淵が煽ったことでクーデターが発生。趙はその対処にあたりながら、一番に「ナンバの件は忘れるからコミジュルのほうを助けてあげてほしい」と連絡を取った。その連絡のおかげでコミジュルと、星龍会の方は危機を脱することができたものの、趙は音信が途絶えてしまった。趙は馬淵によって捕らえられていたのだ。そこで拷問にかけられ、瀕死の重傷を負ったが、東城会系三次団体「荒川組」若衆である安村光雄の独断で救い出され、一番たちと合流することができた。
その後、趙は「組織やメンバーが存続していればボスが誰かは大した問題じゃない」という考えに基づき、自ら総帥の座を降りた。そして次期総帥にコミジュルのボスであるソンヒを指名し、一番たちについていくことに。趙は変幻自在の変装能力を持つ殺し屋「ミラーフェイス」のことを教えるなど、青木遼と戦う一番をサポートした。

馬淵との決着

一番の仲間になった後、サブストーリーでは馬淵に関することが深掘りされる。クーデターの折りに一番に倒された馬淵は趙によって異人町から追放されていた。異人町にいたら馬淵は殺されてしまう。それを嫌がった趙は彼を追放したのだ。その処分は次期総帥となったソンヒにも納得された。
しかし馬淵は異人町に舞い戻ってきた。趙は馬淵が見捨てられずにコミジュルが動く前に馬淵を異人町から追い出したいと考える。そこに馬淵からの使者が現れた。彼曰く、「馬淵は異人町への復帰を願っている」という。しかし使者についていったところ、部下を従えた馬淵がやってくる。馬淵は趙と一番の首があれば今度こそ近江連合の席に加われると信じていた。趙は一番とともに馬淵を迎え撃って撃破する。戦いの後、趙が最後の警告として「出ていけ」と言うが、馬淵は「コミジュルの目などどうにでもかいくぐってみせる」と不遜な態度を崩さなかった。これに趙が激怒。馬淵のことは嫌いだとしながらも、「だけどよ……どんだけ嫌いでもどんだけ腐っても……やっぱりお前は……俺の仲間なんだよ……」と言い、仲間を殺したくないと思いのたけをぶつけた。それから「もう好きなようにするといい」と踵を返すと、とうとう馬淵は膝から崩れ落ちた。

桐生一馬と合流

『龍が如く8』では一番が生みの親である茜に会うために、ハワイへと向かう。そこでハワイの宗教団体「パレカナ」の代表、ブライス・フェアチャイルドと対立することになる。ブライスは茜と共に姿を消したラニという少女の命を狙っていた。ラニが持つ、かつての代表の遺言状が世に出ると失脚してしまうため、彼女の口を塞ぎ遺言状を処分しようとしているのである。茜はラニを助けるため、彼女を連れて身を隠していた。
趙はソンヒからの連絡で、バー「サバイバー」でヨンスと共に初代主人公の桐生一馬（きりゅうかずま）や一番の仲間のナンバ、向田紗栄子（むこうださえこ）と合流を果たした。桐生たちはパレカナとつながりのある星龍会の海老名正孝（えびなまさたか）と沢城丈（さわしろじょう）の動きを追っていた。ヨンスは桐生たちに、星野龍平前会長が死んで跡目の高部守（たかべまもる）が刑務所に行ってからの星龍会の動向を語った。そもそも高部が刑務所に行くことになったのも海老名の仕業であることを示唆し、海老名が掲げる極道第二次大解散の名目すら怪しいという。桐生たちは沢城の真意を探るべく、彼に会いに行くことに。趙は彼らについていくことになった。

海老名と沢城の真意

埠頭の倉庫で沢城と対峙した桐生たち。桐生は星龍会が極道崩れを集めている理由を問うと、沢城は「救ってやるためだ」と言って部下たちと共に襲い掛かってきた。それを退けると、倒れた沢城が桐生に縋り、小声で「ここから連れ出してほしい」と頼んだ。「監視の目から逃れたいので海に放り込んでほしい」と言う沢城の頼み通りに桐生は彼を海に落とした。沢城の声が聞こえていなかった趙は、桐生の行動に「やっぱおもしれーわ、あの人」と声をあげて笑った。
その後、桐生から沢城の言葉を聞いた一行は、一番の家で沢城と再会する。沢城の目的は、渡世の親の荒川真澄（あらかわますみ）の遺志を継ぎ、第二次極道大解散を成就させることだった。海老名は沢城に第二次極道大解散を沢城に持ち掛けてきたが、それは星龍会に人を集めるためのでまかせだった。沢城がそれに気づいたのは、一番がハワイに行ってからだという。
沢城は海老名が人寄せのために出しにした第二次極道大解散を成し遂げるため、海老名の本当の狙いを知ろうとしていた。そして本当の極道大解散を成し遂げるためには援軍が必要だと語る。その援軍として挙げられたのが、元東城会の堂島大吾（どうじまだいご）、真島吾朗（まじまごろう）、冴島大河（さえじまたいが）の威光を借りたいと言った。

