獣の奏者エリン(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『獣の奏者 エリン』とは、2009年1月から12月にかけてNHK教育で放映されたアニメ。架空の王国を舞台に、決して人に慣れないとされる獣と心を通わせることができる少女エリンが、国家の思惑に巻き込まれながらも生命の神秘を探究する姿が描かれた。原作は2006年に講談社より刊行された上橋菜穂子による小説『獣の奏者』。青い鳥文庫、講談社文庫からそれぞれ文庫化もされており、シリーズ累計部数は200万部を超えている。シリウスKCにて武本糸会により漫画化もされており、メディアミックスも盛んに行われている。

ダミヤは、自身の思惑に気がついた可能性のある人物の毒殺を命じる。
イアルは毒を盛られたところを仮面の男たちに襲撃され、傷を負いながらもエリンのいるラザル王獣保護場へ逃げ延びる。
エリンはイアルからダミヤの思惑について知らされ、どうにかセィミヤに真実を告げることはできないかとイアルに知恵を求める。
セィミヤが婚姻の前にみそぎに出向く際なら一対一になれる機会があると教えられたエリンは、リランに乗ってみそぎ中のセィミヤに接触。王祖が起こした悲劇とダミヤの陰謀について知らせることに成功する。
〈降臨の野〉の決戦の日、ダミヤの野望を確信したセィミヤは、シュナンと婚姻を結ぶことを決意した際に掲げるとしていた青い旗をあげる。セィミヤに向かって一人駆け寄ろうとするシュナン。
しかし、ダミヤはそれを阻止しようと、反乱軍の闘蛇をシュナンに向けて進軍させる。大公軍の闘蛇と反乱軍の闘蛇が入り乱れ、大混乱が起きる。
シュナンを救うため、リランを戦いの道具にしたくないと願いながらも、リランに乗って飛び立つエリン。背に矢を受けながらも、「言うことを聞かないと音無し笛を吹く」とリランを脅し、シュナンをリランの背に乗せて救出することに成功する。
戦場に一人残され、死を覚悟したエリンだったが、リランはシュナンを安全な場所に下ろしてから、エリンを助けに戻ってきた。エリンの口に咥えられて運ばれながら、エリンはリランとの絆が失われたわけではなかったことを悟る。一方、ダミヤはイアルに斬殺される。
セィミヤとシュナンはエリンとリランの絆に心打たれ、人と獣のように、人間同士も信頼を築いていこうと、新しい国づくりを決意する。

『獣の奏者エリン』の登場人物・キャラクター

重要人物

エリン

CV:星井七瀬

大公領アケ村にて、闘蛇衆の頭領の息子である父と獣ノ医術師である母の間に生まれた娘。名前は「山リンゴ」を意味する。初登場時は10歳だったが、物語の進行とともに年齢を重ねていく。
外見の特徴である緑の瞳と長身は、母親のソヨンが霧の民の出身であることに由来している。アニメでは髪の毛も緑色で描かれており、10歳時は耳の下で二つに結び、14歳以降は肩のあたりで切り揃えている。
性格は聡明で思慮深く、探究心と好奇心が旺盛。父を早くに亡くし、霧の民の血を引いていることで一部の村人からは疎外されながらも、大好きな母と幸せに暮らしていた。
腕の良い獣ノ医術師である母を自慢に思い、幼い頃から闘蛇をはじめとする生物に強い関心を示していた。絶対音感を持っていることが、竪琴を使った王獣との意思疎通に役立てられた。
母の処刑、養父ジョウンとの死別、周囲からの偏見など、辛いことが度々起こるものの、エサルやユーヤンなどの理解者に支えられ、優しくも芯の強い女性に成長していく。
決して人に馴れないと言われる獣・王獣のリランと心を通わせたことで、意図せずして政治的な思惑に巻き込まれていくも、自らの運命に毅然と立ち向かう。
アニメのラストでは〈堅き楯〉のイアルと結ばれ、息子のジェシを授かっている。

イアル

CV:鈴村健一、小林沙苗(少年期)

〈堅き楯〉として真王の護衛を務める青年。身のこなしが非常に俊敏で、「神速」という異名がつけられるほどである。
外見の特徴は茶色の髪と藍色の瞳。ちなみにこれはアニメのオリジナル設定であり、原作では髪も瞳も黒色である。
性格は無口で物静か。貧しい家の出身で、竪琴師の父を地震で亡くしたことから、身売りのような形で〈堅き楯〉になることを強いられた。
過酷な運命に立ち向かうエリンの姿に、同じく運命に翻弄されてきた自分自身を重ね合わせ、次第に惹かれるようになる。
アニメのラストではエリンと結ばれ、一人息子のジェシを授かっている。

ジェシ

CV:並木のり子
アニメ最終回で登場したエリンとイアルの一人息子。アルの傍らで、竪琴を弾きながら母の仕事が終わるのを待っている様子が描かれた。

ソヨン

CV:平田絵里子

エリンの母。霧の民の出身で、優れた腕を持つ獣ノ医術だった。外見の特徴は緑の瞳と、周囲の女性より頭一つ抜き出た長身。アニメでは娘のエリンと同様、緑色の髪で描かれている。
霧の民の掟を破り、闘蛇衆の頭領の息子・アッソンと結婚したことで一族を追放され、アケ村で暮らすようになる。
霧の民であることから、村人とは一歩置いた距離感で接していたが、最強の闘蛇〈牙〉の世話を一任されるなど、獣ノ医術の腕は高く評価されていた。
〈牙〉の大量死の責任を問われ処刑された際は、大罪とされる〈操者ノ技〉を使って、助けにやってきたエリンを救った。非常に聡明で娘想いである。

トーサナ・ジョウン

CV:内田直哉

エリンの養父。蜂飼いを生業としている。
王都の高等学舎で教導師長を勤めていた過去があるが、ある事件で教え子を亡くしたことで職を追われ蜂飼いとなった。明るく面倒見の良い性格で、母を失ったことで閉ざされてしまったエリンの心を解きほぐしていった。所構わず屁をするのは、アニメのオリジナル設定である。
エリンの聡明さや絶対音感などの特別な能力に気づいてからは、様々な学問を意欲的にエリンに教え込んだ。特に養蜂を通して生物の神秘について学んだことは、エリンのその後に大きな影響を与えることとなった。
古くからの友人・エサルが教導師長を務めるカザルム学舎の編入試験の受験をエリンに勧めた。
エリンがカザルムに編入した後は王都に身を寄せるが、心臓の病で間も無く亡くなる。

カザルム学舎

コルマ・エサル

画像右がコルマ・エサル

CV:加藤沙織

カザルム王獣保護場の教導師長。下級貴族出身の女性だが、独身を貫いている。ジョウンの旧友であり、それが縁でエリンをカザルム学舎に受け入れることになった。
直情型で、思い立ったら行動に移さないと気が済まない性格。霧の民の血を引くエリンに対しても他の学童と分け隔てなく接する、思いやり深い性格である。

ユーヤン

画像中央がユーヤン

CV:高倉有加

エリンの親友。エリンが入舎する以前は、カザルム学舎で唯一の女学童だった。
おしゃべりで早とちりだが、霧の民の血を引きなかなか周囲に馴染めないエリンを気にかけるなど、世話好きな一面がある。
真王領の北端の出身であるためリョザ語の訛りが強く、小説とアニメでは関西弁で表現されている。

白丁花
白丁花
@littlemy090

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