趙は桐生たちと共に、辺鄙な田舎にいる3人に会いに行った。3人は東城会解散の後、警備会社を立ち上げたが、多々良ひそかという暴露系配信者によって社員が元極道であることなどを暴露されて倒産に追い込まれていた。交渉は桐生に一任されたが、彼らは「自分たちはもう表舞台に立つべきではない」としてこれを拒否。桐生が彼らを挑発したことにより、一行は3人と戦うことになる。結局協力は得られなかったが、桐生は「ほとぼりが冷めたら春日を頼む」と託した。
その直後、多々良チャンネルから桐生と大吾、真島、冴島が会っている映像が投稿され、「東城会の復活を企んでいる」という嘘の情報を流される。そして更に海老名と沢城が生配信で東城会や大解散を成した荒川真澄をけなし始める。その配信を見た趙が思わず「海老名に合わせなきゃいけないとはいえ、沢城はどういう心境で言っているんだろうね」とぼやくと、桐生は「案外本心かもしれねえ」と返す。東城会と近江連合の大解散は沢城には聞かされていなかった。「自分に教えてくれていたら、もっとうまくできた」という思いが沢城の中にはあるのではないかというのだ。趙はそれを聞いて納得したように頷いた。

生配信を見た桐生たちは星龍会に乗り込む。しかし海老名は星龍会の事務所を燃やし、それを桐生たちの仕業に見せかけた。海老名が世間を味方につけたせいで、桐生たちは窮地に陥る。そしてハワイから帰国した一番たちと合流したところで、海老名から「政府からの極道社会復帰プログラムの承認を得たこと、裏切った沢城を人質にとったこと」が告げられた。

海老名は荒川真澄の実子であった。母親は東城会系氷川興産の組長の娘。当時荒川真澄は氷川興産の組長から娘、百合子との縁談を進められていたが、茜という恋人がいた。裏社会のルールにより断ることもできずにいたところ、茜の妊娠が発覚する。それを機に縁談を断る決意を固めたのだが、実は百合子も荒川真澄の子どもを妊娠していたのだ。それが海老名正孝であった。
海老名は母が亡くなったことで、祖父に利用され、父に裏切られ、「家族」と言われた組員たちからも見放された報いを自分が返すしかないと「ヤクザ絶滅」を心に誓った。そのために第二次極道大解散を利用しているのである。極道社会復帰プログラムに不可欠な場所であるネレ島は、巨大なブラックボックスだ。そこで元極道たちに何があろうと外部に漏れる可能性は薄い。
海老名を止めるため、桐生は彼のアジトに乗り込む。趙も桐生についていった。

決着

海老名のアジトに乗り込むと、多くの星龍会構成員の妨害に遭う。それらを蹴散らしていく桐生たちだが、海老名のもとにたどり着く前にかなり疲弊してしまった。休憩を取った際に構成員の多さを疑問に思う紗栄子に対し、趙とソンヒは「元は東城会や近江連合の人間だろう」と推測した。そんな話をしている最中、ヘリに乗った連中に建物の外から銃撃を受ける。一行はテーブルなどの陰に隠れるが、反撃する手立てがなかった。そこに、大吾や真島、冴島が現れる。彼らはロケットランチャーでヘリを追い払うと、桐生たちに協力することを宣言した。
3人の助力もあり、海老名がいる最上階に到着した一行。海老名はそこで極道に対する激しい恨みを告白する。海老名の恨み、憎しみを受け止めながらも、暴走を止めないわけにはいかないとして桐生が「ヤクザの罪を全部引き受ける」と発言。それを聞いてナンバや趙は、「あんたは抱え込みすぎた」「皆で終わらせよう」と言って彼と肩を並べた。
皆の力で海老名に勝利。海老名は桐生に「ヤクザを本当に国の権力と決別させるには自分を殺すしかない」と言うが、桐生は殺さずに「ヤクザが償うチャンスを与えてくれないか」と懇願した。その直後、桐生は癌が原因で倒れる。趙たちはヘリを呼んで彼を病院へと搬送した。

趙天佑の関連人物・キャラクター

馬淵昌（まぶちあきら）

横浜流氓のナンバー2。構成員から「老馬（ラオマー）」と呼ばれている。シノギとして貿易会社「横濱貿易公司」も運営している。上昇志向が強く、「掟破り」もお構いなしな性格で、先代や古参幹部からは問題視されていた。しかし趙が土下座をしたことにより粛正は免れる。馬淵は趙をライバル視しており、作中ではクーデターを起こすことに。その後は異人町追放という処分が下されるが、懲りずに戻ってきたところで趙に負け、「死んでほしくない」という彼の本心を聞いて崩れ落ちる。

春日一番（かすがいちばん）